生理の話題など人によっては嫌な話題が含まれています。
相変わらず設定ガン無視です。おぜうが振り切れてます。
嫌な予感がしたら読む前に戻ってください。
魔理沙がレミィや妹様。それに妖精達と泊って行った翌日の朝食の時間。
普段は咲夜が作ったのを食堂で食べるんだけど…今日は魔理沙が作って持ってきた。
手作りだ、食べてくれと言うのでそうする事にする。毒は入ってないでしょうしね。
「魔理沙が作ってくるなんて…明日は槍が降るのかしら?」
サンドイッチを摘みながら聞く。
返事は無い。何故かまごまごされた。
変わった味はしなかったが…何か薬でも入ってるのだろうか。
「…何か薬でも入れた?」
「し、失礼な事言うなよ。変なモノ入れてないぜ」
「じゃあ、何でそんなにまごまごしてるのよ」
「と、とりあえずだな!あの…その…き、キスについて教えてくれ~…と」
眉を寄せつつ聞いたら何故か魔理沙は真っ赤になった。
キスについて教えてくれと言うだけなのに真っ赤になる必要があるのだろうか。
レミィと散々いちゃこらちゅっちゅしてると言うのに。
溜息を吐きつつ手近な事典に手を伸ばす。
「接吻(せっぷん)は、口づけ、キス / キッス(英語: kiss)、チュウともいい、愛情表現のひとつ。
人が自分の親愛の情その他を示すために唇を、相手の額や頬、唇などに接触させる行為。from wikipedia」
魔理沙は相変わらず…いや、言う前より真っ赤になっていた。耳とか。
少し溜息吐いて続きを言う。男性同士の挨拶でキスする文化圏もある…と。
それを聞いた魔理沙がちょっと嫌そうな顔をしたので少しからかってみる。
「…何?…レミィとキスするのは嫌なの?」
「い、嫌じゃない!嫌じゃないんだが…その…なぁ?」
魔理沙は混乱したのか何やら怪しい動きをし始めた。
溜息を吐きつつ、そんなんじゃディープキスしてあげれるのは夢のまた夢だと苦笑いしてしまう。
「何じゃそりゃ」
眉を寄せられた。
初耳とは思えないのだが…まあ、聞かれたからには答えるとしよう。
「唇を触れ合うだけでなく、互いに舌を相手の口腔内に挿入。舌を絡め合う濃厚なキス」
魔理沙は茹蛸に進化した。指先まで真っ赤。聞いた事も体験した事も無さそうである。
お前は何時まで初心なんだと問い詰めたい。人に聞いてよい話題じゃないから聞かないけど。
「…とにかく…魔理沙はレミィとどんな関係になりたいの?それで悩んでるんでしょ?」
レミィの人生相談に付き合ってきた経験から質問した。
結果は大正解。
「私は普通に“お姉ちゃん”って呼べるようになりたいんだ…。
…でもほら…フランの事とかあるからちょっと近付きにくくてさ…」
大丈夫だよな?…と、聞いてくる魔理沙には何時もの元気が見えない。
どこかしょんぼりしてしまっている。これは駄目だ。頂けない。
魔理沙は傍迷惑なほど元気なのが似合うのであって萎れているのは似合わない。
だから些細な事など気にせず突っ走った親友の暴走を…。
今までレミィがしでかしてきた悪行を暴露する事にした。
それ即ち“大公開『変態と言う名の淑女が大暴走』”。
その1。
外の世界で占い師見習いを宿屋に連れ込みよろしくやった。
挙句の果てには集まって来た祈祷師や聖職者を薙倒して占い師見習いを誘拐。
「…ウソだろ?」
「私よ。あの時のレミィ…凄く格好良かったのよ?」
「お前かよ!?そしてうっとりするなよ!!」
その2。
嫌と言ったら止めてくれるけど、止めなかったらノンストップ。
チューしては血を吸って唾液お互いの飲んで飲ましてまた吸血して魔力妖力行ったり来たり。
「…体験談か?」
「体験談。…そんな吸い方するから服が血塗れになるのよ…もう大騒ぎになったわ」
「詳しく話さなくていいぜ」
その3。
