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今日は朝から雨が降っていた
退屈だったので香霖堂にでも行ってみる
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相変わらず浮いた店
何故か入ることを躊躇ってしまうくらい浮いている
客が少ないのも当たり前だな
そう思いながら扉を開ける
香霖は相変わらず本を読んでいる
客の相手をする気があるのかないのか
本も置かずこっちも見ずにたった一言
「いらっしゃい」
まぁいつものことだ
私が初めてこの店に来た時もこうだった
「暇だったから来てやった、何か面白いものはないか?」
はぁ、と溜息が聞こえたような気がする
香霖はいつの間にやら本を置いていた
「なんだ、魔理沙か」
なんだとはなんだ、私は客だぜ?
少しムッとして心の中でそう呟いた
「魔理沙、客というのはちゃんとお金を払ってくれる人の事を言うんだよ?」
少し驚く
こいつには人の心を読む程度の能力でもあるのか?
多分顔にもそんな表情が浮かんでしまったのだろう
香霖は手元の本を開きながら
いつもの事だからね、と言った
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香霖は本を読みながら
普段と大して変わらないよ、と言っていた
だけどこの店はいつも物が増えている
一体どこから持ってくるのやら
いつもわけのわからない物が増えている
まぁ深く追求するのは止めた方がいいだろう
わからない事をあれこれ考えるのは疲れるだけだ
だからいつものように店の中を物色する
前に霊夢と来たときには
荒らしてるだけにしか見えないわよ?
とか言われたような気がするけど
私が言うんだから間違いない
これは物色してるんだ
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しばらくあれこれ漁ってみたけれど
確かに今日はいつもと大して変わらないようだった
せっかく暇潰しに来たのにこれでは意味が無い
だけど雨もひどくなっているようだし
もう少し漁ってみるか
そう思った矢先ふと汚れた箱が目に入る
それは両手で持てるくらいの大きさの箱で
「なぁ香霖、この箱は一体なんだ?」
蓋は無く、中にはこまごました物が詰め込まれていた
ボタンやら布切れやら石ころやら指輪やら
ガラクタが目立つが少なからず貴重品も入ってるようだった
「それは売り物じゃないよ」
相変わらず本を読みながら香霖は答える
薄暗いので中身がよく見えない
箱を持ち上げ香霖の所まで持っていく
「じゃあなんなんだ、これは?」
商品でも無い物を置いておくなんてすごく気になるじゃないか
特に中身とか
箱はなかなか重かった
少し大きな音を立てながら香霖の横に箱を置く
「それはね、忘れ物なんだ」
パタン、と本を閉じ説明を始める
「魔理沙も覚えが無いかい?いくら探しても見つからなかった物が
すっかり忘れて別の探し物をしている時にひょっこり見つかった、なんて事を」
私は箱の中身を見ながら返事をする
「少なからずあるな」
ふむ、と箱の中のボタンを手に取りながら香霖は続ける
「その箱にはね、そういう忘れ物が入っているんだ」
なるほど、だからガラクタばかりなのか
変な所に納得しながらふと疑問に思う
「じゃあその忘れ物が見つかった時、その箱の中にある物はどうなるんだ?」
ボタンを掌にのせたまま香霖は答える
「消えるんだ」
最後まで言い終わらないうちに掌からボタンがふっと消えた
「こんな風にね」
見つけてもらえたらしい、そう言いながら香霖は読書に戻る
驚きのあまり口を開けっ放しにしながらも
これはいい暇潰しになりそうだ、と思った
それに面白いものが入ってるかもしれない
そう思いながら箱の中身を漁りだす
香霖が本を読みながら何か言っているような気がするけど取り合えず無視することにする
その日霖香堂から雨音にも負けない位とても大きな悲鳴が聞こえたそうな
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「止めておいた方がいいよ魔理沙、僕も中身を調べたことがあるんだけど中々素敵な忘れ物が多くてね。
具体的に言うと蜘蛛だとか入れ歯だとかカビの生えたパンだとか目玉だとか指だとか・・・」
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今日は朝から雨が降っていた
退屈だったので香霖堂にでも行ってみる
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相変わらず浮いた店
何故か入ることを躊躇ってしまうくらい浮いている
客が少ないのも当たり前だな
そう思いながら扉を開ける
香霖は相変わらず本を読んでいる
客の相手をする気があるのかないのか
本も置かずこっちも見ずにたった一言
「いらっしゃい」
まぁいつものことだ
私が初めてこの店に来た時もこうだった
「暇だったから来てやった、何か面白いものはないか?」
はぁ、と溜息が聞こえたような気がする
香霖はいつの間にやら本を置いていた
「なんだ、魔理沙か」
なんだとはなんだ、私は客だぜ?
