幻想郷の端の方、そこに位置する博麗神社。普段は妖怪などが入り浸っている妖怪神社で、縁日のようなものが行われていた。
「はあ・・・」
博麗の巫女、博麗霊夢はため息をついた。
「どうしたんだい?霊夢、ため息なんかついて。」
その様子を見て、近くでヨーヨーすくいの屋台を開いていた道具屋の店主、森近霖之助が声をかける。
「ああ、霖之助さん。それがね、こんなに人が来ているのに。お賽銭があまり入らないのよ。これじゃあ何のための縁日だかわからないわ。」
やれやれ、といった様子で霊夢はその近くに屈みこむ。
「霊夢、確かに縁日というのは神々からの御利益が大きいとされている日だけれども・・・」
霖之助は語り始める・・・が
「はいはい、わかってますよ。私だって一応巫女だもの。」
霊夢は、ぶーと少し膨れ面で話を遮ってしまった。
「やれやれ。だったら一度戻っておみくじでも売って回ったらどうなんだい?おみくじの収益だって立派な神社の信仰に繋がるはずだよ。」
「え?そうなの?っていうかおみくじなんて作ってなかったわ・・・霖之助さん。なんとかならない?」
霊夢はそういって霖之助に詰め寄る。
「知らなかったのかい?まったく。そもそもおみくじと言うのは・・・」
「あー、やっぱそうなるのね。また今度聞くわ!とりあえず今すぐおみくじを作ってこなきゃ!」
霖之助の言葉を最後まで聞く事無く霊夢は神社の中へと入っていった。
「・・・まったくせわしいな。」
その様子を見送った後にぼそりと一人呟く。と、ここで「一回やらせてー!」と子供がやって来たので霖之助は屋台の営業に戻った。
「おーい香霖!繁盛してるかー?」
今度は白黒の魔法使い。霧雨魔理沙だった。
「まあ、そこそこ。と言ったところかな?」
「本当か?香霖に店番なんて出来ると思ってなかったぜ」
失礼な言葉を一切噛み砕かずにそのまま吐き出す。
「まったく。失礼な、僕は普段から接客はきちんとしているよ?」
「接客?私達にはいつもあんな態度じゃないか。あんな態度は接客とは呼ばないんだぜ」
両手を広げてやれやれポーズをとる魔理沙。
「君達は買い物などしないから客じゃないよ。」
「おや?じゃあ何か?香霖の言う客ってのは本か何かか?他に香霖が丁寧に扱う物なんて私はしらないぜ」
「・・・ところで魔理沙、君は何をしに来たんだい?冷やかしなら帰ってもらいたいんだが。」
少し冷たい目つきで魔理沙をにらむ。
「おおっと、今日は冷やかしじゃないぜー遊びにきたんだ。ほれ、私をきちんと接客してみろ。」
ふふん、と腰に手を当てポーズをとる。
「はぁ、全く・・・今日はツケとかないからね。」
その様子を見てため息をつく。
「当然だぜ!こんな日にツケだのなんだのは無粋だからな。」
にっこりと。笑顔で答える魔理沙だった。
「しかし、いくら縁日だからって普通の人間が多すぎやしないか?」
手元のヨーヨーを弾きながら魔理沙はあたりを見回す。屋台の中に入って勝手に椅子を取り出して座っていた。
「まあ、縁日だからね。ここで暴れだすような無粋な妖怪はきっと、妖怪の社会でも孤立してしまうよ。」
「あー、まあ確かに今暴れたらその辺で楽しんでる鬼やら天狗やらに木っ端微塵にされるだろうな。」
「それに今回は神社まで人間の護衛がいるんじゃなかったかい?ほら。人里の守護者の半獣やらが頑張っていると聞いているよ。」
霖之助はそう言って神社の入り口の方を見る。丁度竹林の案内人、藤原妹紅が何人かの人間を連れてやってきたところだった。
「成る程ねえ。まあ、神社が安全でもそれまでの道は危険っちゃ危険だったからなぁ。」
ここで、別の屋台が少し、騒がしくなった。「うおー!天狗と人間が飲み比べしてるぞー!!」「がんばれー!」などなど聞こえてくる。
「ほう、天狗と飲み比べとはまた・・・命知らずな。」
