ねぇ映姫。映姫。
「おや。どうしました?こまち(小)」
ちょっと映姫に質問したいことがあるんだけど……いま時間いい?
「ええ、いいですよ。ちょうど休憩しようと思っていましたから。といっても、わかってて声を掛けたんでしょう?あなたは」
あはは……うん、そうだよ。ちょっと映姫忙しそうにしてたから……。
「まあ小町もちゃんと仕事をしていますし、事務仕事もありましたからね。でも今は休憩時間ですから、いくらでも質問してもいいですよ」
そう。ありがと、映姫。
「いえいえ。こまちは礼儀が正しくて偉いですね。よしよし」
えへへ……じゃあ質問するね。
問1
映姫はどうして休日に幻想郷で説教をして回ってるの?
「まあ、色々と理由はありますね」
いろいろ?
「ええ。まず一つ目は、幻想郷の若き小さな命の花の芽に、未来への道しるべを示す為、簡単に言えば幻想郷の幼い子供達に教育をしてまわる為ですね。これは人里のワーハクタクと同じ、子供達に立派な大人になってほしいという気持ちがあるからです。ワーハ……慧音先生のことは知っていますよね?」
うん知ってる。やさしくてきれいな人だよね。けーねせんせ。おっぱいも小町みたいに大きいし。
「……次の理由ですが」
映姫、どうしたの?
「いえ、何でもありません。幻想郷には子供達以外にも会いたい人達がいますから、その人達に会うためにも私は幻想郷に行ったりします。実際は顔を見ただけで満足して帰ってしまう、なんて事もちらほらですが」
その人達って?
「そうですね、例えば……人里からちょっと離れた所に住んでいる、幽香という人は知っていますか?」
えっと……たしか西行寺さんだっけ?
「そっちは幽々子ですね。幽香は……いつも綺麗な花を育てている緑髪のお姉さんと言えば分かりますか?」
あぁ!うん、わかるよ。お花みたいにきれいなお姉さんだよね。
「そうですね。あとは、今言った幽々子や、紫。たまに永琳やさとり、白蓮。ごくたまに衣玖にも会ったりしますね」
へぇ~。幻想郷にいっぱい知りあいがいるんだね。
「ええ。ですが、知り合いに会いに行くことも、休日に幻想郷で説教をして回る一番の理由ではありませんよ」
そうなの?
「ええ。休日に幻想郷で説教をして回る一番の理由は、未来の幻想郷に悪い影響を与える因子を抑制する為です。不定期的にですが、幻想郷では悪巧みをしようとする輩が出てきます。まぁ大抵の場合は、友達や仲間、家族や従者の進言を受けて考えを改める者もいますが、そうでない者もいます。妖精、特に氷精などがそうですね。そういった者の所に私が赴き、説教をして考えを改めさせるのです。といっても、私の説教を聞き入れずそのまま博麗の巫女に淘汰されたり、妖怪の賢者に窘められたしする連中が後を絶たないわけなのですが。まぁ、私の説教で考えを改めてもらうというのは、何というか気分がいいものなのです。自分が閻魔なのだという事を実感できるといいますか。他にも色々と理由がありますが、つまりは私がやりたいからやっているという事ですかね。分かりましたか?」
そう……なの……くぁ。
「ちゃんと聞いていましたか?」
うん……えと……ごめんなさい。
「小町よりも説教を聞いている時間が短いのですね。ですが、ちゃんと謝る事ができたので、白です」
うん。ありがと、映姫。
「どういたしまして」
じゃあ、次の質問するね。
問2
映姫は白黒はっきりつける程度の能力を使ってよかったことやわるかったことはある?
「そうですね……能力を使って良かったことは、特にありませんね。強いて言うなら、幻想郷で一番オセロが強いさとりに勝てた事ぐらいですかね。悪かったことは…………」
……映姫?
「い、いえ、何でもありません。悪かったことはですね、えっと、その……………………ダウザーの鼠の、高笑いを白黒はっきりさせたら、夢の国の使者が……」
…………。
「モノマネの一点張りで何とかする事ができたのですけどね。もう二度とやるまいと、心に誓いました。さ、さぁ、次の質問は何ですか?」
……えっと、大変だったね。
問3
映姫は好きな食べものってある?
