森近霖之助は、買出しのために人里へと足を運んでいた。
秋祭りも近くなり、賑わっている里の中を、落ち葉を乗せた秋風が吹きぬける。ひゅうと音を切り、風は霖之助の頬を撫でた。
「はぁ」
それを合図の様に霖之助が吐いた息は、白く染まって空へと消える。
早いものでもう神無月だ。ついこの前まで蝉が喧しく叫んでいたと思ったら、今度は空高くで天狗が騒いでいる。号外ー号外ーと騒ぎ立て、新聞をばら撒くのだ。
撒くのは別に構わないが、窓を割るのは勘弁してほしいな。
そんな事を考えながら、この冷え込んできた気温をものともしない里人達の中を歩いていく。
秋祭りが近いからだろう。里は普段よりも活気に満ち溢れている様に思えた。
「ん」
そんな事を考えていると、前方から見知った顔が歩いてきた。
向こうも霖之助の存在に気付いたらしく、とてとてと駆け寄ってくる。
「こんな所にいるなんて珍しいわね」
「そうかい?」
「そうよ。だって貴方、いっつも店で本読んでるじゃない」
「偶には僕だって出歩くさ。君こそ、里にいるなんて珍しいんじゃないかい? 天子」
霖之助にそう言われた少女……比那名居天子は、むすっとした表情を浮べた。
「貴方には言われたくないわ。少なくとも、貴方よりも出歩いてるもの」
「違いない」
自分で言うのもどうかと一瞬だけ思った霖之助だが、事実なので別にいいかという結論に至った。
「で? 何で貴方は此処にいるの? これから貴方の所に行こうと思ってたんだけど」
「ほう、店にかい?」
「そう。この前、その……やっちゃったから」
「この前……あぁ、あれか」
天子に言われて、霖之助は先日天子が来店した時の事を思い出した。
何か珍しい物は無いかと問われ霖之助が出した物を、不注意から天子は壊してしまったのだ。
その日は生憎持ち合わせが無く、後日謝罪をするという事でその場は収まった。
今日その日の件で来ようとしていたという事は、何かしらの謝罪の品を持っていくという事なのだろう。
「で、これ。菓子折り」
「あぁ、どうも」
「ホントは何か天界の道具でもあればよかったんだけど……そうそう簡単に持ち出せないし」
「……君がはいているのは何なんだい」
天子の腰の辺りを指差し、霖之助はそう言った。
途端、天子の顔が火でも着いたかの様に、ぼっと赤く染まる。
「なっ、いいいいきなり、な、何言ってるのよ!」
「……何を勘違いしているのかは知らないが、刀の事だよ」
「……へっ?……あっ、あぁ。刀。緋想の剣ね。佩くっていうもんね」
「そうだよ。それも天界の道具じゃあないのかい?」
「そうよ。それも天人しか使えない凄い道具よ」
えっへん、と胸を張って天子が答える。
「そんな宝を持ち出していいのかい?」
「んー……誰も何も言わないし、いいんじゃない?」
「それはまた……」
――随分と適当だな。
霖之助は心の底からそう思ったが、口には出さなかった。
以前霖之助は、霊夢から彼女と伴善男の会話内容を聞いた事があった。その内容は随分とフレンドリーなものであった為、神とはそんなに適当なのかと感じた記憶がある。
恐らく、天人もそんな感じなのだろう。確証はないが、霖之助はそう結論づけた。
「じゃ、立ち話もアレだし、行きましょうか」
話が一区切りついたところで、天子がそう言った。この場合の「行きましょう」とは、店に戻ろうという所なのだろう。
しかし霖之助は、今戻る訳にはいかなかった。
「いや、今日は買出しに来ていてね。生憎とそれはまだ済んでいない」
「えー、別にいいじゃない。そんなの、また今度にすれば」
