―――地霊殿
その書斎でさとりは席に向かって書類を仕上げているところだった。
「お姉さま、私バンドをやってみようと思いますの」
「私は言ってる内容に驚けばいいのか、それともこいしが言うべきだろうセリフをお空が言ってることに疑問を感じればいいのやら迷っちゃうわ」
「お姉さま、バンドって何?」
「よしお空、お燐を呼んで来なさい。話が進まないわ」
「ふふふ…実は私はお燐なのでした!!」
「だよね!私も実はお空ちゃんなのでした!!!」
「はははは!騙されちゃった!!凄いなお空~さとり様に変装するなんて!!」
「お燐こそ!!私そっくりでびっくりしちゃった!!!」
「「あははははは!!」」
「ふぅ…さて、さとり様は?」
「知らないよ?」
「あれー?ちょっと探してくる」
バタン
「…ふぅ…お空は自分のことをお空ちゃんなんて自分で言わないだろうに…」
そう言ってさとりは変装キットを脱いだ。
正直言うとお燐も少し抜けているところがあると思う。
心が読めるさとりに対しては変装など無意味なのだ。
「というか私がお空に変装するならまだしもお空が私に変装できるわけが無いじゃない…サイズが違うじゃないサイズが。そう…サイズが…フフフ」
というわけで面倒事を避けるためにちょいとお燐を騙したというわけだ。
丁度閻魔さまからの面倒くさい書類を頼まれていて集中力が途切れたら二度とやる気が起きなさそうなぐらい面倒くさい書類なのだ。
そういうわけでお燐がいなくなったので仕事に戻ることにした。
「いない…おっかしいな―…あ、さとり様。さとり様が何処にいるか知りませんか?」
「お空なら地下にいると思うわよ」
「ありがとうございます~。お空~、お空~。ん?何でお空…?あれ?」
行ったわね…さて仕事仕事…。
「お空~」
「あいさ、どうしたんお燐」
「やっと見つけたよ~」
「んや?何か急用でもあったの?」
「いやさ、バンドをやろうって言おうと思って」
「あれ?それを昨晩決めたからさとり様を誘いに行ったんじゃないの?」
「え?だからさっき…あれ?お空に言ったよね?」
「うん、言ったよ?昨晩に」
「いや、さっき」
「え?」
「え?」
「ごめん…バカだから訳が分からないのかな…」
「イヤイヤ…えーと…」
タイムテーブルー的な!!
昨晩、お空にバンドを持ちかける
さっき、さとりがお空
お空は昨晩にしか聞いてない。
じゃああのお空誰?←イマココ
「!!大変だ!!!地霊殿にお空とさとり様に変装している侵入者がいる!!!」
「な、なんだってー!!」
「「早くなんとかしないと!!!」」
「お空、どうしよう!!」
「とりあえず、さとり様を…!!」
「OK」
全力で廊下を駆ける二匹
「こいし様ああああああああ!!!!」
「ひゃあああああああああああああい!!!?」
「え?…ホントだ!!こいし様だ!!」
「えう…ぐすっ…」
「どうしたんですか?こいし様」
「誰かに酷いことをされたのですか?」
「うう…」スッ
「ん?私たちの方を指さして…逆方向か!!急ぐよ!!犯人はあっちだ!!!」
「了解!!!」
そして再び二匹は廊下を疾走した。
「違う…二匹共の所為だよ…グスッ」
無意識で常にいるが故にいきなり傍で大声を上げられれば、それは普通の人よりもこいしはびっくりするだろう。
でもそれだけ二人は一生懸命で、無意識になるほど精一杯なのだ、褒めてやろう、褒めてあげて。
数時間後
「「さとり様ああああああ!!ご無事ですかーーーー!!!!!」」
「ぐっふおおおおおおおおおおお!!!!?」
「「さとり様ああああああああ!!!!?」」
あまりに急いでいたお燐達の頭がさとりの鳩尾と腹部に見事クリーンヒット、さとりは悶絶することすら許されずにその場で地に伏した。
「あああ…どうしよう…」
「落ち着くんだお空!まずは人工呼吸の前の呼吸の確認と鼓動の確認からだ!!」