「人里のスイーツなどは結構好きですね。特にあの、最近できた"ちゆりん"というお店の『いちごパラダイス♪ちゆりのミルクかけ』がお気に入りですね。他にもそば屋"きうよ"の『極天ぷらそば』や三つの風味が食欲をそそる事で有名な"レイラーメン食卓"の『三味ラーメン』。あと紅美鈴が作る特製中華まんや、秋限定ですが、秋の食材をふんだんに使った『秋姉妹どんぶり』なども。そして何よりも、夜雀屋台の鰻料理は絶品ですよ」
へぇ~。映姫ってなかなかグルメなんだね。
「ええ。私の舌はうるさいですよ」
あはは、良かったね映姫。
――――――――――――――――――――――――――――――
「……ねぇ、映姫」
「なんですか?」
「えっとね……」
問4
映姫はほかの閻魔のみんなや死神のみんなとは仲いいの?
「ええ、割と仲がいい方だと思いますよ。事務仕事も霊魂の裁判も、死神代行の修行の手伝いもしっかりこなしていますし、小町みたいにサボったりもしていません。それに書記の死神達や他の閻魔達と楽しく談笑したりもしますし、上からの待遇も良い方だと自負しています。まぁ、昔『妬ましい妬ましい』と言いながら局員を辞めて地底に帰っていった人がいたり、最近他の閻魔達が話し合っているのを見かけたりしますが。それがどうかしましたか?」
「そう……なんだ。うんと、そのね」
問5
閻魔のみんなが今度三箔四日の親交旅行に行くみたいだけど映姫は行かないの?
「んなっ!?ど、どういうことですか!?知りませんよそんなの!」
「え、映姫。みんなと仲わるいの?」
「そ、そんなことは……っ!一体どうして私にだけ……その話は誰から聞いたのですか?」
「閻魔用の掲示板に旅行の話が書いてあって……でも映姫ぜんぜん旅行の話しないから、どうしたのかなって思って……」
「それです!私は普段掲示板は使いませんから、掲示板で情報が伝えられていたのを知らなくて、そしていつの間にか掲示板が情報伝達の主流になっていたのですね……」
「そ、そうなの。それでね、掲示板の内容をコピーしてきたのがこれなんだけど……」
「どれどれ……」
――――――――――――――――――――――――――――――
『日程、場所、その他諸々は決定した。ではこれより最後の取り決めを行う。
……映姫ちゃん来てくれるかのう。まだ誘っていないのじゃろう?』
『どうだろう……厳しいな』
『仕事を優先させそうだからなー』
『小町ちゃんを誘えば一緒についてきてくれるかな?』
『それは小町に申し訳ない』
『だな』
『もし来てくれたとしても、心から楽しんでもらえるとは思えませんね……。映姫ちゃんまだ子供だから……』
『映姫ちゃんのパジャマ姿みたいお』
『少し……頭冷やそうか……』
『ピチューン』
『うむむむ』
『万事休すか……』
『帰還しますた』
『キタ―――!』
『キタ―――(・∀・)―――!!』
『キタ―――(×>(○=(≧▽≦)=○)<×)―――!』
『ふう、親交旅行計画に隠された暗号を解読するのに時間がかかってしまいましたよ』
『隠された暗号!?』
『そんなのあったのか?』
『ええ、あったんですよ。旅行計画に、隠された……メッセージが』
『……それって……まさか!』
『まさか……まさか……!!』
『つまり……どういうことだってばよ?』
『つまりですね閻魔様、このまま映姫に何も伝えなければ、映姫は死神と一緒にここに残ってしまう。つまり、小町と映姫がここに残ることになる。
そう、つまり!この親交旅行計画には【皆は旅行に行って映姫だけをここに残して、こまえーきを急激に加速させるべし!】という隠されたメッセージがあったんだよーーー!!』
『ΩΩΩくな、なんだってーーー!』
『鬼才現る』
『そうか!そうすれば皆は旅行を楽しむ事ができ、こまえーきも躍進する。そしてイレギュラーな事態が起こっても、映姫なら対応できる!』
『完璧だ!パーペキだ!』
『あたいってば!』
『頭冷やそうか…』
『さ、サイキョウだーー!!(ピチューン)』
『よし!では閻魔王の名において宣言する!
