昔々でない今、とある幻想郷に北風さんと太陽さんがいました。お話早々ぶっちゃけると、北風さんは北風
どころかありとあらゆる風を操る鴉天狗さんで、太陽さんは太陽は太陽でも地下の太陽で燃え盛る核の炎を
操る地獄鴉さんです。この時点で相反するキャラクターが同一のデザインを共有しており物語の対比構造に
おける齟齬が発生していますが、まぁ、正直どうでもいいです。話を進めます。
「ねーねー。文ー」
「えっ、ちょっ。い、一応話的には私は”文北風靡”さんで、あなたは”サブタレイニアン”さん、ってことになって
ますよ!?」
「うにゅ? そうなの? ……うーん、覚えにくい。やっぱり普通どうりでいいよ」
「……まぁ、覚えにくいという問題ではない方向で、私もそれには賛成ですが」
「うん。でさ、文」
「はいはいなんでしょう空さん」
「何かして遊ばない?」
そうです。お空にぷかぷか浮いてばかりの二人はいつも退屈ばかり。幻想郷でそんな事ないだろ、って?
そういう野暮なツッコミをするとろくな大人になれませんよ。
「そうですねぇ。あ、空さん。あそこを見てください」
「ん? あ、なんか緑色した巫女がいるねぇ」
そういうふたりのはるか下、山の神社に繋がる道を、一人の緑の巫女さんがてくてくと歩いていました。
「あの巫女の服を、私達の力で脱がせた方が勝ち、って遊びをしませんか?」
「うふふ、面白そう」
よくよく考えれば明らかな犯罪行為ですが、ここはおおらかな幻想郷。そういうのを遊びといってもいいの
でしょう。恐らく。たぶん。ああこら、僕ちょっと幻想郷に行ってくるといってるあなた、ルーミアに食われるの
がオチです。え、いや、それは我々の業界ではご褒美とか言われても、その、マジで引く。
「じゃあ私から行くね!」
「え!?」
そう言って空に仁王立ちの太陽さん。天に掲げる制御棒に、とんでもない熱が集まっていきます。
「う、空さん!? 順番がっ!?」
「我が元に集まれ滅びの力よ! 比類なき熱塊よ! 焦がし狂う星と成りて落ち、大地を灰燼と帰すべし!
”ホットジュピター落下モデル”ぅぅぅッッッ!!」
「なんで核関連になると途端にちょっと賢くみえる台詞言うんですかあぁぁぁ!?」
なぜだか大慌ての北風さんを軽く無視して、いくつもの真っ赤に燃える火の玉を地面へと落とす太陽さん。
もちろん、その先には緑の巫女さん。
「……え?」
反応する間もなく大! 爆! 発!
あわれ、緑の巫女さんの青い巫女服は完全に炭と化し、吹く風にぼろぼろと飛ばされていきます。年頃の
白い裸身があらわになりましたが、アフロヘアーだけはいただけない。しかしこの髪型も、そしてあれだけの
炎に焼かれたにもかかわらず火傷一つ負っていないのも奇跡の子たる証拠なのでしょう。
「びくとりー!」
「……いやいや、えー」
確かに太陽さん、問答無用で大勝利です。が、そもそもこれではお話になりません。ちょっとすみませんが
さとりさん、おしおきしていただいて、もう一度よく台本を読むようにご指導お願いいたします。
「はい、わかりました。これ、お空ったら」
「うわぁごめんなさいさとりさま」
「だめですえいえい」
ぺしぺし。ぺしぺし。見事なスパンキングが炸裂しましたとさ。
おしまい。
でも焼け焦げた服の中でも美しい柔肌。奇跡の力最高。
しかし北風さんには是非とも先にスカートをはためかせてもらいたかったものだ。
この台詞が好きです