Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

嵐の夜と朝 寝台での静と動

2011/07/29 21:26:43
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ガタガタと窓が風で鳴る。
バチバチと雨がガラスを叩く。
稲光が瞬いきゴロゴロと雲が唸る。
先日の昼少し前から招いた覚えの無い嵐がやってきた。
すでに時間は日を跨いだ辺り。
咲夜は寝付けずに寝台で身を起こし
窓の外を眺めていた。
幸い紅魔館は丈夫な造りをしているので
特に対策も必要は無かった。
パチュリーが館の周りだけ天候を操る事を提案したが
最近は何やら研究にかかりきりのようなので
咲夜はそれを断った。
やってもらうに越した事はないが
規模の大小はあるが嵐が来る度にパチュリーを頼るような
造りの館だとは思ってはいない。
それに仮にそんな造りの場所があるのならば早めに解った方がいい。
今回の嵐はそれほど激しい物でもないようなので
ある意味、試験的な意味も含めてあえて対策はしなかった。
壊れた場所があれば壊れないように作り直せばいい。
咲夜は自身の意見をレミリアに確認し了承を得た上で
理由を説明しパチュリーの申し出を断った。
パチュリーも研究の方を続けたかったようで
納得した上で首を縦に振ると
咲夜に軽く摘める食事を頼み研究に戻った。
もともと咲夜個人は館の心配は然程していなかったが
問題は人里の方であった。
つきあいのある人も居れば贔屓の店もあるので
こちらもレミリアの了承を得た上で
美鈴と門番隊の数人を手伝いに出している。
里には慧音もいれば恐らく他の場所からの手伝いもあるだろうし
美鈴とその部下なら力仕事に置いては一人で数人分の人手になるだろう。
(帰ってきたら全員に臨時の休みを貰えるようにお嬢様に進言しないとね。)
パチュリーは研究で篭りきり。
美鈴は里は出払っている。
レミリアとフランドールは朝から起きていたので今は眠っている。
妖精メイド達も嵐が怖いのか今日に限っては夜更かしする者も居ないようである。
館は静まりかえっていた。
その事で嵐の騒がしさをより際立っている気がした。
故に咲夜は寝付けなかった。

昼前から来た嵐は黒い雲と荒ぶる風と視界を斜めに切る雨を大量に連れてきた。
物珍しいのか窓を鳴らす風と雨を
フランドールとチルノははしゃぎながら見ていた。
絵本を読んだり人形を遊んだりする合間に
窓の外を眺めては楽しそうにはしゃぐ。
どちらかというと割合的には窓の外を眺める合間に何かをする
といった感じであった。
嵐が来ても美鈴が出かけた事と騒がしさ以外は
館の中は特に普段と変わりは無かった。
嵐が来るというのにチルノは朝早くから館に来ていた。
恐らく知らなかっただけであろうが流石に嵐の中を
帰す訳にも行かないので泊まっていく事になった。
大妖精には伝えてないがこの嵐ならば
伝えずとも泊まってくるであろうと思っている事であろう。
夜になりチルノを客間に案内し
レミリアとフランドールも就寝すると咲夜も湯浴みをしてベッドに入る。
それからどのくらい経っただろうか。
咲夜は嵐が怖いわけではない。
しかし、不思議と気持ちが昂ぶってしまって寝付けない。
眠気も無いので寝付けない事が辛いという事はなく
昂ぶっている筈なのだが落ち着いているような
矛盾している心持ちで窓の音を聞き続けていた。
雨と風は強くなったり弱くなったりを繰り返しながら
不規則に窓を鳴らし時たま雲が光る。
遠い世界を見るような気分で窓の外を眺めていた咲夜の耳は
窓の鳴る音にかき消されそうなドアノブの回る音を辛うじて拾った。
扉の方を見るが誰かが入ってくる様子は無い。
聞き間違いかと思ったが時間を置いて扉が少しづつ開いた。
開いてからまた時間を置き、中を覗き込むようにチルノが顔を出した。

