前作「今更ハロウィンネタ」の続きです。
読んでない人の為の粗(すぎる)筋。
1、神社でハロウィンパーティー開催。
2、咲夜さんがセルフ「その欲望、解放しろ」して幽々子ヤミーがお菓子を全て食べた。
3、猫耳霊夢に犬耳咲夜が悪戯しかけた←今ここ
こんな感じです。では。
「Trick or treat?(貴女をくれなきゃ悪戯するわよ?)」
左手のパチンという音と共に、開け放たれていた障子が独りでに閉まった。
「さ、咲夜?」
「問答無用よ」
霊夢の言葉に耳は貸さず、その顔を霊夢へと近づけていく咲夜。その行動に霊夢の、未だ頬を舐められた余韻が残り、赤く染まったままの顔が更なる熱を持つ。
「ちょ―――!!」
既にパニックになりつつある霊夢は瞼を強く閉じた。
普段の彼女ならもっと暴れて抵抗するはずだが、今はその頭についている猫耳に相応しく小さく震えている。しかも本人は自覚していないだろうが、この後の咲夜の行動に期待してか、僅かに唇を突き出している。
そんな彼女を見て思い切り抱きしめ、欲望の赴くままに愛でてしまいたい衝動に駆られるがそこはそれ。持ち前の強靭な(と言っても自身の欲望の為に幽々子を嗾けた彼女にそんな物があるのか疑問だがその)精神力で抑え込む。
(ダメよ。まだその時じゃないもの)
そうやって自身に言い聞かせる咲夜。実際彼女の犬耳と共に生えてきた尻尾は「わっふる!わっふる!!」と猛烈に振り回されているのだが……。
なんとか自身を抑え込み、更に顔を近づける咲夜。既に互いの吐息がかかる距離まで縮まっている。
そして、霊夢はその時の訪れに更に瞼に力を込め……
ちゅ、と
ひどく柔らかい感触が、確かに霊夢の『額』に感じられた。
「え……」
目を開き、咲夜を見上げる霊夢。その顔には「どうして……」と書いてある。
そんな彼女を見て咲夜は意地の悪い、しかし瀟洒な笑みを浮かべて問いかける。
「あら、どうしたの?」
「え、や、あの……」
「ふふふ♪」
「え、や―――」
面喰い、借りてきた猫状態の霊夢に、咲夜は更に唇を落としていく。
「ふぁ……」
額に頬、鼻先。瞼や耳。顔から離れれば首筋や肌蹴た巫女服からのぞく白い肌に鎖骨。特に顔以外の部分には時折唇を当てるだけではなく吸いつき、薄紅の跡を残していく。
「や、ふ……ん……!!」
次第に声色を甘いものとしていく霊夢だが、しかし満足していなかった。
それは咲夜が自身に唇を落としていく度に、少しづつ膨れ上がっていった。
そして、咲夜がもう何度目になるのかわからない、右頬への口づけをした時、それは弾けた。
「さく、やぁ……」
「……どうしたの?」
普段の彼女からは信じられない弱々しい声(咲夜は比較的聞きなれていたりするが)。
問い返す咲夜に、霊夢は目に涙を溜めて返す。
「意地悪、しないで……」
「あら、私は意地悪してるつもりはないのだけれど?むしろ可愛い霊夢を一杯可愛がってるだけよ?」
「……うそ」
「どうして?」
「わ、私を可愛がって、くれるなら……」
そこで言葉を切ると、更に顔を赤くし黙り込む霊夢。
「どうしたの?言ってくれないとわからないわ」
「あう……私をか、可愛がってくれるなら、その……く、唇に……」
「唇に、何かしら?」
「き、き……キス……してくれなきゃ、やだ……」
自身のその言葉にもうこれ以上無いほどに顔を赤くする霊夢。そんな彼女を見る咲夜。今ここにさとりが居れば、咲夜の心の声が聞こえていただろう。
『計画通り……!!』という新世界の神を目指した青年と同じような声が(ちなみに彼女の尻尾は高速で振れている)。
「わかったわ、私の可愛い霊夢。ちゃんと言えたご褒美、あげるわね」
「あ、ん―――」
霊夢の唇に押しあてられる咲夜の唇。一瞬目を見開く霊夢だが、すぐにその瞳はとろんと蕩ける。
ただ触れるだけのキスだが、お互いが感じる充足感はそれまでの比じゃない。
「ん……」
数十秒は続いたと思われるキスは、咲夜が離れる事で中断された。
「さくやぁ……もっとぉ……」
幼い子供のようなおねだりに、もういっそこのままこの愛すべき子猫を性的に蹂躙してしまおうかと思う犬。いやしかし止まれ。まだまだ霊夢相手にしたい事はあるし、そもそも『此処』はそれが許された場所じゃない。したければ然るべき場所で行えばいい。だから今回はこれで我慢しよう。
(『此処』は良い子の来る場所だものね)
そう思った咲夜は、霊夢の両手を縛っていたリボンを外し、布団から彼女を起こす。
「さくや?」
「おいで、霊夢」
「ん」
両手を広げる咲夜に、躊躇せずに抱きつく霊夢。
霊夢は咲夜の豊満な胸(推定D~E)に顔を埋めて、その香りを胸いっぱいに吸い込む。
(さくやのにおい……あったかくて、おちつく、いいにおい)
その香りと胸の柔らかさに寝入ってしまいそうになる。しかしそうはメイドが許さない。
「霊夢」
「なに?」
「可愛い」
猫耳をふにふにと触る咲夜。
「やぁ……!」
力が抜けたのか、更に咲夜にもたれかかる霊夢。咲夜は傍らに置いていたとある箱から一本、長細い棒を取り出した。
「霊夢、見て」
「?……なに?」
顔をあげた霊夢は咲夜が差し出したものを見た。
「……ポッキー?」
そう、みんな大好きポッキー。味はスタンダードにノーマルなチョコ。以前紫や早苗がオヤツ時に出したのが切っ掛けで幻想郷でも大流行。今では外の世界から紫が入荷し、里の駄菓子屋などに卸されているのだ。
「そう。はい、あーん」
「あー」
「あ、まだ噛んじゃダメよ?」
「?」
咲夜の言葉通り、噛まずに咥えるにとどまる。
「そう。それで……」
咲夜が反対側を咥え、更には少しずつ咀嚼していく。それを真似て霊夢も咀嚼。二人は一本のポッキーで繋がったまま近づいていく。
そしてその距離がゼロになり、お互いの唇が触れると、咲夜はその舌を霊夢の口腔内にねじ込み、舌を絡ませた。
「!?」
突然の事に驚く霊夢だが、すぐに再び瞳を蕩けさせ、自らも咲夜の舌に絡めていく。
熱烈な接吻は一分近く続けられ、ようやく離した時には二人の間には銀色の橋がかかっていた。
「おいしい?」
「うん……」
すっかり上気した顔で咲夜を見上げる霊夢に、咲夜はもう一本ポッキーを見せる。
「『おかわり』、欲しい?」
「ほしい……」
もっと、いっぱい
続く言葉に、咲夜は自らそれを口に咥える。
霊夢も咥え、またもやお互いに食んでいく。
狗と猫のじゃれあいは、まだまだ続きそうである。
狗が隠し持っていたポッキーは優に三箱は残っているのだから。
博麗神社に行けるなら、神社名を咲霊神社に書き換えてきたいよ~
私なんかの駄文読んで頂いた上に素晴らしい咲霊書いて下さってありがとうございます
そして可愛くてやばひ…