「私、早苗のことが大嫌い」
「……え?」
昼食が終わり、正午も過ぎて。
そしたら、ぬえが突然やってきたから、二人で部屋でだらだら。
特に何かをするわけではないが、二人きりの時間、とういうのは、全く悪くない。
最近は忙しくて、中々こういう時間を作り出せなかったし。
そう思っていたら、突然ぬえが静寂を破って。
しかも、その言葉が、私にはつらい言葉。
今までは照れ隠しとかで言ってたりはあったけれど、今回のこの言葉は、そういう感情が一切無く。
少し意地悪そうな顔をしていて。
「……すみませんぬえ、もう一度言ってください」
「だからさ、私、早苗のことが大嫌い」
「………」
聞き間違いかと思ってもう一度聞き返してみても、やっぱり同じで。
「……なんで、ですか?」
「だってさ、早苗ってば勘違い激しいし、常識無いし」
「うっ」
「それに何かとあればいつも私に構ってきてさ」
「そ、それはぬえの反応がかわい……いえ、ことがぬえの心配で」
「正直迷惑」
「っ……」
……あれ、泣きそう。
待って。結構つらいですよ、私。
今までの行動が迷惑だなんてストレートに言われると誰だって泣きたくなるさ!
確かにぬえのことが心配で、悪い虫がつかないようにつきまとってくる方々をいっぱいを成敗したけど!
その度にぬえに怒られてたけど!
でも、その怒った顔がかわいくて、
「心配しなくても早苗からは離れないっての……」
なんて顔を赤くしながらな言葉までのおまけつきだからいっぱい退治してきたけど!
他にもぬえに対してあんなことやこんなことをやったりしたけど、それは全部私の愛情の証で!
「……なに泣きそうな顔してるのよ」
「えっ、そ、そんなこと、ないです……」
「全く、早苗はしっかりしなさいよね、馬鹿なんだから」
「う、あうぅ……」
あれ、ぬえってこんなに毒舌だったっけ?
こんなにはっきり、馬鹿まで言われて、ほんとに泣いちゃいそうな。
「……なんてね」
「え……」
「嘘よ。全部嘘。ほら、そんな泣きそうな顔しないで」
「う、そ……?」
さっきまでの気持ちから一転、ちょっと気が抜けて、ぬえを見るとそこには悪戯が成功したような、子供みたいな顔が。
「ほら、早苗。今日は何月何日?」
「えっと……」
ぬえに指差された方向を見る。
そこにある日めくりカレンダー。今、見える日付は……4/1。
……もしかして
「……エイプリルフール、ですか?」
「そ。昼前に里から戻ってきた一輪に聞いたんだけどね。なんでも、今日は嘘ついてもいい日みたいじゃない」
「まさか、これがやりたいからわざわざ私のところに……」
「ご名答。今までやられっぱなしだったからたまには仕返しがしたくてね。ま、早苗はまんまとひっかかってくれたけど」
ポカンとしてた早苗の顔なんて、まぬけで素敵だったわ。
なんて、あははは、って笑うぬえ。
……と、ここで、私の中の対抗心が燃えてくる。
なんだかこのままぬえに笑いものにされるのは釈然としない。
少し、仕返ししたくなって。
「……ぬえ」
「ん、なに?」
「知ってますか?エイプリルフールの日に嘘ついてもいいって、午前中までなんですよ?」
「……え?」
まぁ、嘘なんだけど。
外の世界でよく言われてた嘘。
エイプリルフールなんだから、いいよね。
「そしてぬえは正午過ぎてから、私が大嫌いなんだの言ってましたよね?」
「え、と、それは……!」
「悲しいです。ぬえに嫌われてしまって、私はどうしたらいいか」
「さ、早苗!?」
よよよ……なんて、わざとらしく泣き倒れてみる。
ものすごく演技くさいが、今のぬえなら効果覿面だろう。
「あぁ、悲しすぎて、悲しすぎて、私はもう誰にも会わないで消え去りたくなります」
「え、ちょ、」
