「ふあぁぁ・・・あふ・・・むぅ・・・」
早朝、命蓮寺。
閉じそうになる眼をこすりながら、寅丸星は居間へと向かっていた。
(昨日あんまり寝なかった所為でしょうか・・・瞼が重いです・・・)
昨夜、星は今日行なわれる説法の内容を考えていた。いつもならばするすると滞りなく完成するのだが、昨夜はなかなか良いものが出来ず、結局出来上がったのは丑三つ時を少し回った頃であった。おかげで寝不足である。
本当のところ、もう少し眠りたいのだがこれでも星は毘沙門天の代理である。そのような大役を任されている自分が、生活のリズムを崩すなどという情けないことをしてはいけない。そんな強迫観念にも似た思いから、いつもより重く感じる身体を動かす。
ひたひたとまだまだ寒さの残る廊下を歩いていると、近くにある部屋の戸がスーッ、と開いた。
(この部屋は確か、この寺に住み着いている封獣ぬえの部屋だったはずですね)
星の考え通り、ぬえがひょこっ、と部屋から出てきた。いつもの黒い服を着ている。ぬえもまだ眠いのか、目をこすっている。心なしか背中から生えている羽(のようなもの)も力なく垂れている。
とりあえず挨拶しよう。そう思い、星はぬえに声をかける。
「ぬえ、おはようございます」
「おはよう星ちゃん。おっぱい揉ませてー」
星の『世界』が止まった。きっと紅魔館のメイド長が『ザ・ワールド!!止まれィ!時よ!』といって能力を発動したに違いない。しかも星のみに。恐るべしメイド長。ちなみにそのメイド長は今、門番にアレな事をしているのだが、今回の話には関けーねぇので割愛させていただく。
「どしたの星ちゃん、固まっちゃって?ま、いいや。じゃ揉ませていただきま~す。ヒャッハー!!」
と、まるで世紀末のモヒカンのような掛け声と共にぬえが星に飛びかかる。しかしメイド長が能力を解いたのか、はたまた星が『俺が時を止めた・・・⑨秒の時点でな・・・やれやれだぜ・・・』といって入門したのかもしれない(『星』の白金だしね!)。ともかく星は慌ててぬえを避ける。
「ぬ、ぬえ!貴女一体何を考えているのですか!」
胸を腕で隠しながら、星はぬえを怒鳴りつける。ぬえは空中で器用に体勢を立て直し、星の方に向き直る。
「いや昨日さ、無性におっぱい揉みたくなっちゃってね。村紗のトコ行ったんだけど『ザケんなボケェ!!』って柄杓でぶったたかれてさ。ちょっと快感だったよ。ナズーリンでいいやーと思ってあいつのトコにも行ったんだけどさ、改めて見ても揉みがいのある乳じゃねーなーって思って。で、つい鼻で笑っちゃったら、笑顔のまま穴にダウジングロッド突っ込まれてね。『らめぇ!裂けちゃうぅぅ!!」って感じだったよ。あ、穴って言ってももちろん鼻の穴だよ。私としては下の方に突っ込まれても良かったんだけどね!」
フヒヒ、と嫌な笑いを浮かべながらぬえが恍惚とした表情で語ってくる。
星の顔はトマトのように真っ赤になっていた。この寅娘、毘沙門天の代理である。だがそれ以前に星はものすごい純情な乙女である。ぬえが嬉々として語ってくる内容は星にとって耐え難いものであった。目に涙を浮かべて『もうやめてください・・・』といわんばかりの表情を浮かべている。それはさながら『痴漢にあっている少女』のような感じである。
「そそそんな破廉恥なことを言っては・・・い、いけませんよ・・・ぬえ・・・」
カタカタと羞恥に身体を震わせながらぬえを諌めようとする星であったが。
「ああっ!そう、そうよ星ちゃん!その表情が見たかったのよ!その羞恥に苛まれるその表情!たまらないわ!」
もちろん逆効果であり、ぬえをヒートアップさせるだけであった。
「な・・・ならもう・・・十分・・・でしょう・・・?」
次の瞬間、ぬえの理性がぶち壊された。
「もーしんぼーたまらん!!ムッハー!!」
ボ、という効果音つきで再度星に飛び込むぬえ。虚をつかれたのか、星は反応が遅れてしまった。ひっ、と声にならない悲鳴を上げ、星はぎゅっ、と眼を閉じた。
瞬間、ものすごい勢いで一つの影が躍り出た。
緑がかった黒髪に、水兵の様な装い。手には身の丈ほどもありそうな錨。船幽霊、村紗水蜜である。それを目一杯振りかぶった体勢で飛び込んできて──
「この淫獣がぁ!!あたしの星になにしてんだぁぁぁ!!!」
「ひでぶっ!!」
勢いよくぬえに向かって振りぬいた。突っ込んでいたぬえは避ける事も出来ずにモロにヒットした。そのまま突き当たりの壁まで吹っ飛んでいった。クリーンヒット!ぬえは体勢を崩している!