「イエッサー!えーと…」
さとりの口元に手の甲を近付け呼吸の確認をすると左手の手首を持ち
「こ、こう…?」
耳を当てた
「ちょっと違うかな」
「じゃあこっち?」
今度はさとりの左胸に耳を当てた
「大変だ!!お燐!!!」
「どうした!!?」
「さとり様の胸(の鼓動)が(聞こえ)ない!!!」
「嘘!ホントだ!!無い!!あんまり無い!!殆ど無い!!少ししかない無い!!」
「んだとこら」
「痛いがムネ!!!」
さとりはいきなり起き上がってお燐にシャイニングウィザードを叩き込んだ。
「うおおお…何で私…」
「私の体に触れもせずに散々言ってくれるじゃないですか、畜生。で、何をしていたの二人共」
「「衝撃的すぎて忘れました」」
「そう、じゃ解散」
「「ラジャ」」
こうして二匹は書斎から出て行った。
その日の深夜
「そうだ。お空、起きてる?」
「起きてるよー」
「この前緑の巫女さんから聞いたんだけどバンドってのが流行ってて楽しいみたいよ」
「ホント!!?」
「そうみたい…ってそうだよ!!そのことを言おうとしてたんだよ!!!」
「?」
「行くよ!!」
「さとりさm」
「ばっどこみゅにけーしょん」
ドンッ!!残念!お燐は撃たれてしまった!!
「お燐!!大丈夫!!?」
「さとり様…ためらいもなく銃で撃たないでくださいよ…」
「知らないの?寝室に許可なく入ると撃たれるのよ?」
「何処の大国ですか…とにかく聞いてください…」
「全く…何時だと思ってるのよ、で、何?」
「バンドをやりたいのですよ」
「うん」
「バンドって何ですか?」
「バント?」
「いや、バンドです」
「バントじゃなくて?」
「?バント…なのかな?」
「多分そうなんじゃない?」
「うーん…ちなみにそのバントって何ですか?」
「バントとは、球の勢いを殺したゴロをできるだけ投手や内野手から離れた場所に転がし、打球処理の時間を稼ぐことによって進塁を目指すものである。技術的な器用さや集中力だけでなく、野手のポジションや走者との位置関係、投手の投球など広範な知見を持つことが要求される。通常、バントをする場合の打者は体の向きを投手に正対させ、片方の手をバットの太い部分に添える。by,wikipedia」
「お、おお…ありがとうございます…」
「ん、お休み」
「「お休みなさい」」
次の日
「なんか聞いたことがあると思ったらノボールだったんだね」
「野球ね、誰よその人」
「この人が作ったって説の一人ののぼるさん、って書いてある」
「ふーん、とりあえず楽しいらしいからそれ見ながらやってみようか」
「うん」
「まずは線を引こうか。何々、台車に石灰を入れて線を引く?台車は猫車で代用するとして石灰って何?」
「石の灰?…ちょっと燃やしてみる」
「溶けたね」
「じゃあ砕こうか」
「これを?」
「乗せて、猫車GO」
「あいよ」
大量の砂利を乗せたことで重みにより猫車が通った道に線が引かれた。
「なんか違う気がするけどいいや、でバットは無いから制御棒で」
「じゃあボールは怨霊で」
「バッチこーい」
「喰らえー魔球 恨霊「スプリーンイーター」」
「なんのーバントー」
カコン
コロコロ
ピタッ
「交代ねー」
「ういーバットは猫車でいいか」
「お返しだー魔球 「アビスノヴァ」」
「洒落になんねぇ!!!」
カコン
コロコロ
ピタッ
「「…」」
「…お燐が一番進まなかったから勝ちね」
「お、おう、ありがとう」
「じゃあ次だ―」
「ばっちこーい」
「では、受け取りましたよ。さとり」
「ええ、大変でした」
「でしょうねぇ…」
「おかげで地霊殿が大荒れだったんですから」
「おやおや…すみませんね」
「ん。それでは、閻魔さま」
「それでは、ごゆっくりお休みください」
「…さて、お燐達とお茶でも飲みましょうかね…」
いつでも地霊殿は平和なのだ。
