「魔理沙と大人の階段」
香霖がおもしろい物を拾ってきた。
なんでも『らじお』とか言うらしい。
見た目は黒色をした長方形の箱なんだが、なんと驚いた事になかから人の声がする。
香霖いわく「魔法の一部だろう?」との事だ。
確かに魔法で石に言葉をこめ、何かの衝撃でそれを音として振動で発する事は出来るが。果てしなく面倒くさい。
そして何より非効率だ。だって飛んで行けば済む話だろ?
そんなわけで、非効率きわまりない『らじお』を香霖と一緒に聞いているのだが。
しばらく訳のわからないらじおの会話を聞いていると、会話が終わり、と思ったら急に音楽が流れ出した。
何やら長いセリフの様な物を言っていたと思ったが、どうやら曲名だったらしい。
「これ演奏も出来るのか?」
「かなり高度な魔法だな……」
香霖は興味深そうにラジオを持ち上げては上下左右あちらこちらから興味津々と言った顔で見ている。
それはまるで子供が初めて見たおもちゃで遊んでいるようで少し滑稽に見えた。
「そんな大がかりな物には全然見えないんだが」
興奮を隠し冷静ぶって言う香霖に思わず笑いがこぼれる。
指をさして笑ってやると、香霖は気まずそうにラジオを元の場所に置き、かけている眼鏡を指で押しあげた。
「もう少し上品に笑えないのかい? 君は」
「物事を気にするなんて私らしくないからごめんだぜ。ところで香霖」
「まったく君は……それで、なんだい?」
「大人の階段ってなんだ?」
恥ずかしさを紛らわすためか、少し冷めたお茶を口に含んでいた香霖は何故か盛大にそれを吹き散らした。
「げふっ! ごほっ!!」
「お、おい、大丈夫か!?」
流石にびっくりした私も、近くに置いてあった布巾を手渡し背中を少しさすってやる。
しばらくむせていたが、落ち着きを取り戻すと香霖は何事も無かったかのように改めてお茶を飲んだ。
「その、なんだ? 大人の階段?」
「ああ、さっきらじおが言ってたじゃないか、大人の階段登るって」
「あ~……」
香霖はなるほどと言いたそうな顔をし、困ったように片手でこめかみを押えている。
「魔理沙にはまだ早い」
そして、たっぷり時間をかけ考え抜いた末そんなことを言い出した。
「な、なんでだよ? 確かに私はまだ小さい。でも霊夢よりはでかいんだぜ?」
胸を張って見せると何故か彼は気まずそうにそっぽを向いてしまう。
くそう、取り付く島も無いとはこの事か。
「と、とにかく、時が来れば自ずとわかるから急ぐ事はないんじゃないかな?」
「急いでなんかいない、私はただ早く大人になりたいだけだ」
その方が買える物も増える。
しばらく香霖にしつこく尋ねてみたが、全然相手にしてくれないので私は頼れる友達達に聞いてみる事にした。
そうだな、まずは霊夢が良いだろう。
☆★☆
「霊夢ー遊びに来たぜ」
「あらいらっしゃい」
博麗神社に行くと霊夢は何時も通り縁側でのんびり茶を飲んでいた。
ほんとこいつは見る時何時でも湯呑を片手に持っている。
「お茶ならないわよ、あとお煎餅も」
そう言うと残っていた最後の一枚を目の前で齧る。
……酷い友人だ。
「まぁ良い。それより聴きたい事があるんだ」
「ん? あんたが? 私に? 珍しいわね」
若干ばかにされている気がするが無視する事にする。
今はとにかく知りたい事があるんだからな。
「大人の階段ってなんだ?」
霊夢はその言葉を聞くなり驚きに目を見開き、手に持っていたお煎餅を取り落とした。
それはコロコロと地面を転がり、齧られて出来たへこみでバランスを崩すと地面に倒れてしまう。
おいおい、何をそんなに驚いているんだ?