総攻撃チャンス!とさらに追い討ちをかける水蜜。一人だけど。
「アンタは朝っぱらから何してんのよ!!」
「な・・・何って・・・・・・ナニ?」
「くたばれぇぇぇぇぇえぇ!!!」
ガス、メキ、グチャ、ギャドッ、という耳を塞ぎたくなるような音を響かせながらマウントポジションをとって錨を幾度となく振り下ろす水蜜。手加減ナシである。
「昨日の夜といい、今といい!!アンタの頭ん中はどーなってんのよ!!この淫獣!!」
「ねぇねぇ、全然関係ないんだけど今のこの体勢きj」
「黙れええぇぇぇえ!!!」
錨を振り下ろすスピードが上がる。このままではキレイなチョウチョが咲きかねない。
そう思ったのか、ハッと我に返った星が水蜜を止めようと駆け寄る。
「み、水蜜!それ以上はダメです!もうやめてあげてください!」
「殺す!こいつは殺さなきゃダメだぁあぁぁ!!」
「ほ、ホントにヤバイですって!あ!聖ー!助けてー!水蜜を止めてくださいぃぃ!」
8分後、聖、雲山の力でようやく止めることが出来たのだった。ちなみにぬえは意外とケロリとしていた。さらに懲りていないのか『星ちゃんマジ天使。お礼におっぱい揉んであげるよ!』などとのたまい、聖にナムサーンされていた。ナムナム。
そんなこんなで、いつの間にか昼。星に衝撃が走る。
「な・・・無い・・・そんな・・・確かにここにおいたはずなのに・・・」
衝撃の正体、それはご存知、星の代名詞『失くし物』である。今回なくなっていたのは先ほど出てきた本日行う説法の書かれた巻物である。朝から今まで半日も経っていない。その短時間で紛失するとはもはや彼女の才能である。心底要らない才能ではあるが。
説法の時間は午後1時から。現在12時38分。非常にピンチである。慌てて部屋を捜索するがどこにも無い。オロオロとし始める星がこうなったら、と部屋を出ようと動き出すと、同時に勝手に戸が開いた。
少し驚いたように眼が大きく開く。そこには長年連れ添った、従者の姿があった。
灰色の髪に大きな丸い耳がついている。首から下がっている青いペンデュラムがゆらゆらと揺れていた。そしてハハッ、と軽く笑いながら、ナズーリンがそこにいた。
「探しものこれかな、ご主人?」
そう言うと、ナズーリンは右手にある巻物をこちらに見せるようにひらひらと揺らした。
「そ、それです!ありがとうございます、ナズーリン!」
「まったくもう、しょうがないなご主人は。ほら」
ナズーリンが星に巻物を手渡す。確かに星の探していたものだ。それを大事そうに受け取る。
「本当に助かりました・・・あの・・・これ、何処にありました?」
オズオズと聞いてみる星。すかさず答えるナズーリン。
「洗面器の中」
「・・・・・・・・・・・・・はい?」
思わず聞き返す星。ハテ今なんと?