その書斎でさとりは席に向かって書類を仕上げているところだった。
「お姉さま、私バンドをやってみようと思いますの」
「私は言ってる内容に驚けばいいのか、それともこいしが言うべきだろうセリフをお空が言ってることに疑問を感じればいいのやら迷っちゃうわ」
「お姉さま、バンドって何?」
「よしお空、お燐を呼んで来なさい。話が進まないわ」
「ふふふ…実は私はお燐なのでした!!」
「だよね!私も実はお空ちゃんなのでした!!!」
「はははは!騙されちゃった!!凄いなお空~さとり様に変装するなんて!!」
「お燐こそ!!私そっくりでびっくりしちゃった!!!」
「「あははははは!!」」
「ふぅ…さて、さとり様は?」
「知らないよ?」
「あれー?ちょっと探してくる」
バタン
「…ふぅ…お空は自分のことをお空ちゃんなんて自分で言わないだろうに…」
そう言ってさとりは変装キットを脱いだ。
正直言うとお燐も少し抜けているところがあると思う。
心が読めるさとりに対しては変装など無意味なのだ。
「というか私がお空に変装するならまだしもお空が私に変装できるわけが無いじゃない…サイズが違うじゃないサイズが。そう…サイズが…フフフ」
というわけで面倒事を避けるためにちょいとお燐を騙したというわけだ。
丁度閻魔さまからの面倒くさい書類を頼まれていて集中力が途切れたら二度とやる気が起きなさそうなぐらい面倒くさい書類なのだ。
そういうわけでお燐がいなくなったので仕事に戻ることにした。
「いない…おっかしいな―…あ、さとり様。さとり様が何処にいるか知りませんか?」
「お空なら地下にいると思うわよ」
「ありがとうございます~。お空~、お空~。ん?何でお空…?あれ?」
行ったわね…さて仕事仕事…。
「お空~」
「あいさ、どうしたんお燐」
「やっと見つけたよ~」
「んや?何か急用でもあったの?」
「いやさ、バンドをやろうって言おうと思って」
「あれ?それを昨晩決めたからさとり様を誘いに行ったんじゃないの?」
「え?だからさっき…あれ?お空に言ったよね?」
「うん、言ったよ?昨晩に」
「いや、さっき」
「え?」
「え?」
「ごめん…バカだから訳が分からないのかな…」
「イヤイヤ…えーと…」
タイムテーブルー的な!!
昨晩、お空にバンドを持ちかける
さっき、さとりがお空
お空は昨晩にしか聞いてない。
じゃああのお空誰?←イマココ
「!!大変だ!!!地霊殿にお空とさとり様に変装している侵入者がいる!!!」
「な、なんだってー!!」
「「早くなんとかしないと!!!」」
「お空、どうしよう!!」
「とりあえず、さとり様を…!!」
「OK」
全力で廊下を駆ける二匹
「こいし様ああああああああ!!!!」
「ひゃあああああああああああああい!!!?」
「え?…ホントだ!!こいし様だ!!」
「えう…ぐすっ…」
「どうしたんですか?こいし様」
「誰かに酷いことをされたのですか?」
「うう…」スッ
「ん?私たちの方を指さして…逆方向か!!急ぐよ!!犯人はあっちだ!!!」
「了解!!!」
そして再び二匹は廊下を疾走した。
「違う…二匹共の所為だよ…グスッ」
無意識で常にいるが故にいきなり傍で大声を上げられれば、それは普通の人よりもこいしはびっくりするだろう。
でもそれだけ二人は一生懸命で、無意識になるほど精一杯なのだ、褒めてやろう、褒めてあげて。
数時間後
「「さとり様ああああああ!!ご無事ですかーーーー!!!!!」」
「ぐっふおおおおおおおおおおお!!!!?」
「「さとり様ああああああああ!!!!?」」
あまりに急いでいたお燐達の頭がさとりの鳩尾と腹部に見事クリーンヒット、さとりは悶絶することすら許されずにその場で地に伏した。
「あああ…どうしよう…」
「落ち着くんだお空!まずは人工呼吸の前の呼吸の確認と鼓動の確認からだ!!」
