陽光降り注ぐ博麗神社の縁側。
当代巫女博麗霊夢は、喧騒の中、一人ぼぅとしていた。
彼女の周りで騒いでいるのは、友人の霧雨魔理沙とアリス・マーガトロイド。
その話題は、三名の前、庭先に立ちスカートを両手で摘みあげ、くるりと回る東風谷早苗だった。
「お、ブレザーじゃないか」
「うん、可愛いわ。あっちのもの?」
「そうなんですが、おフタリがお知りなことに驚きました」
訂正。ブレザーを着る早苗だった。
事情を聞けば簡単なことで、蔵に眠っていたものらしい。
だからか、未だ成長期の早苗には少し寸詰まりの感がある。
袖が短かったり、ふとした拍子で臍が見えそうになったりと言ったところ。
「うどんげの普段着だしな」
「セーラー服も着せてみたい」
「そちらもありますよー」
中に入っているのだろう、腕にかけていたこげ茶色の学生鞄を軽く叩く早苗。
どうやら早苗は、話の種にと着てきたようだ。
彼女の目論見は五割方成功している。
友人には好評なのだから。
残りの五割は、特に何のリアクションもせず、何時も通りに茶を啜っていた。
「うん? 制服ってくらいだから一つじゃないのか?」
「は……っ、辛かったわね早苗、ろくでなしの神様に着せ替え人形にされて……!」
「どちらもと言う学校もあるんです、魔理沙さん。えと、アリスさん、そう言う訳なので誤解です」
眉根を寄せる早苗の視線から、そっぽを向き逃げるアリス。
「あと、うどんげに云々言ってたあんたがゆーな」
話を全く聞いていなかった訳ではないようで、ここぞとばかりに霊夢が追撃を入れる。
うぐ、とアリスが声を詰まらせた。
巫女の一撃は的確だ。
「はふ……」
しかし、意外なところから反撃が繰り出される。
「挨拶のあとの第一声がソレだなんて……」
「まぁまぁ、無茶を言ってやるな、早苗」
「霊夢は花より団子だものねぇ」
早苗の溜息に魔理沙も合わせ、揶揄と共にアリスが締めた。
「うぎぎ……」
一糸乱れぬ連撃に、流石の霊夢も言葉を返せない。
そも、三対一では分が悪すぎる。
弾幕戦とは違うのだ。
結局、こくりと茶を一啜りして間を空けた。
「だって、その服って寺子屋……ガッコウに着ていくものなんでしょう?
私、そう言う所に行ったことないし、行く予定もないし。
興味無くてもしょうがないじゃん」
ぷぃす。
言っていることに誤りはないが、魔理沙だって同条件だ。
アリスにしたところで、その手の施設に通ったことはない。
だが、視線どころか体の向きまで変える霊夢に、誰もそんなことは言えなかった。
「三人で盛り上がってたら?」
言いつつもその場を動かないのだから、本格的にあかん子だ。
微苦笑のアリス。
肩を竦める魔理沙。
両手を握り、むんと気合を入れる早苗。
言葉なくとも三名は、霊夢の興味を引く話題を提供すべきとの認識を共有するのであった。
一番手、アリス・マーガトロイド。
「んー……ねぇ早苗、学校は勉強するだけの場所じゃないわよね?」
「存在意義のほとんどを素っ飛ばしになられるのですね」
「だって霊夢だし」
さらりと酷い。
「勉強以外、ですか。そうですね、文化祭とか体育祭とか」
「文化……いい響きね。都会的な言葉だわ」
「あ、妙なスイッチを……」
手を組み目を細めて笑むアリスに、早苗は苦笑した。
「学生がすることですから、大それたことはできませんよ。
実際、私のクラスでやったのは素人演劇でしたし。
それはそれで楽しかったんですけど……ね」
唐突に、早苗の表情が変わる。
『楽しい』と感じていたのは事実だろう。
今いる環境、有体に言うと知人が、語尾の詰まった原因だ。
思い出して頬を掻く早苗に、アリスが首を捻る。
「創作?」
「いえ、私は古事記を推しました」
「原典があると言うことね。で、結局、何を演じたの?」
郷土愛あふれる早苗の提案は、クラスの少女たちに慈しむ目で愛でられつつ却下されたそうな。
歯切れ悪く、早苗は応えた。
「御伽草子の……」
「こっちの童話ね。……あー、まさか」