「まぁというわけで、私はちょっと出て行きますから探さないでくださいね?とはいっても私が嫌いならどうでもいいでしょうが」
「え、えっと、ごめん!冗談!冗談だから!早苗のこと嫌いじゃないから!!」
部屋から出て行こうとする私に慌てて必死にすがり付いてくる。
こんなかわいいぬえを見てると、もう一押しいじりたくなる。
「うーん……嫌いじゃない、じゃあまだまだですねぇ」
「じゃ、じゃあどうすればいいのさ……!?」
「ちゃんと私のことが好き、ということを示してくださらないと、まだまだ心の傷は治りませんね
「っ……!好き!好きだから!ちゃんと!早苗のこと、大好きだから!」
「言葉ではなく、……そうですね。行動で表して……んむ!?」
急に、言葉が続かなくなる。
いや、違う。さえぎられたのだ。
目の前の、ぬえに。
必死に、耳を真っ赤にして、私にキスしてくる、ぬえに。
……長い静寂。
二人とも言葉を発せず、ただ二人の甘い、キスを堪能していて。
……そして先に離れたのは、ぬえで。
「……わ、わかったでしょ!私は早苗が大好きだって!!」
「ぬ、え……」
「な、何よ」
「……大胆ですね」
「は、はぁ!?早苗が悪いんでしょ!早苗が!!」
バカ!早苗のバカ!ドS緑巫女!
なんて、真っ赤な顔で必死に罵るぬえ。
そんなぬえが、とても愛おしくて。
気付けばつい、抱きしめていて。
「ちょ、さな、え……!」
「でも、伝わりましたから」
「え……」
「私も、大好きですよ、ぬえ」
「~~!!」
「ふふ……」
「……バカ」
「安心してください。ぬえの傍からは離れませんから。絶対」
「……ふん」
ポンポン、と、背中をなでながら、優しくささやく。
これは嘘でもなんでもない、まことの言葉。
そして、未来永劫、そうであったらいいなぁ、というような願い。
……いや。
絶対にそうさせよう、という、想い。決心。
今はただ、ぬえを抱き続けながら。誓う。
「……え?」
昼食が終わり、正午も過ぎて。
そしたら、ぬえが突然やってきたから、二人で部屋でだらだら。
特に何かをするわけではないが、二人きりの時間、とういうのは、全く悪くない。
最近は忙しくて、中々こういう時間を作り出せなかったし。
そう思っていたら、突然ぬえが静寂を破って。
しかも、その言葉が、私にはつらい言葉。
今までは照れ隠しとかで言ってたりはあったけれど、今回のこの言葉は、そういう感情が一切無く。
少し意地悪そうな顔をしていて。
「……すみませんぬえ、もう一度言ってください」
「だからさ、私、早苗のことが大嫌い」
「………」
聞き間違いかと思ってもう一度聞き返してみても、やっぱり同じで。
「……なんで、ですか?」
「だってさ、早苗ってば勘違い激しいし、常識無いし」
「うっ」
「それに何かとあればいつも私に構ってきてさ」
「そ、それはぬえの反応がかわい……いえ、ことがぬえの心配で」
「正直迷惑」
「っ……」
……あれ、泣きそう。
待って。結構つらいですよ、私。
今までの行動が迷惑だなんてストレートに言われると誰だって泣きたくなるさ!
確かにぬえのことが心配で、悪い虫がつかないようにつきまとってくる方々をいっぱいを成敗したけど!
その度にぬえに怒られてたけど!
でも、その怒った顔がかわいくて、
「心配しなくても早苗からは離れないっての……」
なんて顔を赤くしながらな言葉までのおまけつきだからいっぱい退治してきたけど!
他にもぬえに対してあんなことやこんなことをやったりしたけど、それは全部私の愛情の証で!
「……なに泣きそうな顔してるのよ」
「えっ、そ、そんなこと、ないです……」
「全く、早苗はしっかりしなさいよね、馬鹿なんだから」
「う、あうぅ……」
あれ、ぬえってこんなに毒舌だったっけ?
