Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

それは巫女さんと妖怪と赤い実の話

2011/07/06 03:05:07
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 無人の境内に、ふと人の気配を感じたのでのろりと視線をやると、緑の鮮やかな色が目に入った。

「……ん?」
 
 そこには「今日は暑いですねぇ」と汗を拭う、小ぶりの西瓜を氷の入った水桶に入れた、普段は山の神様のお相手に忙しい風祝、東風谷早苗がお裾分けに来たのか、桶を「よ!」っと持ち直してこちらに歩いて来ていた。

「こんにちは、霊夢さん。これ差し入れですよ」
「……んー」

 桶をとん、っと私の座っている縁側に置き、暑そうに襟元を開いて片手で扇ぎだす早苗。
 梅雨がようやく明け、本格的な夏に向かって日差しの濃さは徐々にではあるが確実に増している、首筋に一筋の汗が流れる午後の事。
 風鈴でも出そうかしら? と縁側にぐったりと座っていた私は、唐突に訪ねて来た早苗を「……?」と、どうにもすっきりしない気持ちで見上げた。

「霊夢さん、どうかしたんですか? ほら、小さいけど甘い西瓜ですよ~」
「あー」

 のろのろと顔をあげて調子が出ないわね、なんて首をこきこき鳴らし、改めて見つめなおすと「……あぁ」と、納得する。ついでに、すぐさま札を取り出してすぐにでも投げられる様に構える。

「え?」
「……何してんのよあんた。早苗に化けるとかよっぽど暇なのね」
「むぅ?」

 早苗の顔が微妙に歪んで、暫しの沈黙の後、私の様子に誤魔化しは通じないと悟ったのか「…ケッ」と口汚く、というよりは悔しそうにむすぅ、っと頬を膨らませる。

「……なんでバレるのよ」
「勘」
「か……って、あんたのそれずるいわよ!」

 子犬の様に吼えると、そいつは「ちぇー」と早苗の姿で唇を尖らせて、すぐに自分の背中から『種』を外し、元の姿に戻る。
 全体的に黒く、今の季節見ているだけで暑苦しい正体不明、あー、確か、封獣ぬえ。

「……はぁ。……で? その西瓜も偽物なわけ?」
「違うわよ。これは本物」
「へー? 命蓮寺からのお裾分けとか?」
「……あんた、違うって分かってて言ってるでしょう?」
「まあね。命蓮寺からは昨日、善意に溢れたあんたんとこの聖女が、船幽霊と一緒に青野菜とか持ってきてくれたし」

 二日連続は、ありえるかもしれないけれど、そんなに暇でもないだろう。あちらさんは。
 じとーっと睨んでくるぬえの奴に「はいはい悪かったわよ」と軽く手を降り、冷たい水桶に入った氷を一つ摘み上げた。

「ん。守矢神社からって事ね」
「そうだっての。だから早苗の姿で来たのに。……すぐに気付きやがって!」
「はいはい、実際、上手く化けてたと思うわよ」

 あぁ、氷が気持ち良い。
 ひんやりしたそれを軽く割って、口の中にいれると体がスッと冷えていく。

「んで? あんたはどうして守矢っていうか、早苗のお使いなんてしてるのよ」
「神社に遊びに行ったら、早苗に西瓜を食べましょうって誘われたのよ。んで、どうせだから今頃干からびているかもしれないあんたにも食べさせてあげましょうってなってね。早苗は用事があるらしくて後から来るから」
「……ほー?」

 あいつ、いい度胸だなー。
 口の中で氷をガリゴリと噛み砕きながら、その台詞を言い放った早苗の顔が容易に想像できたので、来た瞬間、この氷でも背中に入れてやろうと決めた。

「じゃあ、この西瓜はまだ食べられない訳ね……」
「当たり前。先に食べようとしたら問答無用に邪魔をして、っていうか西瓜を木っ端微塵にしろってさ」
「って、あいつ、食べ物をもっと大事にする様な作戦を立てなさいよ!」
「いや。あんたが私を倒して一人で全部食おうとかしそうな奴だからでしょ」
「……」

 この氷よりも、もしかしたら冷たいかもしれない声で言われてしまった。
 つまり、それなら皆で西瓜を食べられない方がマシ、みたいな作戦って事ね。うん。……流石にしないわよちょっと?! 私どんだけ卑しく見られているのよ。っていうか、あんたも私を疑いの眼差しで警戒してんじゃないわよ。

「……はぁ、で? あんたは何で早苗のお使いを大人しくしているのよ」
「西瓜食べたいし」
「シンプルね」
「それに……」
「ん?」

 私と同じ様に、水桶の中の、すでに溶けかかった氷を軽く口に頬張って、ぬえは厚みのある白い雲の多発する空を見上げる。

「少しでも、一緒にいようかなと思ってね」
「は?」
「ん。……だって、早苗は人間だから、後五十年ぐらいで死ぬじゃん」
「……」
「思い出、作りたいなーって。……急に思い立ったんだよね」