「お察しの通り、なよ竹の姫を題材にした竹取物語です」
趣向を凝らしたその劇は『お遊戯』のレベルではなかったのだが、そう言う話ではない。
なよ竹の姫、つまりは永遠亭の主、蓬莱山輝夜が主役の話だ。
いくら演技や舞台装置を凝らしても、どうにもできないこともある。
要は、当の人物を知っているからこそ、早苗にもアリスにも輝夜役の演者が見劣りしてしまう。
容姿に限れば、輝夜のソレは時代時代の感性を無意味にする。
「それで……その言い方だと」
「はい。私が輝夜さん役でした」
実際に、早苗自身が見劣りしていたと思っている。
微妙な沈黙に、会話の接穂を探すアリス。
助けは意外なところから放たれた。
45度、顔が傾けられている。
霊夢だった。
「早苗だって綺麗よ」
ぽかんと、早苗とアリスは顔を見合わせた。
言って、すぐに戻りかける霊夢。
直前、アリスが手を打った。
動作であり言葉でもある。
「だけど、この件に関してはあんたの方がより適任ね」
霊夢の動きが、ピタリと止まる。
「後ろ姿限定で」
そして、アリスに半眼が注がれた。
「オチを付けなくていいわよ」
「霊夢さんの髪は、射干玉の輝き」
「いやあの、そこまで言われると、……むぐぅ」
口を閉ざす霊夢の顔はしかし、その場で保たれるのであった。
「頬擦りしたい位です」
「おーい、早苗ー?」
「次はあんたよ」
二番手、霧雨魔理沙。
「行事も興味あるんだけどな。とりあえず、日常って奴を聞きたいぜ」
「と言うことは、霊夢さんにも授業に関心があるとお考えなんですね!」
「や、私は、そこでぶーたれてる困ったちゃんは割とどうでもいいんだが」
‘あ゛?‘
この場の誰も発声していない。
しかし、魔理沙の背筋に冷たい感覚が走ったのも事実。
動きを止める魔法使いに巫女と人形遣いが訝しげな視線を送り、ただ、風祝だけが笑っていた。
微笑っていた。
――小さな咳払いの後、魔理沙が続ける。
「その、なんだ……どういう勉強をしているんだ?」
「国語に数学、社会、理科、英語が主な科目です」
「うぇ、多すぎないかソレ」
指折り数える早苗に顰め面を浮かべる魔理沙。
後者の表情が前者の感情を刺激した。
さでずむ。
「体育や音楽、家庭、技術、美術なんてのもあります。
所謂実習科目なので時間は少ないんですけどね。
体育と家庭、技術が好きでした」
守矢神社には、今でも早苗が技術の時間に作ったアイディアロボットが飾られている。
蛇と蛙を模したラジコンだった。
リアルな動きが売り。
「何と言うか……意外と凄かったんだな、お前」
語り終えた途端、心底感心したと言った風に魔理沙が呟く。
多少くすぐったく感じつつ、早苗は小さく胸を張る。
魔理沙からの素直な称賛は珍しく、それは誇らしいことだと思えた。
語ったうちの一科目が致命的なまでに苦手だったが、こうなると言わぬが花だろう。
そうだ、と続ける魔理沙に、愛想良く早苗も頷いた。
「英語で書かれた魔導書で、ちょいと詰まっているところが」
「あ、あ、あいきゃのっとすぴっくいんぐりっしゅ!」
「ん? あー、まぁ全部が全部出来る訳じゃないか」
固まる早苗の発言に、魔理沙は大方を理解した。
けれど、称賛が込められた瞳の色は一向に変わっていない。
何かがおかしいと、漸く早苗は気付いた。
瞳の裏には期待も透けて見える。
「じゃあ、化け学の方で力を貸してくれよ。
出来れば独学でなんとかしたかったんだが、厳しそうでな。
うどんげに聞いても解決しなくて、それとなく永琳に尋ねてくれるよう頼んでいるんだが……」
矢継ぎ早に出される提案に、早苗の疑惑が確信へと変わった。
「あの、ごめんなさい、多分無理です」
「あぁいや、錬金術とかじゃなくてな」
「そうではなくて……」
眉根を寄せ、早苗は申し訳なさそうに続ける。
「中学高校で習うのは、ほんの触り程度なんですよ。周期表とか。
魔理沙さんが思っているほどの専門的なことはやりません。
ですので、力を貸すどころか足手まといに……」