チルノは咲夜がまだ起きているのを見ると安心したような顔をし
部屋の中に入ってきた。
枕を抱え込み少し震えながら咲夜の方をじっと見る。
咲夜はベッドの片側に体を寄せて布団をめくり
出来た空間を叩きながら「おいで。」と声をかける。
嬉しそうな顔をし小走りでチルノが駆け寄ってきた時に
部屋の中を白く染めるように大きく雷光が光った。
途端、チルノは抱えた枕に顔を押し付け座り込んでしまう。
咲夜はチルノが中々立ち上がらないのを見て
ベッドから出てチルノの傍まで歩み寄る。
そのままチルノを抱きかかえベッドへと運び横にさせる。
「お昼はあんなに喜んでたじゃないの。」
少し呆れたように軽くチルノの頭を撫でながら咲夜は言う。
チルノは不安そうな顔で咲夜を見上げてふるふると首を横に振る。
「怖いの?」
声を出さず首を小さく縦に振りチルノは答える。
震えるチルノを布団をかけると咲夜は
再度ベッドから出て厚手のカーテンを閉める。
チルノは布団へ戻ってきた咲夜にぎゅーっと抱きつく。
美鈴が遊び相手がてらに冷気をコントロール出来るように
少しづつ教えていたお陰で抱きつかれても凍傷やしもやけに
なるような事はないが少しひんやりとする。
咲夜はチルノを抱え込むように抱き返し
左手で背中を軽く、規則的に叩きながら
右手で頭を撫で続ける。
そして囁くように歌い始めた。
優しく語り掛けるような響きの歌を聞き
チルノの体の振るえは少しづつ治まっていく。
振るえが止まる頃にはチルノは寝息をたてていた。

咲夜が眼が覚ますと雨と風の音は止んでいた。
チルノが寝付いたすぐ後に自分も眠れていたようだった。
カーテンを開けると日が差しこんでくる。
時間はまだ赤みがかった朝日が少し顔を覗かせたばかりのようだ。
ベッドへと戻り横になる。
チルノはまだ安らかな顔をして寝ている。
咲夜が顔を綻ばせてチルノの寝顔を眺めていると
日が眩しかったのか、チルノは身じろぎした後でゆっくりと半眼を開ける。
「おはよう。」
「おあよ…」
言って、チルノは咲夜のお腹に顔をうずめる。
「あまえんぼさん。」
微笑みながら言い、咲夜はチルノを頭を撫でる。
「えへへ。」
嬉しそうにぐりぐりと顔を押し付けるチルノ。
少しの間されるがままだった咲夜だが
何かを思いつき布団をめくり上げ、横にどける。
そしてチルノを自身の下にした状態でベッドに四つん這いになり。
「ふふ…えい♪」
そのまま腕の力を抜き、チルノをお腹とベッドで挟み込む。
「むー!」
手足をジタバタさせて顔は激しくぐりぐりとするチルノ。
すぐに横にどいてチルノを上に抱き上げる。
「ぶー!」
頬を膨らませて抗議するチルノだが
怒っている様子は無く嬉しそうにしている。
「えい!お返しよ!」
身じろぎし、咲夜の腕から抜け出すとお返しの宣言通りに
自分のお腹を咲夜の顔に押し付ける。
「あっ!だめ!あはははは!」
咲夜はチルノのガッチリと抱き込みお腹を唇ではむはむと甘噛みする。
反撃の筈が逆にやられてしまったチルノが
腕から抜け出し今度は同じようにお腹を唇で甘噛みする。

そのまま2人は1時間程じゃれあってから朝の挨拶を交わした。
メイド妖精「メイド長とチルノが下着姿とパジャマで食堂に入ってきた。」

2人とも着替え忘れました。
咲夜さんはいつも下着で寝てる訳じゃないです。
後、2週間くらいで夏のお祭が来るので
遠征前にもう1作くらい書けたらなぁ と思ってます。
湯葱
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
>いつも下着で寝てる訳じゃない
……あなたにはがっかりだよッ!

雷怖いチルノが可愛すぎて召されそうでした。いいぞ衣玖さん、もっとやれ
2.名前が無い程度の能力削除
かーわいいー。
3.名前が無い程度の能力削除
……ぶはっ!?

こ、これ以上可愛いチルノを見てしまったら……俺は……