Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

暇潰し

2011/03/19 18:58:06
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「ふぁあ…。」



一つ大きな欠伸を、伸びをすると共に吐き出した。
じわり、目頭にうっすらと涙が滲む。
滲んだ涙は、光をくるりと孕んでしまって視界をぼやけさせた。
不透明極まりない景色を、貼り紙を引き剥がすようにぐい、と涙を拭う。



「小町。」



「ふぇっ?」



後ろから急に話し掛けられ、弛緩しきっていた所為かなんとも間の抜けた声を上げてしまった。
話し掛けた人物は確認するまでもないのだが、それでもある種の流れに従って『小町』と呼ばれた彼女は振り向いた。



「なんですか映姫様。…あり?」



小町はありふれた言葉を言って後に、違和感に気付き疑問の声を口にした。



「なんです?」



「いや、仕事中なのに『さん』が付いてなかったなぁ、と。」



欠伸や伸びなんかをしてはいたが、小町は橋渡しの仕事中である。
普段、映姫は仕事の最中は大体の人物に対して『さん』を付ける。
『さん』を付けないのは、よほど親しい相手かはたまた仕事をしていない時か。



「私は今仕事中じゃないからです。」



ああ、と納得しかけた小町だが、



「なんでです?」



映姫様の仕事は暇ができるもんでしたっけ、と小町は続けた。



「他の者に、『働き過ぎだ!』と言われて、しまいに『掃除をするから外で暇してきて下さい。』と言われたです。」



「あららら…。」



映姫だからこそ出された暇である。
しかし彼女は、見た目相応に甘味処等には行かず、小町のいる三途の川のほとりに来ている。



「他のところ行ってきてみたらどうです?最近、人里には物珍しい物が増えてきているみたいですし。」



「…小町は私がここに来て迷惑をしているなら、人里に行こうかと思います。」



「いや、そういった意図で言ったんじゃないんですけど。」



そして、小町は映姫の腕に抱えられている物に気が付いた。
それは一見、将棋のようにも見えたが盤の色が激しく異なっていた。
綺麗な緑の上には、黒の線が碁盤の目のように走っている。



「映姫様、それなんです?」



「これはですね、小町とやってみようと思って持ってきた物です。」



小町の先の言葉に何やらしょげていた映姫は、途端に割と薄いめである胸を張って、持っていた物を地面に置いた。



「なんですか、これ。」



「オセロです。」



「や、名前だけじゃ何がなんだかあたいはわかりませんって。」



そこからしばらく、映姫はこれがどういった物なのかを説明し始める。
説明とはいえ、実に単純だったためすぐに終わったのだが。



「じゃ、あたいが黒で。」



「私が白。」



「でも映姫様。」



「?」



「能力使わないで下さいよ?」



小町は困ったような顔で言う。
白黒争うこの遊びに、映姫の能力はあまりに適し過ぎている。



「使いません。当たり前です。じゃないと、」



「じゃないと?」



「貴女と遊びに興じ、ゆっくり、話すこともできやしない。」



その言葉を聞いた小町は、今度自分に暇ができた時に出向いてみようかと思ったのだった。
確かに、これは暇潰し。
けども、何か大切なことのように感じられるのだ。



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すいません、やっぱり予告外のものを更新してしまってます。
オセロ楽しいですよオセロ。単純なルールのゲームほど白熱するものはないですよね。こまっちゃんは花札やりそうです。
次こそ!次こそ予告の物を…!!
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
のんびりして良かったです
オセロは弱いから苦手だ…
2.名前が無い程度の能力削除
こっちから暇つぶしに行ったら、映姫が忙しくてショボーンとしてる小町を幻視した