Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

縁日にて二人きり

2011/06/14 23:25:25
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※注意※
例によってオリ設定注意です。
例によってオリキャラ注意です。
例によってgdgd注意です。
例によって深夜脳注意です。
例によって拙作『若者』の設定を使っております。


以上を踏まえお楽しみください。









 夏も近付くなんとやら、学問会の終わった午後、霖之助は寝起きしている慧音の下宿で何時も通り英語を教えていた。

「………『God knows』これは『神のみぞ知る』と言う意味だ」

「……『God only knows』じゃないか?キリサメ」

「良い質問だ。魔界では『only』を抜いて活用する場合もある、高梁先生も魔行の時下宿先の風呂の設備の修理を申し込んだ際完璧に直るかと聞いたらこう返されたそうだ」

「…何かあったなぁ、そう言うの」

 当時、霖之助たちを教えた中で最も人気のあった英語教師は高梁実吉と言う魔界帰りの人間で、英語を何か神聖な物とみていた他の英語教師と徹底的に違う点は、英語を単なる語学として決め付け、学士たちに『英語なぞ恐れるに足りず』と言ってのけた。
 また、授業の際魔界で見聞きした余りよろしくないスラングを交えて行うため学士たちには評判が良かった。無論、霖之助や慧音もこの授業は楽しみである。

「さて次の単語だ……」

 頁を捲ろうとした瞬間、壁に掛けておいた時計が鳴った。
 気付けば既に外は薄暗くなっている。

「……こんな時間か、今日は午前授業だったからつい気合が入ってしまった」

「そう言えばキリサメ、今日は里でお祭りがあるそうだ」

「お祭り?里で?」

 頷きながら慧音はわら半紙で刷られたチラシを差し出す。
 もう始まっている時間だ。

「行かないか、祭り」

「ふむ……息抜きにちょうど良いかな」

「良し、じゃあちょっと出ててくれないか?」

「は?」

 理由を聞く間もなく霖之助は部屋を追い出され締め出された。
 暫くして何かを開ける音や布がこすれる音などの賑やかな音が聞え、数分経ち

『入って良いぞ』

と言う声が聞こえたので霖之助は扉を開きな会に入った。
 そこには浴衣姿の慧音が気恥ずかしそうに立っている。

「……似合うか?」

「あぁ、似合うよ、すっごく」

 数度頷き呆けた顔で言い返す霖之助に満足したのか慧音は腕を掴み下駄を突っ掛け外に出た。

「さぁ行くぞ!祭りは始まっている」

夏の近い、気温の高い日であった。





 里の中心部、様々な商店が並ぶ大通りに櫓が組まれ、色とりどりの提灯が輝いている中で皆それぞれに盆踊りをしたり、屋台の出し物に舌鼓を打ったりしている。

「やっぱりここは活気があるなぁ」

「中心部だけはあるよ」

 仲良く下駄を鳴らしながら鮮やかな光の洪水を掻き分け二人は進む。
 暫く、物を買って食べたり、余興を楽しんだりしている内に二人は霧雨道具店の前についていた。

「………無意識だな、キリサメ」

「全くだよ慧音」

 余談ながら霧雨の親父と言うのは基本的に人格者ではあるが精神的に興奮すると色々ネジが吹き飛ぶタイプで、お祭りなどの時の親父には近づかない方が良い、と里では語られている。
 早々に店と距離を取ろうとした瞬間、二人は見慣れた顔と出会った。