 氷を舐めながらサラリと、氷はすぐに溶けちゃうんだから、ぐらいの気安さすら感じる台詞でぬえは言う。
 私は、その唐突さが唐突に思えないぐらい自然なこいつが、改めて一応は大妖怪とかそういうのに分類される存在なのだと思い出していた。

 長生きは、しているんだろう。
 別れも、それなりに経験しているんだろう。

「……へぇ」
「あんただって他人事じゃないんでしょ。あの速い方の烏天狗にラブだって聞いたし」
「ブッボ」
「うわ汚ッ!?」
 
 口の中の氷が、熱した地面の上で粉々に砕け散った。パラパラと光に反射して綺麗…………じゃなくて! いきなり何を言い出すんだこいつは?!
 ちょっとしんみりした雰囲気にひたってから素で油断したわよ!

「あ、あんた、何を言ってるわけ?」
「いや、早苗が『霊夢さんのアレはツンデレですって、態度を見れば分かります! あれはただ文さんにもっと構って欲しくてやっちゃう乙女の駆け引きって奴なんですよ!』って」
「何そのものまね似てる殴りたい」

 声質までそっくりとか芸達者だなぁおい? 拳を鳴らすとぬえはビクッとして私から距離を取りだした。
 とりあえず、いつでも針を飛ばせる様に指の間に隠しつつ、私は盛大に溜息をついてやる。

「はぁ。っていうか、そんな訳ないでしょ馬鹿馬鹿しい。何で私が文なんかを」
「いやあんた、さっきより断然顔色が良いけど」
「……あ、暑さのせいよ暑さの」
「声が上ずって、どもりまくりね」
「…………」
「あんたさぁ」

 ぬえが、生意気にもこちらを哀れむ様な、まるで可哀想な何かを見るみたいに頬杖をついて見上げてきた。あ、退治してやりたいとイラッと思った。
 ぬえの奴はそんな私の心に気付いているのかいないのか、気遣う様に顔を覗き込んでくる。

「ぶっちゃけあんたの趣味大丈夫? あの烏天狗のどこに惚れるのは本気で分からないんだけど、他にいい相手がいないの?」
「ってをいこら!? し、失礼ね! っていうかその台詞はあんたにそのまま返すわよ!」

 びっくりするわねちょっと!?
 あんたが言うのかその台詞! むしろ私の方が面倒だけど相談に乗ってあげたいぐらい相手に難があるだろうが! あいつよ?! あの常識捨てちゃおうとか笑顔で宣言する様な奴よ!?

「……はぁ?! 何? 早苗はあんなんだけど優しいわよ!」
「逆切れしないでよね! あ、文だってあんなんだけどやる時はやるのよ!」
「むっ!? さ、早苗は、調子に乗るし、悪ふざけがすぎるし、大抵の失敗を省みてくれないし、性格がサディズムっぽかったりするけれど! あんたんとこのへたれ天狗より遥かにマシだっての!」
「あぁ!? 言わせておけば! 文はねぇ、確かに外面を気にするし、胡散臭いし、信用ならないし、いざという時に笑顔で格好付けて尻込みするへたれだけど、あんたんとこの黒歴史真っ最中みたいな奴より随分マシだっての!」

 ブチチッ!

 と、お互いの血管が千切れる音が聞こえるぐらい張り詰めた一瞬の静寂、その後私たちは弾かれた様に立ち上がり、スペルカードを取り出した。
 とにかく、こいつはぶっ倒す! それしか頭に無いぐらい血が昇っていた。

「あんた、やっぱり天狗好きなんじゃん!」
「す、好きじゃないっつってんでしょうが! 友人として庇ってるだけよ!」
「どこがよ! 嘘つけ! 好きって言葉だけ震えまくってるわよ!」
「黙りなさいよね! あんたに言われる筋合いないわよ!」
「あるわよ!」
「はあ!?」

 言い合いが激しくなり、そこで、ぬえの瞳の色が、その赤が深みが増していく。まるであいつの様な、でもあいつとは違う瞳。
 ぬえは、叫ぶ様に吐き出した。
 
「あんた、あんたねぇ! そんなに烏天狗好きなら、もっと大事にしてあげなさいよ! 馬ッ鹿じゃないの! それじゃあ、あんたが死んだ後のあいつの想い出、嫌われてたかもしれないって誤解しか生まないじゃない! 意地を張るだけ張って、気を持たせるだけ持たせて、何にも言わないで死ぬ気とか、ふざけないでよ!」
「ッ! あ、あんたこそ! そんなに早苗が好きなら、もっとちゃんとそう言ってあげなさいよ! 馬鹿はどっちよ! 言ってくれなくちゃ、人間は、あんたたちより圧倒的に、そういう意味での立場が弱いのよ! ―――私が先に死ぬけど、私と一緒になって欲しいとかッ、私、から、人間から言える訳ないでしょうが!」