霖之助は騒ぎの方を見つつぼそりと呟く。
「おー!なんだか楽しそうだな!行ってみようぜ!香霖!」
きゃっきゃとはしゃぐ魔理沙。そう言って霖之助の腕を引っ張る
「いや、僕は遠慮しとくよ。店番をしないといけないからね。君一人で行って来るといい。」
引っ張る魔理沙の腕をやさしく振りほどいて霖之助は屋台の椅子に座る。
「・・・ちぇ、相変わらずつれないぜ。さて、行ってみるかな!」
魔理沙はそういうとさっさと去って行ってしまった。
「貴方も大概罪な男よねえ。」
そう言って現れたのは、月の姫、蓬莱山輝夜である。後ろにはその従者の兎が二人並んで立っている。
「おや君か、どういう事だい?」
「わからないならいいわ。それより、遊ばせていただけるかしら?」
そう言って小銭を取り出す。
「はいはい、それじゃあ一人分だね。」
「あら?私一人?ほら、因幡達も一緒に遊びましょう。」
笑顔で後ろで立っていた従者達、因幡てゐと鈴仙に声を掛ける。
「姫様がそういうなら遊ぶしかないね。ほら!鈴仙も」
てゐの方はさっさと輝夜の横に屈みこむ。鈴仙は少し迷っているようだ
「え、でも私まで遊んでしまって、後で師匠にしかられないかしら・・・」
「永琳はそんなケチな事は言わないわ。さあ、誰が一番取れるか競争しましょう?」
「いいですね!ほら、鈴仙も」
てゐは楽しそうにしている。鈴仙は・・・しょうがないですね、と腰を下ろした。
「それじゃあ3人分だね。はい、どうぞ。」
霖之助はそう言って三人にヨーヨー釣りの糸を手渡す。
「さあ、因幡達。負けた奴はあそこの夜雀の屋台でおごりなさい!」
輝夜は着物の袖を捲くりながら先程賑わっていた方向を指差す。
「ふむ、こりゃ負けられないね。」
てゐは何やら悪い顔をしている。
「う~、私こういうの始めてなんだけど・・・コツとかないんですか?」
と鈴仙。
「紙はぬれたほうがしっかりするから一度先の方を少しだけ濡らすといいんだよ。」
てゐは自然にアドバイスをする。
「ふふ、まずは一つね。」
輝夜はその様子を尻目にすでに水槽と対面していた。
「あれ!?もう切れちゃった!?」
鈴仙は一つ目を取る前にすでに紐が千切れてしまっていた。
「残念だったね。まあ一つも取れなくてもおまけで一つは持っていってもいいよ。」
その様子を見て霖之助は声を掛ける。
「くっくっく、鈴仙はへたくそだねー。」
てゐと輝夜はすでにそれぞれ2個ずつ獲得している。
「あ!ちょっとてゐ!あんたの全然ぬれてないじゃない!騙したわねー!」
てゐの手元の糸を見てようやく騙された事に気づいた鈴仙。
「こら、静かになさい集中してるんだから。」
「あう・・・ごめんなさい。姫様・・・」
輝夜にしかられてしゅんとなる鈴仙、二人の様子を眺めるだけになってしまった。
「む、切れてしまった。これは姫様の勝ちだね。」
てゐはそう言って切れてしまった紐を霖之助に返す。
「うむ。割と切れやすいようにしていたつもりだったから、4個も取れれば上出来だね。」
霖之助はてゐの手元を見て、軽く拍手をする。
「まあこんなものだよ。」
「あらあら、でも私の勝ちね。」
ふふん、と少し得意げに改めて勝利を宣言した、手元のヨーヨーは全部で5個だ。輝夜は紐を霖之助に返す。
「おや、もういいのかい?」
返された紐はまだ切れていない。
「ええ、勝負を言い出したのは私だけれど。たくさん取ればいいって物じゃないしこれ以上取るとこの水槽が寂しくなりそうでしょう?」
着物の袖を元に戻しながら輝夜は言う。
「ヨーヨーはまだまだ作れるんだけれどね。」
「いいのよ。さあ、それじゃあ早速屋台に行きましょう。またね、道具屋さん?」
てゐと鈴仙は「はーい」と返事をした。輝夜は袖を元に戻し終わると、すっと立ち上がり踵を返す。
