Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

台風と鰻と九尾と

2011/07/21 23:44:39
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※藍様の身長を紫様の身長より頭一つ分大きくするとよりお楽しみ頂けます。たぶん。






























数日前、外の世界で台風があったらしく幻想郷にも小型の台風が訪れた。

私は主に代わり結界の修復作業を行っていたがその所為で濡れ鼠ならぬ濡れ狐といった様相を呈していた、なんか濡れって言葉が付くとエロティックに聞こえてしまうのは私が狐だからですか?それとも傾国の美女だからですか?

そんな事ばっかし考えながら結界の修復を行わなければならない程作業は大変だったとだけ言っておこう。
何?式が剥がれやしないかって?紫様の式がこんな雨ごときで剥がれる訳が無い、剥がれてくれたらどんなに良かったか。だから外回りは苦手なのだ。



雨に濡れた私が帰宅したのは日も暮れてきた頃だった。日は無いので「日も暮れてくる筈の頃」か、ややこしい。

熱い風呂でも湧いているか何か軽い夜食でも作っててくれれば嬉しいなーと思いながら私は家の門戸を潜った。

「おーい、帰ったぞー。」
「あ、藍様!」

帰ってきた私を真っ先に迎え入れたのは我が家のおさんどん役を任せた橙だ。
本当はマヨイガに居る筈なのだが台風の所為で式が剥がれるなどのアクシデントがあるといけないし、もし私が今日一日家に帰れなかった時の家事を任せる為に今日は家に招いたのだ。

そこには私が家に帰った時熱燗を作っていてくれないかなーとか風呂を入れていてくれないかなーとか何か作っていてくれないかなーとか布団を敷いていてくれないかなーとかそういった下心があるのだが。

「藍様!お帰りなさい!」

これは私の娘の橙です、英語で言ってみよう ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! はい、りぴーとあふたーみー ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! はい、よくできました。

「お、今帰った。」
「あらあら藍、ずぶ濡れじゃない。まるで濡れ鼠ならぬ濡れ狐ね。」


私がさっきまで考えていた事と同じことを言うこの人はこれは私の主の紫です、英語で言ってみよう そ~れ B…

「お~っと腕が滑ったぁ~っ!」
「ぐぼっ!」

途端に鳩尾に鋭く重い一撃、これは腕が滑ったってレベルじゃない、腕が滑って尚且つそれに速さと重さを付け加えた一撃だ。
堪らず私は膝から崩れ落ちて…

「突っ込みありがとうございました。」
「まだまだね、ボケに切れが無いわ。」
「精進します。」

そんな訳はなかった。私は九尾の狐だ、妖獣最強の耐久力と体力がこの程度で屈する訳が無い。今のは私と紫様のほんの挨拶なのだ。

因みにこの光景を最初に見た橙は「藍様をいじめるなぁ~!」と言って勇敢にも紫様に立ち向かって行った、自慢の娘だ。そのあと誤解は解けたが。

更に因みにこの光景を見た霊夢と魔理沙は「あ、うん、お大事に」と訳の分からない台詞を言いながら逃げようとした、橙とは雲泥の差だ。

「どうでも良いけどそのBBAネタはいい加減止しなさいよ。」
「嫌ですよ、面白いし。」
「あんたは私になんか恨みでもあるのかしら?あぁん?」
「いや無いですよ、ただ私の主人にはもっと仕事をしてもらえれば私の負担が減るかなぁって。」
「…ごめんなさい」

ちなみに私は紫様の事をババアとは思っていない、ぐうたらではあるがこれでも私の誇るべき主だ。
だがそれとぐうたらは話は別だ、そこの所は分かってもらいたいのだが紫様は「私から睡眠を取ったら死んでしまう!」と必死で抵抗している。
私の力を使えば紫様を叩き起こすことは可能なわけだがそれをしたことは今までに一回も無い、何故なら流石にそれは不忠すぎるし…

「……ぐすっ」

ほら!涙目の紫様可愛いじゃん!?可愛いよね!うん、可愛い、思わず抱きしめて頬ずりしたくなる。
紫様はいじられてなんぼだと思っているので後悔も何もしていない。あくまで弄るのは私だが。

「すみません皆様、これが八雲家です、キャラ崩壊すみません、作者には後できつく言っておきますから…」

む、橙が虚空に向かって何か言っているぞ。
紫様の頭をさりげなく撫でながら橙に話しかける事にした。

「ねえ藍、撫でるの止めてくれな」
「橙?何を言っているんだ?」
「作者はこの間半殺しにしたんだすけど『おっしゃまの何処がいけない?例え世界中がそのキャラは流行らないと言っても私は断固として藍様はおっさん臭くあるべきだと言い続けるぞ!』と訳の分からない理由をほざいていまして。」