更には妖怪や妖精にまで手を出して一大ハーレムを築いていた。
幻想郷に来てもそれは止まらず、白狼天狗の犬走椛にもちょっかい出していた。
「…まぢで?」
「リグルやミスティアなんかが一緒に幻想郷へやって来た子達ね」
「…何てこったい…」
その4。
手を出された人に限ってレミィを悪い奴だと言う。何故か笑顔で。
「いや、普通に考えてアウトだろ」
「そう思わせないほど悪い人なの」
「笑顔になるな幸せそうな顔すんな」
・・・
・・
・
その8まで説明し終える頃には魔理沙は更にしんなりしていた。
椛にまで手を出してるなんて知らなかった。次会う時はどんな顔して会えばいいんだ…って言ってる。
でも、経験から言えば魔理沙が元気になるまでに必要な時間はおよそ一時間。
だから聞こえてくる愚痴や溜息は無視。
「今まで通りでいいんじゃない?あれで人を見る目は確かだしね。
レミィは“好き、愛してる”の前に“本当に”が十個位付かないと吸血しないし」
「…そうなのか?」
「ええ…キスした子より、キスしてない子の方が多いわよ。
チルノや大妖精なんかの小っちゃい子達。それにリグルやミスティアや椛も。
そんな子達にしてるのはぎゅーって抱きしめて撫で撫で」
「何だよ、それ…私はてっきり全員パチュリーみたいにノンストップかと思ってたぜ」
何か損した…って顔してる。
さて、何を損したのだろうか。
自分だけ見てくれないのか?…と、心配になった時間?
それとも自分もその他大勢の一人に埋もれてしまうのかと不安になった時間?
私は両方だったわね。
館に招かれて私のような存在が多くいると知った時、不安で心配でどうしようもなくなったから。
だから、私が言われたように魔理沙に言った。
「安心しなさい。レミィはとっても悪い人だから」
「悪い人だから困ってるんだよ~…」
頭をかきむしってる魔理沙には悪いが苦笑いしてしまった。
「違うわよ。もっともっと無意識に悪い人なの。
一緒に居る時は平等に見てくれる。それは確かに寂しいわ。
でも、二人っきりの時は貴女だけ、見てくれるんだから」
魔理沙はそれを聞いてもまだ少し嫌そうにしていた。
「今は気付かなくてもいい。
でも、何時か私の言ってる事がわかるから安心なさいな」
だから私がされたように魔理沙の頭を優しく撫でた。
私は今、私を撫でてくれた人のような笑顔だろうか。
気を持ち直した魔理沙が魔導書のページをめくる音が響く図書室。
私がレミリア・スカーレット著『小さな占い師は私の友達になるのか』のページをめくる音が響く図書室。
当然、ノックの音はよく聞こえる。
「あら?魔理沙もここにいたの?」
入って来たのはティーセットを持ってきたレミィ。魔理沙がいるとは思わなかったと目を丸くしている。
魔理沙はティーカップが急に三つに増えたのを驚いている。咲夜のやる事にいい加減慣れたらどうかと思う。
「ええ…レミィとの関係に迷っているらしいから少しアドバイスを…ね」
それで昔話していたとカップを受け取りつつ言う。
関係に迷っていると聞いたレミィは微笑みを浮かべて魔理沙を撫でた。
魔理沙も大人しく撫でられてはレミィと幸せそうな笑顔で見つめあっている。
最近あまり来てくれないから…構ってくれないから少し嫉妬してしまう。
私とレミィ、二人っきりなら私がレミィと見詰め合ってたのに…と。
だから二人に少し意地悪してみた。
「妹様とどっちが大事?」
二人から『今この場で聞くなよ』的な目で睨まれる。
だけど気にしない。私も先程は似たような顔になっていたから。
それに何より意地悪なんだから気にしない。
「…それはいろんな意味で難しい質問ね」
私の頬を拗ねるなとフニフニ押しながら言うレミィ。
“いろんな意味”を聞いてみたいけど聞きたくない。
だから『早めに悩んでおけ』で、終わらせた。