我々は旅行で春を存分に味わい、小町と映姫は二人でファイナルフュージョン!!(性的な意味で)』
『承認!!』
『承認!!』
『承認!!』
――――――――――――――――――――――――――――――
ビリビリビリッ!!
「ああっ!コピーが!」
ピピッ ピッ ピッ ヴィン
「小町っ!!」
『うぉっ!映姫様!ど、どうしたんですか?局員回線(なのはのようなもの)なんか開いたりして』
「小町、私はあなたに三箔四日親交旅行について話があります」
『うげっ!!』
「今日はちゃんと仕事をしてくれたみたいですから、あと一回霊魂を運べば今日の仕事は終わりです。正確に、ゆっくりでいいですから運んできなさい。その後私の所に来るように。お茶とお菓子を用意して待ってますよ」
『は、は~い、映姫様』
プツンッ
「まったく!小町はまったく!本当にまったく!他の閻魔達や閻魔王様まで……まったくもう!」
「え、映姫。まだ小町も一緒だったって決まったわけじゃないから、小町に乱暴しちゃだめだよ」
「ええ、私も信じてますよ。小町はいつも私のことを思って行動してくれる、とても心が優しい娘だと」
「うん、そうだよっ。小町はやさしいから、きっとたぶん別の人だよ」
「でももし小町もグルだった場合は、いつも以上に説教をしてあげなければなりませんけどね」
「そ、そうだね。……………………映姫は、小町には特別に熱心なんだね」
「今『小町には特別に熱心なんだね』といいましたか?」
「ううん、なんでもないよ。って聞こえてる!?」
「地獄の閻魔は地獄耳。常識ですよ」
「常識にとらわれちゃ駄目だよ!……あっ」
「ふふっ。ようやく地が出てきたみたいですね」
「う……」
「そうね……あなたは少し、態度が固すぎる。年相応にしては、ですけどね。えい」
「あぅ!い、いたいよ~」
「横殴りだから痛くはありませんよ。それに、あなたのような小さくて優しくて可愛らしい子は、よっぽどのことがない限り強く叩きませんよ」
「いっ、いきなりなにいってるの、映姫」
「あら、小町だって同じことを言うと思いますよ?」
「い、言ってくれないよ……たぶん。だって、家だとあたしが小町からはなれていっちゃうし、あまり小町となかよくしてないから……」
「あら、どうしてですか?」
「………………映姫。あたしの話、聞いてくれる?」
「ええ、いいですよ。今は休憩時間ですからね」
「きゅ、休憩時間じゃないと聞いてくれないの?」
「いいえ。勤務時間でも聞いてあげますよ。ですが、休憩時間だからこそ、一字一句漏らさず、最後までキチンと聞いてあげますという意味です」
「そ、そう、ありがと。……あのね、あたしは、小町と映姫が幸せなところが見たかったんだ。二人が楽しそうだと、あたしも見ててうれしかったから。……だけど、あたしも、小町と映姫と、一緒に仲よくなりたかったんだ。でも、あたしのわがままで二人に迷惑をかけるのはいやだなって、小町と映姫のあいだに入って、二人の楽しみをとっちゃうのはいやだなって思ったんだ……」
「そう……それで、私と小町に遠慮して、私達から少し遠ざかっていたのですね」
「うん……。だけどね、あたしは……」
「……でも、私は嬉しかったですよ。あなたが私に質問してきてくれて」
「えっ……」
「質問の内容は色々ありましたけど、それでも、あなたが私に質問してきてくれたからこそ、私はあなたの本心を知る事ができました。鏡を使ってもよいのですけれど、それも無粋でしょう?それにですね」
「う、うん……」
「人は誰しも、独りぼっちでは人生を楽しく生きていくことはできません。妖怪だってそうです。それに博麗の巫女や紅魔館のメイド、白黒の魔法使いや現人神もそう。常に人は誰かと関わりを持ち続け、時に二人の間に愛情が芽生えたりもします。その二人の愛おしい関係に誰かが寄り添ってきたところで愛情は壊れはしませんし、ましてやもっと賑やかに、楽しくなることだってあるのですよ。私も小町も、二人でいる時は楽しいですけれど、あなたと三人でいる時の方がもっと幸せですから。だからあなたは、私達に遠慮なんかしないで、もっと甘えてきてもいいのですよ。私も小町も、あなたのことを受け入れたいですから」
「ほ、本当に、本当にいいの?映姫」
「ええ、もちろん」
「じゃ、じゃあ!映姫。あたしはっ」
問6
あたしは、素直になってもいいの?
