Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

朱鷺が居着く

2011/04/18 12:00:41
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始めまして、森羅万象と申します。
初の投稿と初のSS執筆で緊張と不安で一杯ですがお手柔らかにお願いします。
少しでも読者様皆様がお楽しみ頂ければ幸いです。









「朱鷺子、これでは僕は作業がし難いのだが…」
「一緒にやった方が早くて良いでしょ?」

客の居ない香霖堂でそんな会話をしながら僕は手元のボロ布……朱鷺子の衣服に糸と針を通して会話する、会話相手の朱鷺子は僕の膝に腰掛けて一緒に衣服をせっせと修繕する。
今日も今日とて霊夢と魔理沙に弾幕ごっこをしてはボロボロに負けた彼女はそれでも楽しそうだった、何がそんなに喜ばしいのか…朱鷺子も何を考えてるんやら……針仕事してるときは危ないからあんまり近くに居ないほうが望ましい。
「そうかもしれないが……僕の膝は君の椅子じゃないんだよ」
「だって黒白……魔理沙にも昔はよくしてやったとか言ってたでしょ?今だってたまに座らせてるじゃん!だったら私も座りたい!!」
「…はぁ、もう好きにしてくれ。但し、騒がないでくれよ?」
「えへへ……ありがとう霖之助!」

お礼を言いながら嬉しそうに僕の膝の上に座る彼女、僕は自分の衣服は大事にしなさいと叱りたくなったが子供らしい無邪気な笑顔を向けられたので叱る気も抜かれた。
だから別の言葉を掛ける。
「ところで……何で僕の服を着てるんだい?」
「だって紅白が……霊夢も着てたでしょ!だから私も着ても良いよね!」
「…羽を通すために他人の衣服を切る事も良いのか?」
「うぅ……ごめんなさい………でも、着てみたかったから…」
「そんなに落ち込まないでくれ、別に怒ってはないよ……後でちゃんと直してくれる分には着ても構わないよ」
「本当!?えへへ……やっぱり霖之助は優しいわね!」
落ち込んだかと思えば直ぐに復帰して笑顔に、ころころと表情が変わる。全く、見ていて飽きないな。
そんな朱鷺子の子供っぽい可愛らしさに思わず僕も自分の口元が緩むのがわかった。

魔理沙にも霊夢にも少し甘やかし過ぎかとたまに考えさせられるが朱鷺子にも少し甘すぎかな?まああの二人は妹みたいなものだし朱鷺子はまだあの子達以上に幼い感がある。少し位、甘やかしても問題無いだろう。
「まるで妹分が増えたみたいだ…」
膝の上でお揃いの服を着た小さな少女を見やり呟く、やはり悪い気分はせず。

寧ろ、良い気分だった。


ーーーーーー


お昼には私のお洋服は直った、私は自分のお洋服が直ったことに喜んだ……霖之助が、私の為に……
「霖之助!どう?おかしくないかな???」

早速、着替えた私は霖之助に見てもらう。霖之助が私の為に直した……それが嬉しい、私は嬉しさでいっぱいだ、多分顔にも出てるのかな…?
似合うって、言ってくれるかな…?
可愛いって、言ってくれるかな…?

「ふむ、修繕した後も見当たらないし良いんじゃないかな」
「あ、うん……そう…」
うぅ、やっぱり霖之助は霖之助だった…。私の淡い期待は容易く打ち砕かれたわ…。
「よし、その調子で僕の衣服に開けた羽を通す穴も直してくれよ?」
「じゃ、じゃあ先にお昼ご飯にしようよ!?私もうお腹空いちゃったから…」
「おや…?もうそんな時間だったか?なら休憩も兼ねて昼食にするか」
ほっ……助かった、あのまま作業を強いられたら私は泣いていた。凹んだ時に追い討ちなんだから誰でも泣くわよ…。

霖之助って変なところで目ざといのにそれと同じ位に鈍感なんだもん、今のだって疲れた私を労う意味でお昼ご飯の提案を受け入れた。
……褒めて欲しい事には気づかないのに…。
だから私はお詫びとお礼と……仕返しの意味を込めて一つ行動を起こす……ちょっと、いや…かなり恥ずかしいけど…。

