ここは、魔法の森。昼でも薄暗く、どこか不気味な雰囲気を常に醸し出している。
そんな、薄暗い空間の中により一層、まるで周囲の闇をそこに集めたかの様に暗い球体が存在していた。しかしこの闇、どうにも周りが見えていないようで、あっちこっちへふらふらと移動しては周りの木々やその枝にぶつかったり、地面に激突したりを繰り返していた。しばらくすると、
「おなかすいたー。」
そんな幼い声とともに闇が晴れ、中から現れたのは金色の髪に赤いリボン、白のシャツに黒のベストとスカートを身に付けた幼い少女だった。
「あら、ルーミア。こんな所で何してるのよ。」
「あ、アリスだ。おなかすいた。」
どうやら、お腹を空かせ、ふらふらとさまよっていた間に、森にある人形遣いの家の近くに来ていたらしい。
「こら、人に会ったらまずあいさつでしょう。」
「そうだった。こんにちはアリス。」
「ふふっ、よくできました。昨日の晩御飯の残りのシチューならあるけど、来る?」
「本当!?行く!!」
「あら、そんな簡単に魔女を信じていいのかしら?もしかして私ルーミアを人形にしようとしてるのかもしれないわよ。」
「だいじょうぶ。アリスはやさしいからそんなことしないもん。」
「そう。ありがとね。」
そんな会話をしながら彼女たちは、人形遣いの家へと入って行った。
「いただきまーす。」
「こら、他人の家に入るときはおじゃましますでしょうが。」
「だって、おなかすいたんだもん。」
「気持ちはわかるけど、先にお風呂に入ってきなさい。」
「えー!?なんでー!?はやくごはんたべたい!」
「なんでって…自分の服見てみなさいよ。」
そう言われて彼女は自分の服に目を向ける。そこには泥で汚れ、多くの部分に解れが出来ている自分の服があった。おそらく飛んでいる途中に転んだり、木の枝に引っかかったりしてできたものだろう。そんな状態の彼女にあきれたような顔をしながらアリスは言う。
「あなたも女の子なんだからおしゃれにはすこしは気を使いなさい。」
「えーこれぐらい何ともないのに。」
「いいからお風呂に入ってきなさい。服は洗濯して繕ってあげるし、着替えも私の着なくなった服であなたに合いそうなものを用意してあげるから。ていうか、お風呂に入らないとご飯あげないわよ。」
「さっそく入ってきます。」
そう言うと一目散にルーミアは風呂場へと駆け込んでいった。アリスも残り物のシチューを温めなおし、ルーミアの服を洗濯する準備に取り掛かりに行った。
~少女入浴中~
ルーミアが体から湯気をのぼらせながら浴室から上がってくると、テーブルの上には温められたシチュー、それにおいしそうに焼かれたトーストが用意されていた。
「おいしそう!」
「あら、ちょうど準備ができた所よ。たくさん食べてね。」
そう言うや否やルーミアは席に着き、シチューに手を付ける。シチューは程よい温度に温められ、中に入っている具はどれもよく熱が通っており、口に入れると人参やジャガイモがふわりととろけ、シチューと絡みあい口の中で絶妙のハーモニーを奏でる。トーストも外はカリカリに、中はふんわり焼かれておりこれだけでも美味しいが、シチューを付けるとまた各段ど美味しくなる。食べながら、一息ついたところで向かいの席に座ったアリスに彼女は言う。
「アリスのつくったシチューおいしい!!」
「どういたしまして。それにしても私の昔の服ぴったりでよかったわ。」
「これ、アリスの昔の服なの?」
「ええ。わたしがまだ魔界にいたころの服よ。」