「いいですよ。私は素直なあなたが大好きですから。もちろん小町も、素直なあなたが好きだと言ってくれますよ」
「あ、ありがとね。映姫」
「どういたしまして」
――――――――――――――――――――――――――――――
「え、映姫様、ただいま戻りました」
「お疲れさまです。小町」
「おかえり。小町」
「って、あぁっ!すみません映姫様!うちの『こま』がお世話になったみたいで!」
「いえいえ。とても素直でおとなしくて、いい子でしたよ小町」
「そ、そうですか。ありがとうございます。ほら、こま。こっちにきな」
「うん……。小町、ごめんね。いつも迷惑かけて。これからは、ちゃんとするから」
「いや、こっちこそゴメンな、いつもあたいの世話とかさせちゃって。これからも仲良くしような」
「……うん。ありがと、小町」
「おっ、今日はやけに素直だな。いいことでもあったか?こま」
「うん。映姫がね、もっと素直になっていいよって、言ってくれたから。だから……」
「そうか!じゃああたいにもっと甘えていいぞ。ほら、ぎゅむ~~!」
「~~~~~~っ!」
「あぁもう、お前はいっつも小さくて優しくて可愛らしいなぁ!うりうり~~!」
「こ、こまちっ。だめだよっ、映姫がみてるから……!」
「いいですね。じゃあ私も、それっ、ぎゅむ~~!」
「え、映姫までっ!だ、だめだってば、二人ともっ」
「そういえば小町、こまは私達二人の愛情から生まれたようですよ」
「え、映姫!?あたしそんなこと言ってな……」
「そうなんですか?それじゃああたい達が責任持って面倒見なきゃいけませんね」
「そうですね。私達二人で、ずっと一緒に、末永く育てていきましょう」
「う~~~~~」
「そういえば映姫様、お茶とお菓子は無いんですか?」
「ええ。小町が余りにも遅かったので、こまと食べてしまいましたよ」
「え゛っ!?」
「冗談ですよ。今日はこまに免じて、お茶もお菓子も無しですがお説教も無しです」
「マジですか!?よくやったな、こま。ほれ、ぐりぐり~!」
「ん、ぎゅう、こっこま…ち、だめだよぉ~!」
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――
ねぇ、映姫。
「どうしました?こま」
あたしはね、まだ誰にも、自分のことを、自分がどんな人なのかを、大して説明できないんだ。映姫にも、小町にも。
「そうですか」
うん。それでも、それでもみんなは、閻魔のみんなや死神のみんな、それと幻想郷のみんなは、みんなからしたらよくわからないあたしを、
問7
あたしをみんなは受けいれてくれるかな?
「ええ、受け入れてくれると思いますよ。ここには、優しい人達が一杯いますからね」
そうだね。あたしも、映姫と小町を見てたら、そう思えてきたんだ。
みんななら、受けいれてくれるんじゃないかなって。
きっと。だから…………
「…………あたしのことを説明するのはまた今度でいいや」
「『あたしのことを説明するのはまた今度でいいや』といいましたか?こま」
「うん」
「それって、どういうことですか?」
「えへへ。ナイショ」
「おや。どうしました?こまち(小)」
ちょっと映姫に質問したいことがあるんだけど……いま時間いい?