 叫んで。
 喉がジリっと痛んだ。

 ぬえが、一瞬痛そうに顔を歪めたのを見て、こっちだって痛くてずきずきした。
 どちらの台詞も、ここにいない誰かに叫んだのが明白だったからこその、痛み。
 ……あぁ、くそ。
 汗すら引っ込んで、体中が冷たい。
 分かっていても、感情は納得してくれない問題。

「……言わないわよ。言える訳、ない。……だって、あんたらすぐ死ぬもん。……すぐ、死んじゃう様な奴と、一緒になりたい、とか。―――好きな奴だからこそ、こっちから、言えるかってのよ。……ただでさえ、あいつ。……風祝だもん」
「なに、よ。……そんなのこっちの、台詞よ。……後から。一人で残すのが分かっているのに、一時の感情で、あいつを、縛ろうとか、思い切れないわよ。……あいつは、まだまだ生きるんだから」

 ただでさえ。……あいつ、古臭いから。つがいとか言って、絶対に死んだ奴を後生大事に思い続ける。そういう似合わない事を、笑いながらしそうな奴で、そこが、良くて。困るんだもの。
 ぬえも、何か早苗の事を考えているのか、その瞳が一瞬柔らかくなり、またすぐに悲しみに染まる。おかしな六対の翼はくてりと垂れていた。

「……人間好きになるとか、何だろこれ、馬鹿みたい」
「……知るか。それなら、妖怪を好きになった人間の方が、アレよ」
「……そんなん、どっちもどっちよ」
「……でしょうね」

 馬鹿な事を言ったと、そして言い合ったわねと。二人して崩れる様に縁側に座り込んだ。
 一瞬の加熱は痛みだけを残して、すぐに鎮火した。でも、叫んだ分、何か鬱屈していたものが少しだけ抜けた気がして、どこかすっきりと、溜息。

「……西瓜、食べちゃおっか」
「……うん」

 氷の溶けきった水桶の中に転がる小さな西瓜を持ち上げて、私たちは揃って台所に歩いていく。

 うん。もう二つに分けて食べちゃおう。
 早苗には悪いけれど、この件に関してはちゃんと悪いと思えないんだから。しょうがない。
 いいや。どうせぬえにだけ怒るんだろうし。

「そういや、あんた西瓜に塩かける?」
「かける」
「砂糖は?」
「かける」
「……早苗に聞いてたけど、あんたの味覚おかしい」
「美味しいのよ」

 さくっと。
 切った西瓜の中身は赤く。
 それだけであいつの瞳を思い出して、うっかり赤面しそうになるのを誤魔化すみたいにしたら。私の様子に何か感づいたらしいぬえが、にやぁっと笑うので「うっ!?」と固まる。

「あんたさ、今、天狗のこ―――」
「ふんぬ!」

 口に札を張り付けて、それから乱暴に襟首掴んで引きずってやる。もがー!? っと叫ぶけど無視無視!

 さあ! 食べよ食べよ!














 
 ◆ ◆ ◆















 はむ、と。それは甘美な味でした。

 赤い宝石とまで称される実を一口。
 瑞々しい美味しさに「んぅ~」と美味しい唸りが出てしまい、満足して種をそっと吐き出す。

「美味しいですねぇ文さん、これ」
「ですね。今が旬ですから、これは」

 文さんもじっくりと味わい、ふむふむと満足げに種をぷっ、と吐き出す。
 ぬえさんに西瓜のお使いを頼んだ後、里での軽い用事を済ませた私は、そこで文さんを見かけて声をかけました。
 文さんは、丁度里の人にお裾分けを貰い、手にしていた物のおかげで、いつものスピードではなく幾分ゆったりと飛んでいたのですぐに追いつき、こうしてご相伴に預かれたのですが、偶然でもこれを味わえたのは幸運でした。
 だって、文さんの持つ大き目の籠の中にはキラキラと日の光で照らされるさくらんぼ! さくらんぼですよ! 私の好物がころころと大量に乗っているのです! 

「はい、どうぞ」
「へ?」
「いえ、目が物欲しげでしたので」
「え゛?」

 文さんがひょいっと私の手に乗せてくれた赤いルビーにはうんっとすぐに幸せ気分になり「いただきます!」とお言葉に甘えてまたぱくりと咥えて。そしてじっくりと味わってほうっと溜息。

「うぅ、いいなぁ文さん。こんなに貰って」
「ですか?」
「羨ましいですよ! にしても、どうしてこんなに? 私からみても破格の量ですよこれ」
「あぁ、前にあそこの子供さんが森で迷子になっていたのを発見して運んであげた事があるんですよ。もう少しで息子は妖怪に食われる所だったと聞きました! とか大げさに感謝して。それ以来、妙に恩にきられまして、こういうものを頻繁に貰うんですよ」
「へー」
「本当、人間というものは恩を売っておくと、色々な形で返って来て面白いですよねぇ」

 こういう品や、後は裏切り行為なんて恩を仇で返す楽しい事をしてくれるから、極力人間は助ける事にしてるんですよ。
 なんてさらりと抜かしました。
 ……うわー。
 楽しげに笑う文さんを見て、改めてこの人やっぱ妖怪ですよねぇ、と若干引き気味に思いました。

