Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

蓮「メリーの目は特殊なんだからねッッ!ずっと私の傍にいなきゃだめなんだからねッッッ!!」

2011/05/27 23:09:58
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迷った。迷ってしまった。
全くついてない、本当の本当についてない。

「……現在時刻は」

時計を見る。
うん、無理だ。集合時間には到底間に合わない。

「しくったなぁ~」

起きた時間が切羽詰まっていたため普段使う事の無い道を入ったが最後、現在に至る。
住み慣れた町とはいえ勘に頼ると言うのはどうもいけない。
だがしかし走りながら今いる場所を眺める。

「まるで映画の中に潜り込んだみたい」

コンクリートと鉄筋で固められつつある我が町京都にこんなにも情緒あふれる家々が残っていたのか。
木と紙で構成された日本古来の家屋、夏が近い空に涼しげに響く風鈴の音。

(…綺麗)

もはや時代劇や資料でしか見る事が出来ない景色、時間に遅れているにもかかわらずその言葉が出る。
何処からか、毬とその中に入れられている鈴の音、そして、懐かしい手毬唄

―――まるたけえびすに おしおいけ

(……この歌)

―――あねさんろっかくたこにしき

(何処からだろう)

思わず足を止め、歌声を辿って往くと、ついた先は一軒の民家。

―――ろくじょうひっちょうとおりすぎ

(やっぱり、この中からだ)

珍しい、もう歌われていないと思っていたが、どんな子が歌い、ついているのだろうと興味がわく。

―――はっちょうこえればとうじみち

歌の通りだと後一節で終わってしまう、意を決し、中に踏み入れる。
すると、小柄な可愛らしい少女が和服を着て手毬をついていた。

―――くじょうおおじでとどめさす

歌が終わって、毬の音が止む。

「……こんにちは」

「あ、こ、こんにちは」

先程まで後ろを向いていたはずの少女は最初から私に気づいていたかのようで、毬を両の手に持ちながら笑いかけた。

「歌、上手ね」

「はい、全部教えてもらいました」

透き通った良く通る声で答えてくれる。

「ふぅん、そうなんだ」

綺麗な金の髪を陽光に輝かせながら、少女は笑う。
すると、奥から目の前の少女に良く似た金髪の女性が出てきた。

「まだ遊んでいたの?お昼の支度が出来たわよ」

「はい」

どうやらこの女性が母親だろう、顔立ちもどことなく似ている。
すると私に気付いたのか、目の前の女性は笑いかけながら

「貴方も一緒にどう?お昼」

「へ?あぁ……」

思わず、御呼ばれしようと思ったが、私は友との約束があるのだ。

「すいません、友人との約束がありますので」

「あらそう、じゃあまた何時か会いましょう、貴方のご友人によろしく」

最後ににっこりと微笑み、女性と少女は家の中へ入って行った。
しかし、何とも不思議な人だった、見ず知らずの私を昼食に誘うなんて。

「いけない!早く行かなきゃ」

考えるのもそこそこに、私はまた走り出した。







どうにかこうにか紆余曲折、私は友人との待ち合わせ場所へ到達できた。

「…メリーが遅刻なんて珍しいじゃない」

辿り着いたが早いか、目の前の友人は時計を指し示しながら問うた。
現在時刻14時00分、60分遅れ、自己最遅記録更新である。

「ごめん蓮子、道を一本間違えちゃって」

私は遅れた言い訳の代わりに、先程の不思議な体験の顛末を語った。
真っ直ぐな一本道、並ぶ木造建築、風鈴の音に乗せられた手毬唄と不可思議な女性。

「面白いわね!どうやってそこ行ったの?」

「あぁ、それが…」

そして、どうやって行ったか分からない事も付け加える。
すると蓮子は先程までの無邪気な顔から一転、神妙な面持ちで口を開いた。

「……子供の抜け穴、ね」

「ん?」

「私もそう言う事あったわ、遊びに出かけてよく知らない公園についたの、そこでまた知らない子供たちと遊んで、いつの間にか家で寝ていたの、で起きてもう一度行こうとしても行き方が分からない」

よくよく聞けば子供は大人よりも境界の切れ目を見つける能力が高いらしく、またそれが境界だとは気付かないのだと。
抜け穴として顕在する境界に潜り込み、帰ってこなくなったのが神隠しなのだと。

「こっちに帰ってきてくれてありがとうね、メリー」

そう言う蓮子の顔は何処か寂しげで、また儚げで。
私の知らなかった頃の蓮子は、その抜け穴で何かあったのだろうか。
詳しく語ってくれないなら、詳しく聞こうとは思わないけど、何か、引っかかる。

「さてメリー君、遅れたお詫びに喫茶白玉楼で白玉あんみつを奢ってくれも良いのだが?」

今度は私が考え込もうとする前に先程までの表情を消し去り胸を張り尊大な口調で言う蓮子。
遅刻の回数はそっちの方が多いはずなんだけど。

「…分かったわよ蓮子、行きましょう」

「うむ、よろしい」

今日は奢ってあげよう、そんな気分だ。
少しばかり気温が高い午後、蓮子は前を向きながら唐突に口を開く。

「ねぇメリー」

「ん?」

「……手、繋ご」

「良いよ」

返答を聞いて、蓮子の手に私の手を絡めた。
すると彼女は何時もより若干強く私の手を握る。








まるで、境界の向こう側に私が行ってしまうのを引き留めるかのように。
永遠を信じるほど無邪気では無いけど、私は彼女と少しでも永く一緒にいたい。
暗い闇の中でも、深い霧の中でも、彼女と一緒なら怖くなんて無い。
だから、私も彼女の強く握る手に応えた。
投げ槍
コメント



1.削除
子供の抜け穴……高野山で経験がありますよ私。肝試しでしたね。
私はトップで先生といたから何ともなかったんですが、他の生徒達は暫く経っても中々ゴールに現れず、最後の方に全員纏めてやってきたんです。
霊の仕業かと思ってましたが、これなのかもしれませんね。

そんな懐かしい事を思い出しました。蓮メリう_ふ_ふ
2.名無し程度の能力削除
いいなぁそんな不思議
3.奇声を発する程度の能力削除
この感じ良いなぁ
4.名前が無い程度の能力削除
タイトルと内容のテンションの差が激しいな