唐突だが、梅雨である。
水がたんまり入ったバケツをひっくり返したかのような豪雨の中、私は縁側に咲く紫陽花を見つめていた。
「飽きもせず良く降るわ、本当」
そう言って湯飲みに手を伸ばすと先程まで注がれていた茶は既に飲みほしていた事に気づく。
「…淹れなおすか」
と重い腰を上げた時、後ろに気配を感じ振り返ると、そこには赤を基調とした服に身をまとった妖怪がいた。
「御機嫌よう霊夢、良い雨ね」
「ずぶ濡れよ幽香、嫌な雨ね」
お花妖怪(本人に面と向かって言うと怖いので言わないが)風見幽香が傘もささずにその場にたたずんでいるを見た私は茶の淹れ直しを断念しタオルを彼女に投げて渡す。
「拭きなさい、風邪ひくわよ」
「あら優しい、明日は雨だわ」
「今現在雨降ってるけれど?」
「それなら槍が降るかしら?」
「遠慮被るわ」
そう言いながら私は風呂を沸かすために風呂場へ向かう。どうせ彼女の事だ、風呂に入れさせろと言うに違いない。
風呂釜に手を入れ、丁度いい温度になった事を確認すると私は脱衣所から彼女を呼んだ。
「…お風呂沸かしたから入りなさい」
「あら、これは本格的にデイジーカッターが落ちるかしら」
必要以上に床を濡らさないように靴下を脱ぎながら彼女はそんな事を言う。
「そうしたら貴方の向日葵全滅よ、馬鹿言ってないで入りなさい」
「霊夢は?」
「入るわけ無いじゃない、馬鹿」
私は脱衣所のドアを閉めると僅かに濡れている床を雑巾で拭き始める。
そして少し遅れ、お湯が流れる音が聞こえ始めた。
床の水滴を拭き終わった後、彼女の服は濡れて着ることなどできないだろうから着替えを持っていく。
「幽香ー、着替え置いとくわよー」
「ありがと」
そう言えば彼女は和服の着付けなんか出来たろうか、と思ったが多分出来るだろう、私より長生きなんだから、と結論付けて私は脱衣所から出る。
「れいむー!たすけてー」
「な、何!」
脱衣所からの悲痛な叫び声を聞いた私は急いで風呂場へ駆けより脱衣所の扉をあける。
「どうしたの!幽…香…?」
そこには涙目で和服相手に格闘する彼女がいた。
「あー、何?新手のプレイ?」
「違うわよぉ、着方が分からなくて…」
長生きしてるから和服も大丈夫、そう思っていた時期が私にもありました。
「んー、助けてあげたいのは山々だけど…」
「だけど?」
半裸の女性(巨乳で美人)が目の前で涙目になっていたら助けるより見入る私。
「今の幽香少し新鮮だからもうちょっと見てたいかなーって思ったり」
「霊夢の馬鹿ぁ!」
「本気よ、でも助けてあげる」
「冗談って言って欲しかった…」
結局、着付けを手伝う羽目に。
しかしながら涙目の幽香を拝み風呂上がりの上気した肌を間近で楽しめたため結果オーライである。
着替えを終えた後、私は彼女にお茶を出しながら梅雨の涼しい空気を満喫していた。
「梅雨って良いわねぇ」
「私が来た時そんな事言ってなかった気がしたけど?」
「人間ってのはころころ意見が変わるのよ」
ジト目で見てくる彼女をスルーしつつ私は寝ころびながら雨に濡れる紫陽花を見つめる。
「ねぇ幽香、雨に濡れた紫陽花って、何であんなに綺麗なのかしら」
「花は綺麗だから花なのよ、綺麗じゃない花なんて無いわ」
「そうねぇ、貴方が言うと正論っぽいわぁ」
そう言って寝がえりをうち彼女を見据え、藍色の和服に彼女の綺麗な緑髪が良く映えるのを見て、どうやら私のセンスに狂いはないようだと我ながら感心する。
「そう言えば霊夢、私の服、乾いたかしら」
「まだよ、そんな早くに乾くわけ無いわ」
事実彼女の服は未だに雨のしずくを垂らしていた。
「それに乾いたとしても帰ればまたずぶ濡れよ、今日は泊まって行きなさい」
「じゃあお言葉に甘えて」
彼女の返答を聞き、そう言えば布団は一組しか無かったと思いだすが、まぁ成るように成るかと、心で呟きながら私はお茶を淹れる。
夜、当然ながら一組しかない布団を見つめ彼女は私に問い詰める。
「…何で布団が一つしか無いの?霊夢」
「あーうん、まぁ、そうよねぇ」
「ちゃんと答えてよ」
「まぁそのうち」
適当に答えつつ私は布団に寝ころんだ。
「おやすみぃ、幽香」
「待ちなさいよ、私は何処に寝ればいいの?」
「え?分からない?」
私は自分の横を叩きながら聞く。
開けられたスペースを見つめ、彼女はその意味を理解すると、何も言わなくなった。
「私の横は、嫌?」
「そ、そうじゃないわよ…」
「じゃあ良いじゃない、ほら」
「うぅ…」
彼女は若干戸惑いながらも、私の横に寝ころぶ。
とその瞬間だった、彼女が私に抱きついてきたのは。
「え?ちょ、な、何よ!幽香!」
余りにも唐突な出来事が、まともな思考を遮る。
「霊夢…大好き…」
そして、この一言の後の記憶が、見事なまでに消えているのだ。
水がたんまり入ったバケツをひっくり返したかのような豪雨の中、私は縁側に咲く紫陽花を見つめていた。
「飽きもせず良く降るわ、本当」