「……何か、裏切られるのすら楽しみにしているみたいですね」
「そりゃそうですよ。野良犬に餌をあげて、次の日に手を噛まれるのもまた面白いじゃないですか」
「どこがですか?!」
「更に餌をあげようか、このまま放置しようか、いっそ殺そうか。と悩むのが」
「……本当、妖怪ですねぇ」
「妖怪ですよぉ」

 にこにこする文さんは、見た目が人間っぽいから卑怯ですよねと。怖いというよりも、どちらかといえば禁忌的な、でも不思議と惹かれてしまう、そんな魅力を持っている天狗さんだった。
 うーん。これはもてる訳ですよねと一人頷く。
 ウチにくる軽い相談事でも、文さん関連って割と多いんですよねぇ。特に恋愛。

「ん? どうかしました」
「いえいえ、文さんってば、そういう妖怪らしい所を霊夢さんにもっと見せたらいいのに、と思いまして」

 きっと、あの人も惚れ直したりするんじゃないかなーと。
 霊夢さんの顔を思い浮かべてうふふ、と笑う。すると、文さんが途端に嫌そうな顔をして身震いする。

「……退治されろと?」
「そんな勿体無い! どうせなら私がしてあげますよ!」
「……」
「……え? どうかしましたか?」
「あぁ、いえ。……私、何で貴方と並んで飛んでいるのか分からなくなってきまして」
「え? 目的地が同じだからですよ」

 きょとんとすると、文さんは若干疲れた顔で「あぁ、もういいです」と手の中の籠を抱えなおす。
 このさくらんぼを霊夢さんに食べさせて機嫌良く取材させて貰う、と何故かそそくさ私から離れようとする文さんを捕まえ「私も霊夢さんに用事があるんです♪」と、一緒に行動しているだけなのに、今更何を気にしているのかと、さくらんぼをもう一つ摘み、口の中にいれる。

「美味しいですぅ」
「はいはい、いくらでも食べて下さい。流石にこの量は二人でも食べ切れなかったでしょうから」
「凄いですねぇ。こんなに一杯」
「そうですね。でもまぁ、幻想郷の市場に回る分からすると、多すぎて処分に困っていたのでしょう。今年は豊作だったみたいですから」
「へー」

 つまり、文さんを連れて行けばまだ貰えるかもしれないという事かぁ。
 ついつい、ぎゅっと文さんの腕に腕を絡めて、若干上目遣いで見つめてしまう。
 文さんはそんな私に驚いた顔をして、優しそうに、少し照れた笑顔で「正直、気持ち悪いわ」と素にまで戻って嫌がってきた。し、失礼な!

「文さん?」
「っと。失礼、心の声と建前が逆になりました」
「ほう?」
「あ、痛い、痛いから。ごめんなさい」
「もう、ぬえさんならもっと可愛い反応してくれるのに!」
「それは失礼しました。では」

 こほん、と咳払いをして、文さんはちょっと困った顔でそろっと目を逸らし、口元をそっと覆い隠して。
 まるでやり直すみたいに。

「……ち、近すぎですよ、早苗さん」

 とかちょっと可愛い声で、照れている演技をした。

「わ。気持ち悪い」
「失敬ですね!?」
「いえ、可愛いって思ったからこそ、気色の悪さが上回りました!」
「うわぁ、凄い失礼です。要望があったから答えただけですのに」
「まあまあ、文さんを知っている人から見れば吐き気を催しますが、知らない人が見たらドキッとしちゃいますって!」
「……それ、慰められているのか止めをさされているのかで、判断を迷いますね」

 真剣に、演技が下手になったかなぁ、とおかしな心配をする文さんの頭をよしよししつつ、考えてみれば私、文さん嫌いじゃないんですよねぇと、改めて思う。
 だって、髪質とか目の色とかぬえさんに似ているから。
 なんだか見ているとぬえさんを思い出して嬉しくなる。

「えへへぇ、文さん」
「い!? ちょ、何ですか怖気が走ったじゃないですか!」
「うわぁ……本当に失礼です」
「貴方に言われたくありません! っていうか、そろそろ本気で離れて下さいよ。ほら、もう付きますよ」
「いいじゃないですかー。さくらんぼのお礼です」
「何て嬉しくないお礼でしょうねぇ」

 軽口を叩き合って、でもお互いに顔は笑いながら、とんっと境内に下りる。
 さて、ぬえさんと霊夢さんは、ときょろりと探すと、あ、いたいた、と見つけ、手を振ろうとした所で、ゾワッ! と、私と文さんは同時に半端無い悪寒を感じてずざっと後ずさっていた。

「え……?」
「は……?」

 見ると、スプーンを銜えた霊夢さんとぬえが、何故か二つに切った西瓜を手に、お互い、全部食べたいけど、後から来るだろう私たちの為に半分だけ残しておいてあげたのよ! でもむかつくから今さっき全部食いきってやったけどね! ってちょっと苦しそうな顔でこちらを睨んでいた。

 ん? 自分でも思うけれど、何だろうこのよく分からない西瓜のくだり。

「……早苗、西瓜ごちそうさま」
「あ、いえいえぇ、って全部食べちゃったんですか!? 私も楽しみにしてたのに! ぬえさん?!」
「ああ! 甘くて美味しかったなぁ!」
「ひどっ!? ひどいです! 一緒に食べあいっこしようねって約束したのに!」
「し、してないわよ!」

 いやしたじゃないですか!? ちょっと一方的だったけど、そんなに嫌がってなかったからこれはいいんですねって楽しみにしていたのに!
 
