誘蛾

蝶が目の前を横切った。




綺麗な蝶だった。




ふらふらとひらひらと舞う、それ。




後を追う。




足取りは軽く。




目線は蝶に。




風景は見えず。




ふらふら、ひらひら。




からだは軽く。




目線は空に。




何も見えず。




ふらふら、ひらひら。




気がつけば広い庭。




「はじめまして、こんにちは」

「はじめまして、これからよろしく」




蝶はひらひら。




桜に誘われて。




僕はふらふら。




彼女に誘われて。




ふらふら、ひらひら。




帰り道は忘れた。




帰る器は亡くした。




還る輪は外れた。




ふらふら、ひらひら。

　「妖夢、新しい人よ。案内してあげて」

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　どこぞやの亡霊嬢に誘われたらこんな感じだろう、と思い書いてみました。
　本当に久々の投稿になります。俳諧という者です。
　最近のここの盛況に戸惑いつつ。
　ご意見、ご感想等頂ければ幸いです。