私が彼女にあった日はいつもよりも暖かい雪の日だった。
雪がその日まで振らなかった暖冬のある日、とうとう初めての雪が降った、私は冬が好きだけどその中でも雪が大好き、だって冬の雪がこの幻想郷を真っ白にする景色は本当絶景だから。
今年はもしかしたらずっと暖かくて雪なんて降らないと思っていたけど大丈夫だったわね。
雪空をフワフワと飛び回っていると目の前に今にも落っこちそうな飛び方で飛んでいる人影を見つけた、少し面白そうだったから付いて行ってみると案の定バランスを崩して落っこちた……と思ったら直ぐに体制を立て直したの、なかなか面白そうだし、少し気になったから声をかけてみることにした。
「ちょっと貴方。大丈夫?」
「は、はい!! 昨日まで春みたいに暖かかったから樹の下で寝ていたらいきなり雪が降ってきてびっくりしちゃった。」
「ふーん、貴方もしかして春妖精? 私は雪女のレティ・ホワイトロック。こんな日に貴方のような人に会えるなんて珍しいわね。」
「ふぇぇ、あなたが雪女さんですか? 噂で聞いていたよりも綺麗なんですね!」
どうやら妖精の間では私は結構悪い印象を持たれていると思っていたのだけどこの春妖精の反応を見る限りそこまで悪い事は言われてないらしい。
私は基本冬にしか活動しないしその冬の活動の中でも特に悪いことをするわけでもなくただそこら中をふわふわと飛び回ったり、人里の広場にかまくらを作ったりするぐらいしかしていないから私のことを知らなくても当然か。
「ねぇねぇ、レティは冬にしか居ないの?」
「あら、初対面なのにもう呼び捨てかしら? かわいいわね。」
「呼び捨て……嫌?」
「ううん。別に気にしないわ、そうね……冬以外は基本家で眠っているのだけど、一応春や秋の涼しい日には目が覚めるわね。またすぐ寝ちゃうけど。」
「寝る子は育つって妖精仲間から聞いてたけどやっぱりそうなのかなー……レティおっきい。いいなぁ。」
そう言って春妖精は私の胸元を珍しいものを見るかのようにまじまじと視線を送っていた。
別に寝ているから大きいわけじゃないし、多分体質的な問題だと思うわ。
しかしこの春妖精、暖冬だからって出てくるとは中々のバカなんじゃないかしら……いや、バカというよりは……やっぱりバカとしか表現できないわね。
「あ!! 私まだ名乗っていなかった!! リリー・ホワイト!! 春を告げる妖精です!!」
「あら、春妖精じゃなかったのね。ごめんなさい。そう貴方は春告精なのね。」
「うん!! しかも私の名前にも『ホワイト』ってあるからもしかしたらレティと今ここで会うのは運命だったのかもね!!」
リリーはそう言って私に微笑んでくれた。その微笑み顔はどこか暖かくて心の奥からこそばゆい何かが私の全身を駆け巡った。
その何かは私がこれまでに感じたことのないほど心地良い物でまさかここまで全身が気持ちよくなるようなことがあるなんて……まさか、私……?