「さ、早苗とするぐらいなら、霊夢とするわよ!」
「ええ!?」

 とんでもない台詞を放ち、そのままぷいっと横を向いちゃうぬえさんに頭の中が真っ白になるぐらい動揺して、ど、どういう事かと霊夢さんを見ると、霊夢さんは冷めた瞳でお茶を飲みながらノーコメント。否定も肯定もしない、って、え、ええぇえ?!

「れ、霊夢さん!? こ、これはどういう事か説明を要求しまふぎゅ」
「それで? 霊夢さんはぬえさんと本当に食べさせあいっこしたんですか?」

 チャキっとカメラを構えて、追及しようとした私の口にさくらんぼを四つも押し込めた文さんは、わくわくした顔で、でも瞳はうっすら笑っていない様子で、霊夢さんに明るく声をかける。

「うふぐ」

 ……つい、さっきの件があったから演技か否か分かって、あぁ、上手いなぁってさくらんぼをもぐもぐしながら思う。
 でも、何か霊夢さんの不機嫌度が更に上昇した気がするんですが、これ私の気のせいじゃないと思いますよ?

「……さあ、どうかしらね」
「またまた、教えて下さいよ!」
「……じゃあ、したって言ったらどうするのよ」
「どうって…っ、そ、そりゃあ記事にしますよ! 博麗の巫女と伝説の大妖怪『鵺』の白昼堂々のラブシーン! これは売れますって!」
「あら、私、他にも売れるネタを知ってるけど?」
「へ?」

 ぴくん、と。
 文さんの目が好奇に染まり、そそくさと霊夢さんにご機嫌伺いするわんちゃんみたいに、無意識なのか、スカートをぎゅって握りながら、上目遣いに霊夢さんの次の言葉を今か今かと待っている。
 あ。霊夢さんの不機嫌度が下がった。あっちでぬえさんも単純なものを見る目で霊夢さんを見ている。

「……、よ」
「え? 何ですか霊夢さん、よく聞こえないです!」
「だ、から! 空中デートしている、風祝と烏天狗の事よ!」
「……は?」
 
 ……はぁ?

 文さんと同じく、私も目を丸くして、霊夢さんをまじまじと見る。

「見てたわよね、ぬえ!」
「うん、見てた!」
「え、あの。どういう事ですか? 霊夢さん」
「ぬえさん?」

 私がぬえさんに、文さんが霊夢さんに、困惑気味に尋ねると、二人の瞳はじっとりと粘度を帯びてこちらをちくちく刺してくるみたいに何か言いたげで、それが微妙にきつかった。
 え? 何事?

「文と早苗が楽しそうに飛んできた」
「あぁ、それは」

 目的地が一緒だったから、ついでにさくらんぼを食べたかったから一緒にいただけですし。

「そして、何か食べながら会話が弾んでいたわね」
「……まあ、そう取れるかもしれませんねぇ」

 さくらんぼ美味しかったし、その件で会話が弾むのはまあ普通でしょう。

「そしたら、急に早苗が天狗に抱きついた」
「はっ? 私ですか?」

 ん? 何か流れがおかしくなってきましたか?

「文がでれっでれしてた」
「え? そんな馬鹿な。あんな小娘に」

 い、いや、確実におかしい。
 何か、雲行きがとっても怪しい。
 私と文さんはかろうじて笑顔を顔に張り付けてはいるけれど、内心の動揺はすさまじかった。

「そんで……そのまま仲良さそーに此処に降り立ってきた」
「あ、あの、ぬえさん?」
「……いちゃつくなら他所でしろよ」
「霊夢さん!?」

 こ、これはまずい!
 何か良く分からないけれど、ここで選択を誤ったりなんて初歩的な失敗をしたら、それだけで今後の展開が色々な意味で危険だと、本能がつげている。
 バッ! と文さんを見る。
 文さんも私を見た。
 ここは、プライドを捨てるべき場所だと、私たちはお互いに分かっていた。だからこそ。ぐっと頷きあう。
 そして。

 がばあ! っと。二人で思い切り頭を下げて必死になって二人にすがりついた! 