「おや御二人さん、デートですか羨ましい」

「「さ、実吉センセイ!」」

「やぁ二人とも、楽しんでますか」

 高梁実吉である。

「どうしてここに?」

「僕だって人並みに楽しみますよ、ほら」

 言って実吉は袋に詰まった肉まんを掲げる。

「いやぁ、赤毛の妖怪がそこで中華料理の屋台を開いてまして、これが中々美味しくて」

 可愛らしい売り子さんでしたよ、と付け加えて口髭をたくわえた大兵肥満の実吉は二人をしげしげと眺めて頷く。

「ほほほ、成る程、ふんふん」

 実吉は霖之助の肩を叩き二人に聞こえる程度の声で

「We wish you every happiness.」

とだけ呟き霧雨道具店へと歩いて行った。
 言葉の意味を理解できていないのか、慧音は霖之助に問うた。

「実吉先生は何と言ったんだ?」

「えっと……お祭りを楽しめって、言ったんだよ」

「本当か?」

「ほ、本当だよ」

 しかし霖之助の顔は気温のせいでとは言えないくらい真っ赤であった。





 そうこうしている内に祭りはメインイベントである花火の打ち上げが始まろうとしていた。

「今年の花火は凄いらしいぞ」

 興奮して囁き合うギャラリーを横目で流しつつ、慧音と霖之助は走っていた。
 息も切れ切れに引っ張られていく霖之助は問う。

「慧音、何で走るんだ、花火が始まるってのに」

「始まるから走るんだ、兎に角ふぉろーみーだ!」

 走り続ける事数分、二人は小高い丘についた。祭りの屋台の光も届かず、祭囃子も微かにしか聞こえない場所。

「ここはぎりぎりで里の敷地内だから安全だぞ」

「まぁ分かってるさ」

 言って慧音は座り込む。霖之助も溜息を吐き、隣に座る。すると俄かに空が明るくなり、爆発音が鳴り響いた。

「たーまやー!凄いだろキリサメ、凄い近くだぞ!」

「あぁ、成る程」

 そう、彼女が走っていたのはこの穴場へ霖之助を連れて行く為だったのだ。
 菊先、銀波先、錦先、牡丹……様々種類が打ち上げられていく中で、唐突に花火の音が止んだ。

「……終わりか?」

「どうだろう、でもさっきのはでかかったから打ち止めかなぁ」

「帰るか?キリサメ」

「いや、もう少し待ってみよう」

「あぁ」

 静けさを取り戻した暗闇の中、二人は黙って座っていた。どれくらいそこに座っていたろうか、慧音はいきなり口を開く。

「なぁキリサメ、さっき実吉先生が言っていたあの言葉、本当にお前の言った通りの意味なのか?」

「……そうだよ」

「嘘だろ」

「何でそう思う」

「お前は嘘をつくとき眼鏡を直す、今も直した」

 嘘を見破られ、霖之助は先程言われた言葉の真の意味をどう言いだそうかと困った。 
 言うのは簡単だが、慧音の心を傷つけかねないかもしれない、そう思うと中々言いだせない。

「どんな意味でも後悔しないかい?」

「あぁ、あぁ絶対だ」

「一度しか言わないぞ」

「おう、良いぞ」

 意を決し口を開いた瞬間、一際大きな菊先が空に轟いて、霖之助の言葉を攫って行った。

「……終わりじゃ無かったのか」

「…のようだね」
 
 言わずに済んだと霖之助は安堵しつつ広がってゆく光を眺め、いきなりの打ち上げに驚いた慧音は未だ残光を残す空を見つめながら呟く。

「で、さっきの言葉の意味を教えてくれないか?」

 先程の一発を機にまた再開された花火の光の下、慧音はまたもや霖之助に問いなおした。

「え?言ったじゃないか」

「は?あれはノーカンだろ?キリサメ」

「いやいや、一度しか言わないと言ったじゃないか、もう終わりだよ」

 暗いせいで互いの顔が近づかないと見えないくらい。慧音は普段よりも近づいて霖之助を問い質すが彼はお構いなしと言った風で取り合わない。

「ひ、卑怯だぞ!」

「ぼ、僕のせいじゃない、後で帰って調べろ!」
 
 夜空に一瞬咲く花と、夜の地上に咲く話。花火の音に負けないくらい、地上の二人は騒がしい。
※花火の穴場から帰ってきた二人を偶然見つけた親父の一言
「しくじりましたなぁ、自警団夜間偵察班を待機させとくんでした」
※この後親父はこういう感じの会話をしていた実吉氏諸共女将に(Nice boat.)されました。




深夜脳が俺にもっと慧霖を書けと囁いたので。
……しかし本当に慧霖ばっか書いてるなぁ、最近。
…………良いんだろうか。

でもそんなの関係無いと投げ槍がお送りいたしました。
投げ槍
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
良いと思います!
てかマジでこんな青春送りたかった…
2.削除
良いと思います。
2828が止まりませんよw