「ええ、いいですよ。ちょうど休憩しようと思っていましたから。といっても、わかってて声を掛けたんでしょう?あなたは」
あはは……うん、そうだよ。ちょっと映姫忙しそうにしてたから……。
「まあ小町もちゃんと仕事をしていますし、事務仕事もありましたからね。でも今は休憩時間ですから、いくらでも質問してもいいですよ」
そう。ありがと、映姫。
「いえいえ。こまちは礼儀が正しくて偉いですね。よしよし」
えへへ……じゃあ質問するね。
問1
映姫はどうして休日に幻想郷で説教をして回ってるの?
「まあ、色々と理由はありますね」
いろいろ?
「ええ。まず一つ目は、幻想郷の若き小さな命の花の芽に、未来への道しるべを示す為、簡単に言えば幻想郷の幼い子供達に教育をしてまわる為ですね。これは人里のワーハクタクと同じ、子供達に立派な大人になってほしいという気持ちがあるからです。ワーハ……慧音先生のことは知っていますよね?」
うん知ってる。やさしくてきれいな人だよね。けーねせんせ。おっぱいも小町みたいに大きいし。
「……次の理由ですが」
映姫、どうしたの?
「いえ、何でもありません。幻想郷には子供達以外にも会いたい人達がいますから、その人達に会うためにも私は幻想郷に行ったりします。実際は顔を見ただけで満足して帰ってしまう、なんて事もちらほらですが」
その人達って?
「そうですね、例えば……人里からちょっと離れた所に住んでいる、幽香という人は知っていますか?」
えっと……たしか西行寺さんだっけ?
「そっちは幽々子ですね。幽香は……いつも綺麗な花を育てている緑髪のお姉さんと言えば分かりますか?」
あぁ!うん、わかるよ。お花みたいにきれいなお姉さんだよね。
「そうですね。あとは、今言った幽々子や、紫。たまに永琳やさとり、白蓮。ごくたまに衣玖にも会ったりしますね」
へぇ~。幻想郷にいっぱい知りあいがいるんだね。
「ええ。ですが、知り合いに会いに行くことも、休日に幻想郷で説教をして回る一番の理由ではありませんよ」
そうなの?
「ええ。休日に幻想郷で説教をして回る一番の理由は、未来の幻想郷に悪い影響を与える因子を抑制する為です。不定期的にですが、幻想郷では悪巧みをしようとする輩が出てきます。まぁ大抵の場合は、友達や仲間、家族や従者の進言を受けて考えを改める者もいますが、そうでない者もいます。妖精、特に氷精などがそうですね。そういった者の所に私が赴き、説教をして考えを改めさせるのです。といっても、私の説教を聞き入れずそのまま博麗の巫女に淘汰されたり、妖怪の賢者に窘められたしする連中が後を絶たないわけなのですが。まぁ、私の説教で考えを改めてもらうというのは、何というか気分がいいものなのです。自分が閻魔なのだという事を実感できるといいますか。他にも色々と理由がありますが、つまりは私がやりたいからやっているという事ですかね。分かりましたか?」
そう……なの……くぁ。
「ちゃんと聞いていましたか?」
うん……えと……ごめんなさい。
「小町よりも説教を聞いている時間が短いのですね。ですが、ちゃんと謝る事ができたので、白です」
うん。ありがと、映姫。
「どういたしまして」
じゃあ、次の質問するね。
問2
映姫は白黒はっきりつける程度の能力を使ってよかったことやわるかったことはある?
「そうですね……能力を使って良かったことは、特にありませんね。強いて言うなら、幻想郷で一番オセロが強いさとりに勝てた事ぐらいですかね。悪かったことは…………」
……映姫?
「い、いえ、何でもありません。悪かったことはですね、えっと、その……………………ダウザーの鼠の、高笑いを白黒はっきりさせたら、夢の国の使者が……」
…………。
「モノマネの一点張りで何とかする事ができたのですけどね。もう二度とやるまいと、心に誓いました。さ、さぁ、次の質問は何ですか?」
……えっと、大変だったね。
問3
映姫は好きな食べものってある?
