Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

なぞなぞ

2006/08/12 10:49:09
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ある日魔理沙がこう言った

「お前の鏡は挨拶をしてくれるのか?」

意味もわからずこう返す

「そんな事あるわけないじゃない」

それを聞いて魔理沙は言う

「私の鏡はしてくれる」

それだけ言うと帰っていった

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今日は朝から考える
魔理沙の言ったあの言葉

魔法の使える彼女なら
あるいはそれも可能だろう

だけどわざわざ私に言った
魔法を使えぬ私に言った

ならば私もできるはず
だから朝から考える



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昼になってもわからない
仕方がないから外を掃く

そしたら魔理沙がやってきて
にやにやしながらこう言った

「鏡の答えはわかったか?」

ムッとしながらこう返す

「まだだけど何か文句ある?」

それだけ聞くと微妙な顔して
そうか、と言って帰っていった

仕方がないから外を掃く
昼を過ぎてもわからない



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ふと気がつくと
空はとっくに茜色

いつものように休憩してたら
いつものように寝てたらしい

そろそろお腹も空いてきた
夕食作りに母屋へ入る

台所へと向かう途中
ひょいと鏡をのぞき見る

私の顔が映ってる

だけど挨拶してくれない



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食事も終わり
お風呂に入り
今日も一日無事終わる

もう一度鏡をのぞき込む
やっぱり挨拶してくれない

結局答えは見つからず
仕方がないかと布団をひいて
今日はこれまでと布団に入る

声に出さずにおやすみなさい



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結局昨日は眠れなかった

あれからず~っと考えた
鏡が挨拶する方法

だけど結局わからなかった
今日もこれだとまずいので
仕方がないから魔理沙に教えてもらおうか

勝ち誇ったような魔理沙の顔が
まぶたの裏に浮かび上がる

着替えも終わり
朝ごはん
たった一人の朝ごはん

昨日の鏡が目に入る
思わずそれをのぞき込む
自分が一人映ってる
ふっと何かを思い出す


あわてて自分の目をこする
鏡に二人いたような

まだ寝ぼけてるのかとのぞき込む
今度はちゃんと一人だけ

だけど

思い出したら止まらない

鏡に映ったもう一人

この狭い神社にもう一人

自分を育ててくれた人

朝起きて
挨拶したら返してくれた

お昼ご飯も作ってくれた

夜は一緒に寝てくれた


いつの間にかいなくなってしまった


長い間忘れてた
朝起きて最初に言う言葉

鏡がぼやけてよく見えない
だけどわかった鏡の答え

鏡に向かってこう言った
小さな声でおはようと

鏡の自分もそう言った



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今日も外を掃いてると
魔法使いがやってきた

彼女は私に聞いてきた
私は彼女に答えを返す
そうか、と言って彼女は笑う
つられて私も笑い出す



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しばらく笑ってようやく止まる
何かに気付いた魔法使い
私の顔をじっと見る

「何よ、顔に何かついてるの?」

横に首を振りながら
魔法使いはこう言った

「やけに目が赤いぜ?」



徹夜のせいだと言っておいた



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鏡に映るのは自分だけではない
もし隣に誰かいるならば
その人も一緒に映るはず

直接挨拶出来ぬなら
鏡に映った自分に向かって挨拶を

そうすれば
鏡に映ったその人が
笑いながら返事をしてくれる



隣にあなたがいるのだから
HalN
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