Q.あらすじと注意点をを三行で説明してください
A.紫とアリス
百合
続き物
拝啓 魔界神 神綺様
こちらは夏の暑さが和らぎ、もうそろそろ秋だなと感じる季節となりました。
そちらはいかがお過ごしでしょうか、また魔界芋を食べすぎて体重が増えてしまい、ひいひい言いながらダイエットをしているのでしょうか、それともこの季節になってもいまだ暴れている魔界西瓜や魔界胡瓜の討伐をしているのでしょうか。
どちらにせよ今の私に知る由はありませんが楽しい日々を送っているのだろうなと思います。夢子さんにもよろしく言っておいてください。
私はこちらで何とかうまくやっています、実験を繰り返し、失敗をしながら自立人形の製作に向かって日々努力をしている次第です。
「アリスー」
魔理沙は相変わらず泥棒稼業に精を出してマスタースパークの威力を1.5割増しにしたところ暴発し季節外れのリリーに当たって弾け飛びそこで一悶着あったりパチュリーはパチュリーで最近持病の喘息が出過ぎて何故か腹筋が鍛えられそれが原因でマッスルトレーニングに目覚めたり霊夢は相変わらずなにも無かったり幽香は最近お茶の成分でできた石鹸を開発したりパン屋を開業したり忙しく魅魔はそれを手伝ったりもうすぐ秋なので姉妹神がアップを始めたり、魔界に攻め込んだ者もそうでない者も等しく平穏に過ごしています。
「あーりーすー」
ああ、そう言えば最近神綺様の欲しがっていたスナイプ用の銃、あれが香霖堂に在りました。
どうやら使用者はあるフィンランドの狙撃者だそうで軍人になる前はケワタガモの猟師をやっていたそうです。中々保存状態が良いので買っておきました、後で郵送します。
香霖堂の店主は最近ようやく商売に興味を持ち始めた様でオークションなる物を開いていました、外の書物から得た知識で所謂せりと言うやつです、カタカナなんか無理に使わなくても良いのに。
「ねぇ、アリス」
…そう言えば最近私の周辺で妙に隙間妖怪が関わっている様な気がすると前に手紙で書きましたがそれはどうやら私の気の所為ではない様です。
事の始まりは数週間前に私が寝込んだことから始まります、その時私を看病する為にあの隙間妖怪、紫が現れました。何故かは知りません、恐らく聞いたことでまともな答えは返ってこないでしょう。
ともかく紫は私の看病を開始しました、普段のあのぐうたらさ加減を見ていると信じられない事ですが紫は実に甲斐甲斐しく世話をしてくれて私はすぐに回復しました。
しかし問題はこれからです、紫は「いつまたアリスが倒れてもおかしくは無いから」とか言って平然と家に居座り始めたのです、別にこちらの邪魔をしている訳では無く家事も手伝ってくれるし偶に、と言うより頻繁に八雲の藍や橙がが家に入って来るので夕食は今やすっかり八雲家全員と共に取るようになってしまいました、にぎやかで楽しいので全く問題は無いのですが。
それではまた
敬具
紫がこちらの耳元で名前を呼んでくるのでさっさと手紙を書き終えて紫の相手をすることにした、こそばゆい。
「耳元で声を出すのは止してくれるかしら」
「アリスがそっけなくてゆかりん寂しいですわ」
そう言いながらにこにことこちらに向けて笑っている紫は割烹着姿だった。
割烹着、そう、割烹着だ、かっぽうぎと読む。よく母親が来ているあれだ。
私は今までそれを着た人を見たことが無かった、魔界には当然無いし誰かの炊事に立ち会った事も無い。故に割烹着と言うものを着ているのを見たのは紫が初めてなのだ。
なかなか良い、それが私の感想だ
機能性、機動性、衛生面、無駄が無い装飾
そして何か母性の様な物を感じさせる温かみを感じさせる雰囲気を醸し出している。
金髪の紫にはこういった服装はあわないのではないかと思っていたがなかなかに似合っている、本人の前では絶対に言わないが。
「夕食の準備ができたわよ」
「ああ。ありがと」
手紙にも書いた通り紫がこの家に居付いてから早数週間となった
炊事洗濯買い物、研究をしている私に少しは休めと言ったり偶に隣で寝たりしている、すっかりお母さんポジションだ。
紫の式は不満そうかと当初は思ったが九尾の方は「紫様が生き生きとしているのでこちらとしても助かる」猫又の方は「その件に関しましては当方としてはノーコメントです」と言っていた。
そんな訳で前は私一人と客人だけだった家は私と紫とその式と偶に客人と言う大所帯へと変貌を遂げた。どうしてこうなった。
「早く来ないと冷めるわよ」
「わかったわ」
にっこりと笑う紫からは常日頃の胡散臭さは感じられない、寧ろ安心感の様なものを感じるががそれを指摘する気は更々ない。
