※タイトルの通り、昔やっていたあのドラマを東方でやるというSSです
苦手な人は戻ってね!
ミスティアが経営する屋台、『みすちぃ』。
今日もいつものようにチルノ、ルーミア、リグルの3人が客としてやってきていた。
この4人はいつでも仲良し。周りからは『バカルテッド』と呼ばれることもあるが、
気にすることもなく遊んだりイタズラをしたり、ミスティアが屋台を開く時にはそこで宴会をする。
友情割引で値段もサービスしてもらえるのだ。
「ん~!おいし~!」
チルノが満面の笑みで八目鰻を食す。リグルもまた鰻に夢中になっていた。
そんな中でルーミアだけが、ミスティアの小さな『異変』に気が付いた。
「あれ?みすちー・・・・・・なんか元気ないね。」
「え?そ、そんなことないよ。」
「いつもはもっと笑ってるのに・・・・・・何か悩みでもあるのかー?」
真剣な表情でミスティアを見つめるルーミア。
ミスティアは初めは誤魔化そうとしていたが、根負けしたようにルーミア達に悩みの原因をもらす。
「実はね・・・・・・あんましこの屋台の経営がよくないんだ。」
「そういえば最近は私達以外あまりお客さんこないね。」
「人間達を鳥目にして呼び寄せちゃえばいいじゃん!あたいならそうするよ。」
チルノがミスティアに提案する、しかしミスティアは首を振った。
「昔はそうやってたんだけどね、最近はやってない。
罠にかけて騙して食べさせるんじゃなくて、純粋にお客さんとして迎えたいって思って・・・
自分でもつまらないこだわりだって思ってるけどね。」
「ううん、素敵なことだと思うよー。」
「ありがとルーミア。でも、そうなるとやっぱり立地条件が悪いんだよね。
あまり人間の里に近づくと慧音先生に怒られちゃうしさ。」
ミスティアが悲しげに目を伏せた。
「このままだと、お店をたたまないといけないかもしれないね・・・・」
そんなミスティアのつぶやきに、ルーミア達は顔を見合わせることしか出来なかった・・・
翌日、チルノとルーミアとリグルは妖精の湖に集合した。
「というわけで!みすちーの屋台のためにあたい達が出来ることはなにか!考えよう!」
チルノが高らかに宣言する。
友人の屋台の危機を救うため、3人で緊急集会を開いたのだ。
「やっぱりお金だよね・・・・・・私達でバイトでもして、寄付とか出来るといいんだけど。」
「でも私達で稼げるお金なんてたかが知れてるのだ。
お店をたたまないといけないぐらいの危機なら、もっと一攫千金ぐらいじゃないと・・・・・・」
悩むリグルとルーミア。しかしチルノは不敵に笑いながら声をあげる。
「ふっふっふ・・・・・・あたいにはあるよ、『いっかくせんきん』のアイデアが!」
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そうしてチルノに連れられてきたのは、マヨヒガにある橙の家。
本来ならばたどり着くことすら難しいマヨヒガだが、橙とも友達であるルーミア達は特別に行き方を教えてもらっていたのだ。
「チルノ!どうしたの?」
突然の来客に首をかしげる橙。
チルノは橙に真剣な表情で告げる。
「橙、『アレ』を受けたいんだ。この前言ってたアレだよ。」
「え!?で、でも『アレ』は危険な競技だよ!チルノちゃん達じゃあ・・・・・・」
「あたい達は『いっかくせんきん』しないといけないんだ!」
チルノに続いて、ルーミアとリグルも一緒になり、橙に今自分達が置かれている状況を告げる。
橙にとってもミスティアは友達。最初はやめさせようとしていた橙も、心を打たれたのかルーミア達に最終的に同意する形になった。
「分かった。じゃあ着いてきて・・・・・・紫様の元へ行こう。」
橙の家にある簡易なスキマを通って到着したのは、巨大な地下室のような場所であった。
まるで牢屋のような薄暗い大きな部屋に置いてあるのは二つの机と椅子だけ。
そして机の上には小さな電光掲示板のようなものが設置されていた。
「ここは・・・・・・」
「一体どこなのだー?」
見慣れない場所にキョロキョロとするルーミア達。
と、そこにスキマが現れ、八雲紫がその姿を現す。
「ようこそいらっしゃい。神聖なる『フードファイト』の会場へ。」
~~ フードファイタールーミア ~~
stage1 食欲はパワーだZE!