「あのね、霖之助!ちょっと良いかな!?」
「なんだい?そんなにそわそわして」
「私のお洋服を直すのに午前中の時間使わせちゃったでしょ?だからお詫びに私がお昼ご飯作ってあげる」
「ふむ、別に礼を言われる事ほどの働きではないが……まあ作ってくれるなら頼もうかな」

私は凄い嬉しかったんだよ、なんて言ったら霖之助はどんな顔をするのかな…?
でもそれはまた今度言ってみよう……それよりも今はお礼と仕返しだ。
「それとね……お礼がしたいんだけど…」
うぅーん……やっぱり恥ずかしいな………自分でも顔が赤くなってるのがわかる、顔が熱いよぅ…。でも………これ位しなきゃ彼には届かないのかな…?だとしたら……勇気を出さなきゃ…!

「いや、お礼ならちゃんと僕の服を直してくれれば構わないから」
「え?あ、あ、あの、それはちゃんとするからで!えっと、それだけじゃ私も物足りないとか……気持ちが治まらないとか……じゃなくて!えと、その…」
「……何を慌ててるか分からないがとりあえず落ち着きたまえ…」
やっぱりこっちの心境もお構いなしに霖之助は私に彼のお洋服に穴を開けたことの修繕を求めてきた、まあ予想通りね。そういう意味でも仕返しだし…。
「朱鷺子…?顔が赤いぞ、熱でもあるのかい…!?」
「ううぅ~……だぁってぇ~…」
心配そうに霖之助は私に近寄る、そんな彼に仕返ししようなんてちょっと罪悪感を覚えるけどおあいこだ。

だって……気付いてくれないからの仕返しだもん。

「ほら熱を測るよ?額を見せて、こっちに顔を向けて…」
(いまだ!)


「…ちゅ…!」
「んっ!?」



えへへへへ………霖之助に、私の初めて……初めての、キスしちゃった…!


ーーーーーー


何が起きた?

目の前には目を瞑った朱鷺子、それも視界いっぱいに。
真っ赤に染めながら……幸せそうな気がする。

口には軟らかい感触。
朱鷺子の……キスだ…。

……え!?
訳が分からない!!?どう言う事だ!?!?

「ん…」
「んっ!?」
そうだ、確か朱鷺子が顔を赤くしてたから心配した僕は彼女の熱を測ろうと顔を近づけたんだった……そしたら…。

「…っはぁ……はぁ……り、りんのすけ…」
「…朱鷺子……君は…」
「…えへ……今のがお礼…」

………真っ赤に染めて……
………幸せそうに……
………してやったりと言わんばりに……
………恥ずかしそうに……
………泣きそうに……

………可愛い……顔をして…

「流石に唐突過ぎるんじゃないか……驚きの方が大きいよ…」
「……仕返しの意味も……込めてるんだもん…」
ぷるぷると震えながら僕に抱き付く、声も震えている……泣いてるのだろうか…。
「仕返し?……恨みを買うよう事をした覚えは無いが……まさか本のことをまだ忘れてないのか?」
「……違うわよ……気付いてくれないんだもん…」
朱鷺子をしっかりと抱き留める、彼女の羽が忙しく羽ばたいてる。まるでその心境を表してるようだ……実際そうなのだろう。

「……私が霖之助を好きだって気持ちに…」
「僕は隙間妖怪の様に心を見透かす事も覚り妖怪の心を読むことは出来ないからね、しっかり伝えてくれなきゃ好きだという気持ちには気付けないさ…」
彼女を抱きしめた腕を伸ばし、その小さな頭を優しく撫でる。こうしてやると朱鷺子は喜ぶ、その嬉しそうな笑顔が見たくて僕は…。
「じゃあ……霖之助の気持ちを教えてよ………好きって言ったのよ…キスまでしたんだから……すっごい恥ずかしいんだから…」
「朱鷺子………僕は…」


ーーーーーー

「よう香霖!居るか?」
「こんにちは霖之助さん、居るわよね?」
「ごきげんよう霖之助さん、いらっしゃるかしら?」

あ!黒白と紅白、それに紫隙間だ!!!


