「鬼は外ー!!」
「……」
「福は内ー!!」
「なに、すんの、早苗?」
昼、外から戻ってきた早苗を迎えたら、豆を投げられた。
なんだこれ。私何もしてない。
「鬼は外ー!!」
「だから何すんのよって早苗」
「なにって……節分ですよ?」
「節分……?」
「あぁ、そういうやつね。そう言えばずっと昔にやってる人間がいたわね」
地底ではほとんどやらなかったからすっかり忘れてた。
だって、鬼は外なんてやれるわけないじゃない。笑って許しそうな鬼達ばっかりだけど。
「ですから、鬼は外ー!!」
「……」
「福は内ー!!」
「……あのさぁ、早苗」
「鬼は……なんですか?」
「なんで私が鬼なの?」
「えっ、だって……」
「……」
「エイリアンなんですから、鬼にもなれますよね?」
「なれるかぁぁぁ!!!」
なんだ、なんでなんだ!
なんでエイリアンが鬼に変身できると思ってるんだ!!
ていうかまだ早苗は私のことをエイリアンと言ってるのか!
違うって言うのに!
……まぁ、早苗ならいいけどさ、
……ん?
「え、待って、早苗は鬼は外、と私に豆を投げてる」
「?……そうですが?」
「そして、私はその鬼だと」
「はい」
「つまり……」
鬼は外 という式の鬼に私を代入。
すると、 私は外
外、つまり家に入るな、と
だから、
「……じゃあね。楽しかったわ、早苗」
「えっ?えっ!?どういうことですか!?」
「だって私は家にいちゃいけないんでしょ?」
「ち、違いますよぉ!待ってくださいぬえぇ!!!」
ちょっと意地悪な顔をしながら出ていく行動を起こせば、半分泣きながら私を止める早苗。
あ、なにこれ、かわいい。
「じゃあね、早苗」
「待ってください!待ってくださいぃぃぃぃぃ!!!」
「……はぁ、全く……」
「ご、ごめんなさい……」
「いいわよ。別に気にしてないし」
あのあと、いろいろすごかった。
ちょっと外を見れば中々の大惨事。
早苗が本気で私がでていくと思い込んだ結果がこれだよ!
……まぁ要は、早苗が私を止めるために暴れまくった結果だ。
早苗を止めるのに疲れた。割とマジで。
「んで、その節分はもういいの?」
「はい、もうぬえに豆はぶつけません。ごめんなさい」
「いや、だからもういいって」
「ですから納豆なら別にいいですよね!」
「さよなら早苗」
「冗談です!!」
「冗談に聞こえないから」
結構本気な感想。
早苗ならやりかねない。
「まぁ、まだイベントは残ってますが」
「……まだあるの?」
「というより、私からはこっちが本番です」
……また面倒なことになりそうな。
ていうか節分に豆まき以外にあったっけ?
「恵方巻、です」
「えほうまき?」
聞けば、節分の夜に食べる巻物だそうだ。
その年に合わせた方角を向いて、何かを願いながら食べると縁起がいいらしい。
「ふ~ん……そんなもの昔はなかったけどね」
「そうなのですか?」
「うん、豆まきして終わりだったよ」
参加したことないからよくわからないけど。
「んで、具体的にはどんなものなの?」
「今から作りましょう」
「……は?」
「材料は買ってきましたから」
「……それでいつもより遅かったのね。どんなものなの?」
「河童特製の農薬ふんだんに使ったキュウリ、魔理沙さんからわけてもらった実験失敗してできたキノコ、永遠亭からもらった」
「待て待て待て待て」
おかしい。絶対おかしい。
これは食べないほうがいいと言ってる。私の直感がそう言ってる。食べたら死ぬ。
死なないにしても絶対後遺症がすごい。どんなに天才な医者でも泣いて月に戻るレベルに治せないぐらいの。
「まぁ嘘ですが」
「だよね」
「大体の材料は合ってますが」
「なにそれこわい」
「それでは、いただきます」
「ん、いただきます」
夜。
二人で並んで縁に座ってかぶりつく。
早苗曰く、今年は南南東がいいらしい。
「そういえば」
「はい?」
「何か願い事をしながら食べればいいんだっけ?」
「そうですね」
願い事、ね……。
なんだろう、私の願い事。
……幻想郷の全員に悪戯しても許される、という願いとかいいかな。
いや、やっぱり今までのことを全て正体不明にするのもいいかも。
……でも、やっぱりこれかな、私の今の願い事は。
……、と
ガブッ
「ん、おいしい」
「はい、そうですね」
「早苗は何か願い事したの?」
「えぇ、もちろん」
「叶うといいわね」
「……叶いますよ」
「そう?」
「はい」
なんだろうな、早苗の願い事は。
私と同じような願い事なら、いいな。
なんて思っちゃったりして。
……これからも、早苗と一緒に退屈しない出来事がずっと続きますように。
「……あ」
「どうしたの?」
「これ食べるとき、無言じゃないといけないのでした」
「おいぃ!?」
……ま、私の願い事は願わなくても叶いそうだからいいけどね。
来年は両端から二人で攻めて行く恵方巻きゲームできるといいですね!
ぬえちゃんも可愛い過ぎ
結論として、さなぬえ良いねっ
実家に帰らせていただきますのノリで笑ったw