「じゃあ、早速説明するわね。」
社長室のような場所へと連れられたルーミア達。
戸惑いを隠せないルーミア達に、紫が説明を始める。
「この『フードファイト』は名前の通り、時間内にどれだけ多くの物を食べられるのかを競うものよ。
まだ始まったばかりだけど、橙を通じていろんな人妖へと広めているわ。
そこの妖精さんも、橙からこの存在を聞いたのよね?」
「う、うん。」
「制限時間は30分。前半15分と後半15分に分かれていて間に5分の休憩があるわ。
開催は一週間に一回、メニューは毎回違うものが用意されているわ。
勝負に勝った挑戦者はチャンプとして次の挑戦者を迎え入れる。
勝った場合は莫大な賞金が手に入るけど、負けた場合は二度とこの競技に参加することは出来ないわ。」
淡々と説明を続ける紫。その中でリグルは、チルノが自分達をここへ連れてきた理由を理解した。
「なるほど、つまりその賞金をみすちーに寄付すればいいってことだね。」
「そういうこと!あたいったら天才ね!」
「そして、この競技にうってつけの妖怪がいる・・・・・・それが、ルーミア。」
「私なのかー?」
首をかしげるルーミア。リグルは続ける。
「そうだよ!ルーミアの食欲はすごい!きっとルーミアなら、誰にも負けずに勝ち続けることが出来る!」
力強く宣言するリグル。しかし・・・・
「おっと、もう勝ったつもりでいるのか?今回の挑戦者は随分お気楽なんだな。」
物陰から一人の魔法使いが現れた。ルーミア達も見慣れたその姿、それは・・・
「魔理沙!」
「霧雨魔理沙。このフードファイトで現在チャンプをつとめているわ。3連勝中よ。
今回の挑戦者は・・・・・・ルーミアでいいのかしら?」
紫の言葉を聞いて顔を見合わせる3人。
そして頷きあい、ルーミアが宣言する。
「私なのだー!」
「へへっ、面白い。食欲はパワーだってことを教えてやるぜ!」
「へー、そーなのかー。」
早速ルーミアを挑発しにかかる魔理沙。一方のルーミアはどこ吹く風である。
「それでは早速始めるわよ。競技場へいらっしゃいな。」
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紫に連れられてルーミア達がやってきたのは先ほどの場所。
二つの椅子に魔理沙とルーミアが座る形となった。
「なるほどね、それであの上の電光掲示板には食べた数が表示されるんだ。」
「ルーミアー!がんばれー!」
リグルとルーミアは観客席へと連れられた。
会場の様子は見れるものの、中へと入ることは出来ない。
『準備はよろしいかしら?今日のメニューはカレーライス。
スキマを使って大量に入荷してあるから品切れを心配する必要は無いわ。安心なさい。
・・・・・・じゃあ、スタートよ。」
――カーン!!
スタートのゴングが鳴り響く。
魔理沙とルーミア、それぞれが一斉にスプーンを取り食べ始める
(へへっ、この競技はそんなに甘くないってことを教えてやるぜ!)
勢いよく食べる魔理沙。まずは1皿目を食べ終わる。
チラリと横目でルーミアを見やった。
(な、なんだって・・・!?)
しかしそこで魔理沙は、信じられない光景を見る。
(もう3皿目だと・・・!?)
ルーミアはすでに2皿を食べ終え、3皿目に手をつけようとしていた。
「すげえ!ルーミアすげえ!」
「がんばれーー!!」
これには観客席の二人も大興奮。
チルノは思わず立ち上がってしまっている。
そのペースは変わらないまま、前半の15分が過ぎた。
現在の得点は・・・・・・
魔理沙:4 ルーミア:10
ルーミアの圧倒的なペースという形で、前半は終了した。
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5分間の休憩時間。
チルノ達の元へと戻ってきたルーミアを興奮した2人が出迎えた。
「すごいよルーミア!いつも食べるなと思ってたけど、こんなにすごいなんて!」
「ルーミアったらさいきょーね!」
「えへへ、そーなのかー。」
2人の言葉に気をよくしてテレテレと笑うルーミア。
とても和やかな雰囲気である。
一方、魔理沙側の観客席。応援に来ていたアリスが心配そうに声をかける。
「・・・・・・魔理沙、大丈夫なの?」
「はははっ、とんでもない奴が来たな。ルーミア、あいつは本物の化け物だ。」
「このまま行っても・・・・・・勝ち目はないわよ。」
「へへっ、アリスよ、この魔理沙様がこのまま黙ってやられるような奴に見えるかよ?」
不敵に笑う魔理沙。
そして帽子の中から一個のキノコを取り出した。
「魔理沙!それは・・・!」
「このキノコには食欲を異常に増加させる効果がある。こいつを使えば・・・」
「それを使った後の副作用を知らないあなたではないでしょう!
