注意点
*これは絵板[6269] 5面ボス(中略)夏休み~宴~ をSSに仕立て上げたものです。セットでお楽しみください。
*これは第五話です。序章と第一~四話を先に読んで貰えると嬉しいです。
*私の作品を容認し、更にはこっそりと宣伝までしてくださったEKIさんには大感謝です。
彼女達がこの旅館に来てから2度目の朝を迎える数時間前。先ほどまで幻想郷を照らしていた美しい月は、雲よってに隠されていた。
月に叢雲花に風。そしてどんどん大きくなる雲が完全に月を隠してしまった頃、それは始まった。初めはしんしんと、次第にざぁざぁと。
目隠しされた月が「おいおい、俺の仕事を邪魔するなよ」と言っていたような気がするが、きっと気のせいだろう。
十六夜咲夜は迂闊だった。
目が覚めると雨が降っていた。それはいい。問題は雨が降り出したという事実ではない。
「妖夢っ!」
「・・・ふにゃ」
まだ寝ぼけ眼の妖夢。焦っている私は、無理やりにでも起こそうと彼女の浴衣を掴み、激しく上下に揺さぶった。
「あうあう。なんですかぁぁぁって、止めてくださいよぉ」
「起きたわね」
妖夢が完全に起きた事を確認してから、私はその手を放して窓へと向けた。そう、雨が降っている窓の方へと。
「って、今すぐ見なさいよ」
「無茶言わないでください」
ボヤキながら浴衣を調える妖夢にイライラしながらも、寛大な私はそれ以上文句を言わなかった。
どーせないんだから少しくらい見えたってかまわないでしょう、とかね。
「・・・雨ですね」
「そうよ、雨なの。雨なのよ!」
「咲夜、うるさぁい」
横から聞える寝ぼけた声を無視し、私は妖夢に詰め寄る。一時大事だというのに、この子はなんでこんなに暢気でいられるのか。
「それがどうかしましたか?」
「どうしたもこうしたもないわよ。雨なのよ!」
「・・・雨だとダメなんですか?」
「服っ!」
「・・・あ」
ここまで来てようやく事態を把握したらしい妖夢に苛立ちながら、私は立ち上がった。
兎に角、服を回収してくる事が先決だ。
ガラガラガラ
「あら」
「きゃっ」
勢い良く襖を開けた先には、いつもの女性が立っていた。何故そこにいるのかと言う疑問は、彼女の隣におかれている物のを見た瞬間、問う事なく理解出来た。
「おはようございます、咲夜さん」
「えっと、おはようございます」
つられて語尾に名前を添えようとしたのだが、私は彼女の名前を知らない事に気づく。相手が自分の名前を知っているのに、私は相手の名前を知らないという事がなんだかすごく違和感があったのだが、今はそれどこれではない。
「朝食をお持ちしました」
「ありがとうございます。あと、その」
「お洋服の件、ですよね?」
「あ、はい」
もしかして取り込んでおいてくれたのかしら、という希望は、されど次の言葉で一瞬にして瓦解してしまう。
「ごめんなさいね。真夜中に降り出したものだから、取り込んだのは朝方で。その時にはもう」
「そうですか」
どうやら私達の着替えは全滅してしまったらしい。昨日着ていた服を着れなくはないのだが、2日間、しかも夏場でたくさん汗をかいている服をまた着るの事になるのかと思うと、かなり憂鬱な気分だった。
「あら。まだ寝てらしたかしら?」
「ん~ん。起きてた」
膳を中へと運び込んでくれている女性に、ウドンゲが眠たげにそう答える。ちなみに妖夢は布団を片付けており、私はテーブルを出している真っ最中だ。
そして数分もしないうちに朝食――焼き魚と味噌汁に白いご飯、漬物など――が並べられた。
「ん~、いい匂い」
匂いにつられたのか、ウドンゲが完全に覚醒しているようだった。
しかも憂鬱な私とは間逆の、とても嬉しそうな笑顔を浮かべている。そりゃああの子の服は無事だったから関係ないけどさ。う~。
「食べながらでもかまわないので、ちょっと聞いてもらえますか?」
「なんでしょう?」
首から上だけを女性のほうへと向ける私。その後ろから「いただきます」とか「いっただっきま~す♪」と言う声が聞えてくる。貴方達も少しは聞きなさいよ。
「お洋服、雨でぐちゃぐちゃになっちゃったじゃない?」
「はい」
先程までなら暗い声で返したであろう問いに私は、平時と同じよう、落ち着いて返事を返す事が出来た。
何故ならよく考えれば、特に問題のある事態ではないという事に気づいたからだ。
「今、洗濯しなおしていますから。でも、この天気でしょう? 今日中には乾きそうにないのよ」