私は紫が何の為に来たのか知らないし居付いた訳も知らないがまあ便利だし賑やかなのは悪い事では無いのでそのままにしておいているだけだ、別に意識なんかはしていない。
「ああ、アリスか。さあ卓に着くと良い」
食堂に行くと藍と橙が待っていた、今日の夕食はエビフライとハンバーグ、そしてとんかつらしい、油物と肉、匂いは良いがごってりと偏り過ぎだ。
「いや、今日はがっつり食べたくてな」
「せめて野菜を入れなさい、体壊すわよ?」
「うむ、ではこのズッキーニ(生)を一つ」
「食えないから」
どうにも藍はこちらをからかっているようにしか見えない、この間も人形の服を作ったとか言ってど派手な衣装を作って来た、あまりの精緻さと出来栄えにこちらが針を投げそうになったが、本人によると「外の世界に存在する高名な魔術師、小林幸子殿の衣装だ」とか言っていた。本当かどうかは誰にもわからない。
因みにズッキーニは形は胡瓜だが実は南瓜の仲間だ、勘違いして食べてはいけない。
「では、いただきます」
「「「いただきます」」」
我が家の食事の音頭は紫が取ることとなっている、それに続いて藍と私と橙が声を合わせるのだ。
私は自分の料理の腕には自信を持っている、だが藍の作る料理には到底叶わないと思った、本人によると「私が何十年料理をしてきたと思う?」と言っていた。
ははあん、つまりは年の功か。
橙は肉類を食べないと思っていたのだが寧ろ積極的にがつがつと食べている、「育ち盛りですから」とは紫の弁だ、しかし清々しいまでの食べっぷりだ。あ、喉に詰まらせた。
藍はお手本の様な三角食べをぱっぱとしながらすぐに食べ終わってそんな橙を微笑ましげに見つめている、本人に聞いたところ仕事が忙しい関係があるから早食いの習慣がついてしまったんだとか早食いは太ると聞いたが全然太っている風に見えない訳を聞いたところ「仕事をしているからさ」と言った、紫はむせた。
「アリス、すまないがそこの醤油を取ってくれないか」
「良いけど、何に掛けるの?」
「紫様は油ものにソースでは無く醤油をかけるのだ」
「…それは合わないんじゃないかしら」
賑やかな食卓、何のことは無い普通の会話、全てが自分にとっては新鮮な事だ。
紫たちが来る前は一人で食事を作って食べていて、別にその事に対して何も思っていなかったが、大人数と足るという事は中々楽しい事だと言う事に気がついた、隣に居るのが紫だと言う事が不服だが。
「ん?何か言った?」
「なんでも」
何故感知できた、なぜ分かった
ともかくなぜ紫がここに未だ居候しているのかわからないが大人数で食べる事が出来ると言うのは意外と楽しい事を教えてくれたのは紫だから、そこの所だけは感謝しておくことにしよう、そこの所だけだが。
魔法使いに食事は要らないけれど、もう少し人間の暮らしを続けても良い、そう思った。
ふいに紫がこちらをじっと見ている事に気がついた、くりくりとした瞳でこちらを見られるといかさか恥ずかしいのだが私は都会派だ、都会派と言うのは動じないものだ、だから私もなんでも無いかのように平然とご飯を食べる事にする。
「う~ん…アリス、頬っぺたにご飯粒ついてるわよ?」
「え?」
何と言う事だ、そんな事にも気づかないなんて。
顔に米粒がついている事にも気がつかずに平然とご飯を食べるなぞどこが都会派魔法使いだ。うぐぐぐ、このアリス一生の不覚、顔に血液が集まって行くのを感じる。
「アリスったら、真っ赤になっちゃって」
「う、うるさいわね、どこよ!どこに付いてるのか言いなさい!」
「あ~…じゃあ私が取ってあげるわ、…んしょっと」
「ひゃぁっ!?」
その瞬間頬に生暖かい感触がした、ぬろおんと
慌てて頬を抑えると湿った間隔がする、恐る恐る紫の方を見るとんむんむ言いながら何かを食べていた。
「アリスのお米、美味しいですわ」
やっぱりか、やっぱり舐めたのか、そしてなぜそんなに幸せそうにしている。
紫はお米を飲み込んだ後ににっこり微笑んできた。
紫はこちらを動揺させようとしてきているに違いないだが私は都会派、何度も言うようだが都会派魔法使いだ、それはつまり何事にも動じないクールな心を持つ魔法使いであり、従ってたかが頬を舐められたぐらいでは動揺しない魔法使いなのだ、動じて堪るか、クールになれアリス・マーガトロイド。
しかしこのままだと紫の思い通りで気に食わないので私も紫の頬を舐める事にした、昔の諺にも「右の頬を舐められたら左の頬を舐め返せばよい」とある、そう阿求が言っていた。
「紫?」
「なにかしら」
「ていっ」
「……………………」
