会話文多いです
漫画とは芸術と文学の合わさった究極の書物である。
レミリアはそう信じている。セリフと効果音などのわずかな文章と多彩な絵で描かれている完璧な作品だとも思っている。
何故か自分の親友はそれをまったく信じてくれないのが分からない。
自分の考えを理解してくれる者は一人だ。
そして、今日もそのもう一人と共に漫画の真髄を極める努力を惜しまないのである。
「いやー、この「ミスター味っ○」っていいですねー、お腹が空きます」
毛足の深いラグに転がり、美鈴は手にした漫画のページを捲りながらレミリアに話しかけた。
「あなたの読むのは食べ物系か格闘系ばかりね」
「えー、お嬢様だって、変身魔法少女系ばかり読むじゃないですか?しかもこの前部屋で振り付けしてたし」
「し、してないわよ! 絶対!! もし見たのならそれはあなたの幻覚よ!幻覚なら忘れたほうがいいわね?
ちょっとじっとしてなさい忘れさせてあげるから!」
「忘れました! 忘れましたからグングニルしまってください! ほら、咲夜さんのクッキー美味しいですねー? あーん」
「あーん」
パクリ
クッキーを噛み砕きながら取りあえず落ち着いて、再び読書に戻る。
「それにしても全巻セットの漫画の束を見つけてラッキーでしたね?」
「そうね、店主は「最近入ったばかりで品定めしていない」って言ったけど、変に調べて手放さなくなったら大変だったわ」
「早く次の巻読んでこちらにまわして下さいよ」
「今読み終わるわよ……はい、これね」
「わーい」
「さて、私は次の巻を、続きが気になるわー…」
「お嬢様?」
「な、な、なんじゃこりゃー!!!」
香霖堂
「店主!これはどういう事です?!」
「どういう事と言われてもね」
「折角続きを楽しみに開いてみれば中身はまるで違う本だなんてふざけてるわ!」
「大体、こちらが調べてもいないうちに持っていったのは君達じゃないか」
「いや、そうですが」
「そんな事関係ないわ、私は続きが読みたいのよ!」
「私も読みたいです。店主、この巻の正しい中身はありますか?」
「生憎、このシリーズの本はこの前君達が持っていったのだけだよ」
「そんなー」
「うぎぎ」
「外の世界の本なんて全巻揃うのが珍しいのだから」
「どうします、お嬢様?」
「どうしたもこうしたも無いわよ、何としても抜けた巻を探すのよ! 美鈴だって読みたいでしょ?」
「読みたいですよー、でも外の世界の本となると…あっ」
「何か思いついた?」
「外からの物ならあそこに行きましょう」
守矢神社
「で、此処に来たんですか?」
「もしかして早苗さんなら持っていないかと思って」
「ちょっと、此処凄い量の漫画があるわね?」
「そうですね、私もこの本は知っていますけど持ってはいないんですよ」
「あ、この本見たこと無いわ」
「残念です」
「一応諏訪子様と神奈子様に聞いてみます」
「この本面白そうね?」
「え、あの神様達も読むんですか?」
「はい、お二人とも結構漫画好きですよ」
「ねえ、これ借りてもいい?」
「お嬢様、お静かに」
「うー」
結局、神様二人の蔵書の中にも、目当ての本は無かった。
妖怪の山
「外の世界の漫画?」
「河童なら興味があるだろうから持っていないかと思って」
「いやー、確かに興味はあるけど漫画は無いかな」
「機械だらけね?」
「アイテムや機械関係の本なら興味があるけどね」
「そうですよねー」
「おっ、何だこの沢山のボタンは?」
「まあ、そう気を落とさないでよ。仲間の河童にも聞いてみるから」
「ありがとうございます」
「ポチっとな」
ガシャンガッシャン
「アー、機械がー!」
「お嬢様!」
「ごめん」
「無いわね、美鈴」
「そうですね」
「続きが読みたいわ」
「私もです。そうなると直接外から入手するしかないですね」
「外から?」
博麗神社
「で、何か用?」
「霊夢さんに、紫さんを呼んでもらいたいんです」
「いやよ、面倒」
「そこを何とか」
「いや」
「帰りにお賽銭入れていきますから」
「しょうがないわね」
「美鈴、頼むって八雲紫に頼むの?」
「ええ、一番確実です。ただ交換条件が付けられますけど」
「交換条件?」
「はーい、何か御用?」
「「うわっ」」
二人の間を割って入るように八雲紫がスキマから顔を出した。
