「やほー!遊びに来たよ!」
「おや、今日は珍しくお土産付きかい?」
騒々しく入ってきたのは、今日もナズーリンのところへ遊びに来たお燐です。
「珍しく、とは失礼な。あたいだって、たまには土産くらい持ってくるさ」
「たまに、だから珍しいんじゃないか……」
いつもはナズーリンの溜め込んだ食糧を、勝手に食べていくだけのお燐ですが、今日は何やら細長い袋を抱えています。
「今日は人里で面白いモノを見つけたからさー」
「面白いモノ?」
「じゃじゃーん! これでーす!」
「その袋は……ひょっとして千歳飴か?」
「正解!」
お燐が取り出したのは、七五三のお祝いに使う千歳飴でした。
端っこをよく見てみると、金太郎の絵が描いてあるものもあります。
「なんで千歳飴なんて買ってきたんだい? 別に近くに小さい子がいるわけでもなし」
「んー、おくうの知的年齢は3歳くらいだろうから、ちょうどいいかな、と思って」
「……知的年齢は、お祝いには関係ないと思うのだけど」
「いーじゃん! 千歳飴なんて久しぶりに見たでしょ? ナズーも食べてみたいでしょ?」
「……千歳飴よりも、普通の飴の方が食べやすくていいと思うよ」
どうにもそっけないナズーリンなのでした。
今ひとつの反応に、お燐も頭を捻ります。
「確かにただ食べるだけじゃ面白くないかもねぇ……」
「いっそ、守矢の神社にでもお供えしてくればいいんじゃないか?」
「あ、守矢で思い出した!!」
お燐が跳びはねて、高らかに言いました。
「人の布団の上に立つなと……」
「ぽっきーげーむだよ!!」
「……ぽっきー? ゲーム?」
「そうそう、こうやって……」
お燐が1本の千歳飴を取り出して、ナズーリンに渡します。
「片側を食べてみて」
「こうでいいのか?」
「そうそう、それで反対側をあたいが……」
長い千歳飴を挟んで、お燐とナズーリンが向かい合います。
「コレを両側から食べていくんだよ!」
「ゲームなんだろ? どうすれば勝ちなんだい?」
「先に口から飴を離した方が負けだって、早苗が言ってた」
「あの緑巫女の入れ知恵なのか、このゲームは……」
「確かにこの飴を舐め終わるまで口から離さないのは、なかなかの苦行だねー」
それはそうでしょう。50cm近くある千歳飴を、折らずに両側から食べているのです。
「全部舐め終わるには、数十分かかるんじゃないかな……?」
「それじゃこうやって……、えいっ!」
痺れを切らしたお燐が、舐めるのを諦めて飴を囓り始めました。
「痛っ! ナズー、これかなり固いよ~」
早速泣き顔のお燐です。
「舐めてる時点で、固いのは分かりきってるじゃないか……」
「う~。えいえい、えいえい」
諦めきれずにチャレンジしますが、飴は一向に減っていきません。
「……囓るのは猫じゃなくて、鼠の仕事だろう? ほら、こうやって……、えいっ!」
カリカリカリカリ! カリカリカリカリ!
ナズーリンが猛スピードで飴を囓ります。
「おおー、ナズー凄い! え? え? え?」
2人の距離はみるみる近づき……
「ちょ!? 待って……!?」
唇が触れあう、その間際
「これでお燐の負けだね」
呆然としているお燐の唇から、ナズーリンの口が千歳飴を抜き出したのでした。
「え?」
「千歳飴、ごちそうさま。美味しかったよ」
「ええーー!? もう終わり? あたいの負け?」
「そう、私が人生の勝利者。お燐は負けい……負け猫だね」
「がーん……」
あっさりと、勝負はついたのでした。
「ううー、ナズーリンは負けず嫌いで絶対に飴を離さないだろうから、最後には絶対キスできると思ったのに……」
「?? お燐なんか言った?」
「なんでもないやい!」
勝負が終わって、一息ついて。
アテが外れてむくれるお燐です。
「……そうだ。勝者には、ご褒美が必要だよね?」
唐突に、ナズーリンがお燐に話しかけます。
「ご褒美? 何が欲しいのさー」
「んー……。そうだね、これがいいかな」
そう呟くと、ナズーリンはお燐の元に近寄りました。
ちゅっ……
「えっ!?」
「ごちそうさま。たまにはこういうのも、いいでしょ?」
「えええええっ!? ちょっと待って! 今のもう一回!」
「こういうのは繰り返さないから価値があるんだよ」
そう言って後ろを向いたナズーリンの頬は、微かに紅く染まっているのでした。
「やっぱり甘いね」
「……飴を食べ過ぎたせいだろう」
「おすそ分けありがとうね!」
そんなたわいもない。ある一日の出来事でした。
「おや、今日は珍しくお土産付きかい?」
騒々しく入ってきたのは、今日もナズーリンのところへ遊びに来たお燐です。
「珍しく、とは失礼な。あたいだって、たまには土産くらい持ってくるさ」
「たまに、だから珍しいんじゃないか……」
いつもはナズーリンの溜め込んだ食糧を、勝手に食べていくだけのお燐ですが、今日は何やら細長い袋を抱えています。