こんなにはっきり、馬鹿まで言われて、ほんとに泣いちゃいそうな。
「……なんてね」
「え……」
「嘘よ。全部嘘。ほら、そんな泣きそうな顔しないで」
「う、そ……?」
さっきまでの気持ちから一転、ちょっと気が抜けて、ぬえを見るとそこには悪戯が成功したような、子供みたいな顔が。
「ほら、早苗。今日は何月何日?」
「えっと……」
ぬえに指差された方向を見る。
そこにある日めくりカレンダー。今、見える日付は……4/1。
……もしかして
「……エイプリルフール、ですか?」
「そ。昼前に里から戻ってきた一輪に聞いたんだけどね。なんでも、今日は嘘ついてもいい日みたいじゃない」
「まさか、これがやりたいからわざわざ私のところに……」
「ご名答。今までやられっぱなしだったからたまには仕返しがしたくてね。ま、早苗はまんまとひっかかってくれたけど」
ポカンとしてた早苗の顔なんて、まぬけで素敵だったわ。
なんて、あははは、って笑うぬえ。
……と、ここで、私の中の対抗心が燃えてくる。
なんだかこのままぬえに笑いものにされるのは釈然としない。
少し、仕返ししたくなって。
「……ぬえ」
「ん、なに?」
「知ってますか?エイプリルフールの日に嘘ついてもいいって、午前中までなんですよ?」
「……え?」
まぁ、嘘なんだけど。
外の世界でよく言われてた嘘。
エイプリルフールなんだから、いいよね。
「そしてぬえは正午過ぎてから、私が大嫌いなんだの言ってましたよね?」
「え、と、それは……!」
「悲しいです。ぬえに嫌われてしまって、私はどうしたらいいか」
「さ、早苗!?」
よよよ……なんて、わざとらしく泣き倒れてみる。
ものすごく演技くさいが、今のぬえなら効果覿面だろう。
「あぁ、悲しすぎて、悲しすぎて、私はもう誰にも会わないで消え去りたくなります」
「え、ちょ、」
「まぁというわけで、私はちょっと出て行きますから探さないでくださいね?とはいっても私が嫌いならどうでもいいでしょうが」
「え、えっと、ごめん!冗談!冗談だから!早苗のこと嫌いじゃないから!!」
部屋から出て行こうとする私に慌てて必死にすがり付いてくる。
こんなかわいいぬえを見てると、もう一押しいじりたくなる。
「うーん……嫌いじゃない、じゃあまだまだですねぇ」
「じゃ、じゃあどうすればいいのさ……!?」
「ちゃんと私のことが好き、ということを示してくださらないと、まだまだ心の傷は治りませんね
「っ……!好き!好きだから!ちゃんと!早苗のこと、大好きだから!」
「言葉ではなく、……そうですね。行動で表して……んむ!?」
急に、言葉が続かなくなる。
いや、違う。さえぎられたのだ。
目の前の、ぬえに。
必死に、耳を真っ赤にして、私にキスしてくる、ぬえに。
……長い静寂。
二人とも言葉を発せず、ただ二人の甘い、キスを堪能していて。
……そして先に離れたのは、ぬえで。
「……わ、わかったでしょ!私は早苗が大好きだって!!」
「ぬ、え……」
「な、何よ」
「……大胆ですね」
「は、はぁ!?早苗が悪いんでしょ!早苗が!!」
バカ!早苗のバカ!ドS緑巫女!
なんて、真っ赤な顔で必死に罵るぬえ。
そんなぬえが、とても愛おしくて。
気付けばつい、抱きしめていて。
「ちょ、さな、え……!」
「でも、伝わりましたから」
「え……」
「私も、大好きですよ、ぬえ」
「~~!!」
「ふふ……」
「……バカ」
「安心してください。ぬえの傍からは離れませんから。絶対」
「……ふん」
ポンポン、と、背中をなでながら、優しくささやく。
これは嘘でもなんでもない、まことの言葉。
そして、未来永劫、そうであったらいいなぁ、というような願い。
……いや。
絶対にそうさせよう、という、想い。決心。
今はただ、ぬえを抱き続けながら。誓う。
宝くじ当たった嘘を言ったら1000円当たった……そんな微妙なエイプリルフールでした。