「えぇ、お客さんとして来ていただけると僕としてはうれしいかな。」
「あら、それじゃあ何か面白い物、置いておいてね?半端なものじゃあ駄目よ?」
その言葉を最後に輝夜は従者の兎たちと共に人ごみに消えてしまった。
輝夜達が去った後しばらくの間は、人間の子供達がたくさん訪れていた。そして子供達のグループが去って客足に一区切りついた頃、霖之助は先程の輝夜との会話を思い出していた。
「半端なものじゃあ駄目、ねえ。それは困ったな。」
そう言う霖之助の顔は、そこまで困ったという様子ではなくむしろどんな物を見せてやろうか、といった様子である。少し楽しそうにも見える
「あらあら、その様子じゃあ商売にはなりそうにないですね。」
不意に霖之助の背後から声がした。
「紫か、何の用だい?」
その声の方を見ずに、霖之助は声を掛ける。
「あら、折角のお祭りよ?これを楽しまなくては妖怪がすたるってものです。」
妖怪の賢者、八雲紫はぬるりと霖之助の背後から周り込み、屋台の前に立ち、手に小銭を持つ。
「おや、君はこういうのはあまり興味がない物だと思っていたよ」
「こういう物こそいいのですよ。これに関しては外の人間だって、幻想郷の妖怪だって変わりはありませんわ。」
もう片方の手で扇子を取り出し口元に当てながらいつも通り妖しげに言う。
「それじゃあ遊んで行くといい。」
「えぇ、是非そうさせていただきますわ。」
そう言って小銭と釣り糸を交換する。
「それにしても、やっぱりお祭りってこうでないとね。賑やかで。華やかで。ああ、貴方はこういうのは苦手だったかしら?」
水槽と対面しながら紫は話しかける。
「僕はやっぱり、騒がしいのは苦手だよ。それでもこの雰囲気は嫌いじゃないね。」
「ふふふ、相変わらず素直でないこと・・・あら。」
紫の釣り紐が、ヨーヨーの重みに耐え切れずに落ちる。
「そこまでですね。お楽しみいただけましたか?」
「えぇ、とっても。それではまた後ほど。」
そう言うと紫はスキマを現出させ、その中へと消えていった。
「・・・後ほど?まあいいか。」
割とあっさりと去っていった紫の最後の言葉が少し気になった様子だが特に気にしない事にしたようだ。
夜が深まり祭りの喧騒は次第に落ち着きを見せ始めた。夜が深くなり、里の子供達が減ったせいか、霖之助の屋台の客足も、だんだん落ち着き始めた。
―夜といえば妖怪の時間・・・そういうものであるが、こんなに明るい夜なのだ。こんなに明るいのはきっと人間のためなのだろう。普段は夜の闇に怯える人間達だが、こんな夜は空の深闇すら心地よい物なのだと思う。
「たまには人間のための夜というものがあっても悪くはないという事かな?」
「一人でぶつぶつと、何を言っているんだ?」
「いつもこんな感じって誰かが言ってた気がするけれどね。」
ここで現れたのは里の守護者上白沢慧音と竹林の案内人藤原妹紅であった。
「おや、声に出ていたかな?これは失礼。・・・君は今日は里からここまでの案内と護衛をしているんじゃなかったかな?」
「ああ、もう大方の人間はこっちに来ているし先程心強い協力者を得られてな。帰り道はある意味心配がなくなったから二人で祭りを見て回っていたのだ。」
「ふむ、成る程ね。それじゃあ二人共、遊んでいくかい?」
そう言って釣り紐を取り出す。
「いいね!やろうよ慧音」
「そうだな・・・子供達に見られて何か言われないだろうか。」
「ははは、見つかっても今日は無礼講だろう。・・・はい、どうぞ。」
言いながら小銭を受け取り、釣り紐と交換する。
「しかし、ヨーヨー釣りねえ。たまにしか見ないけれど、これもここにあるって事は外では幻想の物なのかな?」
妹紅は対面しているヨーヨー達を見ながら言う。
「うーん、それはどうだろう。その水風船、時々こちらに流れ着いてはいるけれど、ずーっと流れ着いている訳でもないんだよ。」