メタネタ 
ふとそんな単語が頭をよぎったが触れてはいけない境界を感じて考えるのを止めた。
とりあえず橙の独り言を止めさせないといけない。

「藍?そろそろ止め」
「橙?」
「はっ!すみません藍様。」
「ふむ、体が濡れているので何か拭く物を用意してくれないかね?」
「あ、はい!ただ今!」

橙はとてとてと足音を立てながら駆けて行った。
うん、いい子だ

「藍?そろそろ止めなさい?」
「何をでしょう紫様。」
「だから撫でるのをやめ」
「持ってきました~!」
「お、速いな。」

橙は仕事が速くて助かる。
私は髪にかかった水を拭いた。その間紫様の髪撫でていたので片手で大変だが背に腹は代えられまい。
ああ、紫様の髪は良い匂いがする。

「へっくし」

しかし寒い、拭いただけでは衣服にべったりとつく衣服まで乾かせない。

「へ~っくし」
「まるで加藤茶の様なくしゃみね。」

誰だか知らないけどなんだか凄そうな名前が出てきた、おもにセット的な意味で。
「まさか風邪をひくことは無いでしょうね。」
「ありませんよ、何でそんなことを言うんです?」
「藍、あなたが風邪をひくと幻想郷の秩序並びに八雲家の秩序が乱れるわ。」
「ほう、どんな感じにでしょう?」

そんな話は聞いたことが無いぞ

「この表を見なさい。」

そう言ってスキマから紫様が取り出したのは一枚のボードだった

一日目:気温が一度上がる            巫女が気付く程度
二日目:河童の集団川流れが起きる        巫女が欠伸をする程度
三日目:地底で妖怪がロリコンに目覚め始める   巫女が準備をし始める
四日目:全国の従者が一斉蜂起          巫女が異変解決を始める
五日目:地震多発                巫女が異変の原因を突き止める
六日目:はいてない疑惑の一斉解決        巫女がうちに怒鳴り込んでくる
七日目:幻想郷が爆発する

「こんな感じね。」
「突っ込みどころしかありませんね。特に一日目以降。」
「突っ込んだら負けよ、計算した私でもまさかこんな結果になるとは思わなかったんだから」
「さいですか。」

どうやら私が一日休暇を取っても幻想郷は大変なことになるらしい。
どうやって計算したらこんなことになるか分からないが流石は紫様と言った所か。

「八雲家の秩序が乱れるというのは?」
「もふもふ」
「把握しました。」

言わずもがな

「という訳であなたは風邪を引くわけにはいかないの。」
「…何が言いたいんですか?」
「ボッシュート」

ああっ! わたしは あしもとにとつぜんひらいたすきまにのみこまれてしまった!
ざんねん! わたしのたびは ここでおわってしまっった!

…となるわけも無く

「うん!よく似合ってる。」
「紫様、いい加減私の服装で遊ぶのをを止めてもらえません?」

私はゴスロリ…と言ったっけ?そんな出で立ちでスキマから出てきた。
紫様はしばしば私を着せ替えて遊ぶのだが私に何か恨みでもあるのだろうか?

「手を私の頭から外しなさ」
「ほー、藍様似合ってますね。」
「うーむ、あまりこのフリフリは似合わないと思うのだが。」
「いえいえ、似合いますよ。」

なるべく簡素で動きやすい服装が良いのだが、こういった服装は恥ずかしいから困る。

「格好を気にしないのは親父の考えが」
「ていっ!」
「うひゃっ!」

紫様が何やら失礼なことを言いそうな気がしたので九尾必殺口封じをしておいた、どんな技なのかは内緒だが。

しかしこの服装はまだまともだ、紫様の調子が乗っているときは妙にぱっつんぱっつんなナース服、妙にぱっつんぱっつんなチャイナ服、妙にぱっつんばっつんな制服、スクール水着などに着せ替えられる。なぜぱっつんぱっつんが多いのか。

「それは体格的な問題よ。むっちむち、ぱっつんぱっつん。」

流石にいつもやられているだけあって復帰が素早い。
紫様はくるりと半回転して私を上から下まで見ようとしたが私が抱き着いて撫でているのでそれは叶わなかった。

しかし諦めていない様でスキマ経由で私の全体像を覗いていた。

「うん、素材が良いと何でも似合うわね。」
「こんな物いつもどこで仕入れて来るんですか?スキマ経由で?」
「いや、アリスに作ってもらったのよ。」
「やけにマルチですね…」
「依頼人:八雲紫
 職人:アリス・マーガトロイド
 資料提供:東風谷早苗、パチュリー・ノーレッジ、稗田阿求
 材料提供:森近霖之助、黒谷ヤマメ、人里の皆様
 その他提供:紅魔館、地霊殿
 の提供でお送りします。」
「何気に豪華キャストですね。」

私の衣装一つにそれだけの人員が関わっているのかと思うとなんだか複雑だ。

「大丈夫よ、皆暇だからやっただけだし。」
「そういった事は伏せておいた方が良いと思いますよ紫様。」
「オブラートに包むなんてこの幻想郷においてろくな結果を生みませんわ。」
「そういった事は風祝に任せておいた方が良いと思います。」

この幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!

