Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

神降ろしの恋人たち

2012/01/09 22:58:09
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 ここは月にある綿月の屋敷である。その一室で博麗神社の巫女である博麗霊夢は月の姫の一人である綿月依姫と布団の中で抱き合っていた。
霊夢はある理由によりしばらく月に滞在していた。最初、霊夢は一人月に残されたことに不安を感じていたが依姫に妹のように接せられた。幻想郷でそういう風に接せられたことのない霊夢は姉ができたように感じ、依姫のことをお姉ちゃんと呼ぶようになった。それから、霊夢と依姫の二人は月で姉妹のように過ごした。そのうちに、霊夢は依姫に対し姉以上の感情を抱くようになった。霊夢は月で過ごす最後の夜にせめて幸せな思い出を作ろうと依姫に想いを伝えた。そして、二人は結ばれた
 霊夢は今日地上に帰ってしまう。霊夢は地上の民で依姫は月の民である。地上と月はとても遠く霊夢が地上に帰ってしまえば二人は簡単に出会えなくなる。だから、二人は少しでも一緒にいる時間をのばすために目が覚めた後も長い時間布団の中で抱き合っていた。
 しかし、いつまでもこうしているわけにはいかないので依姫は霊夢に「そろそろ起きましょう」と言う。しかし、依姫にそう言われても霊夢はなかなか起き上らなかった。
「霊夢、そろそろ起きないといけませんよ」
「やだ、もうちょっとこのままこうしていたい」
「駄々をこねてはいけません」
「じゃあお姉ちゃんキスして。キスしたら起きるから」
「分かりました。キスしますからちゃんと起きてくださいね」
 依姫はそう言うと霊夢に顔を近づけた。
「お姉ちゃん……ん」
 霊夢はそう言って目を閉じた。霊夢が目を閉じたのを確認すると依姫も同じように目を閉じ、そっと口づけた。触れ合うだけのキス。しばらく、二人の唇は重なったままでいた。やがて、依姫は唇を離した。
「お姉ちゃん、好き。大好き」
「私も好きですよ、霊夢」
 依姫はそう言ってもう一度唇を重ねた。

しばらくして、二人は身支度を整えると部屋を出て歩き始めた。手をしっかりと繋いで。
「お姉ちゃん」
「なんですか?」
「お姉ちゃんに貸してもらった服がいくつかあるでしょ。あれ全部もらってもいいかな?」
「別に構いませんよ」
「ありがとう」
 二人はそんな会話をしながら豊姫の待つ食堂に向かった。二人が食堂に着くと豊姫は既に椅子に座っており、二人を待っていた。
「お姉様、おはようございます」
「豊姫、おはよう」
 二人は豊姫にそう挨拶する。豊姫は二人の手がしっかりと繋がれているのを見てクスクスと笑う。
「どうしたのですか?お姉様」
「霊夢ちゃん、依姫、ゆうべはお楽しみでしたね」
 彼女は二人に対して笑顔でそんなことを言ってきた。この発言に二人の顔は真っ赤になってしまった。
「お……お姉様。ま、まさか見て……いたのですか?」
「聞こえただけよ。昨日は驚いちゃったわ。二人の仲が良くなっていっているのは分かっていたけど、まさかあんな激しいことをするまでになっているとは思わなかったから」
 二人の顔はさらに赤くなってしまう。
「ねえねえ、霊夢ちゃん、このまま月に住んで依姫と結婚して私の義妹にならない?」
「け、結婚」
 結婚という言葉に依姫は驚きの声を上げる。
「ごめん、私は博麗の巫女で幻想郷にいないといけないから月に住むわけにはいかない」
「あら、そう。ということは依姫と離れることになっちゃうのね。少し寂しいわね」
「なななな、何を言っているのですかお姉様は。」
「え?これから霊夢ちゃんと地上で暮らすんじゃないの?」
「私には月を守護する役目がありますし、八意様のように地上に降りたらお姉様の立場が危うくなるかもしれません。だから、地上に降りるわけには……」
「あら?あなたはそんなことを心配していたの。大丈夫よ、私一人でも月は守れるし、あなたが地上に降りる言い訳も考えておくわ。だから、あなたが居なくなっても大丈夫よ」
「で、ですが……」
「私の能力を使えば霊夢ちゃんが地上に帰った後も会わせてあげられるわ。でも、彼女は地上に住む人間なのよ。地上には穢れがありその穢れのせいで地上に住む者には寿命がある。その穢れによって霊夢ちゃんはいずれ死に、あなたは愛する者に永遠に会えなくなってしまう。そしたらあなたはとても悲しんでしまうわ。それでもいいの?」
「それは……嫌です。でも……」
「私はあなたの姉なのよ。姉としてあなたの幸せを願って言っているのよ。私は大丈夫だからあなたは地上に降りて愛する者と生きなさい」
 姉である豊姫にここまで言われて依姫は霊夢とともに地上で生きる決意を固めて口を開いた。
「お姉様、ありがとうございます」
「豊姫、ありがとう」
 霊夢も依姫のようにお礼を言った。霊夢の言葉に豊姫は少し悲しそうな顔をした。
「どうしたの」
「妹の将来の結婚相手に義姉と呼んでもらえないなんて悲しいわ」
 豊姫はそう言って涙を流した。
「お、お姉様、気が早すぎます。霊夢とは付き合ったばかりですし」
「そ、そうよ。」
「私は妹の晴れ姿を見ることができないのよ。だから、せめて今だけはお義姉ちゃんと呼んでほしいわ」
 豊姫の言葉を聞いて霊夢は大切な妹を奪ってしまうことになるのだから、言うとおりにすべきだろうと思った。
「わ、分かったわ。ありがとう、お義姉ちゃん」
「そう言ってもらえて嬉しいわ」
 豊姫はそう言って霊夢に抱きついた。
「霊夢ちゃん、依姫のことよろしくね」
「うん」
「たくさんしゃべったらお腹が空いたわ。食事にしましょう」
 豊姫はそう言って食べ始めた。霊夢と依姫も食事をすることにした。

