「ねぇ一輪。貴女、海を、水平線を見たことはある?」
村紗が唐突に私に尋ねてきた。
幻想郷に『海』と呼ばれる大規模な水辺はない。
よって、私は海やらと水平線を見たことはない。
当然のことだろうに。
「すごいのよ、青は青でも空と海の青は違うの。その二つがね、限りなく近接して溶け合おうとしているの。」
村紗は楽しそうに話す。
初めて見た海と空の水平線のことを思い出しているのだろうか。
そう思う程に、ムラサの口調からは興奮を感じた。
そしてその時、私は一つの答えに辿り着いた。
行き着いてしまった。
村紗は私を好いてくれてはいるだろう。
けれども、愛してはいないのだ。
彼女が愛しているのは、海のある空と二つから生まれる水平線。
苦虫を噛み潰したような顔になりそうになる。
すると、村紗が私の手を取って言った。
それは、優しい手つきと声だった。
「いつか、見に行こうね。」
もう一度、という彼女らしくもない小さな弱々しい言葉を聞いた時、私は下らない嫉妬を地へ吐き捨てた。
.
村紗が唐突に私に尋ねてきた。
幻想郷に『海』と呼ばれる大規模な水辺はない。
よって、私は海やらと水平線を見たことはない。
当然のことだろうに。
「すごいのよ、青は青でも空と海の青は違うの。その二つがね、限りなく近接して溶け合おうとしているの。」
村紗は楽しそうに話す。
初めて見た海と空の水平線のことを思い出しているのだろうか。
そう思う程に、ムラサの口調からは興奮を感じた。
そしてその時、私は一つの答えに辿り着いた。
行き着いてしまった。
村紗は私を好いてくれてはいるだろう。
けれども、愛してはいないのだ。
彼女が愛しているのは、海のある空と二つから生まれる水平線。
苦虫を噛み潰したような顔になりそうになる。
すると、村紗が私の手を取って言った。
それは、優しい手つきと声だった。
「いつか、見に行こうね。」
もう一度、という彼女らしくもない小さな弱々しい言葉を聞いた時、私は下らない嫉妬を地へ吐き捨てた。
.
綺麗な水面を見たような読後感。