Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

永遠亭と瓶底眼鏡

2011/03/27 20:48:52
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迷いの竹林。
竹が生い茂る幻想郷の竹林で、人間の里から見て妖怪の山の正反対に位置する。
常時深い霧が立ち込め、竹の早い成長により日々変化して目印がなく、緩やかな傾斜によって方向感覚も狂うため、妖精ですら迷うと言われている。
そんな秘境の中の秘境。そんな中に人目を避けるかのようにひっそりと建てられた屋敷――永遠亭がある。

ここには蓬莱山輝夜、八意永琳、鈴仙・優曇華院・イナバ、因幡てゐと、その他沢山の兎や妖怪兎がひっそりと暮らしていた。
……実際のところ、そこまでひっそりというわけでもなく幻想郷の住人らしく、それなりに楽しく騒いで過ごしているのだが。
そして、今宵も新しい肴で興じているのだった。





「姫様、何やってるんですか?」

輝夜やその他ウサギ達が部屋の一角を占領して何やらがやがやと騒いでいるのを発見する。
ぱっと見では何か物を見ながら騒いでいるようだった。

「あら、ちょうど良いところに」

そんな鈴仙の方に顔を向けた輝夜がにっこりとほほ笑みながら、手招きをしてくる。
鈴仙は一瞬嫌な予感がした。彼女こんな笑顔の時には大抵ろくな目に合わないのだ。
けれど、逃げたところでよりひどい目に会うだけのことなので、半ばあきらめの境地で鈴仙は輝夜の近くのそばまで行く。

「ちょっとこれを付けてみなさい」
「……なんですかこれ?」

手渡されたそれを鈴仙はしげしげと見つめる。
二枚のレンズのようなものに色々なパーツがくっついていた。
形状からすると顔に付けるようなものだろうか。

「あら、知らないの?これは眼鏡というよ。この近くなら…そうね、確か古道具屋の店主が付けてたと思うけど」

そういえば、あの冴えない店主がひんな形状のものをつけいてたような気もする。

「本来の用途は視力が良くない人が視力を矯正するためにつけるものね」
「産まれてこのかた視力関係で困ったことはないので、これからもお世話になることはなさそうですが、その眼鏡がどうして今ここに?」

特に目が悪い者はこの屋敷にはいなかったはずだが。

「それがね、倉庫を整理してたら沢山出てきてね。種類も沢山あるからイナバ達と見てたのよ。全くいつの間に紛れ込んだのかしら。さて、事情はわかったでしょう。それを付けてみなさい」

有無を言わさぬ口調である。
事情を把握することとこの眼鏡とやらを付けることに何の因果関係があるのか分からないが、逆らうことに意味もないので渋々だが装着してみる鈴仙。

「……えっと、これでいいんですか?」

いかんせん初めて付けるということもあって正しい形なのかは分からないが、なんとか装着出来た。

「うん、私の想像通りね」
「え?え?」

一人だけ満足そうにしている輝夜に鈴仙は困惑するしかない。

「何か変なところでもありますか?」
「逆よ、逆。私の見立てが正しかったってこと。自分で確かめてみればわかるわよ」

そう言いながら輝夜は手鏡を渡してくる。
鈴仙は恐る恐るにだが鏡を覗き込んでみる。

「――我ながら驚きです。眼鏡を付けるだけで全然違いますね」
「でしょう?」

我が意を得たりと言わんばかりに満足げに輝夜はほほ笑む。
何時もみる自分の顔には違いないのだが、眼鏡一つあるだけでずいぶん印象が違って見える。
例えるなら知的でも見えると言うべきか。