『言い訳をさせて下さい!!』

『よおし、聞いてやるから言ってみろ』


 ……こ、声が重なりすぎて怖かった。

 とりあえず、頭の片隅で私たちは何をしているんだろう? とかなりのとほほな気持ちに襲われたが、今はとにかく、全力で謝るしかなかった。

 人生には、こんなあんまり自分が悪いと思えなくても、こうやって全身全霊で謝らなくてはいけない事態は山済みですよと。それぐらい必死に頑張りました。



 そして。
 少女説得中。

 もようやく終わり、長い長い時間をかけて。ようやく、よーやっく!

 霊夢さんとぬえさんは誤解を解いて、納得して、満足げに美味しそうにさくらんぼを食べてくれました。
 そんな二人に対して、私と文さんはぐったり中である。

 というか、さっきのに懲りて、二人の距離を開けまくっているぐらいです。
 お互いに、いいからこっちに近寄んなという空気を出しまくり、霊夢さんとぬえさんの機嫌を絶対にそこねない様にぴりぴり気を使っています。

 ……もう、本気でああいう心臓に悪い誤解は勘弁ですからね。


「へぇ、本当に美味しいじゃない」
「色艶もいいじゃん。やるわね天狗」

 でも、美味しそうに食べる二人を見ると、疲れた心身も少し癒されるから不思議です。
 あぁ、ぬえさんったら、あんなに美味しそうに頬張っちゃって可愛いですね。
 でも、文さんは褒めなくていいです。アレは打算でしている事の偶然が生んだ結果で、本人は腹黒い事しか考えてないですから。


「……ちょっと早苗さん。貴方、今もの凄く私に失礼な事を考えましたよね?」
「あら。ええ、考えましたよ? っていうか、文さんも何か私に失礼な事を考えてますよね? 何かそういう悪しき空気が流れてくるんですけど」

 笑顔で睨みあうと、火花がパチパチする。
 どうにも文さんと私は相性が良いのかフィーリングでもあうのか、お互いに考えている事が不思議と通じるみたいで。
 普段なら気の置けない友人として歓迎しますが、この状況的には非情に邪魔な存在なので、とっととお帰り願えないかと心から駆除をしようと計画中です。

 っていうか、あっちも絶対に同じ事を考えてますね。ええ、今すぐ退治しよう。


「……やっぱ、仲いいんじゃん」
「え!?」

 ぽそっと呟いたのはぬえさんで、私はぎくっと驚いて戦闘体勢を中断する。

「そんな馬鹿な!? お願いだから冗談でもやめて下さい! 身の穢れです!」
「そこまで言いますか!?」
「ちょっと文さん口縫い付けますよ? ぬえさん、私は文さんなんて本当にどうでもいいんです! 私が一番に仲良くしたいのはぬえさんですからね!」
「……っ」

 文さんなんかと仲がいいとか思われるのが悲しすぎて、必死にぬえさんに訴えると、ぬえさんは何だかもぞもぞして、それから「ん!」って頷いてくれた。
 あぁ、良かった。分かって貰えた……!
 嬉しくて、ほっと微笑んでしまう。


「……あ、文?」
「はっ!? す、すいません。いえ、ショックじゃないですよ。別に傷ついてもいません。ええ、勝手にやってろって感じですね。……私を巻き込まない世界の果てとかでやれよとね!」
「えーと。……私は、その」
「へ?」
「……あんたと、仲良くても嫌じゃないわね」
「……………へ?」

 
 あ、ちょっと目を離した隙にあの二人はアレですよ。まったく困ったものですね。
 仲良しなのはいいですけれど、もっと周りの目を考えて欲しいものです。私とぬえさんみたいに。
 あ、そうだ。西瓜では出来なかったし、これを使おう。

「ぬえさん、あーん」
「へ?!」
「食べさせあいっこ、西瓜ではできなかったので、こちらで」
「あ、う。……うん、まぁ、いいけど」
「では」

 すいっと丸く甘そうな粒をとり、ぬえさんの口元に運ぶ。爪先が軽くぬえさんの唇を撫でたのにドキリとしたけれど、ぬえさんは器用にさくらんぼを口で受け取り、あむっと食べる。

「おいひい」
「そ、そそそうですか! 良かったです」

 うっかり動揺しまくってしまいました。
 い、いえ、でもこれはしょうがないですよね!

 どっかのうざい烏天狗が何か、あーあーちょっと目を離した隙にこれですか? 慎みを持って下さいよ。とかお前がするな! という顔でこっちを見てくるのが特に憎らしい!
 って。あら?


「文さん」
「はい?」
「それ、何ですか。……まさか」
「? あぁ、これですか? ただのさくらんぼの茎ですよ。少し暇だったんで、口の中で結んでたんです」
「…ッ」

 こ、この天狗。あっさりと難易度の高い事を……ッ。
 戦慄して、ごくりと唾を飲んだ。

「? どうしたのよ早苗、これがどうかしたわけ?」
「い、いえだって、これ。……って、まさか霊夢さんもですか?!」
「は? ああ、文がやってたの見てたら、何となく」
「……な、何となくで」

 れ、レベルの高いカップルですねこの二人。
 ごくり! と更に喉を鳴らす。うっかり、二人のそういう想像をしてしまい、そっぽも向いてしまう。
 そりゃ、だって。
 さくらんぼの茎を口の中で結べる人は、き、キスが上手い人って。そ、そういうのらしいですから。
 つまり、この二人はミラクルなんですよ! ええ、恐るべきです!