今、ルーミアが着ているのは、いつもの黒を基調とした服ではなく、白のシャツに青のスカートといった服装であり、アリスがまだ魔界にいたころに好んで着ていた服装だった。ただこの服、どこかの巫女に神社の掃除をさせられたり、どこかの魔法使いに吊るされたり、どこかの花の妖怪に魔法を盗まれたり、どこかの悪霊にメイドにされたりして以降着なくなったりしている。というか上の4人の内3人はこの幻想郷にいるのだからたまったもんじゃない。それどころか昔よりあの3人はひどくなってる気がする。この間も里での人形劇を終わって、家に帰ったら、霊夢は勝手に風呂に入ってるし、魔理沙は人のタンスの中の下着を漁ってるし、幽香に至っては人の家の庭に何か変な触手の生えた植物を植えようとしていたので3人まとめてお引き取り願ってもらった。ちなみにその時の3人曰く「「「アリスの困った顔が見たかった。後悔も反省もしていない。(キリッ」」」とのことだった。とりあえず今は若干病んでる3人のことは忘れて目の前で一心不乱にシチューを貪る少女に目を向ける。
「それにしても、本当昔の私にそっくりね。」
「そーなのかー。じゃあアリスお姉ちゃんなのかー。」
「あら、こんな大食いの妹を持つと大変そうね。」
「あ、ひどい。アリスのいじわる。」
ああ、普通っていいなあ。そんなことを考えながら、人形遣いと宵闇の妖怪の穏やかな午後は過ぎていった。
「ごちそうさまー。」
「本当、よく食べたわね。まだ半分ぐらいは残ってたのに。」
「ねえ、アリス。」
「何?」
「私ご飯食べさせてもらったお礼がしたい。」
「あら、別にいいわよ。そんなの。」
「だーめ。そんなの私のプライドが許さないもの。」
「…て言われてもねえ。あ、そうだ。じゃあ神社まで届けるものがあるからその荷物を持って行ってもらおうかしら。」
「わかった!任せといて!」
それから二人は食事の片づけをし、博麗神社へと向かった。
一方その頃の博麗神社。
「よお、霊夢。あいかわらずしけてんな、この神社。」
「あら、魔理沙。素敵な賽銭箱はあっちよ。」
神社の縁側でお茶を飲んでいた霊夢のもとに箒から降りた魔理沙が歩いてくる。ただし、その顔はどこか自慢げな顔をしている。
「ところで霊夢、この帽子を見てくれ、どう思う?」
「すごく…とんがってます…って何言わせんのよ。いつもと変わらないとんがり帽子じゃない。それがどうかしたの?」
「へへーん。じつはこれアリスにつくってもらったんだ。どうだうらやましいだろ。」
そう言って彼女は自分の頭の上に乗っかっている帽子を自慢そうにいじくりまわす。しかし、一方の霊夢はというと魔理沙の発言を聞いてもどこか余裕そうな表情をしていた。そして、彼女は自慢げな顔をしている魔理沙に対し、
「ふん、その程度で喜ぶなんてまだまだ子どもね。」
「む。なんだよその言い方。お前もアリスに何か作ってもらってるのかよ。」
「知りたいなら教えてあげるわ。私はアリスに”ドロワーズ”を作ってもらっている!」
「何……だと……?」
「私はアリスに下着の世話をしてもらう。言いかえれば下の世話をしてもらっている!」
「ぐ…、この天才…じゃなかった変態め。」
「何とでも言いなさい。」
そんな頭の悪い話をしている二人が神社の階段から聞こえてくる足音に気付く。
「あら、アリスが来たみたいね。魔理沙あんたはそこで指をくわえて私がアリスに下の世話をしてもらうのを見てなさい。」
「この野郎…」
そして二人が神社の鳥居に目を向けると、そこにはアリスとアリスの昔の服を着たルーミアがいた。ただ二人はそんなこと知らないわけで。
「「馬鹿な…大きいアリスと小さいアリスだと…へぶらっ!!」」
その日博麗神社は真っ赤に染まったという。(主に鼻血で) 今日も幻想郷は平和です。
