年に一度、あちらこちらで甘い香りが漂う時期。
好きな相手にチョコなどを送るという甘いイベント。
しかし、かつてはチョコを貰えない若者が「リア充爆発しろ!」
と叫びながら暴徒と化した『血のヴァレンタイン』という事件もあったらしい。(ソースは紫さん)
そして、このヴァレンタインというイベントは幻想郷でも何故か広がっているようだ。(たぶん発生源は紫さん)
此処、紅魔館では毎年2月14日は咲夜さんの手作りのチョコデザートがでる。
他に門に立っていると様々な来訪者から挨拶と一緒にもらったりする。
たとえばアリスさんから綺麗な形をした一口チョコの詰め合わせを貰ったり、
魔理沙さんからは、星の形をした歪なチョコだったり。
幽香さんからは向日葵の種入りチョコ。
チルノちゃんからカエルを一匹…(とりあえず何かあげればいいと思っているようだ)
まあ、カエルは後で唐揚げにしてケチャップとレモンで頂きましょう。
後は、門番隊全員からの特大チョコなど、まあその他色々もらったりしましたが、基本義理ばかりです。
やはり、本命を貰わないといけません。今年の私は去年の私とは違います!
本命を貰えるはずなのです。そのために今日は昼寝もせず背後に気を巡らし目当ての人物が来るのを今か今かと待っているのですから。
門番業務が終了。
仕事中は貰えませんでした。まあ、今日は昼勤務だったので外では渡しにくかったのかもしれません。館に戻ってから貰えるでしょう。案外部屋に置いてあるのかもしれませんし…
自室にはありませんでした…
枕の下とか、机の引き出しとか、ベッドの下とか、クローゼット、花瓶の中、ゴミ箱、天井裏…
無い…
きっと食事の時にでもくれるのかもしれませんね、椅子の上にでもそっと置いてあったりして。
食卓の椅子にはありませんでした。念のため椅子の下も覗いて見ます。
「ちょっと美鈴、テーブルの下に頭を入れて何をしているの?」
「あわわ、咲夜さん、何でもないです」
「今日は貴方まで様子がおかしいのね?」
「はい?」
何のことだろう?
「もう食事だから手伝って」
「はーい」
結局、食事中も食後もいつもと変わりなく終わった。
その後は居間でウロウロして貰うチャンスを窺ったけれどやはり何も無かった…
大浴場で一日の疲れを取って自室に向かう。疲れを取ったはずなのに足が重い…
おかしい、何かしたのだろうか? 怒らせるようなことは(最近は)していないはずなのに?
いや、それとも部屋のドアを開けたら身体にリボンを巻いて「私がチョコの代わりよ」
なんて…無いな、うん、あの人ツンデレだし。
自室に近づくと中から気が感じられる。もちろんそれが誰だかはすぐにわかった。
扉を開け中に入ると不機嫌そうにベッドに腰掛けるお嬢様がいた。当たり前だが身体にリボンは無い。
「遅いわね」
「えーっと、ちょっと長湯をしまして」
「……」
「……」
空気が重い…
やっぱり私何かしたのかな?
「もうじき日付が変わるわね」
「えっ、あ、そうですね」
ああっ、本命貰わないうちにヴァレンタインが終わってしまう!
「あの」「ねえ」
「あ、すいません何でしょう?」
「いいわよ、先に言いなさい」
「いえ、いいです」
「別にいいから」
「……」
「……」
「そのー」「ちょっと」
変なタイミングの合いかただ、ぶっちゃけイライラする。
もうストレートに言っちゃおうかな?
「お嬢様!」「美鈴」
「「何でチョコレートくれない(んですか)(のよ)!?」」
「……」
「……」
えっ?
今、お嬢様が「チョコレートをくれないのよ」って…
「お嬢様、もしかして私からのチョコを待ってたんですか?」
「そ、そうよ、いつ持ってくるのかなーって思ってたわよ!部屋にあるのかと思って枕の下調べたり、ベッドの下見たりして探してたわよ、お蔭で咲夜に不審な目で見られたわよ!全部あんたがチョコ持ってこないからでしょ!」
納得した
「お嬢様、実は私もお嬢様がチョコをくれるのを待ってました」
「えっ?」
「お嬢様って誰かにチョコを上げたことありますか?」
「無いわよ、先に貰ってばかりよ」
「私もです。ヴァレンタインって貰ってばかりであげたこと無かったんです」
「つまり…」
「はい、お互い『あげる』という考えに至っていなかったんですね」
「……はぁー」
お嬢様は深くため息をつくとベッドに倒れこんだ。
「何よそれ、馬鹿みたいね…」
「そうですね、私も部屋でチョコが無いか天井裏まで探しちゃいましたよ」
「何か疲れたわ…」
「疲れたときには甘いものがいいですよ」
「チョコレートとか?」
「お酒もあったらいいですね」
「確か、甘いものに合うワインがあったわね」
「義理で貰ったチョコがありますし」
「うん、私も貰った」
「じゃあ、残りのバレンタインの時間はチョコをツマミにして飲みましょうよ?」
「すぐに日付変わるじゃない」
「まあ、それはそれで」
「いいけどね」
こんなのも私達らしくていいのかもしれない。
その後は二人で静かにワインを楽しんだ…のは最初だけで途中からあらゆるお酒をちゃんぽんすることになり、気がついたらベッドでお嬢様を抱き枕に眠っていた。
もちろん何もしていない。
しかし、それを起こしに来た咲夜さんにみられてしまい、
「昨夜はお楽しみでしたね」
伝説的名セリフを頂いた。
暫くこれで弄られそうな気がする。
ちなみに来年からのヴァレンタインはまた二人で飲もうということになった。
勿論チョコ付きでだが、今度はちゃんとお互いに用意した物をツマミにすることが絶対になった。
二人とも可愛いな
あなたが書くめーレミは相変わらず可愛らしいですなぁ。
あぁそれからちいさい方も楽しみにしてますよ。
なんだか微笑ましくて良いですね。
決まってるじゃないかめーレミだからですよ。
それはともかく、お互いがもらうしか意識していないのがらしいと思いました。
二人とも毎年大量にもらってそうだしなぁ…
バレンタインが幻想入り!?ああ、だから俺の手元にチョコがないのか。
やっぱ、美レミはいいですね~。二人とも気があってるんだかあっていないんだかw
咲夜さんだけに「昨夜」ですか?w
おっと、こいつは言っておかないとな。リア充(ry
もっと発作起きても良いのよ!