「かまいません。ある程度乾けば、持って帰るのに問題はありませんから」
先ほどの影響がまだ残っていたのか、自分の声に少しだけ意図せぬ感情が篭っている気がした。
・・・だってあれ、お気に入りの服だったんだもの。
「そうですか。でも、着て帰る服がないんでしょう?」
「はい。ですが」
なんとかしますから、平気です。
そう答えようとしたのだが、それは後ろから割り込んで来た妖夢の声によって遮られてしまった。
「はい。そうなんです。もう、どうしようかと」
「でしょう? ですから、もう一泊していきませんか?」
女性は事も無げにそう言い放ち、私にも「どう?」と同意を求めてくる。
私はすぐさまそれを否定しようとしたのだが、それよりも早く動き出していた彼女の声により、再度遮られてしまう。
「いいんですか!?」
「もちろんよ」
彼女、とはもちろんウドンゲの事。彼女は食事中にも関わらず立ち上がり、目をキラキラと輝かせている。
この旅行中ずっと高いテンションを維持している彼女のその勢いは、今もなお衰えていないようだ。
「ウドンゲ、無理だよ」
「え、なんで?」
「お金」
「あ」
そう、まず根本的な問題として、私達には手持ちがないのだ。いや、まったくない訳ではない。ただ、3人がもう一泊できるだけの予算など望むべくも無い。
それに私はお嬢様から温泉旅館二泊三日分のお休みを頂いた身なので、彼女達と違って今日帰らなければならいという個人的事情もあった。
「あぅ~」
「残念だけど、しょうがないよ。ね、ウドンゲ」
ウドンゲを宥める妖夢の姿を見ながら、私は思いついていた案を再度吟味し始める。唯一服が無事であるウドンゲに安い服を調達してきて貰うか、もしくは時間停止を駆使して誰にも見つからないように紅魔館まで帰るか。その辺りが妥当かしらね。
「うぅ~」
「また今度来ればいいじゃない」
中々納得しないウドンゲに、妖夢は優しく説得を続けていた。どうでもいいけど妖夢、私には敬語な癖に、ウドンゲとはやけに親しそうに話してるじゃない? しかも私だけさんづけだし。
「大丈夫ですよ」
「何がでしょうか?」
「料金なら既に頂いていますから」
彼女の言葉に、私達3人は目を見合わせた。
可能性としては、お嬢様が運命を予見して先回りしてくださったか、弟子思い、というかウドンゲを溺愛している永琳が少しでも長く楽しめるようと配慮しくれたか。妖夢には悪いけど、幽々子である可能性は皆無ね。
「お手紙も預かってますよ」
女性の示した紙に、3人の視線が一斉に集まる。
「えーっと『もう一泊してきなさい。これは命令よ。 レミリア・スカーレット』だって」
「確かにこれはお嬢様の字だわ」
こうして私達は1日多く、この夏休みを送る事になったのだった。
ちなみに、誰もその手紙の書かれたメモ用紙がこの旅館の備品と同じ物であるという事に気づく事はなかった。
浴衣以外の衣服がない彼女たちは、必然的に旅館内から出る事はなかった。更に言えば、用事もなく部屋から出ようとする事すら皆無だった。
「にゃ~ん」
「あら、迷い猫かしら?」
「この旅館の猫かもよ?」
「どっちもでいいじゃない。可愛い~♪」
一番最初に動いたのは妖夢。そして次に咲夜だった。鈴仙はと言うと変な顔をしながら何かを悩んでいるようだ。
「どうしたの、ウドンゲ?」
「ん、あぁ、ゴメン咲夜。何?」
「なんでもないわ。ただ、ぼぅっとしてたから」
「あ、うん。なんだかその猫、見覚え・・・というか、会った事があるような気がして」
「そう? 気のせいじゃない?」
「う~ん。そうだよね」
ここは普段生活している場所からはかなり離れている。だから彼女達が知っている猫はいるはずがない。そう結論した鈴仙は、悩む事を止め2人と一緒に猫を撫で始めた。
「わ~、ふかふかだ」
「うん」
「ふかふかで気持ちい~」
「ウドンゲの尻尾とどっちがふかふかかしら?」
咲夜の意地悪なコメントに、2人がびくりと反応する。
昨日、それを巡っていろいろとあった2人からすれば、当然の反応だろう。
「・・・ウドンゲの方が」
「妖夢!」
「ご、ごめん」
「ふふふ」
こうして3人にとっては珍しい、のんびりとした時間が流れ始めた。
その日は雨のせいだけでなく、旅館の中が妙に暗くて涼しかった事も、ここに追記しておく。
鈴仙・U・イナバは思案していた。
