この話は作者の「クールな霊夢とクールなアリス」の続き物です
続き物ですが
アリス→霊夢
霊夢→アリス
以上の事を覚えてもらってれば差しさわりの無い程薄いです、色々と。
レイアリです 百合です レイアリです 大事な事なので(ry
それでは本編どうぞ
皆こんにちは、もしくはこんばんは、誰に言ってるか分からないけど。
博霊神社の愉快な巫女(他称)、博麗霊夢よ。
私は今、魔法の森の中を歩いているわ。
なんでそんなところを歩いているかって?
この間の宴会でアリスにアリスの家に行ってお菓子を食べる事を約束したのよ。
だからその為にアリスの家にお邪魔しに行くって訳。
そう、あくまでお菓子を食べに行くだけ、決してアリスの家に行きたいなんて事は…。
…………
無い、無いったら無い、博霊の巫女ルールで断固無い、今私が決めた、無いったら無い!
はあ はあ はあ
何をむきになってるのかしら、そうだ、これもアリスが悪い、私が妙に慌ててるのも何でか分からないけど顔が熱いのと理由は分からないけど動悸が激しいのもよくアリスの顔が夢に出て来るのもみんなアリスの所為だ、世の中の悪い事は全てアリスが原因だ。今私が決めた。
そのアリスの家が今、私の目の前にある
小奇麗な白い洋風の一軒家がある
それにしても何てことだ、世の中の悪い事が全てアリスの原因とするとアリスは全ての異変の首謀者と言う事になるのだ。
大変だ、こうなったらアリスの家に乗り込んでお菓子をたんまり食べてアリスを成敗するしかない、成敗してやる。
してやるったら。
………。
駄目だ、アリスのドアが開けられない、ドアをノックするどころかチャイムも鳴らせない、ドアもチャイムも手を弾き返してしまう。
うぬぬぬぬ
どういう事だ、しまった、これもアリスの罠か、私が来ることを予測しておいて罠を張っていたのか。ドアにもチャイムにも手を触れられない魔法。
うぬぬぬぬ、こけにしおって…
こうなったら博麗流拳法でこのドアを粉みじんにしてくれる、博麗をなめた事を骨の髄まで後悔させてやる。
そうと決まったらまずは準備体操だ、博麗流拳法は「一に安全、二に安全」がモットーだから、しっかりと準備運動しないといけない。
せーの
おいっちにーさんしー
にーにーさんしー
さんにーさんしー
しーにーさんしー
チラッ
もいっちょ ごーにーさんしー
ろっくにーさんしー
しっちにーさんしー
チラッ
はっちにーさんしー
チラッ
…………
チラッ
…まあ準備体操はやるに越したことは無いわ、そう、やり過ぎても誰も困らない。
そうと決まったらもう一回
おいっちにー…
ガチャ
「…霊夢、何してるのかしら」
さん ぽぉぉぉぉっ!?
◆◆◆
いかん、いきなりアリスが来たから動揺して変な奇声を心の中で上げてしまった。
あくまで心の中で、だが。
表面上はいつものクールな霊夢のはずだ。
「あらアリス、お邪魔するわよ。」
ばれてないよね?今の準備体操ばれてないよね?
「霊夢がなかなか来ないから玄関に出ようとしたら霊夢が変な運動をしてるんだもん。」
ばれてたあああああぁぁぁっ!
どうする霊夢、クールになれ霊夢、お前はできる子だ霊夢、とりあえず話題を逸らすんだ霊夢、あくまでクールに、さりげなく。
「ん?どうして私が来るって分かったの?魔法か何か?」
「あなたから手紙をもらったのが魔法だって言うのならそうでしょうね。」
思いっきり墓穴を掘ったあぁぁぁぁぁっ!
しまった、これではアリスに顔向けができない、自分で掘った穴に自分でかかってるような間抜けな巫女など巫女ではない。
こちらがあまりにも深刻な顔をしているせいだろう、アリスが近づいてきた。
ん?近づいてきた?