「人里のスイーツなどは結構好きですね。特にあの、最近できた"ちゆりん"というお店の『いちごパラダイス♪ちゆりのミルクかけ』がお気に入りですね。他にもそば屋"きうよ"の『極天ぷらそば』や三つの風味が食欲をそそる事で有名な"レイラーメン食卓"の『三味ラーメン』。あと紅美鈴が作る特製中華まんや、秋限定ですが、秋の食材をふんだんに使った『秋姉妹どんぶり』なども。そして何よりも、夜雀屋台の鰻料理は絶品ですよ」
へぇ~。映姫ってなかなかグルメなんだね。
「ええ。私の舌はうるさいですよ」
あはは、良かったね映姫。
――――――――――――――――――――――――――――――
「……ねぇ、映姫」
「なんですか?」
「えっとね……」
問4
映姫はほかの閻魔のみんなや死神のみんなとは仲いいの?
「ええ、割と仲がいい方だと思いますよ。事務仕事も霊魂の裁判も、死神代行の修行の手伝いもしっかりこなしていますし、小町みたいにサボったりもしていません。それに書記の死神達や他の閻魔達と楽しく談笑したりもしますし、上からの待遇も良い方だと自負しています。まぁ、昔『妬ましい妬ましい』と言いながら局員を辞めて地底に帰っていった人がいたり、最近他の閻魔達が話し合っているのを見かけたりしますが。それがどうかしましたか?」
「そう……なんだ。うんと、そのね」
問5
閻魔のみんなが今度三箔四日の親交旅行に行くみたいだけど映姫は行かないの?
「んなっ!?ど、どういうことですか!?知りませんよそんなの!」
「え、映姫。みんなと仲わるいの?」
「そ、そんなことは……っ!一体どうして私にだけ……その話は誰から聞いたのですか?」
「閻魔用の掲示板に旅行の話が書いてあって……でも映姫ぜんぜん旅行の話しないから、どうしたのかなって思って……」
「それです!私は普段掲示板は使いませんから、掲示板で情報が伝えられていたのを知らなくて、そしていつの間にか掲示板が情報伝達の主流になっていたのですね……」
「そ、そうなの。それでね、掲示板の内容をコピーしてきたのがこれなんだけど……」
「どれどれ……」
――――――――――――――――――――――――――――――
『日程、場所、その他諸々は決定した。ではこれより最後の取り決めを行う。
……映姫ちゃん来てくれるかのう。まだ誘っていないのじゃろう?』
『どうだろう……厳しいな』
『仕事を優先させそうだからなー』
『小町ちゃんを誘えば一緒についてきてくれるかな?』
『それは小町に申し訳ない』
『だな』
『もし来てくれたとしても、心から楽しんでもらえるとは思えませんね……。映姫ちゃんまだ子供だから……』
『映姫ちゃんのパジャマ姿みたいお』
『少し……頭冷やそうか……』
『ピチューン』
『うむむむ』
『万事休すか……』
『帰還しますた』
『キタ―――!』
『キタ―――(・∀・)―――!!』
『キタ―――(×>(○=(≧▽≦)=○)<×)―――!』
『ふう、親交旅行計画に隠された暗号を解読するのに時間がかかってしまいましたよ』
『隠された暗号!?』
『そんなのあったのか?』
『ええ、あったんですよ。旅行計画に、隠された……メッセージが』
『……それって……まさか!』
『まさか……まさか……!!』
『つまり……どういうことだってばよ?』
『つまりですね閻魔様、このまま映姫に何も伝えなければ、映姫は死神と一緒にここに残ってしまう。つまり、小町と映姫がここに残ることになる。
そう、つまり!この親交旅行計画には【皆は旅行に行って映姫だけをここに残して、こまえーきを急激に加速させるべし!】という隠されたメッセージがあったんだよーーー!!』
『ΩΩΩくな、なんだってーーー!』
『鬼才現る』
『そうか!そうすれば皆は旅行を楽しむ事ができ、こまえーきも躍進する。そしてイレギュラーな事態が起こっても、映姫なら対応できる!』
『完璧だ!パーペキだ!』
『あたいってば!』
『頭冷やそうか…』
『さ、サイキョウだーー!!(ピチューン)』
『よし!では閻魔王の名において宣言する!