両の手を擦り合わせながら、天子は不満げな声をあげる。早く香霖堂で温まりたいのだろう。
「そういう訳にもいかないよ。ほら、もう寒くなってきてるだろう?」
「うん」
「こんな寒空の下に何回も出て来たくないんだよ。だから、買出しは今日中に終わらせたい」
霖之助は余り出歩かない。晴れた日は灯りを消して読書をし、雨の日は灯りを点けて読書をするという、晴耕雨読ならぬ晴読雨読の生活を送る彼である。出歩いた時に用事を済ませたいと思うのも当然かもしれない。
それを聞いた天子は「ふぅん」と少し唸った後、何かを思いついた様にぱんと手を打った。
「じゃあ、私もついてく」
「君もかい?」
「駄目?」
「店で待っていればいいだろうに」
「寒いからヤダ」
「ストーブがあるだろう」
「使い方知らないわよ。それとも、勝手に使ってお店燃えても知らないわよ?」
それは困るな。
「着いて来た所で、大して面白くもないと思うがね」
「別にいいわよ。一人で待つよりずっといいわ」
そう言うと、天子は霖之助の隣りへと移動し、ちろりと霖之助の顔を見上げた。
……行くわよ。
彼女の目が、そう語っていた。どうやら霖之助に拒否権は無いらしい。
「……ハァ」
どうして自分の周りには、こう我が強い少女が多いのだろうか。思っても仕方の無い事なのだが、思わずにはいられなかった。
そんな思いと共に吐き出した溜息は、矢張り空へと消えていった。
◇ ◇ ◇
比那名居天子は、霖之助の買出しに付き合って、里を歩いていた。既に買い物をいくつか終え、手にしている籠には食材やら酒やらが入っている。
ちらと目を横に向ければ、そこには霖之助がいる。天子の方が背が小さいので、顔を見るには必然的に少し見上げる形になる。
「……貴方って、そんなに食べるの?」
「ん?……あぁ、僕は別に食べなくても大丈夫だが」
「じゃあ何でそんなに買ってるのよ。無駄じゃないの?」
「食材が無いと五月蝿いのがいるんだよ。二人ほどね」
その二人とは、香霖堂の常連である紅白と白黒……霊夢と魔理沙である。
「ふぅん。……じゃあ貴方は食べないの?」
「いや、僕も少しは食べるよ」
「食べなくても平気じゃないの?」
「確かに平気だが、流石に何も食べないというのも寂しいだろう?」
「それもそうね。それに、地上の食べ物は美味しいし」
「あぁ、違いない」
そう言って、霖之助はくすりと笑う。つられて、天子の顔にも笑みが浮かんだ。
――いつからだろう。彼を意識しだしたのは。
天子の頭に、ふとそんな疑問が浮かんだ。
いつからかは覚えていない。ただ、暇潰しで初めて店を訪れた時、彼に歓迎されて嬉しかったのを覚えてる。天人としてではなく、一人の少女として歓迎されたのが例えようも無く私には嬉しかった。……その後、客じゃないってわかって遠回しに帰れって言われたけど。それでも嬉しかったんだ。
それから、暇が出来たら彼の所に行く様になって、彼に話をしたり、彼の話を聞いたり、時々物々交換で物を買ったり……とにかく楽しかった。
そうしてる内に気付いたら、彼に夢中だった。四六時中霖之助の事を考えてた。最初これが何なのか分からなかったから、衣玖に聞いたら恋だと教えてくれた。
……私は、霖之助を好きになっていたんだ。
そして今、天子は霖之助と二人で肩を並べて歩いている。それを意識するだけで、天子は自分の心臓が早鐘を打つのが分かった。
(あ)
ふと、天子は気付いた。
二人の(見た目は)若い男女が並んで仲良く話しているこの光景は、周りから見ればまるで……
(こ、恋人みたいじゃない……!)