「…所でレミィはどんな関係望んでいるの?魔理沙に」
私の言葉に魔理沙が驚いた顔して私を見てる。
「親友以上の家族になって欲しい。お姉ちゃんって呼んでくれたし、キスもしてくれた」
レミィの言葉に魔理沙は真っ赤になっている。
成程、打てば響くこの反応。確かにいじりたくなるし撫でたくもなってくる。
「…まるでよく懐いて時には泊まっていく野良猫ね。猫度が上がりそうだわ」
私とレミィに撫でられてる魔理沙は机に突っ伏してる。
突っ伏したままイヤイヤしてる魔理沙へさらに追い打ち。
「魔理沙にしたいキスを言ってもらえる?」
「好き、愛してるって事を伝える小鳥のような親愛を深めるキス」
「ふ、二人がかりで意地悪するなよう…」
どうしたらいいのかわからなくなって涙目になった魔理沙が睨む。
でも、そんな魔理沙に返すのはさらに優しい笑顔とねちっこい撫で撫で×2。
二人の攻勢に耐え切れなくなった魔理沙は脱兎のように逃げて行った。
魔理沙に手を振っていたレミィが振り返る。
逃げ出した魔理沙を微笑み浮かべて見送った親友の姿はそこに無く。
淫靡な雰囲気の中に輝く猛禽のような鋭い目に射竦められてしまう。
慌てて目を逸らして俯く。
レミィが歩み寄って来る足音が私の横で止まる。
顎に指が絡み、上を向かされ、強引に唇を奪われる。
舌が割り入れられ、口腔を思う様蹂躙される。
目が合う。
レミィの舌が、唇が私から離れていく。
二人の間を名残惜しそうに繋いでいる唾液の糸が切れた。
微笑まれ、撫でられる。
そしてまた、唇を奪われる。
乱暴にではなく、優しく。
好き、愛してるって事を伝える小鳥のようなキス。
何回も行われたそれは私がレミィを押し退けるまで続いた。
押し退け、俯いていると、ふわっと優しく抱きしめられる。
そのまま優しく背中を撫でられる。
本当に悪い人だ。それを言いたいのに言えない位、悪い人だ。
そのまま抱き上げられ、くるっと横回転。
椅子に座ったレミィの膝の上に座らされる。
そしてまた、後ろから抱きしめられる。
「…本当に…悪い人ね…」
かなり掠れてはいるがようやく声が出せた。
「…何人が貴女を好きになったら…レミィは満足するの?」
返事は無い。
知っているから答えて貰わなくても構わない。
体の力を抜き、レミィに体重を預ける。全て受け止めて貰える。
本当に、レミィは悪い人だ。
落ち着いたので溜息を吐き、膝から降りる。
先程まで魔理沙が座ってた椅子の所まで行き、腰掛けた。
また、撫でられる。
鋭い目の吸血鬼からではなく、優しく微笑む親友から。
「呼ばれたから、来たわよ?パチェ」
咳払いを二三回して答える。
「研究が終わったからスポンサーに報告でも…と、ね」
「研究?何の?」
聞きながら私のカップを傾けるレミィ。
「同性同士で子を成す研究」
言ったらバキッ!と音がした。
見るとレミィが呆けた顔してカップ噛み砕いている。
…お気に入りだったのに…。
「…ご、ごめん。よく聞こえなかったわ…」
「同性同士で子を成す研究が一応成功したから呼んだの。
ほら、レミィよく『子供、欲しいなぁ…』って言ってたから…。
それに応えるべく研究してたの」
「そ、そう…」
引かれた。地味に寂しい。
だからはっちゃけて魔理沙とレミィで子作りする?って聞いたら睨まれた。
「パチェ、そこに正座」
「え?あの…れ、レミィ?」
「いいから正座」
怒ってる。怒ってる怒ってる。
嫌われたくない。嫌われたくないから慌てて床に正座。
「あのねえ…」
溜息を吐くレミィ。
「神霊の異変が今年の夏。宝船が春で怨霊の異変が今年の年始。
守矢の神社が越して来たのが去年の夏の終わり頃よね?」
聞かれたので頷く。
確かにそうだった。
「永夜の異変が夏。天候の異変が梅雨で五月頃に宴会騒ぎ。