「いらっしゃいませ~、朱鷺子と霖之助の愛の巣・香霖堂へようこそ~!!!」

「「「…は?」」」

「………いらっしゃい魔理沙、霊夢、紫。古道具屋・香霖堂へようこそ…」
????何で霖之助は若干、引きつった笑顔をしてるのかしら?もしかしたら今日は具合が悪いのかしら?なら三人をさっさと帰らせて看病してあげなきゃ!
あれ?新聞を握る手が震えてる……そうか!きっと寒いのね?じゃあ暖かく…
「そこで香霖の膝に座ってる鳥頭!今すぐ表へ出ろ!!!」
「そこで霖之助さんと同じ服着た鶏肉!ちょっと面貸しなさい!!!」
「名無しの本読み妖怪は幻想郷の平和を乱す者!妖怪の賢者としては見逃せませんわ!!!」
「もー五月蝿いわね!霖之助は具合悪いんだか帰ってよ!私はこれから霖之助を暖めてあげるんだから!!!」
「「「ムッ殺す!!!!!!!!!」」」
「………とりあえず皆、黙ってくれ…」

霖之助が一言、制しただけで香霖堂の店内は一時的に静かになる。霖之助がため息を吐きながらカウンターに文々。新聞を置く、黒白と紅白と紫隙間もその動作を目で追う。
三人の目の色はバラバラね…黒白は泣いてるし紅白は怒ってるわ、紫隙間は瞳孔開いてる……凄い怖いわ…。

「魔理沙、泣き止みなさい。霊夢、落ち着きなさい。紫、正気にもどれ。そして皆、物騒な物をしまってくれ…」
「ごおりぃん!ぼんどぎごいづど~!」
「そこの朱鷺妖怪をキル!ミー!!!」
「ワタシハヨウカイノケンジャダモノナナシノイッピキクライウフフ」

黒白は泣きじゃくって
紅白は怒り狂い
紫隙間は部屋の隅っこで蹲りながらブツブツ言ってる

「り……りんのすけ~!こいつら怖いよ~…」
「君の迂闊な発言のせいだよ…」
「むぅ、霖之助の意地悪!だって本当の事を言ったんだもん!!!」


だって…だってあの時霖之助が言ってくれたじゃない?

『朱鷺子………僕は…』
一晩徹夜してこの程度が限界でした、はい……精進します…。
評価やコメントはお手柔らかにお願い致します、打たれ弱いので…(汗)

霖之助が朱鷺子に言ったこととは…ご自由にご想像ください。
森羅万象
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
三人とも落ち着けw
朱鷺子可愛いよ朱鷺子
2.名前が無い程度の能力削除
朱鷺霖もっと流行れ。
ナイスな作品でした。
3.名前が無い程度の能力削除
さあ、早く続き。
4.削除
ゆかりんがマジ泣きしたら完璧だったな。
いい朱鷺霖でした。基本鈍感な店主と乙女な朱鷺子の雰囲気も良かったです。
さて、続きを気長に待つとしようか。
5.名前が無い程度の能力削除
続編は砂糖を吐くほど甘いので頼む
6.森羅万象削除
コメントをくれた皆様、読んで下さった皆様、ありがとうございます。
作者の森羅万象です。
処女作ゆえにこうして色んな方に眼を通して頂き、コメントを頂いて感無量。作者冥利に尽きます。
改めてありがとうございます!

続編ですが投下したときは考えておらず読みきり一本で作りました。
現在も甘めの魔理霖とか甘めの別の朱鷺霖を考案中でございまして…。
期待していた皆様、申し訳ありません…。

ですが文章力がもう少し付いたら続編も考えていきます、皆様が続編を期待して下さるなら応えたいです!

どうもありがとうがざいました!!