「どうしたの? レティ。ボーってしちゃって。あ、まさか私の笑顔にキュンッって来ちゃった?」
「……そうみたいね。さっきの貴方の笑顔、すごく可愛かったわ。」
「え、ええっ!? そんな事私の目の前で言わないでよ!! レティのバカ!!」
バカと言われてしまった、嫌われてしまったのかしら? いや、顔を真っ赤にしている所から見るとやっぱり嬉しいのね。子供って可愛い。
私は顔を兎の目の様に真っ赤にしたリリーを人里に作ったかまくらに招待するために連れて行くとそこには元気よく雪合戦や雪だるまを作っている子どもたちの姿があった。
「あー、慧音先生。今年もレティお姉ちゃんが来てくれたよー!!」
「おー、レティか。今年もかまくらを作ってくれて助かるよ。ウチの子供たちも大喜びだ……おや、そっちに居るのは春告精じゃないか。そっか、昨日まで暖かかったからな、そしてレティに捕まったと。」
「ち、違うよ!! レティは何もしてないよ!!」
「失礼ね慧音……私が日頃から拉致してるみたいじゃない……」
「あっはっは。冗談だよ冗談。レティが最初に人里にやって来たときは何しに来たんだと思ったがまさかかまくらと雪だるまと雪うさぎを作りに来てたなんてな……」
「もう!! 慧音!! そんな昔の話をするのはやめてよ!!」
「そこまで昔だったかなぁ……? 最近の事だと思うぞ?」
「もう、かまくら作るのは今年は大変だったのよ? だから雪うさぎと雪だるまは作れなかったわ……ごめんなさいね。」
「いやいや、いつもいつも子供たちの為に色々してくれるのは私としても感謝している。子供たちを代表して、礼を言うよ。」
「ねーレティ。慧音先生と初めて会った時ってどんな感じだったの? 慧音先生からしたら結界を通り抜けて入ってきた妖怪でしょ? よくここまで仲良しになったね。」
「それはそうよ。だってあの時慧音宴会でお酒を飲み過ぎて結界を張るのを忘れてたのだから入るのは余裕だったわ。」
「あっバカレティあれはうっかりなんだぞ!!」
「はいはい……」
最初に慧音と会ったときはいきなり弾幕勝負してしまい、負けてしまったけど人里に来た訳を話すと慧音は驚いた顔をし、そして直ぐに笑顔で私のかまくら作りを手伝ってくれた。そうしてからは毎年かまくら作りを寺子屋の生徒たちと手伝ってくれるの。まぁ今年のは昨日の夜遅くから一人で頑張って作ったのだけどね。
「ねぇ、レティ。私もかまくら入ってみたい……」
「ん? リリーはかまくら入ったこと無いの?」
「うん……本でしか読んだことないからほんとにあったかいのかなぁって……」
「慧音……空いてるかまくらあったかしら?」
「んー……無かったような、でも春告精はかまくらどころか雪景色すら初めてか。おーいお前たちー。レティとリリーが二人でかまくら入りたいって言ってるから少しだけ代わってやってくれー!」
「はーい!!」
「さ、どうぞ、お二人さん。」
そう言って慧音はその白い歯を見せつけるような笑顔して雪遊びの途中の子供たちを連れて寺子屋の方向に戻っていった。空気を読んだつもりなのだろう。よけいなお世話なのに……
とりあえず私は期待で目をキラキラと輝かせているリリーにかまくらに入るよう伝えた。
「えー、一人じゃ多分寒いから二人で行こっ!! ほらレティもおいでー!!」
「あっこら私は何回も入ってるから……」
「いーからおいでー!!」
リリーに手を引かれるままにかまくらの中に入った私はすごくドキドキしていた。いきなりとはいえ手を握られてしかもそのままこんな閉所に二人っきり。こんな状況は初めてよ……嗚呼どうしたらいいの? 慧音のバカバカばかバカバカばか……覚えておきなさいよ。
二人っきりで入るかまくらの中は一人で入る時よりも暖かく、とても広く、リリーをとても近くに感じた。
すぐ隣には今日初めて会って知り合い? 友達? あぁどっちなの? でも私の中では友達よりもずっとずっと大切な人……なのかな? でもリリーは私のことただの雪女としか思ってないのかも……どうしようどうしよう。聞いてみようかしら? そうよ聞くだけなら何もおかしいことなんて無いわ!!
「ねぇ、リリーは私の事好き?」
「うん、好き、ううんっ好きじゃない。大好き。今日初めて会ったけどいっぱいいっぱいレティを好きになれたよ。」
「ばっ……ばかっ!! そんなの私が先に言うことなのに!!」
「え、じゃあレティも私に言ってよ。『大好き』って。」
何そんな可愛い笑顔こっちに向けてるのよーーーー……!! 可愛いじゃないのバカ……あぁ好き、リリー、好き。あぁ早く、声に出して言わないと。言わなきゃ伝わらないわ。レティ、さぁ早く。言わなきゃ。さぁ!!