ゴスロリは良いとしよう、特に衣装は気にしない
しかし私はいつも分からないのだがこのスキマに入ると衣服が変わるのは一体いかなる仕組みなのだろう。

「気になる?」
「気になりますが聞くのはやめておきます。」

八雲家家訓その三「世の中には底知れぬ闇がある、博霊神社の賽銭箱の底と博麗の巫女の胃袋と八雲紫のスキマの中身だ」とは良く言ったものだ。

「とりあえず風呂に入って来なさい、橙が沸かしてあるから。」
「はい、分かりました。」

流石は橙だ、分かっている。
この冷えた体に熱いお湯は染みるだろう。あの感触はいつもぞくぞくするものがある。

「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」
「はいはい、紫様ですね。後で美味しく頂きますよ。」
「身も蓋も色気も無いわね。」

傾国の美女の名は伊達ではない。
















かぽーん

我が家の風呂はなかなか広い、三人で入ってもまだ余るくらいには広い。
と言うのも外の銭湯に行ったときに橙が酷く憧れてそれを見た紫様が気まぐれで改築したのだ。
鬼は「酒吞むの飽きた」と気まぐれで協力していた、改築が終わった後「八雲家銭湯完成祝」とか言って宴会してたが、飽きたんじゃなかったのか。

シャワー、富士山の絵、ここまでは普通の銭湯だが全面檜張りなあたりはさすがに贅沢だ。
栓をひねると温かい雨が降ってくる、冷たい体によく染みる温かい雨。

髪を洗い、体を隅々まで洗い、そして尻尾を洗う。、
尻尾は埃、汚れなどを貯め込みやすいので特に念入りに洗うようにしている。
桶にお湯を汲み上げ、念入りに中まで洗う。時間のかかる作業だがこの努力が誇り高いモフモフ感を出すのだ。
それに自分の尻尾を洗うというのは自らを鼓舞することにも繋がる。
なので私は橙にいつも風呂に入るときは尻尾を念入りに洗えと言っているが橙が唯一苦手なものがこの風呂、と言うか水なので苦労している。何で苦手なんだろうな、こんなに気持ち良いのに。

洗い終わったら一気に湯船につかる、私を包む檜の香りが心地いい。
思わず溜息が漏れる、極楽極楽、びばのんのんとか言いながらタオルを頭に乗っけて一息吐く。

良い、実に良い
日頃の疲れが湯の中に溶けだしていくような感覚がする。
ああ――――――なんと素晴らしい。

ちなみにだがこの風呂は天気がいい時に天井が開いて露天風呂になる仕組みになっている。
月を見て檜の匂いに包まれながら晩酌を行うのはこの世の極楽だと思うのだがなぜか判ってもらえない。
しかしこう湯気がこもった浴室も良い物だ、目を瞑ればそのまま寝てしまいそうな心地よさがある、今度サウナを増設してもらおうか。
















風呂から出た私を紫様と橙が待っていた。

「良いお湯でした。」
「藍様藍様、夜食の用意ができましたよ。」

いつの間にか橙は台所で夜食を作ってくれていたらしい、全く良くできた娘ではないかね?