「呼んだからね、後でお賽銭入れなさいよー」
そう言い残し、霊夢は部屋の置くに引っ込んでしまった。
「すいません、急に呼び出して。実はこの本の中身を探しているのですけど」
「ああ、これね。 あちらの世界でそこそこ人気だったのよねー。ちょっと待ってくれるかしら」
そのままスキマと一緒に消えていった。
「美鈴、スキマ妖怪と知り合いなの?」
「ええ、ちょっとした理由で…」
「これでいいかしら?」
「「わぁ!」」
再び二人の間から顔を出した。
「だから出る場所考えなさいよ!」
「あら、そんな怒らないのよ、折角本を持ってきてあげたのに」
「その本!」
「ええ、どうぞ」
「……」
「どうしたの?」
「いや、只じゃないんでしょ?」
「大丈夫よ、対価は美鈴から貰うから」
「えっ?」
美鈴を見ると困ったような複雑な表情を浮かべていた。
「しっかり身体で払ってもらうわね。そうね、今晩から一週間ね?」
「か、身体?」
「ちょっと待ってください、一週間は高くないですか? 私の身体が持ちません」
「身体が持たないって何するの!?」
「じゃあ六日間は?」
「一日しか違わないじゃないですか、あなたに付き合わされる身になってくださいせめて五日間です」
「つき合わされるって何するつもり!?」
「じゃあそれで手を打つわ。今夜スキマで迎えに行くからよろしくね」
「呼ぶ前に入浴をしっかり済ましておいてくださいね」
「わかっているわよ、それじゃあ」
ヒラヒラと手を振りながら、出てきたときと同じようにスキマの中へと消えていった。
「やれやれ、漸く本が手に入りましたね」
「ば…」
「はい?」
「馬鹿かー!!!」
「ええ?」
「あんな要求のんでまで本なんて欲しくないわよ!」
顔を真っ赤にして怒っている、しかもちょっと涙眼。
「お嬢様」
「何なのよ、身体で払うとか、今夜からとか、挙句に入浴を済ますとか、そんな勝手は許さないわよ!」
「……お嬢様」
「何よ」
「ありがとうございます、心配してくださって」
「そ、そんなの当たり前でしょうが」
「でも、大丈夫ですよ。五日間の気孔マッサージぐらい」
「…へ、マッサージ」
目が点になった。
「はい」
「今夜からって」
「今夜から五日間、マッサージに行かないといけません」
「身体が持たないって」
「紫さんは身体がガチガチで血行も悪くて、凄く大変なんですよ」
「入浴しておくって」
「身体をしっかり温めてもらわないとマッサージの効果がしっかり出ませんから」
「……」
「お嬢様?」
クルリと美鈴に背を向けて歩き出した。
「さあ、帰るわよ!」
「…あー、もしかしてお嬢様変なほうに勘違いしてましたか?」
ビクリと肩が動いた。
「大丈夫ですよー、これでも身持ちは硬いんですから」
「ちがうわよ」
「本当ですかー?」
レミリアの顔を覗き込もうとして、顔面パンチを食らった。
「いだだっ、お嬢様ってばうっかり照れ屋ですね」
「うるさいわよ」
そして主従は仲良く帰路に着
「お賽銭入れてないわよ!!」
「「すいません!!」」
けなかった。
紅魔館レミリアの部屋
「この漫画面白かったですね?」
「そうね」
「苦労して探した甲斐がありました」
「そうね」
「お嬢様、何を読んでいるんです?」
「間違ってた方の漫画なんだけどね」
「?」
「ほら、結構面白いのよ」
「あー本当ですね、いい感じですね」
「でも、これ第一巻なのよね」
「……」
「……」
「続きはあるんですか?」
「あるわけ無いでしょ」
「……………」
「……………」
私達の戦いは始まったばかりだ!!
ゆかりんお大事にw
仲良しの二人が見れてほっこり
欲しいものがなかなか手に入らない気持ちはよくわかります。
最近行ってないな…
ぎっくり腰ってなった事ないから分からん・・・
下手すると一週間は動けなくなるんだぜ。
若くてもなるから他の読者の方も十分に気をつけてください。
へぇ~、ぎっくり腰なった事ないからどういう痛さかわからんが、>>1、7、虎姫sの話を聞くとけっこうやばそうですね!気をつけなきゃ
個人的に好きな関係でほっこりしました
あと無理しちゃ駄目だよババ(スキマ送り
そんな事よりほっこりめーレミ、ありがとうございます
あれは実に悔しい!