 三人は食事が終わったのでお茶を飲んでまったりとしていた。
「これから、私は依姫の荷物をまとめるからあなた達は寛いでいなさい」
 豊姫はそう言って食堂を出ようとする。
「待ってください。お姉様、それくらい私がします」
「駄目よ。最後くらいは妹のために何かをさせて」
「分かりました。変な物を入れないでくださいね」
「必要な物しか入れないから心配しないでね」
 豊姫はそう言って食堂を出て行った。
「私達はこれからどうします?」
「食べたら眠くなってきたから少し眠るわ」
「全くあなたは、膝枕してあげますからいらっしゃい」
「うん」
 霊夢は依姫の膝枕で豊姫が荷物をまとめる間眠り続けた

 豊姫が依姫の荷物をまとめて霊夢と依姫の二人が地上に降りる時になった。
「それじゃあ依姫、地上でも元気でね」
「お姉様こそ、ちゃんと玉兎達に訓練させてくださいね。私が居ない以上お姉様の仕事になりますので」
「う……努力するわ」
 その言葉を聞いて依姫は苦笑いをする。
「じゃあ二人を地上に送るわ。準備はいい」
「「はい」」
 二人は同時に返事をした。
 こうして、月の姫である綿月依姫は最愛の人である地上の巫女博麗霊夢とともに地上に降り立った。
 
 博麗神社の巫女である博麗霊夢は一カ月ぶりに博麗神社の境内に降り立った。その隣には彼女の恋人となった元月の姫綿月依姫の姿もあった。
「これが霊夢が住んでいる家ですか。なかなかいい家ですね」
「ありがとう」
「これからどうします」
「まずは家の中を案内して、それから昼食を食べよう、でも、その前に」
 霊夢はそう言って目を閉じた。それを見た依姫も目を閉じる。そうして、二人は唇を重ねようと顔を近づけた。そして、二人の唇が重なった。
「霊夢、そろそろ帰ってくるんじゃないかと思って待ってい……たぜ?」
 そんな声がして、二人は驚いて声がした方を見た。そこには霊夢の友人である霧雨魔理沙がいた。
「れれれ霊夢なんでそいつと居るんだよ。そして、さっきのは一体どういうことなんだ」
 実は魔理沙は霊夢が月に残されてから毎日博麗神社を訪れ、霊夢が神社に帰って来るのを待っていた。この日もいつものように神社を訪れていた。すると霊夢が帰っていた、だが、なぜか依姫と一緒にいてしかも唇を重ねていたことに驚いてそんなことを言ってしまった。
 霊夢は魔理沙に見られていたことを認識し、顔を赤く染めて恥ずかしそうにしていたので依姫が代わりに口を開いた。
「私は霊夢と恋人になり、一緒にここで暮らすことになりました」
 依姫のその言葉を聞いて魔理沙は、
「なっ」
 と驚きの声を漏らし、霊夢の方を見た。魔理沙の視線に気付いた霊夢は顔を紅潮させながら首を縦に振り依姫の言葉が真実である意を示した。
「私はこれから霊夢にこれから住む家を案内してもらわないといけませんから」
 依姫はそう言うと霊夢の手を引いて歩きだした。神社にはそのあとを呆然と見つめる魔理沙の姿が残された。
 なお、神社には魔理沙以外にも文も来ていた。彼女は霊夢が帰って来た時、見慣れないものが居ることに気付き様子をうかがっていた。すると二人が口付けを交わしたのでその様子をカメラに収め、記事にするために山に戻った。そして、山に戻った文はすぐに記事を作り幻想郷中にばらまいた。
 これにより月から帰って来た霊夢が恋人を連れて帰って来たことは幻想郷中に知れ渡った。依姫の師である永琳はこの記事に驚き、いの一番に神社に乗り込んだ。そこで霊夢と依姫に色々聞いて二人が本当に愛し合っていることを知ると二人を祝福した。さらに二人のために永遠亭の力を使って二人の仲を認めず神社を訪れようとした者達を始末した。
 