花の異変のすぐ前にあったのが春雪。紅霧が三年前の夏。
魅魔が魔界にちょっかい出したり、幽香倒してたりしたのが四年前」
そして、魔理沙が家を出て魔法の森に住み始めたのが五年前。
この時魔理沙は何歳だったと思う?そして、今何歳だと思う?」
はて?…私…魔理沙の年齢知ってたっけ…。
記憶を引っ繰り返したが聞いた記憶も言われた記憶も無い。
仕方ないから聞いた。
答えたのは溜息吐いてるレミィではなかった。
「今は十四歳だぜ」
…ごめん、魔理沙…私、貴女を十六歳位だと思ってた。後、何で戻って来た。
そんな目で戻って来てカップを傾けてる魔理沙を見る。
「フランや咲夜や美鈴や妖精に捕まってまた撫でられた。
だから数の少ないここに避難してきた。反省はしないぜ」
レミィと私の溜息が重なった。
どうでもよくなったのか、レミィが自分が座ってる椅子の隣の椅子をポンポン叩く。
溜息吐きつつ立ち上がってそこに行き、座る。
「…ごめん…お月様もまだなのに生やして子作りとか無いわ…」
「失礼だな。女の子の日ならもう来てるぜ」
レミィに謝ったら魔理沙に訂正された。
お前何時から聞いていた?…そんな目で睨んだけど…。
魔理沙には『何時女の子の日が来たか教えろ』と、捉えられてしまった。
「今年の梅雨頃だ。股から血が出るとか何の難病かと大慌てしたのぜ。
咲夜に言ったら『おめでとう』とか言って助けてくれないしさ」
私とレミィ、二人揃ってまた溜息吐いた。
「いや、まあ…それはおめでとうとしか…」
「ああ…それで魔理沙が遊びに来てた時、唐突にお赤飯が出たのね」
前者がレミィで後者が私。何か微妙な空気が漂った。
レミィから『何それ私知らない』って目で睨まれる。
仕方ない。レミィが雨だから…ってぐーすか寝てた日の昼食だったんだし。
まあ、とにかく…何か話を変えなければ。
「つまり魔理沙は恋に恋するお年頃だと」
「そうだぜ。恋符、マスタースパーク!…って年頃だ」
笑顔で言ってスペルカードを振りかざす魔理沙。
そしてその笑顔のまま私に向かって。
「レミリアの事なら今も変わらず大好きだぜ」
その言葉はレミィのハートを見事に打ち抜いた。
真っ赤になって突っ伏すレミィ。
そんなレミィを撫でてる魔理沙を見ながら思う。
あの人の様に私も可愛い恋敵を歓迎するだろうなぁ…と。
相変わらず設定ガン無視です。おぜうが振り切れてます。
嫌な予感がしたら読む前に戻ってください。
魔理沙がレミィや妹様。それに妖精達と泊って行った翌日の朝食の時間。
普段は咲夜が作ったのを食堂で食べるんだけど…今日は魔理沙が作って持ってきた。
手作りだ、食べてくれと言うのでそうする事にする。毒は入ってないでしょうしね。
「魔理沙が作ってくるなんて…明日は槍が降るのかしら?」
サンドイッチを摘みながら聞く。
返事は無い。何故かまごまごされた。
変わった味はしなかったが…何か薬でも入ってるのだろうか。
「…何か薬でも入れた?」
「し、失礼な事言うなよ。変なモノ入れてないぜ」
「じゃあ、何でそんなにまごまごしてるのよ」
「と、とりあえずだな!あの…その…き、キスについて教えてくれ~…と」
眉を寄せつつ聞いたら何故か魔理沙は真っ赤になった。
キスについて教えてくれと言うだけなのに真っ赤になる必要があるのだろうか。
レミィと散々いちゃこらちゅっちゅしてると言うのに。
溜息を吐きつつ手近な事典に手を伸ばす。
「接吻(せっぷん)は、口づけ、キス / キッス(英語: kiss)、チュウともいい、愛情表現のひとつ。
人が自分の親愛の情その他を示すために唇を、相手の額や頬、唇などに接触させる行為。from wikipedia」
魔理沙は相変わらず…いや、言う前より真っ赤になっていた。耳とか。