私と妖夢は仲良くなった。そして咲夜ともそれなりに仲良くなったつもりだ。
「ねぇねぇ咲夜」
「ん、何?」
でも、それじゃあダメなのだ。
妖夢は咲夜にまだ敬語だし、どこか一線を置いている、というか遠慮している感じだ。
・・・まぁ、判らなくははないんだけど。咲夜ってなんというか、保護者、っていうか、お姉さん、って感じだし。
「咲夜って普段、どんな仕事してるの?」
「普通にメイドの仕事よ」
どうすれば仲良くなれるか。そう考えた私は、一先ず咲夜の事を知ることから始めようと考え、この質問に至ったと言う訳だ。
お話していれば仲良くなれるし、相手の事をよく知ればもっと仲良くなれるという、一石二鳥の作戦だ。
「具体的には?」
「掃除とか洗濯とか。きっと聞いてもつまらないわよ」
「そんな事ないって。ねぇ、妖夢?」
「はい。私も興味があります」
敬語でそう返す妖夢に、私相手の時みたいにしゃべればいいのに、と思いながらも、私は続きを促した。
「そうねぇ。普通じゃないところで、黒っぽい侵入者の排除とか、黒っぽい侵入者にお茶を出したりとか」
「あ、あはは・・・」
「侵入者にお茶って・・・」
紅魔館――正確にはその中にあるヴワル魔法図書館――に無理やり侵入して本を掻っ攫っていく人物がいる事は知っていたのだが、どうやら私が想像していたよりも実情は酷いらしい。
というか、無理やり侵入して、本を奪って、更にお茶まで飲んでくって、あの人実はある意味大物なのかな・・・。
「ほ、他には?」
「そうね。侵入を許した門番に折檻とか。具体的にはナイフを・・・」
「ストップ。もういいよ」
「そう?」
どうやら私の作戦は失敗らしい。彼女のいいところが見つかれば、妖夢も自然に話せるようになって、いい感じだと思ったんだけどなぁ。
「そういえば咲夜さんって、ナイフを使いますよね」
「えぇ」
そう語りかける妖夢は、やっぱり敬語だった。私相手に出来るのに、咲夜相手には出来ないのかな? 実は妖夢、咲夜が苦手なのかなぁ。
「お手入れってどうしてるんですか?」
「普通に磨いてるけど? 銀だし」
「刀みたいに専用の手入れとかはないんですか?」
「あるわよ。ナイフ、というより銀専用の手入れの方法なんだけど」
「そうなんですか?」
「そうなのよ」
「どんなですか?」
「それはね――」
そんな事を考えていたせいか、いつの間にか2人は私を取り残して楽しそうにおしゃべりを始めていた。むぅ。ずるい。
「だからね、温泉には持っていけなくて困ったわ。真っ黒のナイフなんて格好つかないし」
「へぇ。結構繊細なんですね、銀って」
あれ、たしか私は2人が仲良く話せるように画策していたはずで、今まさにその状況にあるのだから、喜ぶべきはず事のはずなのに・・・。なのになんだろう、この胸のもやもやは。
「そうそう、研磨の布も幾つか種類があるのよ」
「荒削り用と仕上げ様の研ぎ石みたいなものでしょうか?」
「ちょっと違うけど、そんな感じね」
というか、どうやら私の取り越し苦労だったみたい。この2人、どこからどう見てもとっても仲の良い友達だもんね。
「2人とも、私を除け者にしなーい」
「あ、ごめんごめん。つい、ね」
「ごめん、ウドンゲ。咲夜さんの話が面白くって、つい」
「許してあげる。だから次は妖夢の番ね」
「へ?」
「刀についての面白い話、して」
「あ、うん」
そしてその後も弾幕やスペルカードについての由来など説明したり、意見交換をした。
なんだかんだ言って、私達にはこれが一番似合っているのかもしれない。そんな事を思った。
魂魄妖夢は不満気だった。
理由は、咲夜さんが明日はすぐに帰るといいだしたからです。
当初の予定では、今日一日遊んで、夕方に帰る事になっていました。だから明日は一日遊ぶつもりでいた私達が不満を覚えるのも仕方のない事なのです。
「なんで?」
「それでなくても1日多く休みを頂いたのよ。だからなるべく早く帰る事にしたの」
「そんな。別にいいじゃないですか。レミリアさんもそのくらい許してくれますよ」
「そーだそーだ」
2人がかりの説得も空しく、咲夜さんは頑なにその意見を曲げようとしません。それどころか
「だったら私は先に帰るから、貴方達だけ観光していけばいいじゃない」
とまで言い出す始末だった。
・・・そう言った咲夜さんは、なんだか少し怒っていたような、もしくはいじけていたような気がするんですが、気のせいでしょうか?
