「はいこれ、美鈴」
「ありがとうございます、咲夜さん」
えへへ、と無邪気に喜ぶ美鈴に自然と私の頬も緩む。
物心ついてからは毎年チョコを渡しているが、これが見たくて渡している。
それくらい彼女の笑顔は魅力的で好きだった。
「それにしても」
美鈴は受け取ったチョコを懐かしそうに見つめる。
「咲夜さんもすっかり大きくなりましたね」
「どうしたの急に?」
「いや、昔はもっと無邪気だったというか。子供らしかったというか」
「そうだったかしら」
「そうですよ」
言われて過去の自分を思い出してみる。
まだ幼く右も左もわからない私を支えてくれた美鈴。
泣いてる私を慰めたり、夜を怖がる私と一緒の布団で寝てくれた美鈴。
お嬢様に褒められた私と一緒に喜んでくれた美鈴。
私の思い出は彼女の思い出だった。
「チョコを食べさせあったりしたんですけどね。覚えてますか?」
「……そんなこともあったわね」
無邪気な子どもだったからこその特権だ。
今の自分にはそんなある種の勇気はない。
……願望は、あるが。
「けど、大人になっても咲夜さんは咲夜さんで少し安心してるんです」
「子どものままってこと?」
「私から見たら大抵の人間は子どもですけどね」
言いつつ、美鈴は口にチョコを運ぶ。
彼女好みの甘さを控えたビターチョコ。
「今も変わらず、可愛いってことで安心してるんです」
「ふぅん」
からかうような微笑みを浮かべる美鈴。
興味はないとばかりに背中を向ける私に彼女は続ける。
「そうやって、褒められると顔を隠すところも変わりませんね」
……うるさいわよ。
あんたがそんなこと言うからでしょ。
「まだまだ子どもですね」
やれやれだ、と言わんばかりの態度にカチンときた。
「え、って咲夜さん!?」
だから、子どもじゃないところを見せてやろう。
気がつくと、その子どもそのものの考えのままに行動に出ていた。
「美鈴」
「は、はい。あのその顔が近いです……」
背中を壁に押し付けられ、両腕を掴まれた美鈴は呆けたように言う。
私は構わず続ける。
「昔はチョコを食べさせあったって言ったわよね」
「い、言いました」
「もらうわよ」
なにか言おうとした美鈴を口で塞ぐ。
彼女を驚かせてやろう、困らせてやろう。
幼稚な欲望のままに彼女から溶けかけたチョコを奪い取る。
苦いはずのそれは、今まで食べたどんなものよりも甘ったるくて。
中毒になってしまいそうなくらいに美味しかった。
「ん……」
全てのチョコを奪い取り、口を離す。
「さくやさん……?」
美鈴は何が起きたのか理解できず、呆然としていた。
半ばヤケクソで私は叫ぶ。
「は、ははっ。どう? あなたが思ってるほど私は子どもじゃないのよ」
理解が追いつき、首まで赤くした美鈴はむくれた表情を作る。
「……卑怯じゃないですか」
「大人だからいいのよ」
そうは言っても赤くなった顔を見られたくなくて、背中を向ける。
やっぱり、自分は大人になりきれていないようだ。
「……咲夜さん」
「んむ……」
そっと腕を回された。
背中越しに伝わる体温は今も変わらず、私は成長した。
変わってないことは私が美鈴のことを好きで、彼女も私のことが好きだということ。
ずっと大好きな『お姉ちゃん』。
美鈴はやさしく抱きしめ、私の口にチョコを入れる。
「……もう一回、しませんか?」
……言われなくとも。
「ありがとうございます、咲夜さん」
えへへ、と無邪気に喜ぶ美鈴に自然と私の頬も緩む。
物心ついてからは毎年チョコを渡しているが、これが見たくて渡している。
それくらい彼女の笑顔は魅力的で好きだった。
「それにしても」
美鈴は受け取ったチョコを懐かしそうに見つめる。
「咲夜さんもすっかり大きくなりましたね」
「どうしたの急に?」
「いや、昔はもっと無邪気だったというか。子供らしかったというか」
「そうだったかしら」
「そうですよ」
言われて過去の自分を思い出してみる。
まだ幼く右も左もわからない私を支えてくれた美鈴。
泣いてる私を慰めたり、夜を怖がる私と一緒の布団で寝てくれた美鈴。
お嬢様に褒められた私と一緒に喜んでくれた美鈴。
私の思い出は彼女の思い出だった。
「チョコを食べさせあったりしたんですけどね。覚えてますか?」
「……そんなこともあったわね」
無邪気な子どもだったからこその特権だ。
今の自分にはそんなある種の勇気はない。
……願望は、あるが。
「けど、大人になっても咲夜さんは咲夜さんで少し安心してるんです」
「子どものままってこと?」
「私から見たら大抵の人間は子どもですけどね」
言いつつ、美鈴は口にチョコを運ぶ。
彼女好みの甘さを控えたビターチョコ。
「今も変わらず、可愛いってことで安心してるんです」
「ふぅん」
からかうような微笑みを浮かべる美鈴。
興味はないとばかりに背中を向ける私に彼女は続ける。
「そうやって、褒められると顔を隠すところも変わりませんね」
……うるさいわよ。
あんたがそんなこと言うからでしょ。
「まだまだ子どもですね」
やれやれだ、と言わんばかりの態度にカチンときた。
「え、って咲夜さん!?」
だから、子どもじゃないところを見せてやろう。
気がつくと、その子どもそのものの考えのままに行動に出ていた。
「美鈴」
「は、はい。あのその顔が近いです……」
背中を壁に押し付けられ、両腕を掴まれた美鈴は呆けたように言う。
私は構わず続ける。
「昔はチョコを食べさせあったって言ったわよね」
「い、言いました」
「もらうわよ」
なにか言おうとした美鈴を口で塞ぐ。
彼女を驚かせてやろう、困らせてやろう。
幼稚な欲望のままに彼女から溶けかけたチョコを奪い取る。
苦いはずのそれは、今まで食べたどんなものよりも甘ったるくて。
中毒になってしまいそうなくらいに美味しかった。
「ん……」
全てのチョコを奪い取り、口を離す。
「さくやさん……?」
美鈴は何が起きたのか理解できず、呆然としていた。
半ばヤケクソで私は叫ぶ。
「は、ははっ。どう? あなたが思ってるほど私は子どもじゃないのよ」
理解が追いつき、首まで赤くした美鈴はむくれた表情を作る。
「……卑怯じゃないですか」
「大人だからいいのよ」
そうは言っても赤くなった顔を見られたくなくて、背中を向ける。
やっぱり、自分は大人になりきれていないようだ。
「……咲夜さん」
「んむ……」
そっと腕を回された。
背中越しに伝わる体温は今も変わらず、私は成長した。
変わってないことは私が美鈴のことを好きで、彼女も私のことが好きだということ。
ずっと大好きな『お姉ちゃん』。
美鈴はやさしく抱きしめ、私の口にチョコを入れる。
「……もう一回、しませんか?」
……言われなくとも。
甘くて良かったです
しかしそのAA、貴方GEBやってたんですなwww
甘いめーさくごちそうさまです。
最高に美味しいチョコの食べ方をしてくれてニヤニヤした。