Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

霖「…と言う夢を見たのSA☆」

2011/04/06 11:41:13
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満開の桜の木の下で森近霖之助は待っていた。
彼の顔を擽る風と鼻に微かに香る桜の香りが、これからの決心を固める。

「霖之助、待たせたな」

掛けられた声に振り向くと、そこには自分にとって見慣れた顔が覗きこんでいた。
霖之助は絞り出すように声を出す。

「…やぁ、慧音」

「珍しいな、お前から呼び出しなんて」

で、どうしたんだ、と慧音は聞いてくる。
そして二度三度深呼吸をし、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「慧音、僕は…僕は商売人として失格だとか何とか色々言われているし、結構ずぼらな所もある。そんな僕がこんなことを言っていいのかどうかわからないけど…」

全身から汗が噴き出た。
霖之助は自らの都合ばかり言っているが、慧音は黙って聞いている。

「やっぱり、言わないで後悔するよりも言って後悔したいんだ。…なんだかこれだと後ろめたい事があるような言いぶりだ。困ったなぁ、こんな時なんて言えばいいのやら…」

「…あぁもうじれったい!はっきり言え」

まっすぐで堅物な慧音らしい叱責を受け、その通りだと心で呟きながら心を固める。
そしてもう一度、霖之助は深呼吸をして慧音の瞳を見つめながら口を開いた。

「…結婚…して欲しいんだ」

風の音が消えた。
慧音は目を点にして霖之助から目をそらす。当然だろう、いきなり求婚されたら誰だって戸惑う筈だ。
しかしそんなことお構いなしに霖之助は続けた。

「指輪も買おうとしたんだけど……僕の収入じゃ…」

言いながら、小さい正方形の箱を取り出し、開ける。
中に入っているはずの指輪が、無かった。

「……何時か、必ず君の指にはめる…だから僕と…」

「…じゃあ、今はめてくれ」

「え?」

「その…何時か買う指輪を、今はめてくれ」

霖之助は頷き、指輪があるかのように形作り、その白い手を添え、通すかのように慧音の左薬指を撫でる。
添えられていた手が離れると、慧音は何もはまっていない手を空にかざし、呟いた。

「…綺麗だ、とっても」

何時しか慧音の頬には一筋の涙が伝っていた。
慧「…懐かしいな」
霖「うん、とっても懐かしいよ」
朱鷺「ねぇおかあさん、おとうさんはなんの夢みたのー?」
慧「…ん?ふふ内緒だ」
朱鷺「おしえてよー、ねぇねぇ」
霖「こら、お母さんを困らせるんじゃない、遊んでおいで」
朱鷺「…は~い」
慧「暗くなる前に戻ってくるんだぞ~」

手を振る慧音の薬指には、約束した指輪が輝いていた。
森近一家は今日も平和だそうです。


こんにちは、投げ槍がお送りいたしました。
銀○伝とオー○ェイズ見てたらやりたくなって見切り発車。
取り敢えずヤン提督のプロポーズに対するフレデリカさんの答えは反則だと思っている。
投げ槍
コメント



1.たおふこ削除
な、なんという森近一家……!
感服というか、もっとやって下さいお願いします
2.奇声を発する程度の能力削除
タイトルで夢オチかと思ったけどそんな事無かった。
良い一家でした
3.名前が無い程度の能力削除
オチなしかよw
4.日間賀千尋削除
あなたの書く作品は読んでいると思わずニヤニヤしてしまう。
この緩みきった頬を見せてやりたいくらいだ。
5.削除
貴方が森近一家に目覚めて嬉しい限り。
後は……言わなくても分かるよね?
6.名前が無い程度の能力削除
あなたの慧霖の話はやはり素晴らしい