近づいて
私の顔を
アリスが
「どうしたの?顔が険しいけど。」
じーっと見つめてきた
ああ
アリスの顔が
体が
すぐ近くに
もうすぐ触れ合えるほどに
互いの香りを嗅げるほどに
近く
ああ
なんて
良い香り…
「…どうしたの?」
「アリスさん…」
「はい?」
「近すぎます…」
「へっ?」
アリスは今の状況が飲み込めない様だった
そりゃそうだろう、アリスから見れば私が具合悪そうに見えるから近くに来ただけで。
まさか「ほんの十数センチ」単位でなく「ほんの数センチ」単位にまで近くに寄っているのだから
「ああ…」
アリスはようやく自分のおかれた状況に気付いた様だった、素早くバックステップを取り私から距離を置く。
「あの…アリスさん?」
「…ごめんなさい。」
いや、謝ること無いって
此方としては十分ラッキーハプニングだって
しかし、冷淡なあの反応…
私に気がある感じではないな…
そう思うと少し悲しくなる
それはそうだろう
アリスにとって私は故郷に攻め込んだ憎むべき敵であったわけで。
そして私は春雪異変の時にアリスの事を完全に忘れていたわけで。
アリスにとっては私とはいつまでも「友達」の関係なんだろう。
友達
それ以上進まない関係
私としては物足りない関係
でも
でもまあ
友達になれたんだからいいとしますか。
初対面があんなだったし
ポジティブにそう考える事にする。
幸いアリスは今のハプニングで少し気が動転している様だ。
これは話の流れの主導権を握るチャンスだろう。
「アリス」
「なんでしょう霊夢さん?」
あーあ、完全に敬語だ。
「家、上がらせてもらってもいかしら」
「ああ、もちろん良いわよ。」
そういってアリスの見せた微笑は
気温が高かったからだったのだろうか少し赤面したアリスの微笑は
何故か今までのどんなアリスよりも可愛く見えた。
「そういえばアリスの家に上がるのってこれが初めてよね。」
「え?そうだったかしら?」
そうだ、確かにそうだ
「アリスの家行きたい」その一言がどうしても言えなかった私が言うのだから間違いはない。
あの晩は酒の勢いで思わず「お菓子を食べに来なさい」と言う誘いに乗ってしまった。
否、乗る事が出来た
酒の勢いと言うのは偉大だと改めて思う。
あの夜は興奮で寝つけなかったわ。
アリスの家
何時かは行ってみたい、お呼ばれされたい、そう思っていた所。
意図せずして、全くの偶然が重なって手に入った機会。
あの時ばかりは私も運命を信じてみたくなった。
そうしてようやくたどり着いたアリスの家の中は
すごく
「不気味ね…」
不気味だった
壁に人形
天上に人形
窓脇に人形
暗闇に松崎しげる
人形人形人形人形人形しげる人形人形人形人形人形
人形だらけだった
全方位包囲人形、この家の中には一体どれだけの数が居るのか私には分からない。
能天気に私がそう考えながらアリスの方を向くと何故か俯いてぼそぼそと呟いている。
「…人形…不気味…か…。」
いけない、要らんことを言ってしまったか。
「そうよね…不気味よね…。」
やばい、何だか知らないけど兎に角やばい、巫女の勘がそう告げている
「いや、人形だけっていうのもアリスらしくていいわよね!」
ここは強引でもいいからアリスを誉める、誉めちぎるつもりで誉める
「研究者って感じで格好いいと言うか、とにかく人形師らしくて素敵よ。」
「…本当?」
いかん、アリスの声がか細い、弱気なアリスやばい可愛い、アリスが可愛くて理性がやばい
じゃなくって
「ええ、私は嘘をつかないわ。」
ここぞとばかりにアリスの手を握る
「信じて、アリス。」
どうやらアリスは機嫌を取り戻したようだった。
何時もの無表情な顔に戻っている。
しかし両者が冷静さを取り戻した結果気が付いた
私とアリスが
手を繋いでいる
アリスの人形師らしい少し硬い掌
柔らかくないけどそれが如何にもアリスらしくて…。
いやいやいやいや
「あのー…」
「何かしら。」
「ごめんなさい」
「…?」
何故か謝ってしまった。
「あの…手。」
「ああ、繋いだままだったわね。」
アリスはさも気にしていない風に言う
さっきまでの弱気アリスはどこに行ったのか。もっと見たかったのに
「さて、じゃあダイニングにでも行きましょうか」
アリスは手を放してしまった。
恥ずかしかったが、もう少しアリスの感触を味わっていたかったと私は未練たらたらだった。
◆◆◆
「ヘーイ、シェフ、今日のメインディッシュは何かな。」
「霊夢、また紫から外の世界の単語を聞いたの?」
「何か料理が来るときはこう言うものだって。それで料理が旨かった時には『シェフを呼べ!』と言うんだって。」
「…霊夢、完全に紫にからかわれてるわね。」
「むう、外の世界の事は分からないわ。」
「だったら誤っているか分からない知識を無暗矢鱈に使わないことね、余計な誤解を招くわよ。」
「余計な誤解が付いたところで私には関係が無い話だと思うんだけどね、それにそもそも外の世界の事なんてほとんどの幻想郷の奴らは知らないと思うわ。」
「紅魔館とかなら通用しそうだけどね。あんたあのちびっこに笑われたいのかしら。」
私に指を差してげらげらと笑うレミリアと苦笑を浮かべる咲夜と無表情のパチュリーを思い浮かべる、確かにそれは非常に至極面白くない情景だ。
「ふうん」
考え込む私を見てアリスが何か考えている
「あんたも少しはそういう事考えるようになったのね。」
ずいとこちらに向けて顔を突き出した
蒼い目が私を見据えている
此方を鷲掴みにして離さない程透き通った蒼い目が
「そういう事って、何を。」
「だから、恥って物をよ。」
恥?