思い、顔がかぁと赤くなるのを天子は感じた。
「はぁっ」
たまらず吐いた息は、白く染まった直後に風によって掻き消された。
しかし風は息の白は消してくれても、顔を撫でるだけで赤は消してくれなかった。
「天子?」
「ひゃっ!? ……な、何?」
「いや……顔が赤いが、大丈夫かい?」
そう言って、霖之助は天子の額に手を当てた。それだけの事だが、天子は酷く動揺した。
「だ、大丈夫大丈夫! ちょっと寒いだけだから!」
「そうかい? ならいいんだが……気をつけるんだよ。風邪でも引いたら大変だからね」
……心配してくれてる。
周りから不良天人と呼ばれていて、心配などあまりされない天子は、それが純粋に嬉しかった。
「……天人がそう簡単に風邪なんて引かないわよ」
「あぁ、それもそうだね。だが、用心に越した事は無い」
「そうだけど……」
何だか急に恥ずかしくなり、天子は顔を背けた。視界にたまたまそこにあった龍神の石像が目に入った。
青く光る二つの目が、天子を見つめていた。
◇ ◇ ◇
「さて、こんなものか」
大体の買い物を終えた霖之助は、最後にとある場所に来ていた。
「……随分大きなお店ね」
「里一番の道具屋だからね」
里一番の道具屋、霧雨道具店。普通の魔法使い、霧雨魔理沙の実家である。
尤も、彼女は魔法使いを目指すに辺り、実家からは勘当されているのだが。
「ここでちょっと買い物と……まぁ、挨拶だな」
「挨拶?」
「あぁ。僕は昔、ここで奉公していた事があってね」
「ふぅん……じゃああそこのお兄さんみたいに、きびきび働いてたんだ」
この寒い中荷物を運んでいる従業員を指差して、天子はそう言った。
「そうだね」
「……何か想像できないなぁ」
「失礼な」
そんな事を言いながら、二人は霧雨道具店の門をくぐった。
霖之助は少し回りを見渡すと、目的の人物を見つけた様で、すぐに歩き出した。天子も紐で繋がれているかの様にそれに着いて行く。
「親父さん、お久しぶりです」
霖之助が声を掛けると、親父さんと呼ばれた人物が振り返った。霧雨道具店の店長にして魔理沙の父親、通称を霧雨の主人である。
禿頭に皺の入ったごつごつとした顔、しかしどこか温かみのある、そんな風貌の男性だ。
――しかし、魔理沙は奥方に似たなぁ。
失礼ではあるが、霖之助はそんな事を思った。
「おぉ、霖之助じゃねえか! 今日はどうした?」
しゃがみこんで作業をしていた手を止め、霧雨の主人が立ち上がる。
風貌から安易に想像できる声と喋り口調だ。
「少し買出しですよ」
「そうかそうか……って、んん?」
霖之助に向き直った霧雨の主人は、天子の姿をその視界に捉えると、目を皿のようにして天子を見つめた。
突然の事に、多少の事では驚かない天子も少しばかり狼狽える。
「あぁ、この子は……」
天子の事を説明しようとした霖之助よりも早く、霧雨の主人が動いた。
「霖之助、その子はお前の……コレか?」
コレ、の所で右手の小指を立てて、ニヤニヤと笑いながら霧雨の主人は霖之助に問うた。
その動作が意味するのは一つ。
お前の彼女か? という事である。
「なっ!?」
天子はそれに気がついた様で、先ほどやっと収まった顔の赤を再発させている。
「……ハァ」
霖之助はそれを見て、しみじみと思った。
この人は昔から何一つとして変わってない、と。
奉公時代から、僕が女性と親しげに話していると、決まってこう言ってくるのだ。この人は。
先代の巫女や慧音、果ては日傘の修理について話していた幽香にまで同じ事を言っていた。
商売のイロハを教えてもらったりと、この人には返しきれない恩がある。
だが、一つだけ言わせてもらえるなら、こういう事は止めてほしいな……
「あ、あの、その、えっと……」
「おぉ何だ何だ、顔真っ赤にして。可愛い彼女じゃないか霖之助」
「……彼女はそういうのじゃありませんよ」
勝手に天子が霖之助の彼女という事で話を進めている霧雨の主人に、霖之助はそう言った。
瞬間、霧雨の主人の顔が鳩が豆鉄砲を食らった様な顔になる。
「はぇっ?」
そして何故か、天子も同じ様な顔をしていた。頬は赤いままであったが。
「違うのか?」
「違います。天子は僕の彼女でも何でもありませんよ」
「何だそうか……つまらんな」
そう言うと、霧雨の主人はどっかと椅子に座った。
「で、今日は何の用だ?」
「えぇ、ちょっとここに書いてある物が入用になりまして」
言って、霖之助は霧雨の主人に一枚の紙を渡した。
「フゥム……これの在庫はあるな。すぐに全部揃えれるぞ」
「ありがとうございます。お願いできますか?」
霖之助の言葉に霧雨の主人は応と答えると、奥へと引っ込んでいった。
「ん」
霖之助は、自分を射殺す様な視線に気がついた。
その方向を見ると、天子が霖之助をじぃっと見つめていた。
「……あぁ、済まないね。親父さんはあぁいう冗談を言う事があるんだよ」
「…………」
「だから、親父さんに腹を立てないでくれると嬉しいな。一応、僕の恩人だからね」
「……そういう事じゃないわよ、馬鹿」
「え?」
じゃあ、どういう事だい?