「あ、あんた何言ってっ!!」
ようやく正気を取り戻したのか霊夢が大声をあげる。
目で追っていた煎餅から視線を外し霊夢を見ると何故か顔を真っ赤にしていた。
しかも目尻に涙まで浮かべている。
正気に戻ったと思ったが違ったか。
「何言ってって、ただ知りたいだけだよ」
「ば、ばか、そう言う事は聞く様な……とにかくもっとなにか違うでしょ!?」
なんだかわけのわからない事を叫んでいる。
そんなに難しい事なのかこれは。
とにかく霊夢が一人テンパって叫びまくり訳がわからないので次の友人を訪ねるとしよう。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
立ち上がり帽子をかぶると、服の裾を座っている霊夢に掴まれ引っ張られた。
「なんだ?」
「ば、晩ご飯食べに来るんでしょ?」
「え? 良いのか?」
「あ、あんたが誘ったんじゃない、ばかっ」
そっぽを向いたり下を向いたりそのまま上目使いでこっちを見たりと。
忙しなく動く霊夢になぜかばか呼ばわりされながら箒に乗ると、夕日に染まる空へと私は飛び立った。
☆★☆
「アリスーいるかー?」
ドアを前にして声を掛けてから扉を開ける。
ノックは面倒だし、勝手に開けると怒られるから声だけは掛けておく。
「ちょっと、ノックぐらいしなさいよ」
「声は掛けただろ?」
「声をかけたって返事する前に入ってきたら同じでしょっ!」
軽く殴られる。
まったくすぐ手を上げるんだ、アリスは。
「わかったわかった、あんまり怒るなよ、可愛い顔が台無しだぜ?」
「……え?」
「ところでアリス、聞きたい事があるんだ」
「な、何……?」
「大人の階段ってなんだか知ってるか?」
「え、そ、それって……」
「おお!! 知ってるのか!?」
「し、しってるも何も、もっと違う言い方でも……」
何故かはずかしそうに身をよじらせ、雰囲気とか、場所とか、と、なにかつぶやいている。
良くわからんが知っているなら早く教えてほしい。
「知っているなら教えてくれ! 霊夢にも聞いたんだがあいつ訳のわからない事を言い出して――」
殴られた。
さらに上海達にかつがれ外に放り出された。
「バーカ! 魔理沙なんて、魔理沙なんて大っ嫌いよ!!」
なんだって言うんだ……
☆★☆
「――ってな訳なんだが。」
「……」
アリスを訪ねた後、意地になってパチュリーや咲夜にも聞きに行ったが結果はほとんど同じだった。
殴られ、弾幕を撃たれ、部屋を追い出される。
咲夜に関しては何故か息を荒くして迫って来たのでマスタースパーク撃って逃げた。
結局頼れる相手が居なくなったので、香霖の元へ戻って来たのだが。
出来事を話してくうちに香霖はまるでこの世の終わりを聞いているかのような顔つきになり
「君は馬鹿だろ?」
それだけ言うと、がっくりと肩を落とし項垂れてしまった。
「知りたい事を知ろうとして何が悪いんだ?」
「はぁ……僕の言い方が悪かったのもあるのかも知れないな。仕方ない」
深く溜息を吐くと、スッと香霖が耳元に顔を寄せる
「良いかい?…………」
「…………!?」
しあわせは誰かがきっと――
運んでくれると信じてるね――
そんな頃。
「魔理沙、まだかなぁ」
博麗神社には普段絶対に見る事の無いであろう豪勢な食事が並んでいるのだった。
香霖がおもしろい物を拾ってきた。
なんでも『らじお』とか言うらしい。
見た目は黒色をした長方形の箱なんだが、なんと驚いた事になかから人の声がする。
香霖いわく「魔法の一部だろう?」との事だ。
確かに魔法で石に言葉をこめ、何かの衝撃でそれを音として振動で発する事は出来るが。果てしなく面倒くさい。
そして何より非効率だ。だって飛んで行けば済む話だろ?