「うぅ、でも折角3人で来たんだし・・・」
「うん。そうだよね」
結局、私とウドンゲも同じくその時間に帰るという事になりました。
しかしそうなると、今夜が3人でいられる最後の時間という事になってしまいます。
「・・・なんだかあっと言う間だったね」
「そうね」
どうやら彼女達も同じ事を考えていたらしく、少し暗い表情をしています。
その雰囲気がより一層、その事実を際立たせます。
「そう、ですよね・・・」
私達は元々別の生活をする者達で、今が普通ではないのです。ですから、この時間が終わればまた元の生活へと戻っていく、それだけの事です。
「明日はもう帰る日なんですよね…」
私が呟いたその言葉に、大きな、長い耳がピクリと動きました。その直後、ウドンゲが、がばっ、と立ちあがりました。
「そうね…じゃあ最後の締めに宴会でもやる?」
笑顔で、そう言い放つウドンゲ。
そう、彼女はこの旅行が始まってから、何時もこうやって私達を笑顔にしてくれていたんです。
「私は賛成よ。妖夢も当然賛成よね?」
「もちろんです!」
こうしてなけなしのお金をつぎ込んだ宴会は、3度目の温泉(内風呂)を挟んでから開始されたのでした。
―数時間後―
ビール、ウィスキー、チューハイ。更には日本酒、水道水まで振舞われた宴会は、どう考えても料金超過な代物だった。
「あぅ~。どうせ私だけ除け者なのよぉ」
「もう一本開けまーす」
「うー、てゐのバカ。ししょーのいじわるぅ」
それが上の方から支給があったのか、旅館側からのサービスか、はたまた両方かはとりあえずこの際おいておき、四季の間は大変な事になっていた。
床に転がる大量の空瓶と缶。更にテーブルの上には空になった一升瓶まである。しかも部屋の隅にはまだ未開封の物が幾つか置いてあったりする。
「ようむぅ。ちょっと、ここに、座りな、さい」
「は、はいぃ。な、なんでしょうか」
そして今まさに、まだ比較的まともな思考を維持している妖夢が、完全にいっちゃってる、しかも目が据わっている咲夜の毒牙にかかろうとしていた。
「なんで、私には、敬語なのよぉ」
「えぇっと。咲夜さんですし?」
「それよ。それ。なんであたひだけさんづけなのよぉ」
くどくどと語り続ける咲夜の言葉に真剣に聞き入っている妖夢。そしてその結果当然。
「だから悪いのはてゐで、って、聞いへないし。うぅ、いいもん。1人で飲むから」
鈴仙が1人余ってしまい、不貞腐れていた。彼女は両手で挟んでいたコップの中身を一気飲みし、更には自棄酒だと一升瓶をそのままラッパ飲みし始めた。
「ししょー、私だって一生懸命…グス…」
そして泣き出した。どうやらアルコールの摂取量が鈴仙の普通に飲める限界を越えたらしい。
むしろ泣きたいのは後でこの部屋を掃除する人の方だろうとは思うのだが、今は関係の無い事だ。
「ふふ、妖夢こっちにいらっしゃい」
「わっ!? さ、咲夜さん何を…」
一方、咲夜の方もまた限界を突破していたらしい。
口元から胸元へと垂れているお酒と共に理性と自制心も零れ、今は胸の外らしかった。
「妖夢…今から私の事はお姉様と呼びなさい」
「は? ………さ、咲夜…お姉様…?」
比較的まともに見える妖夢も実際にはかなり酔っており、その証拠に自分の行動の意味を正確に理解出来ていないようだ。いや、普段であっても理解できない可能性は否定できないのだが。
「~っ可愛いわね、妖夢は♪」
それをいい事に、咲夜はやりたい放題だった。具体的にはほっぺにキスをしたり、胸にぎゅうっと抱きしめたり。ほっぺだった事は、妖夢にとって今日最大の幸運かもしれない。
「誰か私の相手してよぉ…兎は寂しいと死んじゃうんだぞ~」
そんな2人を見て、また泣き出す鈴仙。どうやら彼女はかなりの泣き上戸らしい。
ちなみに彼女の近くには、かまって欲しそうに半霊がふよふよ浮いているのだが、2人に気をとられてすぎているせいで気づいていなかったりする。
「さ、咲夜さん苦しいです。放してください」
「ううふ。ホント、妖夢は可愛いわね。食べちゃいたいくらいだわ」
妖夢が抗議するも、そのくぐもった声は咲夜に届く事はなかった。彼女がその後どうなるのかは、舌なめずりをしている咲夜にしか解らない。
そんな危険な宴会は、まだしばらく続きそうである。誰にも気づいてもらえない半霊と、寂しさでは死ねない鈴仙を取り残して。
追伸。妖夢はなんとか貞操の危機を免れたという事を、ここに明記しておきます。彼女の名誉の為に。