少し溜息吐いて続きを言う。男性同士の挨拶でキスする文化圏もある…と。
それを聞いた魔理沙がちょっと嫌そうな顔をしたので少しからかってみる。
「…何?…レミィとキスするのは嫌なの?」
「い、嫌じゃない!嫌じゃないんだが…その…なぁ?」
魔理沙は混乱したのか何やら怪しい動きをし始めた。
溜息を吐きつつ、そんなんじゃディープキスしてあげれるのは夢のまた夢だと苦笑いしてしまう。
「何じゃそりゃ」
眉を寄せられた。
初耳とは思えないのだが…まあ、聞かれたからには答えるとしよう。
「唇を触れ合うだけでなく、互いに舌を相手の口腔内に挿入。舌を絡め合う濃厚なキス」
魔理沙は茹蛸に進化した。指先まで真っ赤。聞いた事も体験した事も無さそうである。
お前は何時まで初心なんだと問い詰めたい。人に聞いてよい話題じゃないから聞かないけど。
「…とにかく…魔理沙はレミィとどんな関係になりたいの?それで悩んでるんでしょ?」
レミィの人生相談に付き合ってきた経験から質問した。
結果は大正解。
「私は普通に“お姉ちゃん”って呼べるようになりたいんだ…。
…でもほら…フランの事とかあるからちょっと近付きにくくてさ…」
大丈夫だよな?…と、聞いてくる魔理沙には何時もの元気が見えない。
どこかしょんぼりしてしまっている。これは駄目だ。頂けない。
魔理沙は傍迷惑なほど元気なのが似合うのであって萎れているのは似合わない。
だから些細な事など気にせず突っ走った親友の暴走を…。
今までレミィがしでかしてきた悪行を暴露する事にした。
それ即ち“大公開『変態と言う名の淑女が大暴走』”。
その1。
外の世界で占い師見習いを宿屋に連れ込みよろしくやった。
挙句の果てには集まって来た祈祷師や聖職者を薙倒して占い師見習いを誘拐。
「…ウソだろ?」
「私よ。あの時のレミィ…凄く格好良かったのよ?」
「お前かよ!?そしてうっとりするなよ!!」
その2。
嫌と言ったら止めてくれるけど、止めなかったらノンストップ。
チューしては血を吸って唾液お互いの飲んで飲ましてまた吸血して魔力妖力行ったり来たり。
「…体験談か?」
「体験談。…そんな吸い方するから服が血塗れになるのよ…もう大騒ぎになったわ」
「詳しく話さなくていいぜ」
その3。
更には妖怪や妖精にまで手を出して一大ハーレムを築いていた。
幻想郷に来てもそれは止まらず、白狼天狗の犬走椛にもちょっかい出していた。
「…まぢで?」
「リグルやミスティアなんかが一緒に幻想郷へやって来た子達ね」
「…何てこったい…」
その4。
手を出された人に限ってレミィを悪い奴だと言う。何故か笑顔で。
「いや、普通に考えてアウトだろ」
「そう思わせないほど悪い人なの」
「笑顔になるな幸せそうな顔すんな」
・・・
・・
・
その8まで説明し終える頃には魔理沙は更にしんなりしていた。
椛にまで手を出してるなんて知らなかった。次会う時はどんな顔して会えばいいんだ…って言ってる。
でも、経験から言えば魔理沙が元気になるまでに必要な時間はおよそ一時間。
だから聞こえてくる愚痴や溜息は無視。
「今まで通りでいいんじゃない?あれで人を見る目は確かだしね。
レミィは“好き、愛してる”の前に“本当に”が十個位付かないと吸血しないし」
「…そうなのか?」
「ええ…キスした子より、キスしてない子の方が多いわよ。
チルノや大妖精なんかの小っちゃい子達。それにリグルやミスティアや椛も。
そんな子達にしてるのはぎゅーって抱きしめて撫で撫で」
「何だよ、それ…私はてっきり全員パチュリーみたいにノンストップかと思ってたぜ」
何か損した…って顔してる。
さて、何を損したのだろうか。
自分だけ見てくれないのか?…と、心配になった時間?
それとも自分もその他大勢の一人に埋もれてしまうのかと不安になった時間?