つまり、魔理沙は勘違いをしているのだ。
魔理沙が想像していた勉強、その授業の光景は、大学に近いものだった。
それも、一般教養と呼ばれる類の物ではなく、少人数で行われるゼミのような類だ。
更に付け加えると、魔法使いと月の兎が頭を悩まし、月の天才を引っ張り出してくるような質問をしようとしたことから、大学でも最高峰のレベルと言えた。
そして、恐ろしいことに、魔理沙は全科目でそう言った光景を描いていた。
「あー、早とちりだったか。すまん」
態度と言葉で凡そを理解し、魔理沙が詫びる。
早苗もまた同様に、頭を下げた。
再び訪れる微妙な空気。
どちらが悪いと言うものではないのだが、互いに謝罪してしまったことでぎここちなくなってしまった。
「……家庭的なことは得意よね」
そんな空気を払ったのは、先ほどと同じく、霊夢だった。
「掃除も裁縫もできるし、料理だって和洋中なんでもござれだもん」
「確かにな。だけど、節約術ならお前も負けちゃいないぜ?」
「褒めた振りして貶すんじゃないわよ!」
付き合いの長さだろうか。
すかさず発せられた魔理沙の軽口が、霊夢の顔を固定する。
その角度は90度で横向きと言って差し支えない値であり、後一押しだった。
「なんでしたら毎日作りますよ」
「ちょっと待ってニュアンスおかしくない?」
「思わなくもない。ともかく、最後はお前だぜ」
早苗は、小首を捻るアリスに微笑し、手を打つ魔理沙にこくりと頷いた。
三番手、東風谷早苗。
話を始めるよりも先、早苗は小さく頭を下げた。
動作の意味が解らず、アリスと魔理沙は顔を見合わせる。
一方の霊夢は、その意味を理解しつつ、早苗に対して首を傾けた――『謝るようなことを言うの?』
その通りだと頷いて、咳払いをした後に、早苗は語り始めた。
「それを否定するように話していたのに、結局そういう話題ですので……。
えっと、先ほどの霊夢さんのフォローで思い出したんです。
行事のように楽しみで、授業のように繰り返された、毎日のとある時間を」
情景をより鮮明に思い出そうと、早苗は目を閉じる。
顔を合わせていた二名も、習うように目を閉じた。
霊夢もまた、同じく。
「正午前後、丁度今くらいでしょうか」
今や四名は、思考の中、同じ空間に存在していると言って差し支えない。
一字一句逃さず、ノートを生真面目に綴る早苗。
要領が良く器用なアリスは、とうに板書を記し終えている。
好奇心旺盛な魔理沙は、便覧と言う名の玩具に夢中になっていた。
ただ一人、霊夢だけは、来る時に向け体力を温存し、机に伏せている。
因みに、早苗とアリスはブレザーで、霊夢と魔理沙はセーラー服だった。
「四時間目を終えるチャイムが校舎に響き、ふと気付けば、ふっくらとした香りが漂っていました」
キンコンカンコン、キンコンカンコーン。
その音は、拘束を解く調べ。
鳴りやむと同時、或いは早く、立ち上がる。
普段の服装から紅白とあだ名される少女は、今、一匹の獣となった。
「そう、それはお米の匂い。他諸々の匂い。
今日のおかずはなんだったかしら。
汁物はあさりのお味噌汁みたい。
ご飯に牛乳はどうかと思う」
その動きは、思考の、想像の産物であった。
霊夢ならばそう動くだろう……思い、苦笑する早苗。
浮かんだ絵面が余りにも衝動的で、だから、失礼なことだと頭を下げていた。
だが、結果として、その必要は微塵もなかった。
「つまり、給食の時間ですね」
「早苗、制服かして!」
「え?」
想像は現実となり、紅白の獣が蒼白の人に飛びかかる。
「霊夢さん、そんな、お日様に見られてしまいます!?」
「お日様云々の前に私たちがいるわ早苗!」
「そも霊夢は鞄に手を伸ばしているんだが」
加えて、何が見られてしまうと言うのか。ナニか。
魔理沙の言の通り、霊夢が望んだ物は鞄の中の制服だった。
解こうとしていたネクタイを締め直し、早苗は霊夢を受け止める。
どちらにせよ、今の霊夢なら外で服を脱ぎかねず、それは宜しいことではない。
……『どちらにせよ』?