我々は旅行で春を存分に味わい、小町と映姫は二人でファイナルフュージョン!!(性的な意味で)』
『承認!!』
『承認!!』
『承認!!』
――――――――――――――――――――――――――――――
ビリビリビリッ!!
「ああっ!コピーが!」
ピピッ ピッ ピッ ヴィン
「小町っ!!」
『うぉっ!映姫様!ど、どうしたんですか?局員回線(なのはのようなもの)なんか開いたりして』
「小町、私はあなたに三箔四日親交旅行について話があります」
『うげっ!!』
「今日はちゃんと仕事をしてくれたみたいですから、あと一回霊魂を運べば今日の仕事は終わりです。正確に、ゆっくりでいいですから運んできなさい。その後私の所に来るように。お茶とお菓子を用意して待ってますよ」
『は、は~い、映姫様』
プツンッ
「まったく!小町はまったく!本当にまったく!他の閻魔達や閻魔王様まで……まったくもう!」
「え、映姫。まだ小町も一緒だったって決まったわけじゃないから、小町に乱暴しちゃだめだよ」
「ええ、私も信じてますよ。小町はいつも私のことを思って行動してくれる、とても心が優しい娘だと」
「うん、そうだよっ。小町はやさしいから、きっとたぶん別の人だよ」
「でももし小町もグルだった場合は、いつも以上に説教をしてあげなければなりませんけどね」
「そ、そうだね。……………………映姫は、小町には特別に熱心なんだね」
「今『小町には特別に熱心なんだね』といいましたか?」
「ううん、なんでもないよ。って聞こえてる!?」
「地獄の閻魔は地獄耳。常識ですよ」
「常識にとらわれちゃ駄目だよ!……あっ」
「ふふっ。ようやく地が出てきたみたいですね」
「う……」
「そうね……あなたは少し、態度が固すぎる。年相応にしては、ですけどね。えい」
「あぅ!い、いたいよ~」
「横殴りだから痛くはありませんよ。それに、あなたのような小さくて優しくて可愛らしい子は、よっぽどのことがない限り強く叩きませんよ」
「いっ、いきなりなにいってるの、映姫」
「あら、小町だって同じことを言うと思いますよ?」
「い、言ってくれないよ……たぶん。だって、家だとあたしが小町からはなれていっちゃうし、あまり小町となかよくしてないから……」
「あら、どうしてですか?」
「………………映姫。あたしの話、聞いてくれる?」
「ええ、いいですよ。今は休憩時間ですからね」
「きゅ、休憩時間じゃないと聞いてくれないの?」
「いいえ。勤務時間でも聞いてあげますよ。ですが、休憩時間だからこそ、一字一句漏らさず、最後までキチンと聞いてあげますという意味です」
「そ、そう、ありがと。……あのね、あたしは、小町と映姫が幸せなところが見たかったんだ。二人が楽しそうだと、あたしも見ててうれしかったから。……だけど、あたしも、小町と映姫と、一緒に仲よくなりたかったんだ。でも、あたしのわがままで二人に迷惑をかけるのはいやだなって、小町と映姫のあいだに入って、二人の楽しみをとっちゃうのはいやだなって思ったんだ……」
「そう……それで、私と小町に遠慮して、私達から少し遠ざかっていたのですね」
「うん……。だけどね、あたしは……」
「……でも、私は嬉しかったですよ。あなたが私に質問してきてくれて」
「えっ……」
「質問の内容は色々ありましたけど、それでも、あなたが私に質問してきてくれたからこそ、私はあなたの本心を知る事ができました。鏡を使ってもよいのですけれど、それも無粋でしょう?それにですね」
「う、うん……」
「人は誰しも、独りぼっちでは人生を楽しく生きていくことはできません。妖怪だってそうです。それに博麗の巫女や紅魔館のメイド、白黒の魔法使いや現人神もそう。常に人は誰かと関わりを持ち続け、時に二人の間に愛情が芽生えたりもします。その二人の愛おしい関係に誰かが寄り添ってきたところで愛情は壊れはしませんし、ましてやもっと賑やかに、楽しくなることだってあるのですよ。私も小町も、二人でいる時は楽しいですけれど、あなたと三人でいる時の方がもっと幸せですから。だからあなたは、私達に遠慮なんかしないで、もっと甘えてきてもいいのですよ。私も小町も、あなたのことを受け入れたいですから」
「ほ、本当に、本当にいいの?映姫」
「ええ、もちろん」
「じゃ、じゃあ!映姫。あたしはっ」
問6
あたしは、素直になってもいいの?