「だから洗面器の中だよ、風呂場のね。幸い水気は無かったので特に問題はないが・・・」
「何故そのような所にあったのでしょうか・・・?」
「・・・・・・私に聞かれてもな・・・・・・」
気まずい沈黙が流れる。何故風呂場まで巻物が行ったのか。普通に考えて巻物は紙である。紙に水気は大敵である。そんなこと誰でも解かることであり、解かっているからこそ、そんなところには持ち入らないはずである。なのに何故巻物が風呂場にあったのか。そして私は今日、風呂場の方には行ってはいない。つまり──
「これは超常現象ですよナズーリン!」
「ご主人、君は疲れてるんだよ・・・」
すげなく否定されてしまってがっかりする星。今orz←こんな感じである。
「まぁ、確かにご主人の失くし物は奇跡のレベルだと思うよ、うん。きっと山の巫女の仕業じゃないかな」
と、フォローになっているのかなっていないのか分からないような言葉をかけるナズーリン。ちなみにいきなり容疑者扱いされている山の巫女さんは今、博麗神社に居り、そこの紅白巫女からセクハラをされているのだが、今回の話にはまッッッッッッたく関係ないので割愛させていただく。
「・・・っと、ご主人。そろそろ本堂に向かった方がいいぞ。もう時間が近い」
「え!本当ですか!?あわわわ・・・」
そう言われて、星は慌てて支度をする。説法のときに着る装束を纏い、急いで部屋から出ようとする。しかし、なぜかナズーリンに止められた。
「えっと・・・どうかしましたか、ナズーリン?」
「ご褒美をくれ」
別にこのタイミングで言わなくてもいいのでは、と思い後にまわす旨を伝えようと口を開こうとしたが、先にナズーリンが口を開いた。
「ちゅーをしてくれ、ちゅー。額でも頬でもいいから。しかし私的にはマウス・トゥ・マウスを所望する。舌と舌が絡み合うような官能的なディープキスなら、なお良いな」
何このデジャヴ。朝といい、今といい、どうして自分はこんな目に遭うのだろうか、と星は心の中で涙を流した。しかしそんなことをしている場合ではない。時間が無いのだ時間が。
「ご、ごめんなさい・・・と、とりあえずこれで勘弁してくださいね、ナズーリン」
そう言って、星はナズーリンの頭を撫でる。そしてそのまますぐに走り去ってしまった。よほど切羽詰っているのだろう。「いってらっしゃい、ご主人」と顔を赤らめて見送るナズーリンを見ることなく星は本堂への廊下を駆けていった。
今日の説法を終え、参加者達がいなくなった頃、水蜜は夕食の準備をしていた。メニューはカレーである。金曜日だし。
ニンジンの皮を器用に菜切り包丁で剥き、一口大の大きさに切っていく。同様にジャガイモも切ろうと食材の入った籠に手を伸ばす。
「あ、水蜜。夕食の準備ですか?」
不意に星に声を掛けられた。伸ばした手はピクリ、と動きを止める。それとは逆に胸の鼓動は速度を増すのを、水蜜は感じていた。
「そうね、見ての通り夕食の準備よ。で、それがどうかした?」
と、ぶっきらぼうに返す水蜜。星は気にしたような素振りも見せずに言葉を紡ぐ。
「いえ、何かお手伝いできることは無いかなと思いまして」
胸の鼓動がギアをあげる。緩みそうになる表情を必死に引き締め、努めて平常通りに言葉を返す。
「べ、別に手伝ってもらうようなことも無いけど・・・そうね、お皿出して、人数分」
「はい、わかりました」
星が食器棚から皿を取り出すのを見て、水蜜は材料を切る作業に戻ることにした。ジャガイモの皮を剥いて、適当な大きさに切って、それを星型に型どって──
「ってなんでよ!?」
「うわっ!?ど、どうかしましたか水蜜!?」
ビクーン!と身を強張らせる星。と同時に皿を取り落としそうになるがギリギリで堪えた。
「い、いや!何でもない!何でもないからさっさと準備しなさいよ!」
「え・・・あ・・・す、すいません・・・」
何故か謝る星。その姿を見た水蜜はものすごい罪悪感に襲われた。そしてすぐさま星型のジャガイモをバラバラに切っていく。
(どーして星型にしてんのあたし!?何で!?無意識でか!?どんだけ乙女なんだあたしは!?)