「わ、私もリ、リリーの事が。だ、大好きよ。」
「えへへー。うれしいなぁ、レティから声を掛けてくれなかったら私、告白する勇気が出なかったよ。」
「むぅ……かまくら、暖かいわね。」
「うん。冬も悪くないなぁ……」
このまま私達二人はかまくらの中で眠ってしまい。翌朝、二人っきりで肩を寄せ合いながら眠っているのを人里の人々に見られてしまうのでした。
雪がその日まで振らなかった暖冬のある日、とうとう初めての雪が降った、私は冬が好きだけどその中でも雪が大好き、だって冬の雪がこの幻想郷を真っ白にする景色は本当絶景だから。
今年はもしかしたらずっと暖かくて雪なんて降らないと思っていたけど大丈夫だったわね。
雪空をフワフワと飛び回っていると目の前に今にも落っこちそうな飛び方で飛んでいる人影を見つけた、少し面白そうだったから付いて行ってみると案の定バランスを崩して落っこちた……と思ったら直ぐに体制を立て直したの、なかなか面白そうだし、少し気になったから声をかけてみることにした。
「ちょっと貴方。大丈夫?」
「は、はい!! 昨日まで春みたいに暖かかったから樹の下で寝ていたらいきなり雪が降ってきてびっくりしちゃった。」
「ふーん、貴方もしかして春妖精? 私は雪女のレティ・ホワイトロック。こんな日に貴方のような人に会えるなんて珍しいわね。」
「ふぇぇ、あなたが雪女さんですか? 噂で聞いていたよりも綺麗なんですね!」
どうやら妖精の間では私は結構悪い印象を持たれていると思っていたのだけどこの春妖精の反応を見る限りそこまで悪い事は言われてないらしい。
私は基本冬にしか活動しないしその冬の活動の中でも特に悪いことをするわけでもなくただそこら中をふわふわと飛び回ったり、人里の広場にかまくらを作ったりするぐらいしかしていないから私のことを知らなくても当然か。
「ねぇねぇ、レティは冬にしか居ないの?」
「あら、初対面なのにもう呼び捨てかしら? かわいいわね。」
「呼び捨て……嫌?」
「ううん。別に気にしないわ、そうね……冬以外は基本家で眠っているのだけど、一応春や秋の涼しい日には目が覚めるわね。またすぐ寝ちゃうけど。」
「寝る子は育つって妖精仲間から聞いてたけどやっぱりそうなのかなー……レティおっきい。いいなぁ。」
そう言って春妖精は私の胸元を珍しいものを見るかのようにまじまじと視線を送っていた。
別に寝ているから大きいわけじゃないし、多分体質的な問題だと思うわ。
しかしこの春妖精、暖冬だからって出てくるとは中々のバカなんじゃないかしら……いや、バカというよりは……やっぱりバカとしか表現できないわね。
「あ!! 私まだ名乗っていなかった!! リリー・ホワイト!! 春を告げる妖精です!!」
「あら、春妖精じゃなかったのね。ごめんなさい。そう貴方は春告精なのね。」
「うん!! しかも私の名前にも『ホワイト』ってあるからもしかしたらレティと今ここで会うのは運命だったのかもね!!」
リリーはそう言って私に微笑んでくれた。その微笑み顔はどこか暖かくて心の奥からこそばゆい何かが私の全身を駆け巡った。
その何かは私がこれまでに感じたことのないほど心地良い物でまさかここまで全身が気持ちよくなるようなことがあるなんて……まさか、私……?