そう聞き返そうとした霖之助だったが、天子はすたすたと入り口の方へ歩いて行ってしまった。
「ちょ、天子……」
「ホラ、霖之助。これでいいか?」
ついて行こうとした霖之助だったが、そこへ霧雨の主人が品物を持って戻ってきた。
天子は入り口の所で立っている。
一人で帰るという訳ではないらしい。
「……えぇ、ありがとうございます」
霧雨の主人から商品を受け取り、勘定をしている間、霖之助は天子が何に怒ったのかを考えていた。
しかし悲しいかな、霖之助に乙女心は分からない。天子が恋人じゃないと真っ向から否定されて不貞腐れている事など、彼には分からない。
矢張りと言うか、答えは見つからないままだった。
◇ ◇ ◇
天子は、心の奥から沸き上がる悲しみを押さえれずにいた。辛うじて涙にはならなかったが、それでも十分気が落ちている。
先ほど霧雨道具店の店主に、霖之助が言った言葉が彼女の中で甦る。
『天子は僕の彼女でも何でもありませんよ』
冗談を受け流すための言葉なのだが、それでもその言葉は天子の心に結構なダメージを与えていた。
「…………」
「……まだ怒ってるのかい?」
霧雨道具店からの帰り道、霖之助が困った口調でそう言ってきた。
「別に……怒ってはないわよ」
「本当かい?」
「本当よ」
「ならいいんだが……」
そう言って、霖之助は言葉を止めた。
二人の間に、少し気まずい空気が流れる。
どうしよう。取り敢えずこの気まずい雰囲気をどうにかするには、何か話さなきゃ。
そう思って話出そうとした天子だったが、その言葉は意外なものに遮られた。
「ん」
「ひゃっ」
ぽたりと、天子の手を水が刺激した。
霖之助は首にそれが当たったらしく、手で首を押さえている。
上を見上げると、ぽたりぽたりと顔に水滴が当たる。
……雨。
「あぁ、来たか」
そう言うと、霖之助は近くの家の軒下へと移動した。天子は矢張り縄で繋がれた様に、霖之助へと着いて行く。
二人が軒下へと入ったのを合図にするかの様に、空から降り注ぐ水は少しづつ量を増していき、やがて地面を完全に濡らした。
「来るのは分かっていたが、予想より少し早かったな」
「知ってたの?」
「あぁ。雲行きもあったし……それに、龍神像の目が青かったしね」
天子は知らない事であったが、里にある龍神像は、瞳の色で天気を教えてくれるのだ。
白で晴天、灰色で曇天、赤色で異変を知らせてくれる。そして、瞳が青く染まったときは雨天を知らせているのだ。
「で、どうするのよ?」
「どうするとは?」
「傘よ、傘。貴方持ってないでしょ?」
この雨では濡れて帰るか、此処で止むのを待つかの二択だ。しかし、こんな所でずっと待っている訳にもいかない。
天子も傘は持っていない。どうしたものか。
「あぁ」
納得した様な声を上げた霖之助は、服につけたポーチの中から、ある物を取り出した。
「……何それ?」
霖之助が取り出した物が何なのか、天子には皆目検討がつかなかった。
ポーチから出てきたのは、巻物くらいの長さの棒状の物だ。
「これかい?」
霖之助はそう言いながら、取り出した物に手をかけた。
少し弄っていると止め具の様な物が外れ、棒の周りにひらひらした物が現れた。何だか、衣玖の羽衣みたいだ。
「外の技術の結晶さ」
そう言うと、霖之助は棒の根元を持ち、一気に上へと押し上げた。
すると棒状の部分は細くなり、周りに付いていたひらひらは、棒の先端で円状になっている。しかし先ほどまでの様にひらひらとしてはおらず、数本の細い棒の間にぴんと張られている。
この形状になると、天子もこれが何なのかが分かった。
「これ……傘?」
