Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

構想30年製作に200光年脳勃起修正に20年

2011/09/30 15:28:32
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 目覚めてルナサが最初に確認するのは太陽が出ているかどうか。
 演奏の依頼がある時以外は大抵、部屋でごろごろして過ごしている。
 本日は太陽はとっくの昔に昇っており一般的な幽霊や妖怪や人間なんかは昼食でも食べてる頃だろう。

「ふぁああああ……」

 ベッドから起き上がると大きな欠伸をする。
 寝ぼけ眼でベッドから降りると、寝ぐせでぼさぼさになった髪をとりあえず簡単に直す。
 
「……今日、何をしようかな」

 予定が無い。
 妹たちは確か今日は妖精たちと遊ぶと言っていた。
 こういうとき友人関係の広い妹たちをルナサは羨ましく思った。

「絵……描こうかな」

 壁を見ると紅魔館前の湖が描かれた絵が飾ってあった。
 少し前から暇な時間を持てあました彼女は絵を描いてみることにした。
 元々あった才能と、一つのものに集中できる彼女はすぐに腕前は上達した。
 今、この屋敷にはルナサの描いた絵がところどころに飾ってある。
 それは森だったり、人間の里だったり、マヨヒガだったり。
 そんな彼女に一つ悩みがあった。

「挑戦してみよう……人間を描くのを」

 ルナサは人間を描いたことが無かった。
 
「とりあえず……顔あらおっと」

 顔を洗うためにルナサは部屋の扉を開いた。



 キャンバスや描く道具持って空を飛ぶ。
 彼女には人間の知り合いが非常に少ない。演奏時などにやってきたモノ好きな人間もいるが、それは知り合いとは言わないだろう。
 そのわずかな人間の知り合いでさえ本当に人間かどうか疑わしいものだ。
 そのうち人間じゃないことをカミングアウトする人物も現れるかもしれない。
 そんなことを考えているうちに目的地が見えてきた。
 わずかな知り合いの人間で、最も人間らしくて最も人間らしくない知り合いが暮らす神社。
 苦笑いを浮かべながら神社の境内に降りる。
 
「あれ留守?」

「いるわよここに」

 神社の中から霊夢が箒をもって出てきた。
 
「で、何か用? その辺の掃除を終わったらわたし昼寝するから、演奏は遠慮したいんだけど」

「別に今日は演奏に来たわけじゃないわ」

「へえ」

「暇でしょうがないから絵を描きに来ただけ」

「変わってるわね。わざわざ神社を描きに来るなんて」

 半ばあきれ顔で言う霊夢にルナサは首を横に振る。

「じゃあ何を描きに来たって言うのよ」

 無言でルナサは霊夢を指さす。
 お決まりのように霊夢は体をねじって背後を見るが、勿論指先には霊夢以外に誰もいない。

「……わたし?」

「そう」

「……ほんっと変わってるわね」

「霊夢にだけは言われたくない」

 ため息をついて霊夢は箒で掃除を始めた。

「別にいいけど、わたしは掃除してるからじっとなんて出来ないわよ」

「構わない。少しずつ描いていくから」

 キャンバスを用意し、道具を取り出す。
 その様子を見ながら再び霊夢はため息をついた。



一時間後

 掃除を終えた霊夢は縁側で人里の人間からもらった饅頭とお茶を啜っている。

「……」

 その姿と未だにキャンバスを交互に眺めながらルナサは悩んでいた。
 
(……なんだろこの感じ)

 一応人間を以前描こうとした時、ある程度構図は完成したものの、結局は書くことはできなかった。
 しかし今回はその構図すら浮かんでこない。
 霊夢が掃除で動いていたのとは関係が無い。
 とらえどころが無い、というのが正しいのだろうか。
 彼女はどちらかというと人間よりも、自分達に近いのではないかとルナサは思った。
 
「霊夢ちょっと……」

 話を聞くため声をかけようとしてやめる。
 寝ていた。縁側の柱に体を預けて眠っていた。
 確かに掃除終わったら寝ると言っていたが、ここまで早く眠れるとはルナサも思わなかった。
 起こさないように、こっそりと眠っている霊夢に近づく。
 
(痛くないのかな)

 柱の角に頭が当たっているので痛そうに見える。
 が、本人は慣れているのか気にせずに安眠をしている。
 仕方がないので今日は帰ろうとするルナサの目に、霊夢の手が映った。
 
「綺麗な手……」

 思わず声に出してしまう。
 ルナサはしゃがむと、霊夢の手の位置まで視線を落とした。
 そしてその手を何となく掴み。

「……」

 指先を、舌で少しだけ舐めてみた。
 さっきまで霊夢が食べていた饅頭の甘い味がした。
 もっと舐めたいという願望がルナサを支配する。
 心臓が無いので鼓動の音は無いはずだが、確かにルナサには鼓動が早まるような音が聞えた気がした。
 
「……」

 今度は二本、人差し指と中指を同時に舐める。
 甘い味がもっと強くなった気がした。

「ん……うぅ……」

 霊夢が反応したので慌てて舐めるのを止め、自らの服で霊夢の手を拭く。
 
(……今日はもう帰ろう)

 霊夢から離れキャンバスの前に立つ。
 ふと、今なら少しでも描けるんじゃないかと思い、鉛筆で感じた通りに描く。

「出来た」

 キャンバスには左手の中指と人差し指だけ描かれていた。
 少し、しかも指だけしか描いていないのに、ルナサは満足そうな顔をする。
 
「また、続きを描かせてもらおう」

 暫くは演奏の依頼は無い。
 完成までは神社に通いつめようとルナサは決めた。 
気付かなかったんだ!書いてる時は気付かなかったんだ!
皇束篠秋
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
こういう珍しい組み合わせを読むと新鮮な気持ちになれます
2.名前が無い程度の能力削除
ルナチャだと思ったので72時間ぶっ通しライブ聞いてきます

舐めたところだけを書いたということはちゅっちゅ期待していいんですかね
3.名前が無い程度の能力削除
光年って長さの単位なのはわざと?
4.名前が無い程度の能力削除
こんな所でナオコサンネタをみれるだなんて…
続きを期待
5.名前が無い程度の能力削除
200こうねんはじかんじゃない……きょりだ!

ルナ姉かわいいよルナ姉
6.名前が無い程度の能力削除
きっと光の速さで製作しなかったら200年は掛かっていたところだぜって意味なんだよ!!
7.名前が無い程度の能力削除
何という俺得カプだろう