夕焼けだか朝焼けだか分かんないけどとにかく赤くて紅くてどうしようもない太陽に照らされた通りには、上っ面が溢れてた。そう、溢れてた!
生産性の代償に本当の表情を失ったおじちゃんおばちゃん兄ちゃん姉ちゃん、どれもこれも同じで、あんまりにもおかしくて、おっきな声でウェヒヒヒヒって笑っちゃってもどいつもこいつも見向きもしやがらねえ。
ただ一人私だけが皮を剥がれた空っぽであるのであって、それと同時にこれは罰なんだって思うとそれはそれは嬉しくてコントロール不能でありんす!
乱雑に繰り返されたコピー&ペーストの中で、一際たくさんの偽物を排出してる穴があって、私はその怪物の口に初めて入るのでござった。
そこには、そう、小さな小さななりかけの大群! 大群! 大群! なんてこったい、ここは上っ面製造工場だったのであるか!!
「気をつけて帰りなさい。日が落ちるのが遅くなったからって、寄り道をしてはダメですよ」
女が言う。頭にワケわかんないもん乗っけた女が言う。それに呼応するみたいに量産型が口々にきいいいいいいこおおおおおおおと高音で耳障り!
それに負けていられない私も忠告した。今さら取り繕って何になるんだって。女は気付かない。私は透明じゃない! 透明なのはお前らの方だ!
はっ、と気がついた。目の前では、知らない女の人がびっくりしてた。どうやら私は、またやっちゃったらしい。
目を真ん丸くしてる女の人に、とりあえず謝っておいた。自分が悪いと思ったら謝れって、お姉ちゃんが言ってたから。
「いえ、大丈夫ですから。顔を上げてください」
そう言いながら、自分の胸に手を当てながら苦笑いして。そうしたら、女の人は私の名前を聞いてきた。
「古明地こいしです」
そう言った途端、部屋の空気は明らかに変わった。女の人は驚いたけど、さっきとは全然違う驚き方で、なにか厄介なものを見る目だった。
後ろからはたくさんの視線を感じて振り向くと、小さい子たちがいた。怯えていた。私に。
それを見た瞬間、私の鼻の奥はつぅんと痛くなって、目の前がぼやぼやっとして。これ以上ここにいたくなくって、出口に向かって走り出した。
「違、待ってくれ!」
女の人の声が聞こえたけど、無視した。だって、悪いのは私だから。しょうがないから。あの女の人も子供たちも、ちっとも悪くないから。
巫女さんの前を横切って、穴に飛び込んで。そこで私の記憶は途切れて。たぶん、またやっちゃってたんだろうな。
気がついたら、お姉ちゃんの顔がすぐ近くにあって、膝枕しながら私の頭を撫でてくれてた。
何がなんだか分からなくて何も言えない私に、お姉ちゃんはすっごく優しい笑顔で、
「あなたはなぁんにも悪くありません。ちょっとだけ、優しすぎたんでしょうね」
って言って。
そうしたら、私の目からすごい量の涙が溢れて来た。それだけで全部、もういいやって思った。
お姉ちゃんのスカートをびしょ濡れにしてもまだ足りなくて。
お姉ちゃんはそれでも頭を撫でてくれてて。
私はずっとそのまま、ずっと、ずっと泣いてた。
生産性の代償に本当の表情を失ったおじちゃんおばちゃん兄ちゃん姉ちゃん、どれもこれも同じで、あんまりにもおかしくて、おっきな声でウェヒヒヒヒって笑っちゃってもどいつもこいつも見向きもしやがらねえ。
ただ一人私だけが皮を剥がれた空っぽであるのであって、それと同時にこれは罰なんだって思うとそれはそれは嬉しくてコントロール不能でありんす!
乱雑に繰り返されたコピー&ペーストの中で、一際たくさんの偽物を排出してる穴があって、私はその怪物の口に初めて入るのでござった。
そこには、そう、小さな小さななりかけの大群! 大群! 大群! なんてこったい、ここは上っ面製造工場だったのであるか!!
「気をつけて帰りなさい。日が落ちるのが遅くなったからって、寄り道をしてはダメですよ」
女が言う。頭にワケわかんないもん乗っけた女が言う。それに呼応するみたいに量産型が口々にきいいいいいいこおおおおおおおと高音で耳障り!
それに負けていられない私も忠告した。今さら取り繕って何になるんだって。女は気付かない。私は透明じゃない! 透明なのはお前らの方だ!
はっ、と気がついた。目の前では、知らない女の人がびっくりしてた。どうやら私は、またやっちゃったらしい。
目を真ん丸くしてる女の人に、とりあえず謝っておいた。自分が悪いと思ったら謝れって、お姉ちゃんが言ってたから。
「いえ、大丈夫ですから。顔を上げてください」
そう言いながら、自分の胸に手を当てながら苦笑いして。そうしたら、女の人は私の名前を聞いてきた。
「古明地こいしです」
そう言った途端、部屋の空気は明らかに変わった。女の人は驚いたけど、さっきとは全然違う驚き方で、なにか厄介なものを見る目だった。
後ろからはたくさんの視線を感じて振り向くと、小さい子たちがいた。怯えていた。私に。
それを見た瞬間、私の鼻の奥はつぅんと痛くなって、目の前がぼやぼやっとして。これ以上ここにいたくなくって、出口に向かって走り出した。
「違、待ってくれ!」
女の人の声が聞こえたけど、無視した。だって、悪いのは私だから。しょうがないから。あの女の人も子供たちも、ちっとも悪くないから。
巫女さんの前を横切って、穴に飛び込んで。そこで私の記憶は途切れて。たぶん、またやっちゃってたんだろうな。
気がついたら、お姉ちゃんの顔がすぐ近くにあって、膝枕しながら私の頭を撫でてくれてた。
何がなんだか分からなくて何も言えない私に、お姉ちゃんはすっごく優しい笑顔で、
「あなたはなぁんにも悪くありません。ちょっとだけ、優しすぎたんでしょうね」
って言って。
そうしたら、私の目からすごい量の涙が溢れて来た。それだけで全部、もういいやって思った。
お姉ちゃんのスカートをびしょ濡れにしてもまだ足りなくて。
お姉ちゃんはそれでも頭を撫でてくれてて。
私はずっとそのまま、ずっと、ずっと泣いてた。