春の暖かな日、紅魔館の門にちょこんと立っているのは、
ちっちゃい身体に大陸風の服を着た、赤毛のフカフカ尻尾を持った垂れ耳わんこのいぬめーりん。
肉球つきのちっちゃい足できっちりしっかり仁王立ち…しているかと思ったら、こっくりこっくり船を漕いでいる。
「はっ!」
目が覚めた。
「いけないいけない、立ったまま寝るなんて」
いぬめーりん反省。
「寝るならちゃんと横になって寝ないと」
紅魔館の庭の日当たりのいい芝生にトテトテと向かうと、そこでコロンと仰向けになった。
柔らかい日差しにまたすぐに眠くなる。
そしてそのまま夢の中へ…
暫くして、館内から出てくる誰かの姿。
銀色のキュッと巻いた尻尾を持った三角お耳いぬさくや。
肉球つきのちっちゃい足でトテトテと向かうはいぬめーりんのところ。
手にしたバスケットにはご主人様から貰った二匹分の犬用ビスケット。
一緒にオヤツをしにきたのだ。
ところが門にはいないいぬめーりん。
「じゃあいつものところね」
どこに行って、何をしているかなんてすぐ分かる。
向かった先はお庭の方、そこにはすやすや眠っているいぬめーりんの姿。
「まったくもう、またこんな所で居眠りしていて」
番犬らしからぬ姿にため息がでる。
「おじょうさまがちゃんと叱ってくれないからだわ」
わんこ大好きな二匹の飼い主はいぬめーりんがサボっても気にしない。
だってわんこは可愛いから。
「めーりん起きて、寝てちゃ駄目でしょ?」
声をかけたが起きない…
「まったくー」
スピスピと寝息を立てて眠っているのをジッと見た。
幸せそうな顔をしている。
鼻先をつついてみた…
「くふー」
くすぐったいのか、ちょっと鼻の頭にしわ寄せたがまたもとの幸せな顔にもどった。
「そんなにここで寝るのが気持ちいいのかしら?」
いぬさくやはちょっと気になったので、いぬめーりんの横に転がってみた。
確かにお日さまは暖かいけれど、そんなに眠れるほどなのかはいまいちピンとこない。
コロン
寝返りをうってもう少しいぬめーりんに近づいてみた。
いぬさくやの鼻にいぬめーりんの匂いが届く。
お日さまと土、そして花、いぬめーりんからは春の匂いがした。
「ふぁ」
小さくいぬさくやがあくびをした。
瞼が重くなってくる。
お日さまと、いぬめーりんの匂いに包まれて、いぬさくやも夢の中に…
「おやおや、二匹とも戻ってこないと思ったら」
ご主人様が探しに来たら、二匹のわんこはぴったりくっついて幸せそうに眠っている。
取りあえず写真を何枚か撮った後、二匹を一緒に抱き上げてご主人様は館に戻っていった。
結論:わんこ可愛いよわんこ。わんわんおー
お嬢様、写真譲って欲しいと天狗が見ていますが。
それとPCは、ご愁傷様です。
PCはご愁傷様です……