「ち、ちなみに! 文さんはどれぐらいの速さで結べるんですか?」
「はぁ。……まあ計ってないですが、ほとんど一瞬じゃないですかね。ほら」

 んべ、っと。文さんが茎を咥えてすぐに舌を出すと、その舌の上には確かに、結ばれたさくらんぼの茎が…………。って、え? マジで一瞬でしたよちょっと!?
 どんだけキス上手いんですかこの人!?
 はわわわわ!? っと動揺してカチコチになってしまう。

「れ、れれ霊夢さんは……?」
「私? 私はもうちょっとかかるわよ。…………ん」

 ぺろっと、霊夢さんは茎を口に入れて、数秒、もごもごと口を動かし、眉をしかめて奮闘しながら、舌から茎を取り出して見せてくれた。
 た、確かに、文さんがちょっとアレすぎただけで、霊夢さんのは安心のスピードでした。
 ほっとして。良かった良かったと安堵していたら、ふとぬえさんが俯いているのが見えました。
 ぬえさんは、何故か口をもごもごさせて、挑む様に私をちらちら見ています。

「え…?」

 ま、まさか? いえ、ま、まさかですよね? ぬえさんが出来る訳ないですよね? だって私だってできないのに……ぬえさんの方が、テクニシャンなんて、そんなの―――

「ほら! 私だって結んだわよ! 蝶々結び!」
「予想以上だったー!?」

 びっくりした!?
 何、本当に蝶々結びですよ! 何この子凄いですよ!?

「おお、凄いですね。じゃあ私も。はい」
「文さんも凄い!?」

 どんな舌してんですかこの天狗!? 私の驚愕が更にストップ高すぎて心臓が持ちません。
 霊夢さんも、流石に文さんのそれには驚いて、でも少し呆れ気味です。

「……あ、あんた、こういうの本当に器用ね。でも私はそこまでする気にならないわ」
「そうですか? やってみると面白いですよ。今度は、そうですね。数字の八でも作りますか。ほい」
「速いわね!?」
「……ッ!?」

 な、なんて事でしょう。
 愕然とする私の前で、文さんと霊夢さんが更に何か楽しげに……っていやそんなのどうでもいい! 私はぬえさんの肩にガッ! と手を置いて詰め寄った。
 何だか放置されたみたいに、ちょっと拗ねていたぬえさんはすぐにびくっとして、でもどこから嬉しそうに顔を赤らめる。

「え? な、何よ早苗」
「そ、それは。……その! ど、どうしてぬえさんがそんな技術を持っているんですか!?」
「は? 技術? いや。命蓮寺でおやつにさくらんぼが出たから。それで……」

 な、なるほど。それでですか。
 聞いてみれば、充分にありえる話でした。
 確かに、人々の信仰厚い命蓮寺に、さくらんぼのお裾分けがあっても何一つ不思議ではなく。その時に、ぬえさんはこの恐るべき技術を身に付けたのか……
 
 くっ! 私だって、さくらんぼを貰えたら、死ぬ気で練習してぬえさんをメロメロにしちゃって―――


「ムラサがやったら出来たーって自慢してくるのが悔しくて、夜通し練習してたら出来た!」


 原因発見。潰そう。

「アハハ。よっし原因はアレですかぁ! 今度ピチュりますね。まったく、あの人はそういうの聖さんにだけ見せてればいいんですよ」
「え? 何で? まあ確かに聖は、ムラサのそれを見た時に妙に納得して、その後に、変にもじもじして赤くなってたけど」

 ……ぐ、くっ?! すでに大人の階段のぼりまくりですかあの船幽霊!
 って、文さんがとっても良い笑顔で今の情報をメモってる。……あぁ、次回の文々。新聞の一面が余裕で予想できますね。まあいいですけど。
 
 でも。……くぅ。こうなったら私も練習です! 絶対にぬえさんレベルになってみせます!


「ぬえさん! 私も頑張って蝶々結びできる様になりますね!」
「は? あぁ、頑張れば」
「そして、ぬえさんをちゅーしてメロメロにしますから!」
「うん、頑張ってねってはぁあ!?」

 ぬえさんがぎょっとして、何故かおもいきり距離をとられました。
 え? あれ? 何で!?

