目が覚めたら一面百合カップルだらけになっていた。
アリスと魔理沙が、咲夜とレミリアが
慧音と妹紅が、ナズーリンと星が
見知った顔も知らない顔も
ありとあらゆる所で
手を繋いだり、キスをしたり
あるいはもっと先まで。
ここまであからさまだとわかりやすい。
きっと紫辺りが夢と現の境界でも弄ったのだろう。
もうそろそろ来る頃か。
「霊夢。ちょっと式達の仲が良すぎてマヨイガに居場所がないのよ、泊めてくれない?」
まるで泊めてくれる事が分かっているかのような台詞
この私も紫の想像した誰かだと思われているのだろうか。
だけど、私は
博麗霊夢だ。
「お断りよ。あんたと一緒なんて天地がひっくり返ってもありえないわ」
「あら、可愛い少女の悩みを一刀両断なんて巫女として相応しくないんじゃないのかしら」
夢に断られたにも拘らず少しも焦らない紫。
「あんたと一緒に寝てたら身の危険を感じてしょうがないでしょう?」
私の発言を聞くや、紫は笑い出してしまった。
「ちょっと、何がおかしいのよ」
「私は泊まりたいって言っただけで『霊夢の布団で』なんて言ってないのに。意識してるあなたが可笑しくて可笑しくて」
言い返そうとするも、その後の言葉に動きが凍る。
「それに霊夢が怖いのは私が貴女を襲う事ではなく、貴女が私を襲う事でしょう?」
唇が捻り上がった紫は何時もより禍々しく、そして美しかった。
「そうよね、空を飛ぶ程度の能力を持っている、絶対中立であるはずの貴女が、まさか、女しか愛せない変態だったなんて」
「違う、そんなことない」
「魔理沙の横顔にキスしたいと思ってるのは誰?吸血鬼の首筋に噛み付きたいと思ってるのは?霊夢が今見てるのは私のどの部分なのかしら」
「絶対違う。私はそんなこと思ってない」
頭を振りかざす。絶対にそれは認めてはいけない。
「安心しなさい博麗霊夢。この幻想郷には、こんなにも仲間が多いのだから」
「……どういうことよ」
「貴女はこれが現実と夢の間だと考えてるみたいだけれど、それは違うわ。これは完全なる夢。妄想と夢の境界を曖昧にした物。つまりね」
息を呑む
「ここに居る住民全員が貴女と同じ性癖なのよ」
紫の吐息が聞こえる、艶かしく聞こえるのは私の勘違いだ
「可笑しいでしょう。ここに居るカップルの片割れは本物で片割れは現実なのよ。全く同じカップルが2組居ることもあるわ」
「それがどうしたのよ」
「もしなんだったら、現の世界でもカミングアウトすれば良いんじゃないのかしら、私は女の子が好きな巫女ですって。意外と信仰が集まるかもしれないわよ」
「そんな事、そんな事言えるわけないじゃない」
声を張り上げる、騙されてはいけない
「もし、魔理沙に拒絶されたら、もしレミリアに白い目で見られたら、もしあんたに巫女失格だなんていわれたら、私はこれからどうやって生きていけば良いのよ」
「そうね、現実に言うのは怖い。でもここなら大丈夫。ここは夢の世界。貴女が何をしようと現実に影響なんて与えない」
紫が手を差し伸べる。
「この手を取りなさい。そしてお姉さんと目くるめく世界へ行きましょう?」
その
手を
振りほどく
「私は紫に認められた、巫女なんだから。あんたの手を取ることなんて出来ない」
「そう、後悔しないのかしら」
「もうとっくにしてるわ」
「巫女さんの決意は固いようね。今日はこのまま退散するとしましょう」
スキマを開いて紫がとびきりの笑顔でお別れの挨拶を言う。
「それじゃ霊夢、また明日。夢の中で逢いましょう?」
目が覚める
「全く、巫女が無敵なんて嘘っぱちなんじゃないかしら」