 この日の夜博麗神社の寝室で霊夢と依姫の二人は同じ布団の中で寄り添っていた。
「お姉ちゃん」
「なんですか、霊夢」
「ごめんね、私の家はお姉ちゃんに比べたら貧乏だからこの布団もあんまり良いものじゃないから、寒くても我慢してね」
「多少貧乏で寒くても愛するあなたと一緒なら平気です」
「ありがとうお姉ちゃん」
「霊夢、愛しています」
 依姫はそう言うと霊夢に静かに口づけた。
「私も愛している」
 霊夢もそう言って依姫に口づけた。
「お姉ちゃんずっと一緒にいようね」
「ええ、ずっとあなたと共に生きます」
 そして、二人はもう一度唇を重ね合わせ、ずっと一緒にいることを誓い合った。 
以前書いた『月の姉妹』が好評だったので続きを書いてみました。個人的にこの二人の組み合わせは流行るべきだと思っています。漫画版だと霊夢は依姫にやられただけですが、小説版だとこの二人は結構仲良さそうでした。なによりこの二人には神降ろしができるという共通点もありますし流行るべきです。
まあ、この二人のカプを成立させるには色々問題があります。まず地上から月に行き戻ってくることは基本不可能です。地上と月を自由に行き来できるのは紫しかいません。けれど、紫が霊夢が依姫に会うために協力するとは思えませんので霊夢が月に行って依姫に会うことはできません(ロケットに乗って月に行っていましたが、あれは月に着いたときに壊れたので行き来する手段には含めません)。
逆に月から地上に行き、戻ってくることは割と簡単なようです。豊姫のような月と地上を行き来する能力を持ったものが何人かいるようですし、月には月の羽衣という月と地上を行き来する道具もありますから依姫が霊夢に地上に行くことは可能でしょう。
しかし、これにも問題があります。地上人と月人の寿命の問題です。月には地上と違って寿命を発生させる穢れがありませんから月人には寿命がありません。なので、依姫が霊夢に会いに地上に行く場合いずれ二人は死に別れることになります。
ですから、二人を幸せにするには霊夢が月に永住して寿命をなくすか依姫が地上に永住して寿命を得るかの二つしかありません。私は後者を選択しました。このssの設定でまた依霊のssを書いてみたいです。
依霊流行れ!!
追記
誤字修正しました
友好的な処刑機械十一号
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
小動物みたいな霊夢が可愛すぎる…
2.名前が無い程度の能力削除
あ…愛があふれている…!

誤字報告を
必要な者しか入れないから
者→物 一瞬豊姫がくるのかと思ってしまった、荷物に混じって
3.名前が無い程度の能力削除
月のお酒を盗み出して、ギャフンと言わせたはずが、霊夢を依姫に取られて紫涙目www

次はこの仲睦まじい二人の舞台裏……霊夢奪還同盟VS永遠亭+αの死闘をコミカルに書いてほしいです
4.名前が無い程度の能力削除
なんとも
カリッ(甘・・・)
なSSでございまいた
5.名前が無い程度の能力削除
瞬間移動できる神様とかいないかな