Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

図書館大作戦 CASE1

2006/07/27 07:48:27
最終更新
サイズ
8.53KB
ページ数
1
※はたらく少女達の物語(なんじゃそりゃー!?)







プロローグ

 紅魔館付属図書館――それは人類最後のフロンティ……って違う。それは紅魔館併設の大図書館である。

 世界中には数多くの大図書館伝説や伝承などが残されている。しかし、その殆どが戦争で焼失したり、度重な
る増改築で迷宮化したり、正気度がガツンガツン減ってたりと(これに関しては閲覧対象がマズいとの談有り)、
どれもこれも図書館機能に問題があるものばかりである。
 しかし、この紅魔館付属図書館は、他のどの伝説旧図書館より大規模大容量でありながら、図書館としてまと
もに機能している数少ない本格巨大図書館なのだ。

 この物語はそんな大図書館が遭遇する様々な事件や困難に挑む『努力・謀略・勝利!?』の物語である。







東方はたらきもの
【図書館大作戦】










CASE1:未知との第4種接近遭遇!? -レッドホワイトの怪-



『某月20日 図書館日誌 司書記録』

 本日、不覚にも侵入者の侵入をゆるしちゃいました。
 あつまさえ、あんな非道い目にあっちゃうなんて………よよよよよー。
 でもでも、各出入り口に設置してある感知魔法はなんの反応も示さなかったんですよぉ。
 いったい何処からどうやって入り込んだんでしょうか……?



「はたらく、はたらくと~き♪ はたらけ~ども、はたらけ~♪ はたらきもの~は、絶対! 止まらな~い♪
 っと。よォーっし、今日も元気にがんばるぞぉー!」
 今日も鼻歌交じりでゴキゲンな彼女――通称小悪魔――は図書館の司書を務めている。数多の使用人達が働い
ている紅魔館において、唯一人の図書館常勤人員であり、図書館の構造などその総てを把握しているのは幻想郷
広しと言えども彼女だけなのだ。
 そんな彼女の一日は図書館のパトロールから始まる。たかがパトロールと侮ってはいけない。常に不定型な図
書館(周辺部は特に)の構造を認識し、蔵書の収納位置や冊数(主にパチュリーが適当に出し入れする)を把握
し、危険区域や保管状態(塩素系魔法書と酸性魔導書を混ぜて置くと危険)を点検して回り、向こう1週間分の
業務計画を立てるのだ。
 つまり、このパトロールこそが、正常な図書館業務を行う為の根幹的作業なのである。



 ――ガサガサ、ゴソゴソ。


 そんな重要なパトロールの最中、さっそく怪しげな物音が書架群から聞こえてきた。この時間、パチュリー始
め紅魔館の主要メンバーは食堂に居るはずだ。とすれば答えはひとつ――
「んー、魔理沙さんかな?」
 霧雨 魔理沙――通称『黒いの』。彼女は不定期に図書館へと来襲し、適当に本を読み散らかしたあげく、無
許可で持ち出しては正常な図書館運営を妨害する要注意人物である。これらの狼藉を力ずくで阻止しようとして
も、却って火に油を注ぐ結果となるので半ばあきらめ気味だが、言うべき事はしっかり言っておかないと司書と
して示しがつかない。
 小悪魔は物音のする通路に転移すると、やや低姿勢な、しかしそれでいて権威ある態度でもって注意を促す。
「魔理沙さん。何度も言ってますが、勝手に入り込んで勝手に本を持ち出さないで下さ……アぁーーっ!?」
 だがしかし、そこに居たのは見たこともない赤毛の女性であった。女性は転移してきた小悪魔に驚く事もなく、
物色していた手を休めると実に興味深げに小悪魔を観察している。
「あら、本物の悪魔かしら? 素敵じゃない♪」
「し、侵入者デスカ!? 何時から? 何処から? どーやって? と、兎に角、関係者以外の立ち入りは――」
 侵入者といえば魔理沙だってそうなのだが、魔理沙以外の侵入者という想定外の事態に慌てふためく小悪魔。
一方、この様な事態に慣れっこなのか、対照的にやけに落ち着き払った侵入者の口からさらに驚愕の一言が発せ
られる。
「さっそく連れて帰って研究しなくっちゃ……ね?」
「――ナンデストォッ!?」



