Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

壊された少女達

2011/07/02 19:18:35
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……ここは。
ここは、森。外の世界の、森だ。間違いない。

……あのとき、博麗神社で霊夢さんと共にいた私は。
衝撃で結界の外まで吹き飛ばされてしまったのだ。

……妖怪は、外では存在を保てない。
幻想は幻想郷にしか生きられないのだ。

……幻想郷は、壊されてしまった。完膚なきまでに、壊されてしまった。
しかし、それでも、帰らなくては。生きなくては。
私、射命丸文は、まだ生きなければならない。

戻りたい、そのためには、
霊夢さん、霊夢さんを探さないと……!




……ここは。
ここは、森。

……私は。
私は──誰?

──思い出せない。
ここはどこわたしはだれなぜここにいる?
──思い出せない。

でも……会いたい。
会いたい者がいる。

彼女は妖怪で、私は人間だ。
普通に考えて、会うのは危険すぎる。
他にはなにも思い出せないが、でも、会いたいという感情が在る。

会いたい、会いたい。

彼女はきっと近くにいる。
──探そう。




とある森の中。
故郷を壊された少女と、
記憶を壊された少女が、
お互いを求め、探し始める。




壊された少女達




文は空を飛ぶ。
森、森、延々と森である。
霊夢の姿は、まだ見えない。

……おかしい。
こういう状況におかれて、彼女が森の中でぼーっとしているわけがない。
それこそ、空を飛ぶなどして現状確認程度はするはずだ。

……さっきから四方を飛び回っているが、いっこうに姿が見えない。
何故だ、何故出てこない?

……怪我でもして、飛べないのだろうか。

──それとも、

ソ モ ソ モ コ コ ニ ハ イ ナ イ?


──っ……

考えるな。そんなことは考えるな!

きっと、絶対、何らかの理由で飛べなくなっているだけだ。

上からじゃ見えない。降りて走って探そう。

早く、早く見つけないと。

嫌な考えは、涙と共に森の養分になってしまえ……

文は、降下を始めた。




人間の少女は森を走る。
道なき道を掻き分け、走る。

足に草が刺さり、手に枝が当たって、顔には蜘蛛の巣がかかり、

──あぁ、こんなとき、あの妖怪の彼女みたいに、

空を飛べたらいいのに……。

──でも、私は人間だから。
走って会いにいかなくちゃ……。

少女は再び走り始めた──




そして、少女は巡り会う。




少女は森を抜け、ぽっかりと開けたところにでた。

向こうの森からも誰かがでてきた。

……あれは──

「……あ、あや……」

覚えていないはずの名前が、自然に口をついて、出た。

「文ぁっ!!」




文は森を抜け、ぽっかりと開けたところにでた。

──そして一言、つぶやいた。

「……ここまで、ですか──」




「文!文ぁ!!」
少女は彼女に抱きついた。

「……霊夢」
文は一言、呟いた。

「よかった、よかった……会えた、また、会えたよぉ……」
霊夢は抱きついたまま泣きじゃくった。

「……もう、貴女は……どこに行っていたの?」
……文は、優しく声をかけた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、よかった、よかった……」
霊夢は泣き続ける。

「……ふふ。さぁ、帰りましょう?霊夢?」
……文、は、そう、提案する。

「……帰る?」
霊夢は泣き止み、きょとんとして尋ねる。

「ええ──」

文は答える。

「──私たちの家に」




鬱蒼と茂る森の中、開けた場所が一つあった。
そこには黒い羽が一枚。
その持ち主は、もう、いない……。



鬱蒼と茂る森の中、開けた場所が一つあった。
そこには黒い羽が一枚。
その持ち主は、いま、幸せに……。










これは二つの物語。
故郷をこわされた少女の話と、
記憶をこわされた少女の話。

彼女らは決して交わらず、決して関わらない。

たとえ一生懸命になっても、報われない時がある。
しかし一生懸命になったから、報われる時もある。

未来は誰にも分からない。
人事を尽くし天命を待て。
それがあなたにできる唯一つの意思主張なのだから。
もしかしたら僕たちも

壊された少年少女なのかもしれない
ケトゥアン
http://twitter.com/#!/Ketoxuan
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
切ねぇよ……

あと作者の脳内保管が多いぜよ。
2.名前が無い程度の能力削除
良いと思えるのに状況がサッパリ分からない。
続くなら期待しています。
3.名前が無い程度の能力削除
おいこらbadend