「ほう、というと?」
「見つかる日はいくつかまとめて転がっていたり、見つからない日は一つも見つからなかったり。そんな感じかな。」
「ああ、成る程。外でも祭りの日以外は忘れ去られているという事か。外がお祭りの時期になると、こちらには流れつかなくなる訳だな。」
と、慧音。霖之助も「うん、多分そういう事だろう。」と、相槌を打つ。語っている間釣り紐に釣り上げたヨーヨーをぶら下げていたので釣り紐はその間に切れてしまった。
「慧音、切れちゃってるよ。・・・なるほど、それじゃあこいつらは凄いんだなあ。」
妹紅は自分の紐を切らさないようそちらに集中しながら話す。
「凄い?なんでだい?」
「だってそうじゃないか。祭りの度に、幻想郷の中と外の世界を行ったり来たりするんだろう?そんなのまるで、どこかの胡散臭い大妖怪みたいじゃないか。」
水槽に集中しながら妹紅は続けた。
「成る程、それは面白い考え方だね。」
霖之助はあごに手を当てる。
「うむ、いや素敵な考えだ。」
慧音も同意する。
「それじゃあその素敵な考えを聞かせてもらえたお礼でもさせてもらうとしよう・・・ふむ。そうだ、君たちはこれから何か予定はあるかい?回る屋台の。」
「いや、特に決まった行き先があるわけではないな。」
「それじゃあこの後一緒に一杯どうだい?飲みに行く予定はあっても一緒に行く者がいなかったからね。」
そう言って手をくいっとさせて飲みに誘うしぐさをする。
「ふむ、それはいいな。」
「当然店主のおごりだよな?」
「ああ、まあいいだろう。」
「おお!気前がいいじゃないか!・・・あ。」
妹紅が顔を上げる。と同時に釣り紐は切れてしまった。
「そこまでだね。おお、結構取っているじゃないか。」
妹紅の手元を見て声を上げる。結構な数のヨーヨーがある。
「どんなもんだい。でもちょっと多いな、少し置いていくとしよう。さて、それじゃあ後でまた寄ればいいのかな?」
そう言って妹紅は自分がとった中から3つほど選んで残りを水槽に返した。
「そうだね、とりあえず一通り回ってからにするといい。多分回り終わるその頃には僕は店じまいだ。」
「ふむ、それじゃあ後で。」
二人は軽く手を振り去っていった。
「・・・さて。この時間になると人間の子供は数が少ないな。」
あたりを見渡すと、子供のような背格好をしたものは多いが、大体が妖怪である。人間もほとんど大人ばかりだ。数も減ってきている。
「それでも全くいない、という訳でもないのね。」
そう言って現れたのは吸血鬼、レミリア・スカーレットであった。背後には従者と妹らしき姿が見える。
「おや、いらっしゃい。」
「ここは何の屋台かしら?」
「これはヨーヨー釣りと言ってね。この釣り紐でこのヨーヨーを・・・こうやって釣り上げるゲームさ。」
霖之助はそう言って一本釣り紐を取り出して実践して見せた。
「あら、随分と単純なのね。」
レミリアは羽をパタパタさせながらその様子を眺める。
「こういう単純な物ほど楽しい物さ。特にこういった日はね。それにほら、取ったヨーヨーはこんな風に遊ぶんだよ。」
そう言って引っ掛けた所に指を通し手でヨーヨーを弾く。
「ふむ、フラン。やってみたい?」
「うん!楽しそう!お姉さま一緒にやろう!」
レミリアの後ろ、十六夜咲夜の横で様子を伺っていたフランドールはキャッキャと声をあげる。
「それじゃあ二人分だね。えっと・・・」
「はいこれでよろしいですか?」
咲夜がスッと前に出て二人分の料金を取り出す。
「確かに。はい、どうぞ。紙の部分をなるべく水につけないのがコツだよ。」
釣り紐をそれぞれに渡し、アドバイスも付け加える。
「何個でもとっていいのよね。」
「ああ、初めのうちはある程度持って帰れる数を決めていたけれど、そろそろここは店じまいでも丁度良い頃合だからね。」