「今日は人里で面白いモノを見つけたからさー」
「面白いモノ?」
「じゃじゃーん! これでーす!」
「その袋は……ひょっとして千歳飴か?」
「正解!」
お燐が取り出したのは、七五三のお祝いに使う千歳飴でした。
端っこをよく見てみると、金太郎の絵が描いてあるものもあります。
「なんで千歳飴なんて買ってきたんだい? 別に近くに小さい子がいるわけでもなし」
「んー、おくうの知的年齢は3歳くらいだろうから、ちょうどいいかな、と思って」
「……知的年齢は、お祝いには関係ないと思うのだけど」
「いーじゃん! 千歳飴なんて久しぶりに見たでしょ? ナズーも食べてみたいでしょ?」
「……千歳飴よりも、普通の飴の方が食べやすくていいと思うよ」
どうにもそっけないナズーリンなのでした。
今ひとつの反応に、お燐も頭を捻ります。
「確かにただ食べるだけじゃ面白くないかもねぇ……」
「いっそ、守矢の神社にでもお供えしてくればいいんじゃないか?」
「あ、守矢で思い出した!!」
お燐が跳びはねて、高らかに言いました。
「人の布団の上に立つなと……」
「ぽっきーげーむだよ!!」
「……ぽっきー? ゲーム?」
「そうそう、こうやって……」
お燐が1本の千歳飴を取り出して、ナズーリンに渡します。
「片側を食べてみて」
「こうでいいのか?」
「そうそう、それで反対側をあたいが……」
長い千歳飴を挟んで、お燐とナズーリンが向かい合います。
「コレを両側から食べていくんだよ!」
「ゲームなんだろ? どうすれば勝ちなんだい?」
「先に口から飴を離した方が負けだって、早苗が言ってた」
「あの緑巫女の入れ知恵なのか、このゲームは……」
「確かにこの飴を舐め終わるまで口から離さないのは、なかなかの苦行だねー」
それはそうでしょう。50cm近くある千歳飴を、折らずに両側から食べているのです。
「全部舐め終わるには、数十分かかるんじゃないかな……?」
「それじゃこうやって……、えいっ!」
痺れを切らしたお燐が、舐めるのを諦めて飴を囓り始めました。
「痛っ! ナズー、これかなり固いよ~」
早速泣き顔のお燐です。
「舐めてる時点で、固いのは分かりきってるじゃないか……」
「う~。えいえい、えいえい」
諦めきれずにチャレンジしますが、飴は一向に減っていきません。
「……囓るのは猫じゃなくて、鼠の仕事だろう? ほら、こうやって……、えいっ!」
カリカリカリカリ! カリカリカリカリ!
ナズーリンが猛スピードで飴を囓ります。
「おおー、ナズー凄い! え? え? え?」
2人の距離はみるみる近づき……
「ちょ!? 待って……!?」
唇が触れあう、その間際
「これでお燐の負けだね」
呆然としているお燐の唇から、ナズーリンの口が千歳飴を抜き出したのでした。
「え?」
「千歳飴、ごちそうさま。美味しかったよ」
「ええーー!? もう終わり? あたいの負け?」
「そう、私が人生の勝利者。お燐は負けい……負け猫だね」
「がーん……」
あっさりと、勝負はついたのでした。
「ううー、ナズーリンは負けず嫌いで絶対に飴を離さないだろうから、最後には絶対キスできると思ったのに……」
「?? お燐なんか言った?」
「なんでもないやい!」
勝負が終わって、一息ついて。
アテが外れてむくれるお燐です。
「……そうだ。勝者には、ご褒美が必要だよね?」
唐突に、ナズーリンがお燐に話しかけます。
「ご褒美? 何が欲しいのさー」
「んー……。そうだね、これがいいかな」
そう呟くと、ナズーリンはお燐の元に近寄りました。
ちゅっ……
「えっ!?」
「ごちそうさま。たまにはこういうのも、いいでしょ?」
「えええええっ!? ちょっと待って! 今のもう一回!」
「こういうのは繰り返さないから価値があるんだよ」
そう言って後ろを向いたナズーリンの頬は、微かに紅く染まっているのでした。
「やっぱり甘いね」
「……飴を食べ過ぎたせいだろう」
「おすそ分けありがとうね!」
そんなたわいもない。ある一日の出来事でした。
甘いナズー燐素晴らしかったです
近づかなくても手を伸ばせば届く距離で数時間も見詰め合ってるというのも中々恥ずかしいと思うのです。
>奇声を発する程度の能力 さん
千歳飴の風習は最近でもちゃんと続いているのでしょうか?
そのうち幻想入りしてしまうかもしれませんね…
>ぺ・四潤 さん
普通はいきなり千歳飴なんて登場しませんもんねw
あー、確かにずっと見つめ合うって展開も面白そうです。別のシチュで考えてみよう…。
>3 さん
感想ありがとうございますー。
不定期でもまた書いていきたいと思いますので、是非またよろしくおねがいします!
コメありがとうございます!
もっと補給してもらうべく、次も是非よろです~。
しかし星蓮船出た当時は絶対メジャーカプになると思ってたのですが…。
もっと流行ってもいいのにw