Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

橋姫と土蜘蛛とコーヒー

2011/03/16 00:02:42
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 水橋パルスィはコーヒーが好きである。
 自分が大陸出身の妖怪であるからか、基本西洋のものを好む節があるようだ。その中でも特にコーヒーは一番のお気に入りで、普段は近付くことすらしない旧都もコーヒーの豆を仕入れたと噂を聞くといの一番に買いに行くほどである。また、その時は普段は見られない非常に機嫌のよい橋姫が見られるともっぱらの評判である。ちなみに、その時のパルスィを見たある一本角の鬼曰く「やばいパルスィかわいい。ペロペロしたい」とのことだが今はどうでもいい。

 「~♪」
 
 ここはその旧都。その道を橋姫が鼻歌を歌いながら嬉しそうに歩いていいる。どうやら今日は地上から新しい種類のコーヒー豆が仕入れられていたらしく、それを手に入れることが出来てたいそうご機嫌のようである。実際のところ旧都の妖怪たちは酒がお茶しか飲まないのでコーヒー豆を買うのは地霊殿の古明地さとりかパルスィくらいしかいないのだが、いかんせんこのさとり妖怪タチが悪い。どうにもパルスィをいじめるのが好きらしく、何かとちょっかいをかけてくるのだ。この間も宴会で隅のほうで一人ちびちびとやっていたら隣に来ていきなり猥談を始めるものだから正気を疑ったものである。そんな彼女だから、パルスィがコーヒーを好きとわかっていてコーヒー豆を買い占めることもよくあるのである。ちなみにさとり曰く「パルスィの目の前でコーヒー豆を買い占めてやった時の顔は最高だった。ゾクゾクした。おかげで閻魔に無駄な出費だと小一時間説教されたが後悔はしていない。パルスィは私の嫁」とのことだった。また妹のこいしはこのことに関し「概ね同意である。ただし、度が過ぎると姉を制裁しなくてはいけない。パルスィは私のものだぁぁぁぁぁぁ!お姉ちゃああああああん!」とのこと。姉妹揃って手遅れである。

 旧都を通り過ぎ、橋を通り過ぎ、自宅へと無事に帰ると戸を閉めるのもそこそこに靴も脱ぎ散らかしたまま、棚にしまってあるコーヒーミルを取り出す。豆をコーヒーミルにかけ、粉末にし、その粉をドリッパーに取り付けたペーパーに移し、お湯を注ぎ、あらかじめ温めておいたカップに移せば出来上がりである。ちなみに彼女は最初の1杯は窓際に座ってブラックで飲むのがお気に入りである。

 「んーやっぱりいいわね。この香りに味にコク。」
 「お、パルスィがなんか変なの飲んでる。墨?」

 驚いた彼女は思わず飲んでいたコーヒーを噴出した。確かに自宅でくつろいでいたところに背後に知り合いがいたら誰だって驚くかもしれない。

 「ちょ、ちょっとヤマメ何してんのよ。人の家に勝手に上がって。」
 「いや、玄関開けっぱなしだったし。入るしかないでしょ。」
 「何でそうなるのよ…」

 どうやら思っていた以上にコーヒーが手に入って舞い上がっていたようである。今度からは戸を閉めるように気をつけようと思ったが、どうせ閉めてても入ってくるんだろうしと思って彼女は考えるのをやめた。

 「で、何これ。泥水?」
 「さっきよりひどくなってるじゃない…。これはコーヒー。」
 「こーひー?」
 「そう。立派な飲み物よ。」
 「これがー?嘘だー?」
 「本当よ。飲んでみなさいよ。」
 「んー…」

 そう言ってヤマメはコーヒーに口をつける。

 「うえぇ、何これ苦い…」
 「あら、その苦さが良いんじゃない。」
 「こんなのが良いなんて…こんなのばっか飲んでるからパルスィ嫉妬狂いになったんじゃないの?」
 「ぐ…それは関係ないわよ。ま、ヤマメはおこちゃまだからね。この良さがわからないのよ。」
 「な!?誰がおこちゃまよ!?こんなの飲めるにきまってるじゃない!」
 「あらあら、むりしなくていいんでちゅよ~やまめちゃーん」
 「ば、馬鹿にしてるでしょアンタ!?これぐらい全部飲めるわよ!」

 そう言うとヤマメはパルスィの持っていたコーヒーカップをひったくり、それを一息に飲み干す。

 「あら、飲み干しちゃうなんて、妬ましいわね。」
 「………。」
 「どうしたの?」
 「…おなかすいた。」
 「へ、ああ口直しのお菓子ならあるわよ。ふふ、そんなに苦かったのかしら。」

 そういって菓子を取りに席を立つパルスィ。しかし、その手をヤマメがつかみそのまま押し倒す。いきなり視界いっぱいにヤマメの顔が映りきょとんとするパルスィ。しかし自分が置かれている状況に気付き思わず赤面してしまう。

 「ちょ、ちょっちょ、ちょっと何するのよ。」
 「…私さ、おなかがすいてるのよね。」
 「だから、菓子を取りに」
 「…そんなものより食べたいものがあるの。」
 「な、何よ家にあるなら食べさせてあげるし、なかったら買ってきてあげるから、ここからどいてよ!」
 「ふふふ、私ね……パルスィが食べたいな。」
 「へ…、ちょ…やめええええええええええええええええ!!」

 その日、橋の近くからはえらく艶っぽい声が響いていたらしい。
蜘蛛ってコーヒー飲むと酔うらしいですね。そんな妄想を文にしてみました。
初めまして揚げ餅です。初めて作品作ってみたんですけど、文章書くって難しいですね。改めてほかの作者さんの文才の凄さを実感しました。ああ妬ましい。

それでは、最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。



3/17 まさかこんなにコメントをいただけるとは、本当にありがとうございます。

>>5様
大陸に関してはパルスィ=ペルシャ人のことという情報を某所で見かけたので参照しました。コーヒーに関しては完全に自分の勉強不足です。修正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。
揚げ餅
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
おお!それでか、蜘蛛ってコーヒーで酔うんだ
愛されパルスィ可愛いよ!
2.名前が無い程度の能力削除
このあとの展開が気になるところだが・・・。
確か普通の蜘蛛は一滴だけで酔うが、流石妖怪ですな。ちなみに酔うとまともに巣が作れないんだとか
3.アジサイ削除
カマキリにタバコのヤニ吸わせたら酔っ払うってのは聞いたことあります。
さとりは病気だと聞いたことがあります。
こいしまで病気だと聞いたことがあります。
鬼でさえ病気だと聞きました。
それを踏まえたうえで、土蜘蛛が病気じゃないなんてありえないでしょう?
4.名前が無い程度の能力削除
さて、この件について、釣瓶落としと覚り妖怪のペットの意見も取り入れた上で議論したいと思う。
5.名前が無い程度の能力削除
パルスィが大陸出身とか、珈琲豆の粉を湯に
溶いて飲むとかツッコミ待ち……だよな?

だがパルスィかわいいは正義。
6.カンデラ削除
ちょっと有り金全部持って旧都まで行ってくる
タイミングはパルスィが店先に来た時でいいのですね?
7.名前が無い程度の能力削除
パルスィ以外みんな病気だww  おのれヤマメ変な病気まき散らしやがって
ペットと桶は無事なのか
8.名前が無い程度の能力削除
地底が病気ww

大陸出身←パチュリーがペルシャ人とか言ってた気がするから
おkジャマイカ?
けど、橋姫の元ネタは日本が舞台って慧音が言ってた。
9.名前が無い程度の能力削除
面白かったです