*これは絵板[6269] 5面ボス(中略)夏休み~宴~ をSSに仕立て上げたものです。セットでお楽しみください。
*これは第五話です。序章と第一~四話を先に読んで貰えると嬉しいです。
*私の作品を容認し、更にはこっそりと宣伝までしてくださったEKIさんには大感謝です。
彼女達がこの旅館に来てから2度目の朝を迎える数時間前。先ほどまで幻想郷を照らしていた美しい月は、雲よってに隠されていた。
月に叢雲花に風。そしてどんどん大きくなる雲が完全に月を隠してしまった頃、それは始まった。初めはしんしんと、次第にざぁざぁと。
目隠しされた月が「おいおい、俺の仕事を邪魔するなよ」と言っていたような気がするが、きっと気のせいだろう。
十六夜咲夜は迂闊だった。
目が覚めると雨が降っていた。それはいい。問題は雨が降り出したという事実ではない。
「妖夢っ!」
「・・・ふにゃ」
まだ寝ぼけ眼の妖夢。焦っている私は、無理やりにでも起こそうと彼女の浴衣を掴み、激しく上下に揺さぶった。
「あうあう。なんですかぁぁぁって、止めてくださいよぉ」
「起きたわね」
妖夢が完全に起きた事を確認してから、私はその手を放して窓へと向けた。そう、雨が降っている窓の方へと。
「って、今すぐ見なさいよ」
「無茶言わないでください」
ボヤキながら浴衣を調える妖夢にイライラしながらも、寛大な私はそれ以上文句を言わなかった。
どーせないんだから少しくらい見えたってかまわないでしょう、とかね。
「・・・雨ですね」
「そうよ、雨なの。雨なのよ!」
「咲夜、うるさぁい」
横から聞える寝ぼけた声を無視し、私は妖夢に詰め寄る。一時大事だというのに、この子はなんでこんなに暢気でいられるのか。
「それがどうかしましたか?」
「どうしたもこうしたもないわよ。雨なのよ!」
「・・・雨だとダメなんですか?」
「服っ!」
「・・・あ」
ここまで来てようやく事態を把握したらしい妖夢に苛立ちながら、私は立ち上がった。
兎に角、服を回収してくる事が先決だ。
ガラガラガラ
「あら」
「きゃっ」
勢い良く襖を開けた先には、いつもの女性が立っていた。何故そこにいるのかと言う疑問は、彼女の隣におかれている物のを見た瞬間、問う事なく理解出来た。
「おはようございます、咲夜さん」
「えっと、おはようございます」
つられて語尾に名前を添えようとしたのだが、私は彼女の名前を知らない事に気づく。相手が自分の名前を知っているのに、私は相手の名前を知らないという事がなんだかすごく違和感があったのだが、今はそれどこれではない。
「朝食をお持ちしました」
「ありがとうございます。あと、その」
「お洋服の件、ですよね?」
「あ、はい」
もしかして取り込んでおいてくれたのかしら、という希望は、されど次の言葉で一瞬にして瓦解してしまう。
「ごめんなさいね。真夜中に降り出したものだから、取り込んだのは朝方で。その時にはもう」
「そうですか」
どうやら私達の着替えは全滅してしまったらしい。昨日着ていた服を着れなくはないのだが、2日間、しかも夏場でたくさん汗をかいている服をまた着るの事になるのかと思うと、かなり憂鬱な気分だった。
「あら。まだ寝てらしたかしら?」
「ん~ん。起きてた」
膳を中へと運び込んでくれている女性に、ウドンゲが眠たげにそう答える。ちなみに妖夢は布団を片付けており、私はテーブルを出している真っ最中だ。
そして数分もしないうちに朝食――焼き魚と味噌汁に白いご飯、漬物など――が並べられた。
「ん~、いい匂い」
匂いにつられたのか、ウドンゲが完全に覚醒しているようだった。
しかも憂鬱な私とは間逆の、とても嬉しそうな笑顔を浮かべている。そりゃああの子の服は無事だったから関係ないけどさ。う~。
「食べながらでもかまわないので、ちょっと聞いてもらえますか?」
「なんでしょう?」
首から上だけを女性のほうへと向ける私。その後ろから「いただきます」とか「いっただっきま~す♪」と言う声が聞えてくる。貴方達も少しは聞きなさいよ。
「お洋服、雨でぐちゃぐちゃになっちゃったじゃない?」
「はい」
先程までなら暗い声で返したであろう問いに私は、平時と同じよう、落ち着いて返事を返す事が出来た。
何故ならよく考えれば、特に問題のある事態ではないという事に気づいたからだ。
