唐突だが、夏である。
騒がしく鳴く蝉の声に耳を傾けつつ私は縁側に寝ころぶ。
幾分か早い時刻であるため、空気はまだ涼しく気持ちのいい風が肌を撫でる。
「…昼寝にはまだ早いんじゃない?霊夢」
「おはよう幽香、お賽銭箱はあっちよ」
日傘をさしたお花大好き妖怪、風見幽香がそこにいた。
「入れる気はないけどお邪魔するわ」
そう言って彼女は日傘を畳み縁側へと腰を掛ける。
私は寝ころんでいるため彼女を見上げる様な形になった。
彼女の顔の向こう側には青く澄み渡った空に白く大きな雲が呑気に漂う。
「夏ねぇ」
と一言だけ呟く彼女に私は何を今更と言いたくなったがどうにも面倒だから止めておく。
「ところで幽香、向日葵はどうなの?」
私は寝返りを打ち片肘をついて庭を眺めがら聞いた。
「どうなのって、どういうこと?」
「ちゃんと咲いてるの?」
「えぇ、毎日綺麗よ、今度見に来ない?」
「めんどくさい」
「だろうと思った」
私の返答に呆れたのか、彼女はその一言の後黙ってしまった。
黙っているなら仕方ない、私は再度寝返りを打ち、目を閉じる。
その時不意に頬が冷たくなり、思わず飛び上がってしまった。
「なっ何?」
「ふふ、ビックリした?」
向き直ると、彼女は特徴的な形の瓶を二つほど持って、片方を私の頬に押し付けていたらしい。
「飲む?ラムネ」
「どうしたの?それ」
「里で売ってたの、それで飲むの?飲まないの?」
しばらく呆気に取られていたけれど、私は彼女の差し出す瓶を受け取り紙封を外し栓を落とす。
シュポンと言う音ともに炭酸の楽しげな音が聞え、瓶を傾けラムネを一口飲み込む。
「美味しい?」
「懐かしいわ」
本当に懐かしい、こうやってラムネを飲んだのなんて、一体何年振りだろうか。
「飲み終わったら瓶貸して、洗ってくるから」
「え?良いわよ別に」
と言っても聞かず彼女は飲み終えたばかりの瓶を私から奪うと奥へと消えてしまった。
別段盗られて怒るほどのものじゃないから追いかけて行くわけではないが。
「洗って来たわよ」
「御苦労さま」
私は負わなくとも良い苦労を買って出た彼女に労いの言葉を投げつつまた寝ころんだ。
「じゃあ私帰るわ」
「あらそう、ラムネ美味しかったわよ、ありがとう」
「どういたしまして」
最後に彼女は微笑んで、日傘をさし自らの家に帰って行った。
彼女が見えなくなった頃、私は立ち上がりお茶でも入れようと奥へ向かうと、あるものを見た。
「何かしら、これ」
それは、空になった瓶に差された一輪の向日葵で、どうやら先程彼女が瓶を洗った後に能力でも使って少し小ぶりな向日葵を咲かせこの瓶に差したのだろう。
全く、能力の無駄遣い極まれりと言ったところだ。
『畑に来れないならここに一輪置いてくから、ちゃんと世話してあげてね』
そんな一言が書かれた紙を目で流すと、私は彼女からの贈り物を一番陽の当る所に置き、呟いた。
「本当にお節介なんだから…でも、ありがとう、幽香」
この夏にすべき事が、どうやら増えてしまったが、まぁ良いか。
私は向日葵を眺めながら、寝ることにした。
騒がしく鳴く蝉の声に耳を傾けつつ私は縁側に寝ころぶ。
幾分か早い時刻であるため、空気はまだ涼しく気持ちのいい風が肌を撫でる。
「…昼寝にはまだ早いんじゃない?霊夢」
「おはよう幽香、お賽銭箱はあっちよ」
日傘をさしたお花大好き妖怪、風見幽香がそこにいた。
「入れる気はないけどお邪魔するわ」
そう言って彼女は日傘を畳み縁側へと腰を掛ける。
私は寝ころんでいるため彼女を見上げる様な形になった。
彼女の顔の向こう側には青く澄み渡った空に白く大きな雲が呑気に漂う。
「夏ねぇ」
と一言だけ呟く彼女に私は何を今更と言いたくなったがどうにも面倒だから止めておく。
「ところで幽香、向日葵はどうなの?」
私は寝返りを打ち片肘をついて庭を眺めがら聞いた。
「どうなのって、どういうこと?」
「ちゃんと咲いてるの?」
「えぇ、毎日綺麗よ、今度見に来ない?」
「めんどくさい」
「だろうと思った」
私の返答に呆れたのか、彼女はその一言の後黙ってしまった。
黙っているなら仕方ない、私は再度寝返りを打ち、目を閉じる。
その時不意に頬が冷たくなり、思わず飛び上がってしまった。
「なっ何?」
「ふふ、ビックリした?」
向き直ると、彼女は特徴的な形の瓶を二つほど持って、片方を私の頬に押し付けていたらしい。
「飲む?ラムネ」
「どうしたの?それ」
「里で売ってたの、それで飲むの?飲まないの?」
しばらく呆気に取られていたけれど、私は彼女の差し出す瓶を受け取り紙封を外し栓を落とす。
シュポンと言う音ともに炭酸の楽しげな音が聞え、瓶を傾けラムネを一口飲み込む。
「美味しい?」
「懐かしいわ」
本当に懐かしい、こうやってラムネを飲んだのなんて、一体何年振りだろうか。
「飲み終わったら瓶貸して、洗ってくるから」
「え?良いわよ別に」
と言っても聞かず彼女は飲み終えたばかりの瓶を私から奪うと奥へと消えてしまった。
別段盗られて怒るほどのものじゃないから追いかけて行くわけではないが。
「洗って来たわよ」
「御苦労さま」
私は負わなくとも良い苦労を買って出た彼女に労いの言葉を投げつつまた寝ころんだ。
「じゃあ私帰るわ」
「あらそう、ラムネ美味しかったわよ、ありがとう」
「どういたしまして」
最後に彼女は微笑んで、日傘をさし自らの家に帰って行った。
彼女が見えなくなった頃、私は立ち上がりお茶でも入れようと奥へ向かうと、あるものを見た。
「何かしら、これ」
それは、空になった瓶に差された一輪の向日葵で、どうやら先程彼女が瓶を洗った後に能力でも使って少し小ぶりな向日葵を咲かせこの瓶に差したのだろう。
全く、能力の無駄遣い極まれりと言ったところだ。
『畑に来れないならここに一輪置いてくから、ちゃんと世話してあげてね』
そんな一言が書かれた紙を目で流すと、私は彼女からの贈り物を一番陽の当る所に置き、呟いた。
「本当にお節介なんだから…でも、ありがとう、幽香」
この夏にすべき事が、どうやら増えてしまったが、まぁ良いか。
私は向日葵を眺めながら、寝ることにした。
半年後の夏に思いを馳せちゃいました、ありそうな夏の幻想郷の光景ですな。
もっと幽香と霊夢の話しが増えるといいなぁ
ラムネは昔よく祭りで飲んでたなぁ。逆に捻って中のビー玉とって遊んでましたw
あっさりとした話でした。