そんなわけで、非効率きわまりない『らじお』を香霖と一緒に聞いているのだが。
しばらく訳のわからないらじおの会話を聞いていると、会話が終わり、と思ったら急に音楽が流れ出した。
何やら長いセリフの様な物を言っていたと思ったが、どうやら曲名だったらしい。
「これ演奏も出来るのか?」
「かなり高度な魔法だな……」
香霖は興味深そうにラジオを持ち上げては上下左右あちらこちらから興味津々と言った顔で見ている。
それはまるで子供が初めて見たおもちゃで遊んでいるようで少し滑稽に見えた。
「そんな大がかりな物には全然見えないんだが」
興奮を隠し冷静ぶって言う香霖に思わず笑いがこぼれる。
指をさして笑ってやると、香霖は気まずそうにラジオを元の場所に置き、かけている眼鏡を指で押しあげた。
「もう少し上品に笑えないのかい? 君は」
「物事を気にするなんて私らしくないからごめんだぜ。ところで香霖」
「まったく君は……それで、なんだい?」
「大人の階段ってなんだ?」
恥ずかしさを紛らわすためか、少し冷めたお茶を口に含んでいた香霖は何故か盛大にそれを吹き散らした。
「げふっ! ごほっ!!」
「お、おい、大丈夫か!?」
流石にびっくりした私も、近くに置いてあった布巾を手渡し背中を少しさすってやる。
しばらくむせていたが、落ち着きを取り戻すと香霖は何事も無かったかのように改めてお茶を飲んだ。
「その、なんだ? 大人の階段?」
「ああ、さっきらじおが言ってたじゃないか、大人の階段登るって」
「あ~……」
香霖はなるほどと言いたそうな顔をし、困ったように片手でこめかみを押えている。
「魔理沙にはまだ早い」
そして、たっぷり時間をかけ考え抜いた末そんなことを言い出した。
「な、なんでだよ? 確かに私はまだ小さい。でも霊夢よりはでかいんだぜ?」
胸を張って見せると何故か彼は気まずそうにそっぽを向いてしまう。
くそう、取り付く島も無いとはこの事か。
「と、とにかく、時が来れば自ずとわかるから急ぐ事はないんじゃないかな?」
「急いでなんかいない、私はただ早く大人になりたいだけだ」
その方が買える物も増える。
しばらく香霖にしつこく尋ねてみたが、全然相手にしてくれないので私は頼れる友達達に聞いてみる事にした。
そうだな、まずは霊夢が良いだろう。
☆★☆
「霊夢ー遊びに来たぜ」
「あらいらっしゃい」
博麗神社に行くと霊夢は何時も通り縁側でのんびり茶を飲んでいた。
ほんとこいつは見る時何時でも湯呑を片手に持っている。
「お茶ならないわよ、あとお煎餅も」
そう言うと残っていた最後の一枚を目の前で齧る。
……酷い友人だ。
「まぁ良い。それより聴きたい事があるんだ」
「ん? あんたが? 私に? 珍しいわね」
若干ばかにされている気がするが無視する事にする。
今はとにかく知りたい事があるんだからな。
「大人の階段ってなんだ?」
霊夢はその言葉を聞くなり驚きに目を見開き、手に持っていたお煎餅を取り落とした。
それはコロコロと地面を転がり、齧られて出来たへこみでバランスを崩すと地面に倒れてしまう。
おいおい、何をそんなに驚いているんだ?
「あ、あんた何言ってっ!!」
ようやく正気を取り戻したのか霊夢が大声をあげる。
目で追っていた煎餅から視線を外し霊夢を見ると何故か顔を真っ赤にしていた。
しかも目尻に涙まで浮かべている。
正気に戻ったと思ったが違ったか。
「何言ってって、ただ知りたいだけだよ」
「ば、ばか、そう言う事は聞く様な……とにかくもっとなにか違うでしょ!?」
なんだかわけのわからない事を叫んでいる。
そんなに難しい事なのかこれは。
とにかく霊夢が一人テンパって叫びまくり訳がわからないので次の友人を訪ねるとしよう。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
立ち上がり帽子をかぶると、服の裾を座っている霊夢に掴まれ引っ張られた。
「なんだ?」
「ば、晩ご飯食べに来るんでしょ?」
「え? 良いのか?」
「あ、あんたが誘ったんじゃない、ばかっ」
そっぽを向いたり下を向いたりそのまま上目使いでこっちを見たりと。
忙しなく動く霊夢になぜかばか呼ばわりされながら箒に乗ると、夕日に染まる空へと私は飛び立った。
☆★☆
「アリスーいるかー?」
ドアを前にして声を掛けてから扉を開ける。