両腕と片足を上に上げ、ポーズを取っている少女が脳裏に浮かんだ。それはともかく、ダダダダダッと物凄い勢いで切っていく、否、分解していく。
次の瞬間、指先に鋭い痛みが走った。慌てて手を引くと人差し指に赤い線が走っていた。どうやら手元が狂ったらしい。傷は幸いそんなに深くは無いらしいが人差し指から手のひらに向かって血が流れていた。
「水蜜?どうかしましたか・・・・・・ってち、血が出てるじゃないですか!?」
水蜜の動きが止まったのを不審に思ったのか星が覗き込む。そしてその原因を理解すると物凄い勢いで慌て始めた。
水蜜は、んな大げさな・・・と少し呆れた。それと同時にこんな小さなことでも目一杯心配してくれることを嬉しくも思っていた。
「とりあえず、絆創膏は・・・・・・ひゃっ!」
応急処置をしようとした水蜜だったが、先ほどの星のように身体を強張らせた。それもそのはず、水蜜の指を星が咥えていた。
(え!?何これ!?星があたしの指を咥えてる!?あ、意外とザラザラしてるなぁ舌・・・じゃなくてえぇぇぇ!!)
突然のことにパニックに陥る水蜜。それもそのはず、惚れた相手が自分の指を舐めているというこのシチュエーション。パニックにならない方がおかしい。
水蜜は顔が熱くなるのを感じていた。きっと今顔真っ赤なんだろうなぁ、とぼんやりと思っていた。どうやら少々頭がバカになっているようだ。
それから少し時間が経過し、星が水蜜の指から口を離す。星の唇と水蜜の指の間にアーチが架かるがすぐに途切れてしまった。それを見た水蜜の顔がさらに赤くなった。
「血はだいぶ止まったみたいですね。後の作業は私がしておきますから、水蜜は怪我の手当てをしてきてください」
ニコリ、と微笑みながら治療を促す星。水蜜はうまく働かなくなった頭で、ぼんやりと答える。
「う・・・うん・・・わかった・・・」
そう言って、料理場から出ようとして、少しだけ立ち止まって、小さな声で「ありがとう・・・」と言った。
星は「どういたしたしまして」と微笑んで、返した。その言葉にさらに顔を赤くしながら、水蜜は料理場を出た・・・・・・所で何故か砂糖まみれになっている一輪を発見した。
ちなみにオチとしてはニンジン、ジャガイモ以外の食材が丸ごとカレーに入っており、命蓮寺の面々を驚愕させた。ドジっ虎、恐るべし。
ついでにそんな星に『お仕置き』と称してアレな行為をしようとしたぬえは、雲山に吹っ飛ばされた。ウンザーン。
風呂に入り終え、今日の写経を行おうと、机に向かった・・・と同時に戸が勢いよく開いた。そこにいたのは、
「あれ・・・水蜜?どうかしましたか?」
首を傾げる星に、水蜜はすこーしだけ顔を赤くしながら、言葉を発する。
「星、アンタはもう寝なさい」
星はさらに首を傾げる。
「え・・・えっと・・・写経が終わったら寝ますけど・・・」
「ダメよ。今すぐ寝なさい」
「な、何故ですか?」
そう水蜜に問いかける。写経も修行の一つ。毘沙門天の代理として、修行を疎かにするわけにはいかない。自分はその役目を完璧に果たす使命があるから。星はそう思って、ずっと過ごしてきた。
だから、水蜜の言葉に『はい』とは言えなかった。毘沙門天代理としてすべきことは、他の何を差し置いても優先すべき事だから。それが例え自分の──『寅丸星』としての日常でさえも。
そんな星に水蜜が出した答えは、
「アンタ、昨日全然寝てないんでしょ?だから今日はさっさと寝る。いい?」
と、至極単純なものだった。
星が『何故そのことを・・・?』と聞いてみると、さっきよりも顔を赤くした水蜜が『あんたの顔見りゃわかるわよ』とそっけなく言った。