少しムッとして心の中でそう呟いた
「魔理沙、客というのはちゃんとお金を払ってくれる人の事を言うんだよ?」
少し驚く
こいつには人の心を読む程度の能力でもあるのか?
多分顔にもそんな表情が浮かんでしまったのだろう
香霖は手元の本を開きながら
いつもの事だからね、と言った
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香霖は本を読みながら
普段と大して変わらないよ、と言っていた
だけどこの店はいつも物が増えている
一体どこから持ってくるのやら
いつもわけのわからない物が増えている
まぁ深く追求するのは止めた方がいいだろう
わからない事をあれこれ考えるのは疲れるだけだ
だからいつものように店の中を物色する
前に霊夢と来たときには
荒らしてるだけにしか見えないわよ?
とか言われたような気がするけど
私が言うんだから間違いない
これは物色してるんだ
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しばらくあれこれ漁ってみたけれど
確かに今日はいつもと大して変わらないようだった
せっかく暇潰しに来たのにこれでは意味が無い
だけど雨もひどくなっているようだし
もう少し漁ってみるか
そう思った矢先ふと汚れた箱が目に入る
それは両手で持てるくらいの大きさの箱で
「なぁ香霖、この箱は一体なんだ?」
蓋は無く、中にはこまごました物が詰め込まれていた
ボタンやら布切れやら石ころやら指輪やら
ガラクタが目立つが少なからず貴重品も入ってるようだった
「それは売り物じゃないよ」
相変わらず本を読みながら香霖は答える
薄暗いので中身がよく見えない
箱を持ち上げ香霖の所まで持っていく
「じゃあなんなんだ、これは?」
商品でも無い物を置いておくなんてすごく気になるじゃないか
特に中身とか
箱はなかなか重かった
少し大きな音を立てながら香霖の横に箱を置く
「それはね、忘れ物なんだ」
パタン、と本を閉じ説明を始める
「魔理沙も覚えが無いかい?いくら探しても見つからなかった物が
すっかり忘れて別の探し物をしている時にひょっこり見つかった、なんて事を」
私は箱の中身を見ながら返事をする
「少なからずあるな」
ふむ、と箱の中のボタンを手に取りながら香霖は続ける
「その箱にはね、そういう忘れ物が入っているんだ」
なるほど、だからガラクタばかりなのか
変な所に納得しながらふと疑問に思う
「じゃあその忘れ物が見つかった時、その箱の中にある物はどうなるんだ?」
ボタンを掌にのせたまま香霖は答える
「消えるんだ」
最後まで言い終わらないうちに掌からボタンがふっと消えた
「こんな風にね」
見つけてもらえたらしい、そう言いながら香霖は読書に戻る
驚きのあまり口を開けっ放しにしながらも
これはいい暇潰しになりそうだ、と思った
それに面白いものが入ってるかもしれない
そう思いながら箱の中身を漁りだす
香霖が本を読みながら何か言っているような気がするけど取り合えず無視することにする
その日霖香堂から雨音にも負けない位とても大きな悲鳴が聞こえたそうな
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「止めておいた方がいいよ魔理沙、僕も中身を調べたことがあるんだけど中々素敵な忘れ物が多くてね。
具体的に言うと蜘蛛だとか入れ歯だとかカビの生えたパンだとか目玉だとか指だとか・・・」
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