「着替えるのを手伝いますから、中に入りましょう」
「よくよく考えれば、早苗の服じゃ大きいかしら」
「少し前のサイズですし。可愛いですよ」
にこやかに語らいながら、二名は縁側を後にする。
その制服は、早苗の予想通り、割と合っていた。
しかし同時に、霊夢の予想も当たっていた。
ともあれ、三名の話題が功を奏し、かくのごとき経緯でもって、霊夢がセーラー服を着るに至ったのだ。
<了>
《後分談》
少女が着替えた少し後。
「あれ……? 制服を着るのって、手伝いが必要なことなのかしら」
「と言うか、着ても行く場所がないんじゃないか?」
アリスが呟き、魔理沙が首を捻る。
その直後、一条の紅い線が神社を飛び出していった。
正確に言えば、それはイメージだ。
何故なら、少女は今、紅くないのだから。
彼女たちがそう想起したのは、飛翔する少女を目で捉えきれなかったからだった。
「質問にお答えします」
振り返る二名に、縁側に出てきた早苗が頷く。
「霊夢さんは、然るべき場所に往きました。
あの衣装でこそ向かう場所に。
そうあれかし」
早苗の瞳は、ただただ真っ直ぐ、その進路――西の方角に向いていた。
「早苗、あの、早苗さん? アリスさんの質問にも答えて欲しいなぁ、なんて」
「アリスおねーちゃん、さなえね、むずかしいこと、わかんないの」
「あぁ困らせてしまったわねごめんなさい早苗!?」
さて。
霊夢が向かった場所とは何処か。
概ね予想がついているかと思うので、とっとと話を進めよう。
「この格好で此処に来れば給食と言う名のバランスの良い昼食が配給されると聞いたわ!」
「すまんが、ウチにそんな制度はない」
「がーんっ!?」
腕を組み眉根を寄せる上白沢慧音の言葉に、霊夢が崩れ落ちた。IN寺子屋。
「うぅ、やっぱりそんな夢のような概念はまだこっちに来ていないのね……ひぐ、うぇふ」
霊夢の瞳から涙が落ちようとした、その直前。
少女の双眸は、柔らかい手に覆われた。
手は、頬を撫で、肩へと伝う。
「……だがな、霊夢」
今の霊夢は博麗の巫女にあらず。
ただ一人の、弱々しい腹ペコ少女だった。
そして、失意の底に沈む少女を、慧音が放っておくだろうか。
――言葉に、霊夢は顔を挙げた。その瞳に映るのは、輝かしい微笑みを浮かべる慧音だった。
「お前が私を先生と呼び、授業を真面目に受けると言うのなら、週に一度は導入しよう」
「……っ! せんせ、けぇね先生、慧音先生ぇーっ!」
「れーっいむ!」
めきぼきむにゅん。
二名の美しい抱擁に、居並ぶ寺子屋の生徒たちは、惜しみない拍手を送るのだった――。
《/これで霊夢たちのスクールライフが自然と書けますね。その予定はありません》
《後日談》
「慧音を先生って呼べばご飯が貰えるって聞いたわ!」
なんか来た。
「ごめん先生。そんなのなかったって言ったんだけど、ルーミア、聞かなくて」
「いや、気にするなミスティア。今はあるしな」
「あるんですか」
付き添いで共にやってきていたミスティアに、慧音が微笑む。
しかし一瞬後、ルーミアに向けた表情は割と真剣なものだった。
「あるにはあるが、ちゃんと授業を受けないと出せないぞ」
「じゅぎょう……お勉強? うー……どうしよう」
「そう言うの、やったことないもんね」
眉根を寄せるルーミア。
間を置かず、慰めるようにミスティアがその頭を撫でる。
一転して甘えた表情を浮かべるルーミアに、慧音は違った切り口を思いついた。