れろっと舌を出して米粒一つついていない紫の頬を思いっきり舐めてやる、しかしざらざらした舌にも引っかからない程きめの細かいシルクのような肌だ、羨ましい。
「あ、アリスもまだまだですわね、ゆかりん全然動じてなんかいませんわ」
紫はしばらく呆然としていたがすぐに立ち直ってしまった。
ううむ、やはり紫を出し抜くのはまだできない様だ、待っていろ、すぐにあたふた言わせてやる。
暑いのかなんでか知らないけど、ものすごく顔を紅潮させた紫が食べ終わった様子なのでご馳走様を言い食器を洗う事にする。4人分の食器なので数が多いが藍と紫が手伝ってくれるのですぐ終わってしまう、むしろ一人で洗っていた時より早く洗い終わるくらいだ。
「では紫様、私達はこれで帰ります。アリス、紫様をよろしく」
藍と橙は晩飯を食べ終わると帰ってしまう、一度あの尻尾に埋もれて眠ってみたいのだが本人に「手入れが難しいのだよ」と言われているのでできないのが辛い所だ。
「そうだ、お風呂沸いたわよ?」
「あ、ありがとう」
紫はいつの間にかお湯を沸かしていた様なのでさっさと風呂に入ってしまう事にする。
家の脱衣所は普通の家より広いと思っていたのだが紫と一緒に入るとやはり狭く感じてしまう、しかし紫はいつ見てもプロポーションが良いので羨ましい、境界をいじくって変化させられるようだが肌の艶とかも変えられるのだろうか、睡眠なんかが関係しているのだろうか。
紫と一緒に風呂に入る事を魔理沙に話したら唖然としていたが別に驚くことではないだろう、紫曰く「アリスの日々の成長を見るのと同時に風呂場で倒れる事が危険だから」だそうだ。魔法使いに成長もへったくれも無いが言い返すと子供っぽいのでそのままにしてある。
お風呂に関してはお互いに体を洗うだけなので割愛させてもらおう。
お風呂から上がった後は湯冷めしない様に歯磨きしてすぐにベッドに入らなければいけない。
寝室に行くと紫がベッドの上で待っていた、私達は同じベッドで寝るのだ。
この事を霊夢に話したところ呆れた表情をしていたが何のことは無い、私達が眠る部屋は狭いのでダブルベッドが一つとシングルベッドが一つあると狭くなりすぎるのだ。
紫は「シングルが二つあるのとダブルが一つあるのとではダブル一つの方が効率的で尚且つ合理的な事は周知の通りである」とか吹聴し、確かにそうだと言う事でダブルベットに二人が入ることになったのだ。
しかしここには思いもかけない難点が一つあって、私達が入るといかさか狭いのでどちらかがはみ出してしまうのだ、別に私達が太っているのではなく紫の持ってきたダブルベッドがダブルベッドと呼ぶには多少幅が狭く1.5人分ぐらいだからである、持ってきた本人によると「アリスの部屋の小ささに合わせた結果この大きさが一番部屋の雰囲気に馴染む」だそうだ。成程、おしゃれという観点から見る事はしなかったので私も文句なく受け入れたがこのままではこれからの冬を過ごしきれないだろう。
私達が一時間考えた結果、紫が妙案を思いついた「アリスが私に抱きついて眠ればいいじゃない」、確かにそれならば問題を解決し、尚且つ冬の間の暖房器具を使わなくて済む、まさに一石二鳥。
という訳で私はさっさと紫の胸元にすっぽりと入って眠ることにした、紫は暖かくて良い匂いがする、妖怪だから体温は無い筈だがどこかしら弄っているのだろうか。とにかくすっぽりとくるまっているとすぐに寝てしまいそうなほど心地良い。
「おやすみなさい、アリス」
「うん、おやすみ」
ぱちん、という音と共に電気が消されて辺りが真っ暗になってしまった。
明日も今日と同じ一日が繰り返されるのだろう、私が居て、何故か隣に紫が居る。
だが私は紫の事なんか何とも思っていないし知った事では無い。
だが、いつも隣に紫が居ても良いかな、そうとだけ思いながら私はいつもの様に眠りについた。
.
このアリスさんマジ鈍感や…
こんな手紙が来たら砂糖どっか持ってきたくもなりますよね
〉〉風呂場カット
あんたって人はぁぁぁぁぁ!
誤字報告
私は自分の料理の腕には自信を持っている、だがらんの作る料理には到底叶わないと思った
藍が変換されていません
魔法使いに食事は要らないけれど、もう少し人間に暮しを続けても良い、そう思った
人間「の」では?
スナイパーとして有名な彼だが、実はサブマシンガンの名手でもあったとかいう恐ろしい猟師殿のことか…。
ところで、風呂場シーンはどこ!?
後、お風呂の部分を詳しk(スキマ送り
この場に霊夢さんが乱入してアリスの取り合いとかしてくれませんかねぇ…(チラッ
そういえば、お風呂のシーンはどk(ry
橙…大人だな…
その件に関ましては~
関しましてはでは?
神綺様突撃編も期待してます