「それじゃあ、いくわよ早苗?」
「私はいつでも良いですよ霊夢さん」
決闘でもするかのような面持ちで互いを見続けている霊夢に早苗。そしてお互いの脇腹を同時にガシリと鷲掴みにする。
「早苗…アンタ……」
「霊夢さん…霊夢さんって……」
霊夢が感じたこと。それは、少し前までポヨンとしていたはずの脇腹がすらりとしていることだった。このことから導いてくれる答えはただ一つ。その答えは?
早苗が感じたこと。それは、引き締まっているはずの霊夢の脇腹の違和感だった。フニンでもポヨンでもなくプヨンといった触り心地であった。このプヨンという擬音が導いてくれる答えはただ一つ。その答えは?
「なんで痩せてるのよ…」
「太りましたね…」
ようするに、霊夢は太ってしまい早苗は痩せたということである。
「ハァ…正月だからってお餅を食べ過ぎたのがいけなかったわね」
「いえ、それだけではないと思いますよ」
「どういうことよ早苗?」
私が早苗にそう聞くと、早苗はわざとらしくコホンと咳をして、目を瞑りながら人差し指を立てる。その姿はどことなく、慧音が寺子屋の生徒に説教をする姿に似ていた。
「だって霊夢さん。お餅を一杯食べていましたけど、今年に入ってからまともに運動とかしてないじゃないですか。それだけでなく掃き掃除も一度もしていませんし」
たしかに今年に入ってからずっと神社に篭ってお餅食べてばかりだったけど、それは早苗にも言えていることである。年末の辺りから今日まで早苗と一緒に過ごしているが、早苗はとくべつ運動をしている様子はなかった。なのに私だけが太っているというこの状況。
「でもアンタだって同じじゃない。運動したりしてるところなんて私は一度も見てないわよ。太ったならともかく、痩せるなんておかしいじゃないのよ」
「あぁ、それはきっとアレですね」
早苗は思い出したように手をポンとさせる。
どうでもいいが、何かにつけてジェスチャーをするのは早苗の癖かなんかだろうか?
「美鈴さんに教えてもらったツボマッサージのおかげですね」
「ツボマッサージ?」
柄にもなくキョトンとした顔で早苗を見る私。だが、なにやら早苗は鼻を手で押さえながら私と顔を合わせようとしない。なんか変なことしたかしら?
「いきなりその顔は卑怯ですよ…」
「なんか言った?」
「い、いえいえ!? 何も言ってないですよ!?」
「そう。それでツボマッサージがどうしたの?」
早苗が言うには以前、紅魔館に用があって訪れた際に、美鈴とスタイルのことについて少し話したそうだ。
◆ ◆ ◆
「それでは気をつけてお帰りくださいね」
「……」
「? どうかしましたか早苗さん?」
「いえ、美鈴さんってスタイルいいなー、と思いまして」
「そんなことないですよ。早苗さんだってスタイルいいですよ」
「でもこの間測ってみたら少し増えていましたし、お肉も少し出てますし……」
「…それでしたらいいことを教えてあげますよ!」
「いいこと…ですか?」
◆ ◆ ◆
そこで美鈴から痩せる効果のあるツボマッサージを教えてもらったそうだ。
「それで効果のほどは?」
「もう本当に効きまくりですよ! お風呂の後と寝る前にするだけでこんなに効き目があるんですよ! もう美鈴さん様様ですよ!」
手をワシャワシャと上下に振る早苗から「やっぱり好きな人には綺麗なスタイルを見てもらいたいですからね!」という声が聞こえた気もしたが、そんなことより私は早苗から聞きたいことがあった。
「あのね…早苗?」
「ん? なんですか霊夢さん」
「その…痩せるマッサージってやつ…えっと、私にも教えてくれない……かな?」
「え?」
うぅ~、もうわかってるわよ。普段ガサツなイメージがある私が痩せたいって言うことなんて。でもやっぱり私だって女の子であるわけであって、スタイルぐらい気にしたりするわけであって、好きな人の前では綺麗なスタイルでありたいわけよ…。
多分、いまの私は恥ずかしさから顔だけでなく耳までリンゴみたいに赤く染まっているだろう。
すると突然、身体に何かが物凄い勢いで突っ込んできた。
「ぐはっ! ど、どうしたのよ早苗!?」
「もう、もうもう、もうもうもう、もう霊夢さん可愛すぎますよ! いえ、いまの霊夢さんはただの霊夢さんではなくて『でれいむ』さんですよ!」
「なによその呼び名は! そんな風に呼ぶんじゃないわよ! ちょっ!? どこ触ってんのよ早苗!?」
「どこって、そのツボの場所を教えてあげてるんですよ! だから大丈夫です!」
「そんな血眼状態でしかも涎垂らした奴に言われて大丈夫もないでしょうが!」
「幻想郷では常識に囚われてはいけないのですよ、でれいむさん!」
「本当にそうだと思うけど……だからでれいむって言うなーーー!」
その後、30分の死闘の末に私は普通に早苗からツボの場所を教えてもらえた。しかし「場所を教えただけでは心配です!」としつこく言うもんだから、最初だけは早苗にマッサージをしてもらった。
だけど、早苗のマッサージがあまりにも気持ちよすぎて私は頬を火照らせてしまったり、何故かまた血眼に涎垂らした状態の早苗と死闘を繰り広げたのは余談である。
「私はいつでも良いですよ霊夢さん」
決闘でもするかのような面持ちで互いを見続けている霊夢に早苗。そしてお互いの脇腹を同時にガシリと鷲掴みにする。
「早苗…アンタ……」
「霊夢さん…霊夢さんって……」
霊夢が感じたこと。それは、少し前までポヨンとしていたはずの脇腹がすらりとしていることだった。このことから導いてくれる答えはただ一つ。その答えは?