「そ、そんなことで勤めを疎かにするなんていけません。私は毘沙門天のだい──」
「あーもう!グチグチうっさいわね!いいからさっさと寝んのよ!代理代理って言ってるけど今のアンタは『星』でしょうが!」
「で、ですが・・・」
「へぇ、まだ逆らう気?それならこっちにも考えがあるわよ」
と言うとともに手に錨を出現させる。何をするのかを瞬時に理解した星だが、最後の抵抗をする。
「ど、どうしてそこまでして私を休ませようとするんですか・・・?」
「アンタね、そんなの決まってんでしょう!それは──!」
そこで、いったん言葉が途切れる。星が「水蜜・・・?」と、先を促すような声を出す。そして、意を決したように、半ばヤケクソのように水蜜は口を開く。
「それは・・・・・・アンタのことが心配だから!アンタにあんまり無理して欲しくないの!解かりなさいよそれぐらい!」
そう言った水蜜の顔は、林檎のように真っ赤になっていた。恥ずかしさのあまり目には涙すら浮かんでいる。しかし。
「あ、ありがとうございます・・・ではせめてここのところまで進めてから寝ます・・・」
これである。往生際が悪いというか、ニブちんというか、なんというか。
この言葉に水蜜の堪忍袋の緒が『斬艦刀、一の太刀』でも食らったかのように『ブチィ!!』と切れた。そりゃもうキレイに。そして水蜜は動き出す。
星は物凄い恐怖に襲われた。なんていうか、表情が無い、というか死んでる。って水蜜は幽霊だから死んでて当然かあっはっは。うまいな私。山田君、寅丸君の座布団全部、向こうにぶん投げてー。
思考があらぬ方向へぶっ飛んでしまった星。逃げるな!現実から逃げるな!!
「みみみ水蜜!?お、落ち着きましょ・・・わぷっ!?」
現実に帰還し、慌てふためきながら水蜜を説得しようとする星だったが、突然の衝撃により言葉が途切れる。水蜜に布団の上に押し倒されてしまったのだ。
「み・・・みなみ・・・つ・・・ってあれ?」
そこで疑問が浮かび上がる。布団が何故敷かれてあるのか?私、まだ敷いてない、写経が終わってから敷こうと思っていたから、まだ押入れの中にあるはずじゃない?と。どうやら(正気に戻った)水蜜も同じ疑問を浮かべているようだ。私が来たとき、布団敷かれてなかったよね?と。
二人して頭の上に?マークを浮かべている。すると何かの気配を感じ、二人同時にその方へ顔を向ける。
「おや、もういいのかい?じゃ船長、そこをどいてくれないかな?次は私がご主人を攻める番だよ」
と、いけしゃあしゃあと戯言をほざくネズミがいました。布団を敷いたのはコイツらしい。
「アアアアアアンタ何時からそこにいたぁああぁ!!?」
「『星のヤツ、昨日寝なかったわね・・・べ、別にアイツが心配してるわけじゃないけど・・・・・・そう、私が偶々気づいちゃって、それなのに知らん振りして星が近い内に無理しすぎで倒れちゃったりしたら目覚めが悪いからで・・・』」
「畜生!部屋に来る前からかあぁぁあぁぁぁ!!」
「すまない、嘘だ。それは部下に聞いた」
「え!?あ・・・う・・・うぅぅ・・・」
「ホントは『あっああっ・・・し・・・しょう・・・しょうぅ・・・』からだね」
「ちょちょちょちょっと!何勝手に捏造してんのよ!んな事言ってないでしょうが!?」
「よくわかったね。これも嘘だよ」
「こ・・・この腹黒ネズミめ・・・」
「いやぁ、照れるね」
ギャーギャーと言い争う二人を横目に、星は机へと向かう。写経のための道具を片し、まだ言い争っている二人の方を向く。