「色んな種類があるから、どの眼鏡が皆に似合ってるか話してたのよ」
「へぇー」

初見では全部同じものに見えたが、よくよく見ればレンズの形が微妙に違ったり、レンズを囲っている枠の形も違ったりしている。

「例えば――」

言いながら、輝夜自身が一つの眼鏡をとって装着する。
他のものと比べてレンズの形が若干吊り上がっているものだ。

「どう見える?」
「えーと、ちょっと知的だけど、厳しい感じがしますね」
「でしょう?で、今度はこっち」

輝夜は今つけてるものを外して、また別の眼鏡を手にとって装着する。
今度のレンズの形は先ほどに比べて丸みを帯びた形。

「今度は柔らかい印象ですね。優しそうな感じがします」

付けてるもの一つでここまで印象が変わるものなんだ、と鈴仙は素直に感心する。

「面白いでしょ?形だけじゃなくてレンズの大きさでもずいぶん違うのよ。あなたも自分に一番似合ってる眼鏡を探してみなさいな」
「自分に似合う…ですか」

ぱっと言われて自分に似合う物をイメージしてみるが、なかなか思い当たるものがない。
とりあえず色々つけてみて判断しよう、そう鈴仙が思った時、

「鈴仙にはこれが似合ってると思うなっ」

これまで沈黙を保っていたてゐが鈴仙に何かの眼鏡を強引に付けてくる。

「わ、ちょ、ちょっとっ!?」

反射的に抗おうとするが、既に時遅し。
確認しようにも視界に収まらない分何を付けられたのか鈴仙にはよく分からない。

「ちょっと、てゐ。何付けたのよ!!」
「――ぷ、あはははははははっ!似合ってるよ!!」

てゐはてゐで大爆笑である。
輝夜も必死に笑いをこらえた表情。
慌てて鈴仙は先ほど渡されていた手鏡で現在の自分がどのようなことになっているか確認する。

――そこに映っていたのは、メガネに鼻がついているもの。独特の眉毛と口ヒゲもついててそりゃあ可笑しさ満点な姿であった。

どう見ても宴会とかで使うたぐいの種類の眼鏡です、本当にありがとうございました。
鈴仙の怒りが頂点に達した。

「てーーーーーーーーーーゐーーーーーーーーーっ!!」
「あははははははは、お似合いだよっ」

怒って追い回す鈴仙に。逃げるてゐ。
鼻眼鏡を外すのを忘れている辺りが鈴仙の激しい怒りを感じさせてくれる。
そんな辺りの姿を輝夜は輝夜でお腹を抱えながら必死に笑いを堪えている。

「あら、何か楽しそうですね」

そこに姿を現したのは永琳である。
薬草詰みに出かけていたはずなのだが、かご一杯に詰められた草から見るにちょうど帰ってきたところのようだった。

「ええ、倉庫から色々眼鏡が出てきてね。色々つけて試してたところなの。永琳も何か付けてみる?」
「それは良いですね」

瞬時に輝夜は永琳に似合いそうな眼鏡を想定してみる。
永琳ならより知的に見えるような眼鏡が良いだろう。

「永琳なら、これなんて――」
「うーん、やっぱりこれかしらね」

輝夜が提案する前に永琳はある眼鏡を手に取り、装着する。
その選んだものに大して輝夜は言葉を失ってしまう。
周りのイナバ達も、追いかけっこを続けていた鈴仙たちも動きを止めてその光景を見つめている。

――そこには瓶底眼鏡を付けた永琳の姿があった

「うん、これが一番しっくりくるわね。姫様、これ暫く使わせてもらって大丈夫ですか?」
「え、ええ、勿論。私のものってわけではないし……」
「あら、ありがとうございます。色々眼鏡は集めはましたけど、やっぱりこれが一番ですわ」

鼻歌交じりにその場を去っていく永琳を見守るしか一同には出来なかった。

「師匠、めっちゃ似合ってた……」
「というか、この眼鏡の山ってもしかして……」
「……多分そこは触れてはいけないところです、姫様。特にこの鼻眼鏡について絶対に触れない方が良いです」

ここに永遠亭のタブーがまた一つ誕生したのであった。





それから暫くは瓶底眼鏡を身に付けた永遠亭の薬師の姿が見られたということだが、それはまた別のお話である。
眼鏡の魅力はギャップ感にありぃっ
なゆと
コメント



1.削除
瓶底をつけたえーりんを想像したら、何故かぷ○ぷよのアコール先生になってしまった(´・ω・`)
眼鏡でのギャップって素敵ですよね。
2.奇声を発する程度の能力削除
>騒いでいるのをは発見する
は、が一個多いような?
眼鏡で一番大切なのはギャップ感!これ大事!
レンズの度とかは二の次です(駄