「あんた、レミリアに笑われるのが面白くないって思ったでしょ。」
確かに思った。
「それが恥よ。」
「恥、ねえ。」
「信じられないわ、何の躊躇も無く魔界に攻め込み、多くの魔界人を踏みつけて行った奴とは思えない。」
アリスはそこまで言うと一旦考えこみ
「ふむ」
と言うと盆に乗っていたチョコレートを摘まんでこちらに差し出した
何だこれ
どういう意味だ
「ん、チョコレートよ。」
「いや、そうじゃなくて、何で手に持ってるのかなって。」
「食べさせる為でしょ。」
今さらっと衝撃的な発言したぞ
何だって?
私が、アリスの指に摘ままれている物を食べるだって?
それってつまり…
いかん、それはいかん、絵的にいかん、私の理性がいかん そんな事してたら私がアリスを襲ってしまうかもしれん
「ほら、夏だからチョコが解けちゃうでしょ、早く食べなさいよ。」
むむむ、これはもう覚悟を決めるしかない、己が野獣と化しても良いと言う覚悟だ。
「じゃあ…頂きます。」
んむ、とアリスの指に挟まれているチョコを咥える
口の中に広がる甘み そしてほんの少しの異物感
アリスの指の感覚
ああ、私今アリスを食べているんだ
そんな変てこな自覚
しかしこのままでは終わらせない、やられっぱなしでは博麗の名が廃る
「んむっ」
「んっ!?」
チョコをアリスの指から取らないまま舐めきる
少しづつ、少しづつ
アリスの指も舐めながら
「んっ!?ん~っ」
アリスは何だか身をくねらせている、くすぐったいのだろうか。
やがてチョコが完全になくなったので私はアリスの指を綺麗になめとって口を指から離した。
かすかなちゅぽん、と言う音と共に茶色い唾液が糸を引く。
なにこれエロい、チョコなのに。
してやった顔でアリスを見るとアリスは驚くほど無表情だった。
さっきまで身をくねらせようとしていたアリスは何だったのか。
アリスは此方を振り向くと
にやり
と笑った。
それはぞっと背筋に悪寒がする程淫靡で妖艶な笑みだった。
「それじゃあ霊夢」
アリスは此方にチョコが山盛りの盆を差し出した
何をするつもりだ
まさか
「次は霊夢のチョコを私が食べる側ね。」
訂正
アリスには勝てる気がしない
◆◆◆
それからの私は完全にアリスに押されたままっだった
「チョコ、美味しかったわ。」
「作った人が言う言葉じゃないでしょ。」
「霊夢は美味しくなかったの?」
「…美味しかったわ」
そういえば何故アリスはあんなことをしたのだろう、妖怪の考える事は分からない。
まあ、分からないままで良いのかもしれない。
「お菓子のみなら毎日食べに行きたい位。」
「毎日来られたら家のお菓子ストックが無くなちゃうわよ。」
「じゃああまり来れないわね。」
「そうね、私としてはそれでもいいんだけど。」
「アリスのお菓子は美味しいかったからそれは困るわね…。」
「ふふ、冗談よ、お菓子なんか幾らでも作れるから。いつでもいらっしゃい。」
「ありがとう」
私とアリスはいつものような社交儀礼じみた挨拶をして別れた。
閉じていくドアを見ながらアリスに心の中で話しかける
ねえアリス
私がこういう風に挨拶するのってアリスだけなのよ。
人のうちに行くのにわざわざ手紙を書いたのはアリスが初めてなのよ。
ねえだから
ほんの少しだけ
ほんの少しだけで良いから
気付いて
気付いてよ
アリス
無理なお願い
きっとアリスには気が付いてもらえないだろう
それでも私はアリスを見続けたい
私の体が、妖怪よりも短い人間の寿命の体が朽ちるまで
いつかこの声が届く事を願いつつ
その可能性が限りなく0に近いと分かっていても
私は想う事を止められない
アリス
人形遣い
私の気になる妖怪
今頃はもう人形作りに入っているだろうか
それとも新しいお菓子を開発しているだろうか
これまでも、そしてこれからも
私は家にいるだろうアリスに向かって思わず呟いた
「本当に、鈍感なんだから…」
続く?
チョコあげるときとかきっと大変だっただろうw
ピクッ
エロイ!アリスサイドも是非お願いします!
是非お願いします
前作で霊夢がアリスの家に突撃してるけど
時間軸的にはこっちが前なのかな?
アリスサイドが来るまで正座して待つか
やっぱりレイアリはいいなぁ、主に更に期待期待ィ!
アリスは鈍感受けか計算攻めがいいとおもうんだ。
レイアリ万歳