「なな、なな何言ってんのよ早苗! いい! あんたは人間、私は妖怪!」
「は? えぇと。今更だけれど。そうですね」

 逃げられたのが悲しくて、しゅんっとしていると、ぬえさんはますます変に手足をじたばたして、私を睨んでくる。

「そ、そうよ! そんで……あんたは、その。…………わ、たしより、先に死ぬし」
「? は」
「へ? だ、だから、あんたは、私より、先、し、死んじゃう、し」

 はい?
 何だかぬえさんが、言いにくそうに苦しそうに、おかしな事を言う。
 思わず、変な顔になってしまうのが止められそうにない。

「はぁ。私が、死ぬんですか?」
「え、だ、だってそうでしょう?」
「まさか、私は将来奇跡の力で神になるんです。そして、神奈子様と諏訪子様の未来を更に安泰にする使命があるのに」
「…………は?」
「おちおち死んでる訳が。って、ぬえさん? どうしたんですか?」

 何か予想以上にぽかーんとするぬえさんに、はて? と首を傾げる。
 霊夢さんも何か変な顔をしているし、文さんも「こんなのが大人しく死ぬわけないでしょうに」ってやれやれ首を振っていた。

「……早苗、死なないの」
「死にませんよ失礼な。神になれるまで生きる為に、プチ蓬莱の薬とか依頼してるんですからね!」
「……じゃあ」
「? よく分かりませんが、私はぬえさんより長生きしますよ」
「じ、じゃあッ!!」
「は、はい!?」

 ぬえさんが、急に吼えるみたいに、凄い声を出して、びっくりして固まってしまう。
 でも、何故かぬえさんはその後、ずずッ! と鼻をかむみたいに、俯いたままぷるぷる震えて。
 すぐにがばっと顔を上げた。
 なんだか、泣いているみたいに見えて、ドキッとした。

「ぬえ、さん?」
「……死なないなら、キスしていいよ!」
「へ?」
「早苗がいつも誘っている奴、全部してもいい!」
「え、ええ?」
「お風呂もお布団も、ずっと、してあげていい!」
「マジですか!?」

 きゃー! と喜びの声と共にぬえさんをぎゅうってすると、いつもなら恥ずかしがるのに、今日は大人しくて。
 私はそんなぬえさんも新鮮で駄目ですどうしよう今すぐ結婚したい! とかぎゅーってする。
 ああ可愛すぎてやっぱり二十歳を待ってプロポーズとかもうやめようかなとか誘惑が果てしない。
 今日はぬえさんがデレた記念日で一生刻み込もう!



「うわぁ。……早苗さんってば凄い喜びようですね」
「……ぬえも、ね」
「ええ、にしても、ぬえさんってば急にどうしたんでしょうね」
「さあね。……知らないわよ」
「ふぅん? でも、ああいうのを見ていると、私もプロポーズしたくなります」
「は?」
「ですが、早苗さんを見習って二十歳になるまで待ってようかなって決めましたしねぇ」
「……。…………………え?」
「さて。どうしましょう。ねえ霊夢さん?」
「え? え? ええ?」
「……あ、やばい。今すぐつがいになりたい」
「ふゅええ!?」


 まさかのまさかで。
 いつもいつも逃げまくっていたぬえさんのオーケーが出て、私たちは恋人同士になれました! どうしよう夢じゃないですよね?!
 そして、霊夢さんと文さんも私たちに感化されたのか、婚約したりなんかして、もう常識に捕らわれている暇すらない幸せ空間!

 ウエディングベルの鐘は二度なるぐらいの。

 私たちなのでした!
















 おまけ





「もう! 私が二十歳になったら絶対にお嫁さんになって下さいね! 約束ですよ!」
「…ッ。な、なってやるわよ! なってやるから絶対に長生きしなさいよね!」
「当然ですよぉ、もう可愛いなぁ」
「……ふん、だ」





「ぷ、プロポーズって、あんた、まさか、その。だから、えと」
「好きです。結婚してください」
「ひぅん?!」
「って、二十歳になったら言いますので、返事を考えておいて下さいね♪」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 不安と不満で一杯だったから、突然のびっくり箱みたいな幸せの上限は無限大。
 
 悪戯好きの二人の少し早い、だけれど愛に溢れてはいるプロポーズ。
 
 さなぬえとあやれいむ。似ているけど似てない二つのカップルの話でした。
 
夏星
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
こんな時間までパソコンやってたかいがありすぎてヤバイ。

と被害者は残しており、又、何故かさくらんぼが遺体の近くにおいてあり、凶器は砂糖と見られております。
2.曇空削除
しかし早苗以外のみんなはどれだけ器用なんだよw

あやうく口からはいた砂糖が原因で死ぬとこだった
3.名無し削除
モグモグ
ママー、このさくらんぼ甘すぎるよー
4.名前が無い程度の能力削除
蝶々結びは口の中で舌が2つに裂けたんじゃないかって気がして怖いな

ぬえ超かわいい
5.奇声を発する程度の能力削除
良かったです
6.名前が無い程度の能力削除
脳がしびれる甘さが2倍量。堪能しました。

器用な人妖が多いですね。
7.名前が無い程度の能力削除
>プチ蓬莱の薬
スイーツ脳すぎるw

早苗さんがキスと茎結びの関係を明かしたらぬえさんどうなってしまうん
8.名前が無い程度の能力削除
茎結び=隠れ攻め度ということですね。頑張れぬえちゃん!
ゆかりんやアリスも上手そう