そう言って湯飲みに手を伸ばすと先程まで注がれていた茶は既に飲みほしていた事に気づく。
「…淹れなおすか」
と重い腰を上げた時、後ろに気配を感じ振り返ると、そこには赤を基調とした服に身をまとった妖怪がいた。
「御機嫌よう霊夢、良い雨ね」
「ずぶ濡れよ幽香、嫌な雨ね」
お花妖怪(本人に面と向かって言うと怖いので言わないが)風見幽香が傘もささずにその場にたたずんでいるを見た私は茶の淹れ直しを断念しタオルを彼女に投げて渡す。
「拭きなさい、風邪ひくわよ」
「あら優しい、明日は雨だわ」
「今現在雨降ってるけれど?」
「それなら槍が降るかしら?」
「遠慮被るわ」
そう言いながら私は風呂を沸かすために風呂場へ向かう。どうせ彼女の事だ、風呂に入れさせろと言うに違いない。
風呂釜に手を入れ、丁度いい温度になった事を確認すると私は脱衣所から彼女を呼んだ。
「…お風呂沸かしたから入りなさい」
「あら、これは本格的にデイジーカッターが落ちるかしら」
必要以上に床を濡らさないように靴下を脱ぎながら彼女はそんな事を言う。
「そうしたら貴方の向日葵全滅よ、馬鹿言ってないで入りなさい」
「霊夢は?」
「入るわけ無いじゃない、馬鹿」
私は脱衣所のドアを閉めると僅かに濡れている床を雑巾で拭き始める。
そして少し遅れ、お湯が流れる音が聞こえ始めた。
床の水滴を拭き終わった後、彼女の服は濡れて着ることなどできないだろうから着替えを持っていく。
「幽香ー、着替え置いとくわよー」
「ありがと」
そう言えば彼女は和服の着付けなんか出来たろうか、と思ったが多分出来るだろう、私より長生きなんだから、と結論付けて私は脱衣所から出る。
「れいむー!たすけてー」
「な、何!」
脱衣所からの悲痛な叫び声を聞いた私は急いで風呂場へ駆けより脱衣所の扉をあける。
「どうしたの!幽…香…?」
そこには涙目で和服相手に格闘する彼女がいた。
「あー、何?新手のプレイ?」
「違うわよぉ、着方が分からなくて…」
長生きしてるから和服も大丈夫、そう思っていた時期が私にもありました。
「んー、助けてあげたいのは山々だけど…」
「だけど?」
半裸の女性(巨乳で美人)が目の前で涙目になっていたら助けるより見入る私。
「今の幽香少し新鮮だからもうちょっと見てたいかなーって思ったり」
「霊夢の馬鹿ぁ!」
「本気よ、でも助けてあげる」
「冗談って言って欲しかった…」
結局、着付けを手伝う羽目に。
しかしながら涙目の幽香を拝み風呂上がりの上気した肌を間近で楽しめたため結果オーライである。
着替えを終えた後、私は彼女にお茶を出しながら梅雨の涼しい空気を満喫していた。
「梅雨って良いわねぇ」
「私が来た時そんな事言ってなかった気がしたけど?」
「人間ってのはころころ意見が変わるのよ」
ジト目で見てくる彼女をスルーしつつ私は寝ころびながら雨に濡れる紫陽花を見つめる。
「ねぇ幽香、雨に濡れた紫陽花って、何であんなに綺麗なのかしら」
「花は綺麗だから花なのよ、綺麗じゃない花なんて無いわ」
「そうねぇ、貴方が言うと正論っぽいわぁ」
そう言って寝がえりをうち彼女を見据え、藍色の和服に彼女の綺麗な緑髪が良く映えるのを見て、どうやら私のセンスに狂いはないようだと我ながら感心する。
「そう言えば霊夢、私の服、乾いたかしら」
「まだよ、そんな早くに乾くわけ無いわ」
事実彼女の服は未だに雨のしずくを垂らしていた。
「それに乾いたとしても帰ればまたずぶ濡れよ、今日は泊まって行きなさい」
「じゃあお言葉に甘えて」
彼女の返答を聞き、そう言えば布団は一組しか無かったと思いだすが、まぁ成るように成るかと、心で呟きながら私はお茶を淹れる。
夜、当然ながら一組しかない布団を見つめ彼女は私に問い詰める。
「…何で布団が一つしか無いの?霊夢」
「あーうん、まぁ、そうよねぇ」
「ちゃんと答えてよ」
「まぁそのうち」
適当に答えつつ私は布団に寝ころんだ。
「おやすみぃ、幽香」
「待ちなさいよ、私は何処に寝ればいいの?」
「え?分からない?」
私は自分の横を叩きながら聞く。
開けられたスペースを見つめ、彼女はその意味を理解すると、何も言わなくなった。
「私の横は、嫌?」
「そ、そうじゃないわよ…」
「じゃあ良いじゃない、ほら」
「うぅ…」
彼女は若干戸惑いながらも、私の横に寝ころぶ。
とその瞬間だった、彼女が私に抱きついてきたのは。
「え?ちょ、な、何よ!幽香!」
余りにも唐突な出来事が、まともな思考を遮る。
「霊夢…大好き…」
そして、この一言の後の記憶が、見事なまでに消えているのだ。
十分甘かったです。
こんな話でも甘くないと申すか?
きっと土下座して謝ってくるんじゃないかと…。
和服片手に涙目になってる幽香さん可愛いww
いや、逆に友人がツンデレか投げ槍さんに試練をあたえているのでは!
読み返して砂糖リバースする様なサッカリンまみれのヤツ。