「あぁ。『折りたたみ式雨傘』という外の道具だよ」
柄を持ってくるくると傘を回しながら、霖之助は得意げに答えた。
「小さく折りたためて携帯に便利な上に、傘としての性能も申し分ない。実にいい収入をしたよ」
「要するに拾ったのね」
「……そうとも言うね。で、君はどうするんだい?」
「へ?」
そうだ。霖之助の傘を見ていて忘れていたが、天子は自分の傘なんて無い事を思い出した。
「……まさか、無いのかい?」
「し、仕方無いでしょ! 私は雲の上に住んでるんだから」
天子が住む天界は、雲の上にある。
雲の上、つまり天候の影響が無いということである。雨具が無くてもそれは仕方ないというものだ。
「フム……」
それを聞き、霖之助は少し何かを考えていたが、やがて思いついたようにこう言った。
「じゃあ一緒に入るかい?」
「えっ?」
傘を差し出しながら言う霖之助に、天子はどう言葉を返していいのか分からなかった。
一緒に傘に入ると言う事は、相合傘をするという事だ。
つまり、必然的に距離が近くなるという事で……
「え、えと……」
それを意識すると、天子の顔は矢張り紅葉の様に赤く染まる。
「い、いいわよ。別に濡れても大丈夫だし」
恥ずかしさから、天子は思わず申し出を拒否してしまった。
「君が大丈夫でも、僕が大丈夫じゃないんだよ」
「へっ?」
霖之助のそんな言葉が聞こえてきて、天子は思わず霖之助の顔を見た。
「濡れても大丈夫だろうと、雨の中女性を一人で傘も無しに歩かせる理由にはならないからね」
「え……」
「……それに、万が一風邪を引くかもしれないだろう。そうなったら僕が大変だ」
そう言って、霖之助は天子の方へ歩み寄り、やや強引に彼女を傘へと入れた。
「あっ……」
「ほら、行くよ」
そう言って、霖之助は少しゆっくりと歩き出した。慌てて天子も彼の横にぴっとりとくっついて歩き出す。
(……あぁ)
肩を寄せるようにして歩きながら、天子は思った。
……矢張り、彼は優しいと。
自分の事を気遣ってくれている。心配してくれている。それだけだが、それだけがとても嬉しい。
私は彼の、この優しさに惚れたんだろうなぁ。
「……ねぇ」
「ん?」
「ちょっと傘から体が出るんだけど」
「まぁ折り畳み傘だからね。普通の傘より多少小さいんだよ。こればかりは仕方ない」
「仕方ないじゃないわよ。自分からいれておいて濡らす気?」
「……それもそうだな」
「……それじゃ、こうしましょ」
そう言って、天子は霖之助の傘を持つ手と、自分の腕を組んだ。
二人の距離が近くなり、肩がぴとりと密着する。
「これで、どっちも濡れないわ」
……自分でも、大胆な事をしていると思う。心臓が早鐘を打ち続けている。
だが、霖之助ともっと近付きたい。そんな思いからとった行動だ。
「そうだね」
霖之助はそう言って、くすりと笑う。それにつられて天子も笑った。
笑った時に出た息は、白く染まって空へと消えた。
天子と接していても上手くやっていけそうではありますよね。
実にいい天霖でした!
やっぱり天霖は良いよ、うん。
と10月5日生まれの僕が言ってみる。
>>淡色 様
子守りスキルは無駄に高いですからねあの人w
>>奇声を発する程度の能力 様
有難うございます!
>>過剰 様
天子は可愛いです。
>>投げ槍 様
天霖いいですよね!
>>5 様
うちの身内と一日違いですね! 遅れながらお誕生日おめでとうございます!
読んでくれた全ての方に感謝!
これからも読んでいくから覚悟してね!(`・ω・´)
ボクもやってみることにするよ
はい、覚悟させていただきますw
頑張って下さい!
読んでくれた全ての方に感謝!