私は両方だったわね。
館に招かれて私のような存在が多くいると知った時、不安で心配でどうしようもなくなったから。
だから、私が言われたように魔理沙に言った。
「安心しなさい。レミィはとっても悪い人だから」
「悪い人だから困ってるんだよ~…」
頭をかきむしってる魔理沙には悪いが苦笑いしてしまった。
「違うわよ。もっともっと無意識に悪い人なの。
一緒に居る時は平等に見てくれる。それは確かに寂しいわ。
でも、二人っきりの時は貴女だけ、見てくれるんだから」
魔理沙はそれを聞いてもまだ少し嫌そうにしていた。
「今は気付かなくてもいい。
でも、何時か私の言ってる事がわかるから安心なさいな」
だから私がされたように魔理沙の頭を優しく撫でた。
私は今、私を撫でてくれた人のような笑顔だろうか。
気を持ち直した魔理沙が魔導書のページをめくる音が響く図書室。
私がレミリア・スカーレット著『小さな占い師は私の友達になるのか』のページをめくる音が響く図書室。
当然、ノックの音はよく聞こえる。
「あら?魔理沙もここにいたの?」
入って来たのはティーセットを持ってきたレミィ。魔理沙がいるとは思わなかったと目を丸くしている。
魔理沙はティーカップが急に三つに増えたのを驚いている。咲夜のやる事にいい加減慣れたらどうかと思う。
「ええ…レミィとの関係に迷っているらしいから少しアドバイスを…ね」
それで昔話していたとカップを受け取りつつ言う。
関係に迷っていると聞いたレミィは微笑みを浮かべて魔理沙を撫でた。
魔理沙も大人しく撫でられてはレミィと幸せそうな笑顔で見つめあっている。
最近あまり来てくれないから…構ってくれないから少し嫉妬してしまう。
私とレミィ、二人っきりなら私がレミィと見詰め合ってたのに…と。
だから二人に少し意地悪してみた。
「妹様とどっちが大事?」
二人から『今この場で聞くなよ』的な目で睨まれる。
だけど気にしない。私も先程は似たような顔になっていたから。
それに何より意地悪なんだから気にしない。
「…それはいろんな意味で難しい質問ね」
私の頬を拗ねるなとフニフニ押しながら言うレミィ。
“いろんな意味”を聞いてみたいけど聞きたくない。
だから『早めに悩んでおけ』で、終わらせた。
「…所でレミィはどんな関係望んでいるの?魔理沙に」
私の言葉に魔理沙が驚いた顔して私を見てる。
「親友以上の家族になって欲しい。お姉ちゃんって呼んでくれたし、キスもしてくれた」
レミィの言葉に魔理沙は真っ赤になっている。
成程、打てば響くこの反応。確かにいじりたくなるし撫でたくもなってくる。
「…まるでよく懐いて時には泊まっていく野良猫ね。猫度が上がりそうだわ」
私とレミィに撫でられてる魔理沙は机に突っ伏してる。
突っ伏したままイヤイヤしてる魔理沙へさらに追い打ち。
「魔理沙にしたいキスを言ってもらえる?」
「好き、愛してるって事を伝える小鳥のような親愛を深めるキス」
「ふ、二人がかりで意地悪するなよう…」
どうしたらいいのかわからなくなって涙目になった魔理沙が睨む。
でも、そんな魔理沙に返すのはさらに優しい笑顔とねちっこい撫で撫で×2。
二人の攻勢に耐え切れなくなった魔理沙は脱兎のように逃げて行った。
魔理沙に手を振っていたレミィが振り返る。
逃げ出した魔理沙を微笑み浮かべて見送った親友の姿はそこに無く。
淫靡な雰囲気の中に輝く猛禽のような鋭い目に射竦められてしまう。
慌てて目を逸らして俯く。
レミィが歩み寄って来る足音が私の横で止まる。
顎に指が絡み、上を向かされ、強引に唇を奪われる。
舌が割り入れられ、口腔を思う様蹂躙される。
目が合う。
レミィの舌が、唇が私から離れていく。
二人の間を名残惜しそうに繋いでいる唾液の糸が切れた。
微笑まれ、撫でられる。
そしてまた、唇を奪われる。
乱暴にではなく、優しく。
好き、愛してるって事を伝える小鳥のようなキス。
何回も行われたそれは私がレミィを押し退けるまで続いた。
押し退け、俯いていると、ふわっと優しく抱きしめられる。
そのまま優しく背中を撫でられる。
本当に悪い人だ。それを言いたいのに言えない位、悪い人だ。
そのまま抱き上げられ、くるっと横回転。