「今、洗濯しなおしていますから。でも、この天気でしょう? 今日中には乾きそうにないのよ」
「かまいません。ある程度乾けば、持って帰るのに問題はありませんから」
先ほどの影響がまだ残っていたのか、自分の声に少しだけ意図せぬ感情が篭っている気がした。
・・・だってあれ、お気に入りの服だったんだもの。
「そうですか。でも、着て帰る服がないんでしょう?」
「はい。ですが」
なんとかしますから、平気です。
そう答えようとしたのだが、それは後ろから割り込んで来た妖夢の声によって遮られてしまった。
「はい。そうなんです。もう、どうしようかと」
「でしょう? ですから、もう一泊していきませんか?」
女性は事も無げにそう言い放ち、私にも「どう?」と同意を求めてくる。
私はすぐさまそれを否定しようとしたのだが、それよりも早く動き出していた彼女の声により、再度遮られてしまう。
「いいんですか!?」
「もちろんよ」
彼女、とはもちろんウドンゲの事。彼女は食事中にも関わらず立ち上がり、目をキラキラと輝かせている。
この旅行中ずっと高いテンションを維持している彼女のその勢いは、今もなお衰えていないようだ。
「ウドンゲ、無理だよ」
「え、なんで?」
「お金」
「あ」
そう、まず根本的な問題として、私達には手持ちがないのだ。いや、まったくない訳ではない。ただ、3人がもう一泊できるだけの予算など望むべくも無い。
それに私はお嬢様から温泉旅館二泊三日分のお休みを頂いた身なので、彼女達と違って今日帰らなければならいという個人的事情もあった。
「あぅ~」
「残念だけど、しょうがないよ。ね、ウドンゲ」
ウドンゲを宥める妖夢の姿を見ながら、私は思いついていた案を再度吟味し始める。唯一服が無事であるウドンゲに安い服を調達してきて貰うか、もしくは時間停止を駆使して誰にも見つからないように紅魔館まで帰るか。その辺りが妥当かしらね。
「うぅ~」
「また今度来ればいいじゃない」
中々納得しないウドンゲに、妖夢は優しく説得を続けていた。どうでもいいけど妖夢、私には敬語な癖に、ウドンゲとはやけに親しそうに話してるじゃない? しかも私だけさんづけだし。
「大丈夫ですよ」
「何がでしょうか?」
「料金なら既に頂いていますから」
彼女の言葉に、私達3人は目を見合わせた。
可能性としては、お嬢様が運命を予見して先回りしてくださったか、弟子思い、というかウドンゲを溺愛している永琳が少しでも長く楽しめるようと配慮しくれたか。妖夢には悪いけど、幽々子である可能性は皆無ね。
「お手紙も預かってますよ」
女性の示した紙に、3人の視線が一斉に集まる。
「えーっと『もう一泊してきなさい。これは命令よ。 レミリア・スカーレット』だって」
「確かにこれはお嬢様の字だわ」
こうして私達は1日多く、この夏休みを送る事になったのだった。
ちなみに、誰もその手紙の書かれたメモ用紙がこの旅館の備品と同じ物であるという事に気づく事はなかった。
浴衣以外の衣服がない彼女たちは、必然的に旅館内から出る事はなかった。更に言えば、用事もなく部屋から出ようとする事すら皆無だった。
「にゃ~ん」
「あら、迷い猫かしら?」
「この旅館の猫かもよ?」
「どっちもでいいじゃない。可愛い~♪」
一番最初に動いたのは妖夢。そして次に咲夜だった。鈴仙はと言うと変な顔をしながら何かを悩んでいるようだ。
「どうしたの、ウドンゲ?」
「ん、あぁ、ゴメン咲夜。何?」
「なんでもないわ。ただ、ぼぅっとしてたから」
「あ、うん。なんだかその猫、見覚え・・・というか、会った事があるような気がして」
「そう? 気のせいじゃない?」
「う~ん。そうだよね」
ここは普段生活している場所からはかなり離れている。だから彼女達が知っている猫はいるはずがない。そう結論した鈴仙は、悩む事を止め2人と一緒に猫を撫で始めた。
「わ~、ふかふかだ」
「うん」
「ふかふかで気持ちい~」
「ウドンゲの尻尾とどっちがふかふかかしら?」
咲夜の意地悪なコメントに、2人がびくりと反応する。
昨日、それを巡っていろいろとあった2人からすれば、当然の反応だろう。
「・・・ウドンゲの方が」
「妖夢!」
「ご、ごめん」
「ふふふ」
こうして3人にとっては珍しい、のんびりとした時間が流れ始めた。
その日は雨のせいだけでなく、旅館の中が妙に暗くて涼しかった事も、ここに追記しておく。
鈴仙・U・イナバは思案していた。