その手に瓶詰めの錠剤を握り締めて。
アリスと魔理沙が、咲夜とレミリアが
慧音と妹紅が、ナズーリンと星が
見知った顔も知らない顔も
ありとあらゆる所で
手を繋いだり、キスをしたり
あるいはもっと先まで。
ここまであからさまだとわかりやすい。
きっと紫辺りが夢と現の境界でも弄ったのだろう。
もうそろそろ来る頃か。
「霊夢。ちょっと式達の仲が良すぎてマヨイガに居場所がないのよ、泊めてくれない?」
まるで泊めてくれる事が分かっているかのような台詞
この私も紫の想像した誰かだと思われているのだろうか。
だけど、私は
博麗霊夢だ。
「お断りよ。あんたと一緒なんて天地がひっくり返ってもありえないわ」
「あら、可愛い少女の悩みを一刀両断なんて巫女として相応しくないんじゃないのかしら」
夢に断られたにも拘らず少しも焦らない紫。
「あんたと一緒に寝てたら身の危険を感じてしょうがないでしょう?」
私の発言を聞くや、紫は笑い出してしまった。
「ちょっと、何がおかしいのよ」
「私は泊まりたいって言っただけで『霊夢の布団で』なんて言ってないのに。意識してるあなたが可笑しくて可笑しくて」
言い返そうとするも、その後の言葉に動きが凍る。
「それに霊夢が怖いのは私が貴女を襲う事ではなく、貴女が私を襲う事でしょう?」
唇が捻り上がった紫は何時もより禍々しく、そして美しかった。
「そうよね、空を飛ぶ程度の能力を持っている、絶対中立であるはずの貴女が、まさか、女しか愛せない変態だったなんて」
「違う、そんなことない」
「魔理沙の横顔にキスしたいと思ってるのは誰?吸血鬼の首筋に噛み付きたいと思ってるのは?霊夢が今見てるのは私のどの部分なのかしら」
「絶対違う。私はそんなこと思ってない」
頭を振りかざす。絶対にそれは認めてはいけない。
「安心しなさい博麗霊夢。この幻想郷には、こんなにも仲間が多いのだから」
「……どういうことよ」
「貴女はこれが現実と夢の間だと考えてるみたいだけれど、それは違うわ。これは完全なる夢。妄想と夢の境界を曖昧にした物。つまりね」
息を呑む
「ここに居る住民全員が貴女と同じ性癖なのよ」
紫の吐息が聞こえる、艶かしく聞こえるのは私の勘違いだ
「可笑しいでしょう。ここに居るカップルの片割れは本物で片割れは現実なのよ。全く同じカップルが2組居ることもあるわ」
「それがどうしたのよ」
「もしなんだったら、現の世界でもカミングアウトすれば良いんじゃないのかしら、私は女の子が好きな巫女ですって。意外と信仰が集まるかもしれないわよ」
「そんな事、そんな事言えるわけないじゃない」
声を張り上げる、騙されてはいけない
「もし、魔理沙に拒絶されたら、もしレミリアに白い目で見られたら、もしあんたに巫女失格だなんていわれたら、私はこれからどうやって生きていけば良いのよ」
「そうね、現実に言うのは怖い。でもここなら大丈夫。ここは夢の世界。貴女が何をしようと現実に影響なんて与えない」
紫が手を差し伸べる。
「この手を取りなさい。そしてお姉さんと目くるめく世界へ行きましょう?」
その
手を
振りほどく
「私は紫に認められた、巫女なんだから。あんたの手を取ることなんて出来ない」
「そう、後悔しないのかしら」
「もうとっくにしてるわ」
「巫女さんの決意は固いようね。今日はこのまま退散するとしましょう」
スキマを開いて紫がとびきりの笑顔でお別れの挨拶を言う。
「それじゃ霊夢、また明日。夢の中で逢いましょう?」
目が覚める
「全く、巫女が無敵なんて嘘っぱちなんじゃないかしら」
その手に瓶詰めの錠剤を握り締めて。