椅子に座ったレミィの膝の上に座らされる。
そしてまた、後ろから抱きしめられる。
「…本当に…悪い人ね…」
かなり掠れてはいるがようやく声が出せた。
「…何人が貴女を好きになったら…レミィは満足するの?」
返事は無い。
知っているから答えて貰わなくても構わない。
体の力を抜き、レミィに体重を預ける。全て受け止めて貰える。
本当に、レミィは悪い人だ。
落ち着いたので溜息を吐き、膝から降りる。
先程まで魔理沙が座ってた椅子の所まで行き、腰掛けた。
また、撫でられる。
鋭い目の吸血鬼からではなく、優しく微笑む親友から。
「呼ばれたから、来たわよ?パチェ」
咳払いを二三回して答える。
「研究が終わったからスポンサーに報告でも…と、ね」
「研究?何の?」
聞きながら私のカップを傾けるレミィ。
「同性同士で子を成す研究」
言ったらバキッ!と音がした。
見るとレミィが呆けた顔してカップ噛み砕いている。
…お気に入りだったのに…。
「…ご、ごめん。よく聞こえなかったわ…」
「同性同士で子を成す研究が一応成功したから呼んだの。
ほら、レミィよく『子供、欲しいなぁ…』って言ってたから…。
それに応えるべく研究してたの」
「そ、そう…」
引かれた。地味に寂しい。
だからはっちゃけて魔理沙とレミィで子作りする?って聞いたら睨まれた。
「パチェ、そこに正座」
「え?あの…れ、レミィ?」
「いいから正座」
怒ってる。怒ってる怒ってる。
嫌われたくない。嫌われたくないから慌てて床に正座。
「あのねえ…」
溜息を吐くレミィ。
「神霊の異変が今年の夏。宝船が春で怨霊の異変が今年の年始。
守矢の神社が越して来たのが去年の夏の終わり頃よね?」
聞かれたので頷く。
確かにそうだった。
「永夜の異変が夏。天候の異変が梅雨で五月頃に宴会騒ぎ。
花の異変のすぐ前にあったのが春雪。紅霧が三年前の夏。
魅魔が魔界にちょっかい出したり、幽香倒してたりしたのが四年前」
そして、魔理沙が家を出て魔法の森に住み始めたのが五年前。
この時魔理沙は何歳だったと思う?そして、今何歳だと思う?」
はて?…私…魔理沙の年齢知ってたっけ…。
記憶を引っ繰り返したが聞いた記憶も言われた記憶も無い。
仕方ないから聞いた。
答えたのは溜息吐いてるレミィではなかった。
「今は十四歳だぜ」
…ごめん、魔理沙…私、貴女を十六歳位だと思ってた。後、何で戻って来た。
そんな目で戻って来てカップを傾けてる魔理沙を見る。
「フランや咲夜や美鈴や妖精に捕まってまた撫でられた。
だから数の少ないここに避難してきた。反省はしないぜ」
レミィと私の溜息が重なった。
どうでもよくなったのか、レミィが自分が座ってる椅子の隣の椅子をポンポン叩く。
溜息吐きつつ立ち上がってそこに行き、座る。
「…ごめん…お月様もまだなのに生やして子作りとか無いわ…」
「失礼だな。女の子の日ならもう来てるぜ」
レミィに謝ったら魔理沙に訂正された。
お前何時から聞いていた?…そんな目で睨んだけど…。
魔理沙には『何時女の子の日が来たか教えろ』と、捉えられてしまった。
「今年の梅雨頃だ。股から血が出るとか何の難病かと大慌てしたのぜ。
咲夜に言ったら『おめでとう』とか言って助けてくれないしさ」
私とレミィ、二人揃ってまた溜息吐いた。
「いや、まあ…それはおめでとうとしか…」
「ああ…それで魔理沙が遊びに来てた時、唐突にお赤飯が出たのね」
前者がレミィで後者が私。何か微妙な空気が漂った。
レミィから『何それ私知らない』って目で睨まれる。
仕方ない。レミィが雨だから…ってぐーすか寝てた日の昼食だったんだし。
まあ、とにかく…何か話を変えなければ。
「つまり魔理沙は恋に恋するお年頃だと」
「そうだぜ。恋符、マスタースパーク!…って年頃だ」
笑顔で言ってスペルカードを振りかざす魔理沙。
そしてその笑顔のまま私に向かって。
「レミリアの事なら今も変わらず大好きだぜ」
その言葉はレミィのハートを見事に打ち抜いた。
真っ赤になって突っ伏すレミィ。
そんなレミィを撫でてる魔理沙を見ながら思う。
あの人の様に私も可愛い恋敵を歓迎するだろうなぁ…と。
そしてお嬢様はタラシかっこいいぜ