「二人とも」
「何!?」
「何だい」
同時に振り向く二人。意外と相性はいいのかもしれない。仲は悪いが。
「もう寝るのですけど」
その言葉に二人とも驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔を浮かべた。
「そうそう、そうしなさい。全く最初から素直に寝りゃいいのよ・・・ったく」
「素直じゃないのは君もだと思うが・・・ま、いいか。ご主人、しっかり休むといい」
「あ、ちょっと待ってください」
そう言って部屋から出ようとする二人を呼び止める星。二人は何事かと振り向く。
「ありがとう。水蜜、ナズーリン」
微笑みながら、そう二人に言った。二人は顔を赤くしながら部屋から出て行った。
修行を疎かにすることは褒められたものじゃない。でも、水蜜に言われたから。『今の私は『星』だ』って。『無理をするな』って。ナズーリンがここに来てたのも、自分を休ませる為だったのかもしれない。それがなんだか嬉しかった。だって二人とも『寅丸星』を心配してくれたのだと思うから。
偶にはお休みしても、毘沙門天様、許してくれるよね、と思いながら、星は床に着いた・・・・・・・・のだが。
その後、水蜜、ナズーリンは再度星の部屋を訪れ、『星を見張る』という名目で星に抱きつきながら寝たのでした。
なお、この日以降、水蜜、ナズーリンがちょくちょく星の部屋に泊まりに来るようになったのは、また別のお話。
さらに、この時三人の寝込みを襲おうとしたぬえは聖と一輪に見つかり、ナムサーン&ウンザーンされたのは、もはや何の関係の無いお話。
分かった!次回作のフラグですね!
テンポ良く面白く読めました
>『ぶっかけうどん』ってなんかやらしくありません?
それなら『とろろ』も加えればもっとえちぃ事になr(テレメース
流石毘沙門天様!いいこと言うなぁ
>『ぶっかけうどん』ってなんかやらしくありません?
俺は最早ヨーグルトを直視できないぜw
じゃがいもを無意識に☆型に切っちゃうくらい好きだなんてかわいいなぁもぅ!
水蜜とナズーリンの掛け合いがテンポ良くて楽しく読めました!
この三人の日常がもっと読んでみたいなと思いました~
……多分
ぬえは酔ってただけさ。そうだろう?
な、なぜわかったのですか!?
楽しんでもらえたのならば幸いです。
次回作は・・・今日あがる・・・かもしれません・・・まぁ、多分・・・。
>>唯さん
早苗さんってこう・・・受けキャラというか、いぢられキャラというか・・・そんなオーラが出てません?
『とろろ』ですか!あのネバネb(ウンザーン
>>3さん
毘沙門天様のお言葉に目からうろこでしたよw
『ヨーグルト』ですか・・・・・・いいえ、ケ○ィアです。
>>4さん
こいしちゃんがいい仕事をしてくれましたw
この3人のお話はまた書きたいなぁ・・・ネタがあればなぁ・・・。
>>5さん
実は最初タグに『淫獣ぬえ』を入れようと思ってたけどやめましたw
何か卑猥なのでw
>>6さん
いや!きっとエロスと関係あるはずだッ!
・・・いや・・・まぁ・・・きっと・・・。
その幻想をぶち殺す!ぬえはアレが素面だあぁあぁ!
我が目の前にあるカルピスゼリーのこと、どうしてくれよう
なるべく卑猥に食べればいいのでしょうか
たまにはこんな星ちゃんもいいよね!
カルピスゼリー・・・なんてエロいものを・・・w
>>9さん
そんなことさせない!
ぬえちゃんを慰めるのはこの私だ!(何
電車の中なのにどうしてくれるww
次の作品も楽しみ