人間の身のあなたには負担が大きすぎる!危険よ!」
「悪いな、アリス。」
アリスの制止を振り切って、魔理沙はキノコを口にした。
「うぐっ!」
「魔理沙!」
「・・・はぁ、はぁ・・・・・・私にだってなぁ、意地があるんだ!
速さの称号を天狗に渡して以来、久々に掴んだ頂点の座
あんなちびっ子妖怪に、渡してたまるかよ・・・・・・!」
フラフラとおぼつかない足取りで競技場へと向かう魔理沙。
アリスはただ、それを見守ることしか出来なかった・・・
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休憩時間が終わり、後半戦へと入る。
挑戦者ルーミアとチャンプ、魔理沙が再び椅子へと座る。
観客席のリグルは、すぐに魔理沙の異変に気付いた。
(魔理沙、さっきまでとは様子がまるで違う・・・?
汗もすごいし、ふらついているけど・・・)
――カーン!
リグルの思考をよそに、後半戦開始を告げるコングが鳴り響く
一斉にカレーライスに齧り付く2人。前半戦と同じ光景。違うのは・・・
「ま、魔理沙が早い!」
「あのペース、ルーミア以上!?」
魔理沙のペースが格段に上がっているのだ。
その食べるペースは、ルーミアのそれを上回っている。
魔理沙:6 ルーミア:11
魔理沙:10 ルーミア:13
魔理沙:13 ルーミア:15
そして、残り時間5分の時点で・・・
「ルーミア17皿目・・・・・・魔理沙も17皿目!」
「並ばれちゃった!どうしよう!」
ようやく追いついた魔理沙。
どうだという顔で、ちらりと横目でルーミアを見やる。
しかし、そのルーミアは・・・
「あ、追いつかれてる。」
余裕そうな顔を崩してはいなかった。
「へー、そーなのかー。」
そして再び食べ始めるルーミア。そのペースは、先ほどよりも更にあがっている。
(まさか、ブーストしただと!?この状態で!?
私はこんなに死に物狂いなのに・・・・・・畜生!負けてたまるかよ!)
魔理沙も再びスプーンを取る。しかし・・・
「うぐっ!」
胸の苦しさにスプーンを落としてしまう魔理沙。
キノコの効果が切れたのか、はたまたルーミアの驚異的なペースに心が折られたのか・・・
「・・・・・・畜生!」
スプーンを拾い再び食べ始めようとする魔理沙。
しかし限界が来た身体ではもう一皿を食べきる余力は残っておらず・・・・・・
――カーン!!
終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
その時点での数は・・・・・・
魔理沙:17 ルーミア:20
あまりにも大きな3皿差を示していた。
魔理沙へと歩み寄るルーミア。
「大丈夫?」
「くそっ・・・勝てると思った・・・。
悔しいが、お前が新しいチャンプだ。どこにそんなパワーがあるんだ?」
魔理沙の問いに、ルーミアは表情を変えずに言い放つ。
「私の胃袋は宇宙なのかー。生半可なパワーじゃ勝てないよ。」
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その後、勝利を納めたルーミアに賞金が手渡された。
当初の予定通り、ミスティアの屋台に全額寄付することとなった。
そこで決めたことは・・・
「とくめい?なにそれ。」
「匿名。つまりミスティアには私達がお金を稼いだってことは秘密にするってこと。」
「えー!せっかくルーミアが頑張ったのにー!」
「今回のことを説明したら、もしかしたらお金を貰ってくれないかもしれないし。
何より、私達に変な遠慮されて関係がおかしくなるのもイヤだよ。」
「でもー、ルーミアはそれでいいの?」
若干不服そうなチルノに対し、ルーミアはあっけらかんと答えた。
「私はいいよー。みすちーとは今までどおりの友達でいたいし。」
「う~ん、ルーミアがそういうなら・・・あたいも黙ってる。」
ルーミアが納得してることを聞いて、チルノも納得することにした。
そしてルーミアに尋ねる。
「でも確か、これでルーミアは『チャンプ』になって来週も出場するんだよね?
出るの?」
「出るよー。ここで棄権したら魔理沙に悪いのだ。
勝った以上、チャンプとしての義務もちゃんと果たすよ。」
「とりあえず今回で屋台をたたむことは防げたかもしれないけど、
経営を安定させるためには、まだまだお金も必要だしね。」
「そっか、あたいは応援しか出来ないけど・・・ルーミア、がんばってね!」
チルノの激励に、ルーミアは笑顔で頷いた。
新たなチャンプとなったルーミア。彼女の戦いは、まだ始まったばかりである・・・
Go To Next Stage・・・
明日が楽しみです
BGMが脳内再生されました!
今後だれがルーミアとバトルしていくのか、楽しみにしてます!
君ならできる!
バカルテットかわいい。