私と妖夢は仲良くなった。そして咲夜ともそれなりに仲良くなったつもりだ。
「ねぇねぇ咲夜」
「ん、何?」
でも、それじゃあダメなのだ。
妖夢は咲夜にまだ敬語だし、どこか一線を置いている、というか遠慮している感じだ。
・・・まぁ、判らなくははないんだけど。咲夜ってなんというか、保護者、っていうか、お姉さん、って感じだし。
「咲夜って普段、どんな仕事してるの?」
「普通にメイドの仕事よ」
どうすれば仲良くなれるか。そう考えた私は、一先ず咲夜の事を知ることから始めようと考え、この質問に至ったと言う訳だ。
お話していれば仲良くなれるし、相手の事をよく知ればもっと仲良くなれるという、一石二鳥の作戦だ。
「具体的には?」
「掃除とか洗濯とか。きっと聞いてもつまらないわよ」
「そんな事ないって。ねぇ、妖夢?」
「はい。私も興味があります」
敬語でそう返す妖夢に、私相手の時みたいにしゃべればいいのに、と思いながらも、私は続きを促した。
「そうねぇ。普通じゃないところで、黒っぽい侵入者の排除とか、黒っぽい侵入者にお茶を出したりとか」
「あ、あはは・・・」
「侵入者にお茶って・・・」
紅魔館――正確にはその中にあるヴワル魔法図書館――に無理やり侵入して本を掻っ攫っていく人物がいる事は知っていたのだが、どうやら私が想像していたよりも実情は酷いらしい。
というか、無理やり侵入して、本を奪って、更にお茶まで飲んでくって、あの人実はある意味大物なのかな・・・。
「ほ、他には?」
「そうね。侵入を許した門番に折檻とか。具体的にはナイフを・・・」
「ストップ。もういいよ」
「そう?」
どうやら私の作戦は失敗らしい。彼女のいいところが見つかれば、妖夢も自然に話せるようになって、いい感じだと思ったんだけどなぁ。
「そういえば咲夜さんって、ナイフを使いますよね」
「えぇ」
そう語りかける妖夢は、やっぱり敬語だった。私相手に出来るのに、咲夜相手には出来ないのかな? 実は妖夢、咲夜が苦手なのかなぁ。
「お手入れってどうしてるんですか?」
「普通に磨いてるけど? 銀だし」
「刀みたいに専用の手入れとかはないんですか?」
「あるわよ。ナイフ、というより銀専用の手入れの方法なんだけど」
「そうなんですか?」
「そうなのよ」
「どんなですか?」
「それはね――」
そんな事を考えていたせいか、いつの間にか2人は私を取り残して楽しそうにおしゃべりを始めていた。むぅ。ずるい。
「だからね、温泉には持っていけなくて困ったわ。真っ黒のナイフなんて格好つかないし」
「へぇ。結構繊細なんですね、銀って」
あれ、たしか私は2人が仲良く話せるように画策していたはずで、今まさにその状況にあるのだから、喜ぶべきはず事のはずなのに・・・。なのになんだろう、この胸のもやもやは。
「そうそう、研磨の布も幾つか種類があるのよ」
「荒削り用と仕上げ様の研ぎ石みたいなものでしょうか?」
「ちょっと違うけど、そんな感じね」
というか、どうやら私の取り越し苦労だったみたい。この2人、どこからどう見てもとっても仲の良い友達だもんね。
「2人とも、私を除け者にしなーい」
「あ、ごめんごめん。つい、ね」
「ごめん、ウドンゲ。咲夜さんの話が面白くって、つい」
「許してあげる。だから次は妖夢の番ね」
「へ?」
「刀についての面白い話、して」
「あ、うん」
そしてその後も弾幕やスペルカードについての由来など説明したり、意見交換をした。
なんだかんだ言って、私達にはこれが一番似合っているのかもしれない。そんな事を思った。
魂魄妖夢は不満気だった。
理由は、咲夜さんが明日はすぐに帰るといいだしたからです。
当初の予定では、今日一日遊んで、夕方に帰る事になっていました。だから明日は一日遊ぶつもりでいた私達が不満を覚えるのも仕方のない事なのです。
「なんで?」
「それでなくても1日多く休みを頂いたのよ。だからなるべく早く帰る事にしたの」
「そんな。別にいいじゃないですか。レミリアさんもそのくらい許してくれますよ」
「そーだそーだ」
2人がかりの説得も空しく、咲夜さんは頑なにその意見を曲げようとしません。それどころか
「だったら私は先に帰るから、貴方達だけ観光していけばいいじゃない」
とまで言い出す始末だった。
・・・そう言った咲夜さんは、なんだか少し怒っていたような、もしくはいじけていたような気がするんですが、気のせいでしょうか?