ノックは面倒だし、勝手に開けると怒られるから声だけは掛けておく。
「ちょっと、ノックぐらいしなさいよ」
「声は掛けただろ?」
「声をかけたって返事する前に入ってきたら同じでしょっ!」
軽く殴られる。
まったくすぐ手を上げるんだ、アリスは。
「わかったわかった、あんまり怒るなよ、可愛い顔が台無しだぜ?」
「……え?」
「ところでアリス、聞きたい事があるんだ」
「な、何……?」
「大人の階段ってなんだか知ってるか?」
「え、そ、それって……」
「おお!! 知ってるのか!?」
「し、しってるも何も、もっと違う言い方でも……」
何故かはずかしそうに身をよじらせ、雰囲気とか、場所とか、と、なにかつぶやいている。
良くわからんが知っているなら早く教えてほしい。
「知っているなら教えてくれ! 霊夢にも聞いたんだがあいつ訳のわからない事を言い出して――」
殴られた。
さらに上海達にかつがれ外に放り出された。
「バーカ! 魔理沙なんて、魔理沙なんて大っ嫌いよ!!」
なんだって言うんだ……
☆★☆
「――ってな訳なんだが。」
「……」
アリスを訪ねた後、意地になってパチュリーや咲夜にも聞きに行ったが結果はほとんど同じだった。
殴られ、弾幕を撃たれ、部屋を追い出される。
咲夜に関しては何故か息を荒くして迫って来たのでマスタースパーク撃って逃げた。
結局頼れる相手が居なくなったので、香霖の元へ戻って来たのだが。
出来事を話してくうちに香霖はまるでこの世の終わりを聞いているかのような顔つきになり
「君は馬鹿だろ?」
それだけ言うと、がっくりと肩を落とし項垂れてしまった。
「知りたい事を知ろうとして何が悪いんだ?」
「はぁ……僕の言い方が悪かったのもあるのかも知れないな。仕方ない」
深く溜息を吐くと、スッと香霖が耳元に顔を寄せる
「良いかい?…………」
「…………!?」
しあわせは誰かがきっと――
運んでくれると信じてるね――
そんな頃。
「魔理沙、まだかなぁ」
博麗神社には普段絶対に見る事の無いであろう豪勢な食事が並んでいるのだった。
肉体年齢的にも一番幼い感じのようですし。
しかし霊夢はどこから酒や確率、性の知識などを手に入れているのでしょうかね。
良い歌だよねこれ
これは誰も悪くないな、うん。いいお話でした。
あと、後書きの幻想郷の文字が間違ってます。
霖之助さんの苦悩が目に浮かぶw
2828させてもらいました
魔理沙は少し幼いぐらいがいいですよね。
まぁ個人的にかっこいい感じの魔理沙だったり、すごい乙女名魔理沙もだぁ~いすきですけどね☆
コメントありがとうございます!!
>>2さん
確かにそうですね。
だがしかし、一人きりということはあふれあまる性欲をひt(ピチューン
霊夢さん博識ですからね。きっと紫辺りに夜二人きりでこう何というかてほどk(ピチューン
コメントありがとうでした♪
>>奇声さん
俺もネタが浮かんだときはエンドレスリピートでしたねw
まぁ、そん時サビしか知らなかったのですが……
毎度毎度コメントありがとうございます!
>>4さん
これを機会に初めてフルで聞いたのですがいい曲でしたね。
勢いで書き上げ、直しの最中に友人にチャットの時の会話がネタで書いたという話をしたら、ぜひフルで聞いてみるといいといわれて聞きましたがw
コメントありがとうでした~
>>唯さん
誰も悪くないさ、むしろ悪いとしたら俺の頭の中が悪い(キリッ
おうふ、普通に誤字だすよりよっぽど恥ずかしい。
見せしめにそのままにしておきましょうか……
コメントありがとうございま~す!
>>6さん
俺はニコでしたね。
ユニークなタグが付いていらしたと思いますよ?
さすがに忘れてしまいましたが……
霖之助は間違いなくいいパパさんになりますね!
魔理ちゃんを正しいかわいい子に育て上げえてくれる…はず……
コメントありがとうございました~!!
>>こーろぎさん
魔理沙の周りはなんと言うかいろいろぶっ飛んだキャラが多いですからね。
やはり魔理沙がいろいろと聞きに行くという描写がしっくりしますよね。
まぁ俺としては霊夢が恥ずかしがってもアリスが恥ずかしがってもおいしくいただけますがね!!
2828していただき幸いです! そういうのを目指してましたからね!
おれ自身書き出して最後のほうニヤニヤしすぎて若干きもちわr(ピチューン