そんな、薄暗い空間の中により一層、まるで周囲の闇をそこに集めたかの様に暗い球体が存在していた。しかしこの闇、どうにも周りが見えていないようで、あっちこっちへふらふらと移動しては周りの木々やその枝にぶつかったり、地面に激突したりを繰り返していた。しばらくすると、
「おなかすいたー。」
そんな幼い声とともに闇が晴れ、中から現れたのは金色の髪に赤いリボン、白のシャツに黒のベストとスカートを身に付けた幼い少女だった。
「あら、ルーミア。こんな所で何してるのよ。」
「あ、アリスだ。おなかすいた。」
どうやら、お腹を空かせ、ふらふらとさまよっていた間に、森にある人形遣いの家の近くに来ていたらしい。
「こら、人に会ったらまずあいさつでしょう。」
「そうだった。こんにちはアリス。」
「ふふっ、よくできました。昨日の晩御飯の残りのシチューならあるけど、来る?」
「本当!?行く!!」
「あら、そんな簡単に魔女を信じていいのかしら?もしかして私ルーミアを人形にしようとしてるのかもしれないわよ。」
「だいじょうぶ。アリスはやさしいからそんなことしないもん。」
「そう。ありがとね。」
そんな会話をしながら彼女たちは、人形遣いの家へと入って行った。
「いただきまーす。」
「こら、他人の家に入るときはおじゃましますでしょうが。」
「だって、おなかすいたんだもん。」
「気持ちはわかるけど、先にお風呂に入ってきなさい。」
「えー!?なんでー!?はやくごはんたべたい!」
「なんでって…自分の服見てみなさいよ。」
そう言われて彼女は自分の服に目を向ける。そこには泥で汚れ、多くの部分に解れが出来ている自分の服があった。おそらく飛んでいる途中に転んだり、木の枝に引っかかったりしてできたものだろう。そんな状態の彼女にあきれたような顔をしながらアリスは言う。
「あなたも女の子なんだからおしゃれにはすこしは気を使いなさい。」
「えーこれぐらい何ともないのに。」
「いいからお風呂に入ってきなさい。服は洗濯して繕ってあげるし、着替えも私の着なくなった服であなたに合いそうなものを用意してあげるから。ていうか、お風呂に入らないとご飯あげないわよ。」
「さっそく入ってきます。」
そう言うと一目散にルーミアは風呂場へと駆け込んでいった。アリスも残り物のシチューを温めなおし、ルーミアの服を洗濯する準備に取り掛かりに行った。
~少女入浴中~
ルーミアが体から湯気をのぼらせながら浴室から上がってくると、テーブルの上には温められたシチュー、それにおいしそうに焼かれたトーストが用意されていた。
「おいしそう!」
「あら、ちょうど準備ができた所よ。たくさん食べてね。」
そう言うや否やルーミアは席に着き、シチューに手を付ける。シチューは程よい温度に温められ、中に入っている具はどれもよく熱が通っており、口に入れると人参やジャガイモがふわりととろけ、シチューと絡みあい口の中で絶妙のハーモニーを奏でる。トーストも外はカリカリに、中はふんわり焼かれておりこれだけでも美味しいが、シチューを付けるとまた各段ど美味しくなる。食べながら、一息ついたところで向かいの席に座ったアリスに彼女は言う。
「アリスのつくったシチューおいしい!!」
「どういたしまして。それにしても私の昔の服ぴったりでよかったわ。」
「これ、アリスの昔の服なの?」
「ええ。わたしがまだ魔界にいたころの服よ。」