「イエッサー!えーと…」
さとりの口元に手の甲を近付け呼吸の確認をすると左手の手首を持ち
「こ、こう…?」
耳を当てた
「ちょっと違うかな」
「じゃあこっち?」
今度はさとりの左胸に耳を当てた
「大変だ!!お燐!!!」
「どうした!!?」
「さとり様の胸(の鼓動)が(聞こえ)ない!!!」
「嘘!ホントだ!!無い!!あんまり無い!!殆ど無い!!少ししかない無い!!」
「んだとこら」
「痛いがムネ!!!」
さとりはいきなり起き上がってお燐にシャイニングウィザードを叩き込んだ。
「うおおお…何で私…」
「私の体に触れもせずに散々言ってくれるじゃないですか、畜生。で、何をしていたの二人共」
「「衝撃的すぎて忘れました」」
「そう、じゃ解散」
「「ラジャ」」
こうして二匹は書斎から出て行った。
その日の深夜
「そうだ。お空、起きてる?」
「起きてるよー」
「この前緑の巫女さんから聞いたんだけどバンドってのが流行ってて楽しいみたいよ」
「ホント!!?」
「そうみたい…ってそうだよ!!そのことを言おうとしてたんだよ!!!」
「?」
「行くよ!!」
「さとりさm」
「ばっどこみゅにけーしょん」
ドンッ!!残念!お燐は撃たれてしまった!!
「お燐!!大丈夫!!?」
「さとり様…ためらいもなく銃で撃たないでくださいよ…」
「知らないの?寝室に許可なく入ると撃たれるのよ?」
「何処の大国ですか…とにかく聞いてください…」
「全く…何時だと思ってるのよ、で、何?」
「バンドをやりたいのですよ」
「うん」
「バンドって何ですか?」
「バント?」
「いや、バンドです」
「バントじゃなくて?」
「?バント…なのかな?」
「多分そうなんじゃない?」
「うーん…ちなみにそのバントって何ですか?」
「バントとは、球の勢いを殺したゴロをできるだけ投手や内野手から離れた場所に転がし、打球処理の時間を稼ぐことによって進塁を目指すものである。技術的な器用さや集中力だけでなく、野手のポジションや走者との位置関係、投手の投球など広範な知見を持つことが要求される。通常、バントをする場合の打者は体の向きを投手に正対させ、片方の手をバットの太い部分に添える。by,wikipedia」
「お、おお…ありがとうございます…」
「ん、お休み」
「「お休みなさい」」
次の日
「なんか聞いたことがあると思ったらノボールだったんだね」
「野球ね、誰よその人」
「この人が作ったって説の一人ののぼるさん、って書いてある」
「ふーん、とりあえず楽しいらしいからそれ見ながらやってみようか」
「うん」
「まずは線を引こうか。何々、台車に石灰を入れて線を引く?台車は猫車で代用するとして石灰って何?」
「石の灰?…ちょっと燃やしてみる」
「溶けたね」
「じゃあ砕こうか」
「これを?」
「乗せて、猫車GO」
「あいよ」
大量の砂利を乗せたことで重みにより猫車が通った道に線が引かれた。
「なんか違う気がするけどいいや、でバットは無いから制御棒で」
「じゃあボールは怨霊で」
「バッチこーい」
「喰らえー魔球 恨霊「スプリーンイーター」」
「なんのーバントー」
カコン
コロコロ
ピタッ
「交代ねー」
「ういーバットは猫車でいいか」
「お返しだー魔球 「アビスノヴァ」」
「洒落になんねぇ!!!」
カコン
コロコロ
ピタッ
「「…」」
「…お燐が一番進まなかったから勝ちね」
「お、おう、ありがとう」
「じゃあ次だ―」
「ばっちこーい」
「では、受け取りましたよ。さとり」
「ええ、大変でした」
「でしょうねぇ…」
「おかげで地霊殿が大荒れだったんですから」
「おやおや…すみませんね」
「ん。それでは、閻魔さま」
「それでは、ごゆっくりお休みください」
「…さて、お燐達とお茶でも飲みましょうかね…」
いつでも地霊殿は平和なのだ。