早苗が感じたこと。それは、引き締まっているはずの霊夢の脇腹の違和感だった。フニンでもポヨンでもなくプヨンといった触り心地であった。このプヨンという擬音が導いてくれる答えはただ一つ。その答えは?
「なんで痩せてるのよ…」
「太りましたね…」
ようするに、霊夢は太ってしまい早苗は痩せたということである。
「ハァ…正月だからってお餅を食べ過ぎたのがいけなかったわね」
「いえ、それだけではないと思いますよ」
「どういうことよ早苗?」
私が早苗にそう聞くと、早苗はわざとらしくコホンと咳をして、目を瞑りながら人差し指を立てる。その姿はどことなく、慧音が寺子屋の生徒に説教をする姿に似ていた。
「だって霊夢さん。お餅を一杯食べていましたけど、今年に入ってからまともに運動とかしてないじゃないですか。それだけでなく掃き掃除も一度もしていませんし」
たしかに今年に入ってからずっと神社に篭ってお餅食べてばかりだったけど、それは早苗にも言えていることである。年末の辺りから今日まで早苗と一緒に過ごしているが、早苗はとくべつ運動をしている様子はなかった。なのに私だけが太っているというこの状況。
「でもアンタだって同じじゃない。運動したりしてるところなんて私は一度も見てないわよ。太ったならともかく、痩せるなんておかしいじゃないのよ」
「あぁ、それはきっとアレですね」
早苗は思い出したように手をポンとさせる。
どうでもいいが、何かにつけてジェスチャーをするのは早苗の癖かなんかだろうか?
「美鈴さんに教えてもらったツボマッサージのおかげですね」
「ツボマッサージ?」
柄にもなくキョトンとした顔で早苗を見る私。だが、なにやら早苗は鼻を手で押さえながら私と顔を合わせようとしない。なんか変なことしたかしら?
「いきなりその顔は卑怯ですよ…」
「なんか言った?」
「い、いえいえ!? 何も言ってないですよ!?」
「そう。それでツボマッサージがどうしたの?」
早苗が言うには以前、紅魔館に用があって訪れた際に、美鈴とスタイルのことについて少し話したそうだ。
◆ ◆ ◆
「それでは気をつけてお帰りくださいね」
「……」
「? どうかしましたか早苗さん?」
「いえ、美鈴さんってスタイルいいなー、と思いまして」
「そんなことないですよ。早苗さんだってスタイルいいですよ」
「でもこの間測ってみたら少し増えていましたし、お肉も少し出てますし……」
「…それでしたらいいことを教えてあげますよ!」
「いいこと…ですか?」
◆ ◆ ◆
そこで美鈴から痩せる効果のあるツボマッサージを教えてもらったそうだ。
「それで効果のほどは?」
「もう本当に効きまくりですよ! お風呂の後と寝る前にするだけでこんなに効き目があるんですよ! もう美鈴さん様様ですよ!」
手をワシャワシャと上下に振る早苗から「やっぱり好きな人には綺麗なスタイルを見てもらいたいですからね!」という声が聞こえた気もしたが、そんなことより私は早苗から聞きたいことがあった。
「あのね…早苗?」
「ん? なんですか霊夢さん」
「その…痩せるマッサージってやつ…えっと、私にも教えてくれない……かな?」
「え?」
うぅ~、もうわかってるわよ。普段ガサツなイメージがある私が痩せたいって言うことなんて。でもやっぱり私だって女の子であるわけであって、スタイルぐらい気にしたりするわけであって、好きな人の前では綺麗なスタイルでありたいわけよ…。
多分、いまの私は恥ずかしさから顔だけでなく耳までリンゴみたいに赤く染まっているだろう。
すると突然、身体に何かが物凄い勢いで突っ込んできた。
「ぐはっ! ど、どうしたのよ早苗!?」
「もう、もうもう、もうもうもう、もう霊夢さん可愛すぎますよ! いえ、いまの霊夢さんはただの霊夢さんではなくて『でれいむ』さんですよ!」
「なによその呼び名は! そんな風に呼ぶんじゃないわよ! ちょっ!? どこ触ってんのよ早苗!?」
「どこって、そのツボの場所を教えてあげてるんですよ! だから大丈夫です!」
「そんな血眼状態でしかも涎垂らした奴に言われて大丈夫もないでしょうが!」
「幻想郷では常識に囚われてはいけないのですよ、でれいむさん!」
「本当にそうだと思うけど……だからでれいむって言うなーーー!」
その後、30分の死闘の末に私は普通に早苗からツボの場所を教えてもらえた。しかし「場所を教えただけでは心配です!」としつこく言うもんだから、最初だけは早苗にマッサージをしてもらった。
だけど、早苗のマッサージがあまりにも気持ちよすぎて私は頬を火照らせてしまったり、何故かまた血眼に涎垂らした状態の早苗と死闘を繰り広げたのは余談である。
でれいむは良いな