今、ルーミアが着ているのは、いつもの黒を基調とした服ではなく、白のシャツに青のスカートといった服装であり、アリスがまだ魔界にいたころに好んで着ていた服装だった。ただこの服、どこかの巫女に神社の掃除をさせられたり、どこかの魔法使いに吊るされたり、どこかの花の妖怪に魔法を盗まれたり、どこかの悪霊にメイドにされたりして以降着なくなったりしている。というか上の4人の内3人はこの幻想郷にいるのだからたまったもんじゃない。それどころか昔よりあの3人はひどくなってる気がする。この間も里での人形劇を終わって、家に帰ったら、霊夢は勝手に風呂に入ってるし、魔理沙は人のタンスの中の下着を漁ってるし、幽香に至っては人の家の庭に何か変な触手の生えた植物を植えようとしていたので3人まとめてお引き取り願ってもらった。ちなみにその時の3人曰く「「「アリスの困った顔が見たかった。後悔も反省もしていない。(キリッ」」」とのことだった。とりあえず今は若干病んでる3人のことは忘れて目の前で一心不乱にシチューを貪る少女に目を向ける。
「それにしても、本当昔の私にそっくりね。」
「そーなのかー。じゃあアリスお姉ちゃんなのかー。」
「あら、こんな大食いの妹を持つと大変そうね。」
「あ、ひどい。アリスのいじわる。」
ああ、普通っていいなあ。そんなことを考えながら、人形遣いと宵闇の妖怪の穏やかな午後は過ぎていった。
「ごちそうさまー。」
「本当、よく食べたわね。まだ半分ぐらいは残ってたのに。」
「ねえ、アリス。」
「何?」
「私ご飯食べさせてもらったお礼がしたい。」
「あら、別にいいわよ。そんなの。」
「だーめ。そんなの私のプライドが許さないもの。」
「…て言われてもねえ。あ、そうだ。じゃあ神社まで届けるものがあるからその荷物を持って行ってもらおうかしら。」
「わかった!任せといて!」
それから二人は食事の片づけをし、博麗神社へと向かった。
一方その頃の博麗神社。
「よお、霊夢。あいかわらずしけてんな、この神社。」
「あら、魔理沙。素敵な賽銭箱はあっちよ。」
神社の縁側でお茶を飲んでいた霊夢のもとに箒から降りた魔理沙が歩いてくる。ただし、その顔はどこか自慢げな顔をしている。
「ところで霊夢、この帽子を見てくれ、どう思う?」
「すごく…とんがってます…って何言わせんのよ。いつもと変わらないとんがり帽子じゃない。それがどうかしたの?」
「へへーん。じつはこれアリスにつくってもらったんだ。どうだうらやましいだろ。」
そう言って彼女は自分の頭の上に乗っかっている帽子を自慢そうにいじくりまわす。しかし、一方の霊夢はというと魔理沙の発言を聞いてもどこか余裕そうな表情をしていた。そして、彼女は自慢げな顔をしている魔理沙に対し、
「ふん、その程度で喜ぶなんてまだまだ子どもね。」
「む。なんだよその言い方。お前もアリスに何か作ってもらってるのかよ。」
「知りたいなら教えてあげるわ。私はアリスに”ドロワーズ”を作ってもらっている!」
「何……だと……?」
「私はアリスに下着の世話をしてもらう。言いかえれば下の世話をしてもらっている!」
「ぐ…、この天才…じゃなかった変態め。」
「何とでも言いなさい。」
そんな頭の悪い話をしている二人が神社の階段から聞こえてくる足音に気付く。
「あら、アリスが来たみたいね。魔理沙あんたはそこで指をくわえて私がアリスに下の世話をしてもらうのを見てなさい。」
「この野郎…」
そして二人が神社の鳥居に目を向けると、そこにはアリスとアリスの昔の服を着たルーミアがいた。ただ二人はそんなこと知らないわけで。
「「馬鹿な…大きいアリスと小さいアリスだと…へぶらっ!!」」
その日博麗神社は真っ赤に染まったという。(主に鼻血で) 今日も幻想郷は平和です。
もう駄目だこの三人w
この後の展開が見たいぜ!
素晴らしい幻想郷だ。
この後の展開も是非に
白黒服たちやフランドールはよく見るけど、この発想はなかった。