「どうしたの? レティ。ボーってしちゃって。あ、まさか私の笑顔にキュンッって来ちゃった?」
「……そうみたいね。さっきの貴方の笑顔、すごく可愛かったわ。」
「え、ええっ!? そんな事私の目の前で言わないでよ!! レティのバカ!!」
バカと言われてしまった、嫌われてしまったのかしら? いや、顔を真っ赤にしている所から見るとやっぱり嬉しいのね。子供って可愛い。
私は顔を兎の目の様に真っ赤にしたリリーを人里に作ったかまくらに招待するために連れて行くとそこには元気よく雪合戦や雪だるまを作っている子どもたちの姿があった。
「あー、慧音先生。今年もレティお姉ちゃんが来てくれたよー!!」
「おー、レティか。今年もかまくらを作ってくれて助かるよ。ウチの子供たちも大喜びだ……おや、そっちに居るのは春告精じゃないか。そっか、昨日まで暖かかったからな、そしてレティに捕まったと。」
「ち、違うよ!! レティは何もしてないよ!!」
「失礼ね慧音……私が日頃から拉致してるみたいじゃない……」
「あっはっは。冗談だよ冗談。レティが最初に人里にやって来たときは何しに来たんだと思ったがまさかかまくらと雪だるまと雪うさぎを作りに来てたなんてな……」
「もう!! 慧音!! そんな昔の話をするのはやめてよ!!」
「そこまで昔だったかなぁ……? 最近の事だと思うぞ?」
「もう、かまくら作るのは今年は大変だったのよ? だから雪うさぎと雪だるまは作れなかったわ……ごめんなさいね。」
「いやいや、いつもいつも子供たちの為に色々してくれるのは私としても感謝している。子供たちを代表して、礼を言うよ。」
「ねーレティ。慧音先生と初めて会った時ってどんな感じだったの? 慧音先生からしたら結界を通り抜けて入ってきた妖怪でしょ? よくここまで仲良しになったね。」
「それはそうよ。だってあの時慧音宴会でお酒を飲み過ぎて結界を張るのを忘れてたのだから入るのは余裕だったわ。」
「あっバカレティあれはうっかりなんだぞ!!」
「はいはい……」
最初に慧音と会ったときはいきなり弾幕勝負してしまい、負けてしまったけど人里に来た訳を話すと慧音は驚いた顔をし、そして直ぐに笑顔で私のかまくら作りを手伝ってくれた。そうしてからは毎年かまくら作りを寺子屋の生徒たちと手伝ってくれるの。まぁ今年のは昨日の夜遅くから一人で頑張って作ったのだけどね。
「ねぇ、レティ。私もかまくら入ってみたい……」
「ん? リリーはかまくら入ったこと無いの?」
「うん……本でしか読んだことないからほんとにあったかいのかなぁって……」
「慧音……空いてるかまくらあったかしら?」
「んー……無かったような、でも春告精はかまくらどころか雪景色すら初めてか。おーいお前たちー。レティとリリーが二人でかまくら入りたいって言ってるから少しだけ代わってやってくれー!」
「はーい!!」
「さ、どうぞ、お二人さん。」
そう言って慧音はその白い歯を見せつけるような笑顔して雪遊びの途中の子供たちを連れて寺子屋の方向に戻っていった。空気を読んだつもりなのだろう。よけいなお世話なのに……
とりあえず私は期待で目をキラキラと輝かせているリリーにかまくらに入るよう伝えた。
「えー、一人じゃ多分寒いから二人で行こっ!! ほらレティもおいでー!!」
「あっこら私は何回も入ってるから……」
「いーからおいでー!!」
リリーに手を引かれるままにかまくらの中に入った私はすごくドキドキしていた。いきなりとはいえ手を握られてしかもそのままこんな閉所に二人っきり。こんな状況は初めてよ……嗚呼どうしたらいいの? 慧音のバカバカばかバカバカばか……覚えておきなさいよ。
二人っきりで入るかまくらの中は一人で入る時よりも暖かく、とても広く、リリーをとても近くに感じた。
すぐ隣には今日初めて会って知り合い? 友達? あぁどっちなの? でも私の中では友達よりもずっとずっと大切な人……なのかな? でもリリーは私のことただの雪女としか思ってないのかも……どうしようどうしよう。聞いてみようかしら? そうよ聞くだけなら何もおかしいことなんて無いわ!!
「ねぇ、リリーは私の事好き?」
「うん、好き、ううんっ好きじゃない。大好き。今日初めて会ったけどいっぱいいっぱいレティを好きになれたよ。」
「ばっ……ばかっ!! そんなの私が先に言うことなのに!!」
「え、じゃあレティも私に言ってよ。『大好き』って。」
何そんな可愛い笑顔こっちに向けてるのよーーーー……!! 可愛いじゃないのバカ……あぁ好き、リリー、好き。あぁ早く、声に出して言わないと。言わなきゃ伝わらないわ。レティ、さぁ早く。言わなきゃ。さぁ!!
「わ、私もリ、リリーの事が。だ、大好きよ。」
「えへへー。うれしいなぁ、レティから声を掛けてくれなかったら私、告白する勇気が出なかったよ。」
「むぅ……かまくら、暖かいわね。」
「うん。冬も悪くないなぁ……」
このまま私達二人はかまくらの中で眠ってしまい。翌朝、二人っきりで肩を寄せ合いながら眠っているのを人里の人々に見られてしまうのでした。