アリスと早苗とメサイアー

作品集50　アリスと早苗とヴァルキリー
http://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1254128115&log=50
の設定を継いでいますが、
「アリスがVF-25メサイアのプラモデル（1/72バ○ダイ製完全変形）
を人形たちとともに引き連れるようになった」
というだけのことです。なんでだ。





ちかり、と２時の方向で光が走った。あちらがこちらを捕捉した合図。
その方向に、人形たちに、スカートの裾つまんでのお辞儀をさせる。
ワレテキイナシ
これでおしまい。
妖怪の山の警戒網、千里眼持った白狼天狗との毎度のやり取り。
毎度なんだから省略してくれてもいいと思いもするけれど。
まああちらもこれぐらいしかすることないのだろうし、付き合うのもいいだろう。
そう、毎度、と思うぐらいには、このルートは何度も通った。
妖怪の山の、一つ二つしかない部外者用ルート。
その一つ。守矢神社往還ルート、空中側をのんびり進む。

鳥居の前で着地して、境内へは鳥居をくぐって歩いて入る。
神様の住まいだというのなら、正面玄関から入るべきだろう。
私自身もそうして欲しいと思う。
魔理沙と同行しているとそうもいかなくなることばかりだが、今は私一人だ。
私のやり方で行おう。

「いらっしゃいませ、アリスさん！」
「お邪魔するわ、早苗」
そして二体の人形たちに挨拶をさせる。先ほどと同じスカートの裾をつまみ軽くお辞儀。
そして一体のロボットに敬礼をさせる。

…それを見つめる早苗のキラキラした瞳は相変わらずわからん。なんだこの娘。やっぱおもろいわ。
拾ったこの子、人型になる架空飛行機の模型、
紫の協力をもらい、VF-25メサイアというタイプということがわかったそうだが、なんだそれ。
なにしろこれには私より早苗の方が興味津々だったので、彼女が持っていれば良いと思ったのだが。
「自分で操縦したい！」
と言い出しはしたもののそれは奇跡でも無理なこと。
「…せめて！せめて外からそう見えてる気分だけでも…！」
と私に動かすのをせがんだのだ。
早苗が私の使ってるような（人形）操作系の魔法を使えば良いだけ、
ではあるのだが。
「ぐぉお…！神に使えるこの身分が恨めしい…！」
神に使える者が「魔」の法を身につけるなど…！
秩序と混沌が…！くっ、おさまれ私の右腕…！
とか言い始めたので殴った。上海人形の持ったプラスチックバットとVF-25の持ったガンポッドで。
でも魔法使いで仏道を進んでる尼さんがいるのだけど、
仏の元なら使ってもいいのかしら、魔法。
っていうか神そのものが魔法使ってるけど。私の故郷。
っていうか神の魔法ってのもメジャーじゃない？と問うと。
「それはそれ、これはこれで」
神様にも色々あるんですということですね、わかります。
っていうかそんなに神に仕える身にとって魔法がタブーなのであれば、
魔法使いである私と交友を持ってるのはどうなのよ、と聞くと。
「それはそれ、これはこれで」
言い訳にも色々あるんですということですね、わかります。

そして「つまりアリスさんこそ私の救世主なのです！さあですからパイロット乗り込み型のゴリアテ人形ちゃんの制作を！18mモビルスーツサイズで！」
とか言ってきたのでレベルを上げて物理で殴った。つまりグーで。私は悪くない。
ちなみにその時それをどこからか見ていた唐傘妖怪が弟子にしてくださいと言ってきたが、
こちらはクッキーをあげて帰ってもらった。
そして懐かれた。今ではあの三妖精と驚愕悪戯を考えているらしい。我が家で。
ウチで会議するなアンタら。騒がしいのは魔理沙と早苗だけで充分なんだ。
霊夢は食料与えてる限りは大人しいのが幸いだ。食料が切れるとこちらもうるさいが。
つまり巫女は姦しいのだ。この幻想郷では。と納得するしかあるまい。
赤い巫女と緑の祝（はふり）、黒い魔法使いと時々時止メイド。さらには半霊剣士。
それが幻想郷の人間スタンダードだ。うわぁそんな幻想郷嫌だ。いや待て私。
うーむ、と額を抑えていると当の緑の風祝、ニアリーイコール巫女、がのぞき込んできた。
「どうしましたアリスさん？うつむいてますけど、
　神社の地下にモビルスーツ格納庫をつくりたいといういうことを言い出しにくいという悩みは不要ですよ？」
とか言ってきたのでVF-25のガンポッドに内蔵したごま鉄砲バルカンで撃っておいた。
弾幕仕様ではなくごまそのものを魔力カートリッジの解放にて飛ばすだけのおもちゃだ。
当たってもほとんど痛くない。ラブ＆ピース。
早苗は逃げ回りつつきゃーきゃー楽しそうだった。


「というわけではなはだそちら様の次期神教育方針に疑問が浮かぶわけですが」
「はっはっは、そう言われてもねぇ」
今は居間。目の前に座る神奈子は笑い、見つめ返してくる。
神のあるべき姿を問うか？神になるHowtoを知りたいか？
神はそうあることでそうなる故に。
道を手を引かれ教わるか？己で拓くか？
道がありそれに従うのではない、従わせるのだ。奇跡のように。
拓く者、救世主は人間だ、しかし、拓き、他の者の手を引く。
そしてそれは神の役だ。人か神か、現人神はではどちらだ。
人間が神としたものはなんなのだろう。
神が人間をつくったというなら人間は神をつくれぬのかなれぬのか。
「ま、神を消すのは簡単だけどね」
「上書きしちゃえばいいのさ。それこそ色々な意味で」
諏訪子も側で混じってくる。
「まあ一番身近な例は、私と諏訪子だねぇ」
「神ができて、神が消えるのさ」
「最近は消えるだけだけどねぇ」
「それが時代、ってやつなんだろうねぇ」
わたしら、わたしら、と言いながら、
胸あたりに置いた両手それぞれで自分の顔を指さしながらのそのアピールはなんですかあなた達。
「神がいなくても人間はいるのかねぇ」
「人間がいなくても神はいるのかねぇ」
「「わからんねぇ」」
あっはっは、と軽く笑う神様たち。
わぁおやっぱりフランクだわこの神様たち。
負けてないわ、と出てこないでください神綺様。
夢子姉さんに連れられて歩いて帰ってください。

ふぅ、と深呼吸一つしつつ顔を上げる。メサイアに腹ばいで乗っかり飛び回っている上海がいた。
「フライングアーマーですね！これで大気圏突入できますね！」
それを見た早苗が言った。

頭痛い。

ふと思いついたので勢いのままに。

超合金VF-25がリニューアルされるそうで、
格好悪い、関節の設計が悪くてガウォークのポーズが決まらない、
と評判悪い旧版超合金VF-25は幻想入りするそうです。

やべぇ。ちょうごうきんでなぐられたらちょういたい。