私は思う
砂時計は時を計るために在るのではなく
時を視る為に在るのだと
**************************************************
そこは紅い館
窓は殆ど無く、僅かにある小さな窓もこれまでに開けられた事は無さそうだ
そんな館に幾つかの砂時計
一つは横倒しになっているようで
その砂時計の上には五百年分の埃
いつか埃が掃われて
横倒しの砂時計が置き直されて
もう一度砂が流れる事はあるのだろうか
これは奇妙な砂時計
砂の流れる速さが一定ではないようで
ときに遅く
ときには速く
またあるときは止まっていたりする
いつか全ての砂が落ちるとき
その傍らには一体誰がいるのだろうか
こんどは壊れた砂時計
真ん中から二つに折れているようで
僅かにこぼれた砂が周りに散っている
よく見ればあちこちヒビだらけで
もうあまり長くは保ちそうにない
直そうと思えば直せそうだが
僅かにこぼれた砂までは
とても元に戻せそうにない
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ここは竹薮の中のとても広い屋敷
外からの来訪を固く拒み
まるで何か大事な物をその奥に隠しているような
ここにも変わった砂時計
この二つの砂時計は
今まで見たどれよりも大きくて
今まで見たどれよりも寂しい砂時計
その砂時計には
砂が一粒も入っていなかった
もう一つ砂時計を見つけた
寂しい寂しい二つの砂時計に
寄り添うように小さな砂時計が一つ
二つがあまりに大きくて
とても小さく見えるけど
普通の砂時計より何倍も大きな砂時計
だけどどうもよく見えない
心なしか歪んで見える
心なしか霞んで見える
誰を欺くために?
それとも
自分を欺くために?
もう一つ見つけた
とてもおかしな砂時計
半分から下は普通の砂時計
だけど半分から上は
沢山の砂時計をくっつけたような
よほど長生きしたいらしい
だけどいつか気付くだろう
多すぎる砂を全て受け入れることができずに
いつか
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森を抜けてしばらくすると
小さな家が見つかった
一見穏やかなこの家に
とても物騒な砂時計が置いてある
倒れてもいないし
ヒビもどこにも見当たらない
ちゃんと砂は入ってる
ちゃんと砂は流れてる
だけど
どこからが下で
どこからが上なのか
上に向かって流れているのか
下に向かって流れているのか
とても胡散臭い砂時計
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雲を超えて高く飛び
大きな門を飛び越える
するとそこは死者の世界
暗くて冷たい死者の世界
こんな所に在る訳がない
だけど見つけた砂時計
この砂時計もかなりの変わり物
下半分が見当たらない
上から流れる砂の光が
そのまま地面へ落ちていく
地面に当たる瞬間に
ふ、ときれいに消えていく
さらにもっとよく見ると
上の砂が減っていない
もう訳がわからない
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降りた場所にも砂時計
ここは人里と森の境目
一軒の古道具屋
どうも客は少ないようで
どうも周りから浮いている
この砂時計はそう大きくは無いようだ
だけど普通の物とは少し違う
中に入っているのは砂ではなく
茶色がかった透明な液体だった
そんなに大きくないけれど
ゆっくりゆっくり落ちていく
一滴一滴ゆっくりと
普通の砂時計の何倍も時間をかけて
ゆっくりゆっくり落ちていく
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あなたの砂時計は・・・
砂時計は時を計るために在るのではなく
時を視る為に在るのだと
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そこは紅い館
窓は殆ど無く、僅かにある小さな窓もこれまでに開けられた事は無さそうだ
そんな館に幾つかの砂時計
一つは横倒しになっているようで
その砂時計の上には五百年分の埃
いつか埃が掃われて
横倒しの砂時計が置き直されて
もう一度砂が流れる事はあるのだろうか
これは奇妙な砂時計
砂の流れる速さが一定ではないようで
ときに遅く
ときには速く
またあるときは止まっていたりする
いつか全ての砂が落ちるとき
その傍らには一体誰がいるのだろうか
こんどは壊れた砂時計
真ん中から二つに折れているようで
僅かにこぼれた砂が周りに散っている
よく見ればあちこちヒビだらけで
もうあまり長くは保ちそうにない
直そうと思えば直せそうだが
僅かにこぼれた砂までは
とても元に戻せそうにない
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ここは竹薮の中のとても広い屋敷
外からの来訪を固く拒み
まるで何か大事な物をその奥に隠しているような
ここにも変わった砂時計
この二つの砂時計は
今まで見たどれよりも大きくて
今まで見たどれよりも寂しい砂時計
その砂時計には
砂が一粒も入っていなかった
もう一つ砂時計を見つけた
寂しい寂しい二つの砂時計に
寄り添うように小さな砂時計が一つ
二つがあまりに大きくて
とても小さく見えるけど
普通の砂時計より何倍も大きな砂時計
だけどどうもよく見えない
心なしか歪んで見える
心なしか霞んで見える
誰を欺くために?
それとも
自分を欺くために?
もう一つ見つけた
とてもおかしな砂時計
半分から下は普通の砂時計
だけど半分から上は
沢山の砂時計をくっつけたような
よほど長生きしたいらしい
だけどいつか気付くだろう
多すぎる砂を全て受け入れることができずに
いつか
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森を抜けてしばらくすると
小さな家が見つかった
一見穏やかなこの家に
とても物騒な砂時計が置いてある
倒れてもいないし
ヒビもどこにも見当たらない
ちゃんと砂は入ってる
ちゃんと砂は流れてる
だけど
どこからが下で
どこからが上なのか
上に向かって流れているのか
下に向かって流れているのか
とても胡散臭い砂時計
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雲を超えて高く飛び
大きな門を飛び越える
するとそこは死者の世界
暗くて冷たい死者の世界
こんな所に在る訳がない
だけど見つけた砂時計
この砂時計もかなりの変わり物
下半分が見当たらない
上から流れる砂の光が
そのまま地面へ落ちていく
地面に当たる瞬間に
ふ、ときれいに消えていく
さらにもっとよく見ると
上の砂が減っていない
もう訳がわからない
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降りた場所にも砂時計
ここは人里と森の境目
一軒の古道具屋
どうも客は少ないようで
どうも周りから浮いている
この砂時計はそう大きくは無いようだ
だけど普通の物とは少し違う
中に入っているのは砂ではなく
茶色がかった透明な液体だった
そんなに大きくないけれど
ゆっくりゆっくり落ちていく
一滴一滴ゆっくりと
普通の砂時計の何倍も時間をかけて
ゆっくりゆっくり落ちていく
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あなたの砂時計は・・・
”神秘的”という表現がとても似合う時の砂、私の器に確かに受け取りました。
が、それよりなにより、てゐちゃんはきっともう一癖くらいあるんじゃないかと思いたい。
こちらでの投稿はこれが初めてになりますね。
本来ならば後書きにでも一言挨拶を書き入れるべきなのに
初投稿の緊張でついうっかり忘れてしまいました。
こんな自分ですが今後ともよろしくお願いします。