「うぅ、でも折角3人で来たんだし・・・」
「うん。そうだよね」
結局、私とウドンゲも同じくその時間に帰るという事になりました。
しかしそうなると、今夜が3人でいられる最後の時間という事になってしまいます。
「・・・なんだかあっと言う間だったね」
「そうね」
どうやら彼女達も同じ事を考えていたらしく、少し暗い表情をしています。
その雰囲気がより一層、その事実を際立たせます。
「そう、ですよね・・・」
私達は元々別の生活をする者達で、今が普通ではないのです。ですから、この時間が終わればまた元の生活へと戻っていく、それだけの事です。
「明日はもう帰る日なんですよね…」
私が呟いたその言葉に、大きな、長い耳がピクリと動きました。その直後、ウドンゲが、がばっ、と立ちあがりました。
「そうね…じゃあ最後の締めに宴会でもやる?」
笑顔で、そう言い放つウドンゲ。
そう、彼女はこの旅行が始まってから、何時もこうやって私達を笑顔にしてくれていたんです。
「私は賛成よ。妖夢も当然賛成よね?」
「もちろんです!」
こうしてなけなしのお金をつぎ込んだ宴会は、3度目の温泉(内風呂)を挟んでから開始されたのでした。
―数時間後―
ビール、ウィスキー、チューハイ。更には日本酒、水道水まで振舞われた宴会は、どう考えても料金超過な代物だった。
「あぅ~。どうせ私だけ除け者なのよぉ」
「もう一本開けまーす」
「うー、てゐのバカ。ししょーのいじわるぅ」
それが上の方から支給があったのか、旅館側からのサービスか、はたまた両方かはとりあえずこの際おいておき、四季の間は大変な事になっていた。
床に転がる大量の空瓶と缶。更にテーブルの上には空になった一升瓶まである。しかも部屋の隅にはまだ未開封の物が幾つか置いてあったりする。
「ようむぅ。ちょっと、ここに、座りな、さい」
「は、はいぃ。な、なんでしょうか」
そして今まさに、まだ比較的まともな思考を維持している妖夢が、完全にいっちゃってる、しかも目が据わっている咲夜の毒牙にかかろうとしていた。
「なんで、私には、敬語なのよぉ」
「えぇっと。咲夜さんですし?」
「それよ。それ。なんであたひだけさんづけなのよぉ」
くどくどと語り続ける咲夜の言葉に真剣に聞き入っている妖夢。そしてその結果当然。
「だから悪いのはてゐで、って、聞いへないし。うぅ、いいもん。1人で飲むから」
鈴仙が1人余ってしまい、不貞腐れていた。彼女は両手で挟んでいたコップの中身を一気飲みし、更には自棄酒だと一升瓶をそのままラッパ飲みし始めた。
「ししょー、私だって一生懸命…グス…」
そして泣き出した。どうやらアルコールの摂取量が鈴仙の普通に飲める限界を越えたらしい。
むしろ泣きたいのは後でこの部屋を掃除する人の方だろうとは思うのだが、今は関係の無い事だ。
「ふふ、妖夢こっちにいらっしゃい」
「わっ!? さ、咲夜さん何を…」
一方、咲夜の方もまた限界を突破していたらしい。
口元から胸元へと垂れているお酒と共に理性と自制心も零れ、今は胸の外らしかった。
「妖夢…今から私の事はお姉様と呼びなさい」
「は? ………さ、咲夜…お姉様…?」
比較的まともに見える妖夢も実際にはかなり酔っており、その証拠に自分の行動の意味を正確に理解出来ていないようだ。いや、普段であっても理解できない可能性は否定できないのだが。
「~っ可愛いわね、妖夢は♪」
それをいい事に、咲夜はやりたい放題だった。具体的にはほっぺにキスをしたり、胸にぎゅうっと抱きしめたり。ほっぺだった事は、妖夢にとって今日最大の幸運かもしれない。
「誰か私の相手してよぉ…兎は寂しいと死んじゃうんだぞ~」
そんな2人を見て、また泣き出す鈴仙。どうやら彼女はかなりの泣き上戸らしい。
ちなみに彼女の近くには、かまって欲しそうに半霊がふよふよ浮いているのだが、2人に気をとられてすぎているせいで気づいていなかったりする。
「さ、咲夜さん苦しいです。放してください」
「ううふ。ホント、妖夢は可愛いわね。食べちゃいたいくらいだわ」
妖夢が抗議するも、そのくぐもった声は咲夜に届く事はなかった。彼女がその後どうなるのかは、舌なめずりをしている咲夜にしか解らない。
そんな危険な宴会は、まだしばらく続きそうである。誰にも気づいてもらえない半霊と、寂しさでは死ねない鈴仙を取り残して。
追伸。妖夢はなんとか貞操の危機を免れたという事を、ここに明記しておきます。彼女の名誉の為に。
>妖夢を宥めるウドンゲ
これ多分ウドンゲを宥める妖夢じゃないでしょうか
>宴に咲いた妖しい華
実は絵の「弾幕上等」は、最初三人の名前から取って「妖しく咲く華」とか
にする予定だった…字の半分が見えないと分かりにくいので止めましたが。
図らずもあささんのSSの題名となるとは…!!何か嬉しい。
すばらしき咲夜お姉様の世界を提供してくださってありがとうございます。
小生がごときはもう鼻血が止まりませぬ!!
ムフォッ!!(出血死
しかし・・・うどんげのあの台詞の前ではこんな素敵な光景が・・・
今回のミスはさすがに恥ずかしすぎでした・・・。慧音さん、どうか無かった事に!
そして題名ですが、きっとEKIさんから電波が飛んで来たのだと思います。びびびっと(何