「ふふ、それじゃあお言葉に甘えてたくさん持って帰らせてもらうわ。」
「取れればね。」
「やったー!お姉さま!取れたよー!」
フランはそう言って自分で取ったヨーヨーをレミリアにみせつける。しかし、喜んだ拍子に紐は切れてしまっていた。
「あら、おめでとう。」
「うん、上手だ。あ、中に少し水が入ってるし割れたりもするから気をつけてね。」
「水?ああ、本当ね。」
レミリアも一つ釣り上げてヨーヨーをじっと見つめる。
「ああ、この程度の量なら問題ないわ。」
「そうなのかい?ならいいか。まあ、それでも割ってしまってその洋服を濡らさないよう・・・」
と、霖之助が言った時、フランの持っていたヨーヨーがはじけてしまった。
「ふふ、その心配もないわね。」
レミリアは不敵に笑う。ヨーヨーは確かにフランの手の中で弾けたが、水は彼女を濡らす事はなかった。
「流石だね。成る程確かにタネも仕掛けもない手品だ。」
霖之助はそう言って咲夜の方を見る。
「どういたしまして。」
とだけ咲夜。
「うぅ、壊れちゃった。一個だけだったのに。」
フランは羽をシュンとさせ、残念そうな顔をした。
「ふむ、まあもうほとんど終わりだし。ここに残っている中から一つ好きな物を選ぶといい。」
「本当!?」
今度は羽をパタパタさせて水槽を覗き込む。
「フラン、こういうときは・・・」
「うん!ありがとう!」
レミリアが言い切る前にフランは笑顔で霖之助にお礼を言って水槽の前に屈みこんでどれにしようか選び始めた。
「よろしい・・・また壊れてしまったら僕に声を掛けてくれ。そうすれば今日のうちなら新しいのをあげよう。まだ店に在庫も少しあるから希望があれば後日売ることもできるよ。」
「壊さないようにしろ、じゃあないの?」
フランは少し、不思議そうにたずねる。
「まあ割らないのが一番だけれども。これはね、壊れやすい物なのさ。君のその爪ならしょうがないさ。それに余らせてしまってももったいないからね。」
「うん!ありがとー!割らないように気をつけるね!」
フランは笑顔で霖之助にお礼を言った。
「それじゃあ行きましょう。といってももう大体回ったわね。あと何があるのかしら。というかもう大体の屋台は店じまいな感じね。」
あたりを見回しながらレミリアは言う。
「そうだね。あとは・・・今日は夜雀の屋台が神社の入り口の店の少し裏手でやっているはずだよ。それくらいかな。」
「あらそう、だったら行ってみようかしら。」
レミリアは立ち上がり振り返る。フランと咲夜もそれに続く。
「そうか、後から僕も行くからその時はよろしくね。」
そう言って手を振る霖之助。
「えぇ、それじゃあまた後で。」
「たのしかったよー!」
最後に二人はそれぞれ手を振り返し、咲夜はお辞儀をしてから去っていった。
「・・・さて、もう人も減ってきたし、店じまいかな。」
一人そう呟き水槽に蓋をして、屋台の暖簾を片付ける。最後に屋台の提灯の火を落とす。周りの屋台からも少しずつ明かりが消えていっている様子である。
「道具やらは明日回収に来るか。」
そう言った後、先程レミリア達が向かっていった先、夜雀の屋台があるであろう方向を見ると、そこだけやけに賑やかで、明かりもまだまだ消える様子もない。
「・・・騒がしいのは苦手だけれど。」
―まあ、そう騒がしい連中ばかりでもないだろう。静かに飲めそうな者を探してそれとのんびり飲めばいい。霊夢や魔理沙がきても・・・まあなんとかなるだろう。それに・・・
屋台の片付けが終わって少しした頃、霖之助のところに妹紅と慧音がやってきた。
―それに・・・今日くらい騒がしくても気にならない気がする。
それより天狗と飲み比べしている人が神主なのかが大変気になります
自分はこういう雰囲気大好きです。