「例えば、数学……算数を習えば、そのうち屋台を手伝えるようになったりする」
「ほんと!? ミスチーのお手伝いができるなら、やってみる!」
「あ、だしに使われた」
呟くミスティアに、慧音がぱちんとウィンクを送る。
「すまんな。しかし、やる気があるなら学ぶのは悪いことじゃないだろう?」
謝罪と感謝を受け取って、ミスティアは、仕方ないかと笑ってみせた。
「それに、準備も万端なようだし」
ミスティアの笑みが崩れる。
親愛の表情だったそれは、諦観の念にとってかわられたようだ。
慧音の指摘した『準備』には、そうならざるを得ないほどの破壊力があった。
ルーミアは今、普段と違った付属品をつけている。
「流石は幻想郷でも随一の器用さを持つアリス・マーガトロイドね、ランドセル作成もお手の物」
「ふふ、ありがとう。貴女が作った生花の名札も、素晴らしい出来だわ」
「えーと、主にアレとアレの所為」
ほおずきの実のように紅いランドセルには、使う予定のない縦笛もささっていた。
妖力が注ぎこまれちょっとやそっとじゃ枯れない名札には、『ルーミア・マーガトロイド』と刻まれている。
それらを完璧につけこなしているルーミアに、‘最凶妖怪‘と‘七色の人形遣い‘は、片腕を組み合い、互いの健闘を称えた。
傍からの評価はミスティアの言葉を参照して頂きたい。所為って言った。
このままでは話が進まぬと頭を抱える夜雀。
しかし、彼女に知識を与えた賢獣はすぐさま行動に出た。
大妖の知る妖怪にて人形遣いの‘妹‘たる少女の肩に手を置いて、毅然と言う。
「保護者はお帰り下さい」
寺子屋の廊下に、二名の悲痛な叫び声が響いたのは言うまでもない。
《/ルーミアには黄色い帽子が似合うと思ったのですが、あれは幼稚園児が被る物なので、思い留まりました》
《後日々談》
「こういう格好をすれば鯨の竜田揚げとか珍しい物が食べられると聞いたわ! カリフラワーもどんと来い!」
なんかまた来た。
「……ルーミアにはアリス経由で伝わったとして、貴女には何処から情報がいったのかをまず聞きたい」
「早苗さんから聞いた話を言いました。幽々子さん、ブレザーも似合うなぁ。ね、妖夢?」
「服をお借りして申し訳ありませんうどんげさん。正直、どこの企画モ……」
詰まる妖夢にきょとんとする鈴仙、顔を見合わせる幽々子と慧音。
「先生、幽々子、お胸が苦しいの……」
幽々様がノりました。
「それはいけない。すぐに先生と保健室に行こう」
「あぁ! 有りがちな展開だけど身内にやられると嬉しいやら情けないやら!?」
「そりゃあ私の服なんだからサイズが合っている訳もなく、物理的に苦しいよね。ぱっつんぱっつん」
鈴仙の指摘は的確なのだが、その表現はどうだろう。
――結局、目の保養になると言う女子の意見よりも、目の毒だと言う男子の意見が通り、幽々子はルーミアと同じく夜の部に通うことになったそうな。
「夜の部の幽々子様ってそれだけでもうエロスが迸る……っ!」
妖夢はそろそろ黙っといた方がいいと思う。
《/『夜に行われる闇の妖怪と死の亡霊への授業』って書くとなんだか恐ろしそうですね。彼女たちだとほんわかした光景しか浮かびませんが》
妖夢自重しろw
《/これで霊夢たちのスクールライフが自然と書けますね。その予定はありません》
いや、ぜひ書いてください
駄目になったのは鈴仙だけだと思ってたんだがそんなことは無かった
スクールライフは書いてほしいです
ぜひ夜の部の詳細をwww