橙が取り出したものは急須と茶碗だった

「ふんふん…これは…」
「お茶漬けです藍様!」

そう、確かにお茶漬けだ。しかしこれは…

「冷えている?」
「お冷や茶漬けです!」

ご飯もお茶も冷えている、確かに風呂で暖まった体には冷茶づけはとても旨く感じるだろう。だが…

「具が無い?」
「いいえ藍様、主役はこれから到着です!紫様!」
「じゃじゃーん」

紫様がそう擬音を発しながらスキマから取り出したのはほっかほかの鰻だった。湯気が如何にも美味しそうだ。

「今日は土用の丑の日よ、もうすぐ日が変わるけど。」

ほう、土用の丑の日ね、確かにそうだった。

「このアツアツの鰻を冷えたごはんに乗っけて。」
「冷やした緑茶をかける!」
「おおおおお!」

何とも旨そうな鰻茶漬けの出来上がりだ!
何とも豪華な一品、これはすぐさま喰らわないと。

「では早速、頂きます。」

箸で鰻のみを崩す、ほろほろと崩れる具はいかにも旨そうだ。

そしてまずは鰻とご飯を掻きこむ、鰻のまだ熱い感覚と緑茶の冷たい感覚のギャップが体に流れ込む。

―――――――――ああ、旨い

時間が経つとこの旨みが消えてしまうのですぐさまかっ込む、勿体ないなどと言う粋で無い事は考えない、ただ食らう。

何だろう、掻きこむというのはいかさか品が無いがそうしなければならないという存在感がある。

噛みしめる素材の旨み、そういうのもある。だがこれは違う、そんな品のあることをするとかえって失礼なように感じてしまう。早く、一刻も早く食べたい、食べ終わりたい、そう思わせる何かがあるそれが本来のルールのように感じさせる何かがある。

体になだれ込む鰻の旨み、緑茶の香ばしさ、すべてが見事に織りなして味わえるハーモニー。

全てが疲れた体に染みこんでゆく。

気が付くと完食していた、空になった茶碗を見てこれほどまでに清々しい気持ちになったのは久しぶりだ。

「ご馳走様でした。」

今日も飯が旨く食える、この感動を再確認することができた。















「くぁ~腹いっぱいになったから眠いなぁ。」
「そうですね、私も眠いです。」
「あ、橙の寝室はここだよ。」

私は寝間着に着替えて寝室へ向かっていた
今日は橙もこの家に泊まれるという事で嬉しそうだ。

「橙、今日の夜食は旨かった、ありがとう、橙。そして紫様。」
「ありがとうございます!おやすみなさい、藍様!」
「ん、お休み、橙。」



台風の日も雨の日も、八雲家の一日はこんな感じに平和に過ぎてゆく。
そこにほっとしながら寝室に向かう私であった。










































「…藍?」
「はい何でしょう紫様。」
「何で私を持ち上げたままあなたの寝室に入ろうとするのかしら?」
「言ったじゃないですか『後で美味しく頂く』って。」
「へっ?」


…………

じたばた

ガシッ

じたばたじたばた

からからからから

じたばたじたばたじたばた

スーッ

パタン
先日、八雲亭にて発生した八雲藍による下剋上事件、生憎カメラマンの失態によってその全貌を写真に収める事は出来なかったものの天狗突入部隊によって八雲藍は捕縛された。
八雲藍の部屋で行われた<激写されました>の被害者、八雲紫は「もうあんな<激写されました>なことはしたくない。藍は鬼畜だと<激写されました>」と語っており本書記者は「紫様は可愛い事を再確認できてよかった」と後悔していないこの狐の余罪を<激写されました>。
                  by 射命<激写されました>





土用の丑の日ネタ間に合った!(今年は7月21日と8月2日が土用の丑の日だそうで。)

そんなこんなで日常では風呂が道楽 作者です

ようやくいろいろと一段落ついて机に突っ伏して真っ白になっていたら
背の高い藍様に撫でられるちび紫様と
いろいろと悟ったしっかり者の橙と
涙目が似合う紫様と
煙草が似合う藍様と
何故か旨そうにお茶漬けを食べる藍様を幻視しまして。

最後に窓から見える雨を見て「あれ?何か雨に濡れる藍様ってエロくね?」と思ったので30分で書き上げました、その後また力尽きて真っ白になっていたけど、実を言うとそれがやりたかっただけなのだけど何故か書けなかった、反省。ぐぬぬ

「私の藍様はこんなのでは無い、もっとカリスマ溢れる金毛白面九尾の狐だ。」など考えている方、すみません、いつか書きたいと思っています。

さて、編集部では皆さんのお便りを募集しています
「あなたはどんな藍様が好きですか?」「あなたはどんな八雲家が好きですか?」「藍様はエロいですか?」
などの回答並びに誤字脱字報告、アドバイスもしくは叱咤激励、批判、カメラマンに対する処罰、ちり紙交換などなんでも受け付けております。

>>1さん
伏せ字はいらないと。分かりました。
しまった、確かに加藤茶だった。バカ殿がくしゃみをする光景が何故か頭に…。ありがとうございます

>>2さん
藍様の苦悩は続く…
芒野探険隊
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
一番エロいのは「下剋上事件」を覗いていた橙。


へ~っくし」
>「まるで志●の様なくしゃみね。」

くしゃみといえば加●だとおもうけど、なぜに志●?
(あと別に伏せなくてもいいような気が)
2.名前が無い程度の能力削除
長年の疑問を解決するには藍様を六日寝込ませなくてはならんのか・・・