「いいですよ。私は素直なあなたが大好きですから。もちろん小町も、素直なあなたが好きだと言ってくれますよ」
「あ、ありがとね。映姫」
「どういたしまして」
――――――――――――――――――――――――――――――
「え、映姫様、ただいま戻りました」
「お疲れさまです。小町」
「おかえり。小町」
「って、あぁっ!すみません映姫様!うちの『こま』がお世話になったみたいで!」
「いえいえ。とても素直でおとなしくて、いい子でしたよ小町」
「そ、そうですか。ありがとうございます。ほら、こま。こっちにきな」
「うん……。小町、ごめんね。いつも迷惑かけて。これからは、ちゃんとするから」
「いや、こっちこそゴメンな、いつもあたいの世話とかさせちゃって。これからも仲良くしような」
「……うん。ありがと、小町」
「おっ、今日はやけに素直だな。いいことでもあったか?こま」
「うん。映姫がね、もっと素直になっていいよって、言ってくれたから。だから……」
「そうか!じゃああたいにもっと甘えていいぞ。ほら、ぎゅむ~~!」
「~~~~~~っ!」
「あぁもう、お前はいっつも小さくて優しくて可愛らしいなぁ!うりうり~~!」
「こ、こまちっ。だめだよっ、映姫がみてるから……!」
「いいですね。じゃあ私も、それっ、ぎゅむ~~!」
「え、映姫までっ!だ、だめだってば、二人ともっ」
「そういえば小町、こまは私達二人の愛情から生まれたようですよ」
「え、映姫!?あたしそんなこと言ってな……」
「そうなんですか?それじゃああたい達が責任持って面倒見なきゃいけませんね」
「そうですね。私達二人で、ずっと一緒に、末永く育てていきましょう」
「う~~~~~」
「そういえば映姫様、お茶とお菓子は無いんですか?」
「ええ。小町が余りにも遅かったので、こまと食べてしまいましたよ」
「え゛っ!?」
「冗談ですよ。今日はこまに免じて、お茶もお菓子も無しですがお説教も無しです」
「マジですか!?よくやったな、こま。ほれ、ぐりぐり~!」
「ん、ぎゅう、こっこま…ち、だめだよぉ~!」
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――
ねぇ、映姫。
「どうしました?こま」
あたしはね、まだ誰にも、自分のことを、自分がどんな人なのかを、大して説明できないんだ。映姫にも、小町にも。
「そうですか」
うん。それでも、それでもみんなは、閻魔のみんなや死神のみんな、それと幻想郷のみんなは、みんなからしたらよくわからないあたしを、
問7
あたしをみんなは受けいれてくれるかな?
「ええ、受け入れてくれると思いますよ。ここには、優しい人達が一杯いますからね」
そうだね。あたしも、映姫と小町を見てたら、そう思えてきたんだ。
みんななら、受けいれてくれるんじゃないかなって。
きっと。だから…………
「…………あたしのことを説明するのはまた今度でいいや」
「『あたしのことを説明するのはまた今度でいいや』といいましたか?こま」
「うん」
「それって、どういうことですか?」
「えへへ。ナイショ」