「え、一輪、これ?」
私が村紗に差し出したのはバレンタインチョコ。私が昨日、心を込めて徹夜で作った、マシュマロ入りのものだ。
「あなたのために作ったのよ」
自分の声が少し震えているのがわかる。つとめていつもの表情をしようとしているのに、口の端がぴくぴくしてしまいそう。
ただ渡すだけなのに、こんなに緊張するなんて、思いもしなかった。きっと今頃は耳の端まで真っ赤になっているに違いない。頭巾があってよかったと、心の底から感謝した。
でも、もし、村紗がこのチョコを受け取ってくれなかったら。私は一体どうすればいいのだろう。もうこんな頭巾などかなぐり捨てて、自ら姐さんに破門を申し出るかもしれない。
深夜のキッチンでチョコを作りながら、私はそんなことばかり考えていた。おかげで甘いはずのチョコに涙が混じりそうになってしまって。
ああ、なんで渡すときにまでこんな嫌な想像をしてしまうのだろう。
自分の心臓がいつもの二割増しで大きく鼓動している。肺が見えない紐で縛られているようだ。
こんな思いをするなら、チョコなんて作らなくたってよかったとさえ感じられるほどに、全身が苦しかった。
しばらく私も村紗も何も言わなかった。私は村紗の細い手首をじっと見ていた。
ふと静寂の中で、その手首がぴくりと動いたのが見えた。私は思わず顔を上げた。
村紗が、幽霊のはずの村紗が、顔を真っ赤にしていた。そんな顔ができることに私は驚いたけれど、でも何より私が胸を打たれたのは――。
「ありがとう、一輪……私、とっても嬉しいよ」
恥ずかしそうに、けれど村紗がかすかに微笑んでいてくれたことだった。耳まで真っ赤になりながら。
「村紗」
不意に涙が出そうになる。
チョコを渡す、たったこれだけのことなのに、どうしてこんなに苦しくて、でも嬉しくて。だから、涙なんか拭かない。私はにっこりと笑って、村紗にチョコを差し出すだけ。
「ちゃんと味わって食べて……」
「うん、すごく大切に食べる」
指の先まで真っ赤になりながら、村紗がチョコに手を伸ばしたその瞬間。
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だいたい命蓮寺の半分が吹っ飛んだ。
マシュマロと間違えて雲山をチョコに入れるなんて、私ったらドジっ子さん!
完