ひもの研究のために研究職に就いて数年。ラボのメンバーに馴染めず私は孤立していた。気さくに話す相手も、気晴らしになる趣味もつくれず私はただただ泣きたくなるような気持ちな毎日。
この道を選んだことへの後悔か、大学卒業とともに疎遠になった友人のことをよく思い返すようになる。
講義の内容について二人で相談しあい、その中の何気ない一言が議論と屁理屈と笑いを生んだあの頃の楽しい生活はもう戻らない。
そう分かっていても、あれらの光り輝く素晴らしい思い出を心の中心に置いたままでは今の寂しく情けない生活には耐えられない。磨り減りきった私の心が思い出の重さで割れてしまう。
せめて、これらの思い出を別の場所に移したい。心の外側に思い出の保管場所を作り、自分の心の中からは消し去りたい。
辛い時にだけその思い出のコピーを見て自分を励まし、辛くないときはその思い出を押入れの奥底に封じ込めて、辛くなったらまた引っ張り出して……、そうやっていくうちにこの思い出から離れ、最後には思い出の存在自体を忘れてしまいたい。
そうだ、それではまずはあの頃の倶楽部活動を心の外に移してしまおう。一番楽しかった頃の思い出。今の私には一番重い思い出。あれらをノートに書き連ねよう。書いた分の思い出は極力思い出さないようにして、心の仲から消していこう。
全ての思い出を消すまでにどれほどの時間が必要かは分からない。それでも思い出の一つ一つを、思い出すたびに書いていこう。
行動に移した私がまず最初にペンを走らせた思い出は、結界暴きという遊びを彼女としたときに行ったある場所の名前だった。何者も訪れた形跡がなく、鳥居が朽ち誰からも忘れられていたあの神社。
役目も無くただそこにあるだけなのに、自分から消えることもできず時代に捨てられ寂れた果てたあの姿は、最近になって私の脳裏に強く浮かび上がるようになっていた。
博麗神社――。私の名も無きノートは、この場所から始まっていった。
この道を選んだことへの後悔か、大学卒業とともに疎遠になった友人のことをよく思い返すようになる。
講義の内容について二人で相談しあい、その中の何気ない一言が議論と屁理屈と笑いを生んだあの頃の楽しい生活はもう戻らない。
そう分かっていても、あれらの光り輝く素晴らしい思い出を心の中心に置いたままでは今の寂しく情けない生活には耐えられない。磨り減りきった私の心が思い出の重さで割れてしまう。
せめて、これらの思い出を別の場所に移したい。心の外側に思い出の保管場所を作り、自分の心の中からは消し去りたい。
辛い時にだけその思い出のコピーを見て自分を励まし、辛くないときはその思い出を押入れの奥底に封じ込めて、辛くなったらまた引っ張り出して……、そうやっていくうちにこの思い出から離れ、最後には思い出の存在自体を忘れてしまいたい。
そうだ、それではまずはあの頃の倶楽部活動を心の外に移してしまおう。一番楽しかった頃の思い出。今の私には一番重い思い出。あれらをノートに書き連ねよう。書いた分の思い出は極力思い出さないようにして、心の仲から消していこう。
全ての思い出を消すまでにどれほどの時間が必要かは分からない。それでも思い出の一つ一つを、思い出すたびに書いていこう。
行動に移した私がまず最初にペンを走らせた思い出は、結界暴きという遊びを彼女としたときに行ったある場所の名前だった。何者も訪れた形跡がなく、鳥居が朽ち誰からも忘れられていたあの神社。
役目も無くただそこにあるだけなのに、自分から消えることもできず時代に捨てられ寂れた果てたあの姿は、最近になって私の脳裏に強く浮かび上がるようになっていた。
博麗神社――。私の名も無きノートは、この場所から始まっていった。
すごい面白そうです