 とんでもない事を言い放った侵入者は、何処からともなく捕虫網やら手錠やら荒縄なんぞを取り出すと、鮮や
かにマントを翻して小悪魔へと襲いかかる。
「さぁ、大人しくいい子いい子してましょうねぇ? だ~いじゃうぶ、痛くしないから……」
 様々な捕縛道具を手にじりじりと間合いを詰める姿は、まさに変質者のそれである。自分が持ち出しの対象と
なる、想定できる範疇を逸脱した事態に一瞬思考がフリーズしたものの、鬼気迫る侵入者に色々と身の危険(貞
操の危機とか)を感じた小悪魔は、決死の覚悟で抵抗を試みる。
「だっ、ちょっ、うわっ、やめっ、このォ――大旋風『ワールウィンド』っ!!」
 もとより図書館機能維持管理要員として召喚された小悪魔は、知識デーモンの類であるため直接的な戦闘行為
は苦手なのだ。しかし、図書館が紅魔館に在る以上、暴力沙汰に巻き込まれる事は決して少なくない。その様な
場合、主に策略やトラップを活用した手段で対応するのだが、今回のような不意の襲撃等を受けるとそうも言っ
てられない。
 そんな小悪魔の唯一にして最大の直接攻撃手段がこの弾幕である。自分を中心に左右に微速回転する大玉で幻
惑しつつ四方八方にクナイ弾をばらまく技で、スペルカードと言うわけではないが何となく格好良いのでこう呼
んでいるのだ。
 さしもの侵入者も至近距離でこれを捌ききるのは無理なのか、たまらずに距離をとる。
「クッ、小賢しい真似を……。これでも喰らえ、封鎖『苺クロス』!!」
 そして、取り出した白い珠を小悪魔の弾幕めがけて投擲する。珠が弾幕に接触すると十字型のエネルギー障壁
が展開し、ワールウィンドの弾幕を中和する。さらに珠は次々と放たれて小悪魔を包囲するように着弾した。
「うひゃぁぁぁぁん、十字架? 大量の十字架っぽいナニかがぁー!? ぅきゃあぁぁあぁあぁああっ!!」
 一斉に炸裂したエネルギー障壁に押しつぶされる形で小悪魔は昏倒する。
「よし、チャンスだわ……」
 赤毛の侵入者が倒れ伏した小悪魔を捕縛しようと手を伸ばした、その時――



「そこの紅白、私の書斎で暴れない! ……って、あなた誰?」
 魔力の奔流やら戦闘の喧噪やらを察知した図書館長パチュリー・ノーレッジが颯爽と現れる。状況と台詞に軽
い既視感を覚えるが、そこにいるのは見知った博麗の紅白ではなかった。
 だが、相手が誰であれ基本的に為す事はひとつ。すなわち招かざる客を強制的に排除する方法を模索する事。
「――チッ、潮時ね。ちゆり、退却するわ! 早くドアを開けてちょうだい!」
『了解だぜ』
 現れた少女が纏う強大な魔力に不利を悟った赤毛の紅白は、小悪魔の捕獲を諦めると腕輪に向かって叫けぶと、
どこからともない応答と同時にガッコ~ンと図書館の通路上にいきなりドアが出現する。赤毛の紅白はドアに賭
け揺るとパチュリーを一瞥する。
「うっふふふふ。じゃあね、本物の魔女さん。いずれ日を改めて参上させてもらうわよ!」
「……っな!? ちょっと、待ちなさい!!」
 制止の声も虚しく、侵入者がドアに消えると今度はドアその物が現れた時と同様に忽然と消え失せ、侵入者の
気配も完全に途絶えてしまう。



「逃げられたか。――でも、いつの間に……どうやって?」
 どこの馬の骨ともしれぬ侵入者にまんまとしてやられ、苦い表情を浮かべるパチュリー。物理的な侵入ならば、
一カ所しかない出入り口や数える程しかない窓に仕掛けた感知魔法ですぐに判るはずだし、そもそも図書館以前
に紅魔館へ侵入しなければならないのだ。阻止できるか否かは別として、警備隊長が張り巡らす『気』の探知網
を潜り抜けるのは不可能だし、探知網の外から転移を試みたとしても、今度はパチュリーの組んだ魔法結界に阻
まれる。もし、結界を破るような強引な転移が実行されたとしても、それはそれですぐに察知されるはずなのだ。
 これらの対策措置を総て無視できるのは八雲のスキマ妖怪ぐらいなものだが(尤も、現れた瞬間にその妖力に
因って所在がワレるが)、侵入者は明らかに人間であったし(だからこそ長いこと気づかれなかった)、あのド
アのような現象も魔法やスキマ妖怪の隙間とは全然別物だった。とはいえ、実際に侵入され阻止する間もなく逃
げられたのだから、似たような未知の現象と考えるのが妥当である。
 人間の身で似たような事ができるのは、何ものにも縛られない博麗の紅白か猫度の足りないメイド長の空間操
作ぐらいしか思い当たらない。
「そうか、空間操作なら……」
 与えられた数少ない情報からひとつの推論を導き出したパチュリーは満足げにうなづいた。
「ふえぇぇぇ、館長ぉ、ずみまぜぇ~ん」
 パチュリーが色々と考察している間に、色々と酷い目にあわされた小悪魔が回復する。
「まぁ、仕方ないわね。不可抗力におかしな相手みたいだし。――ところで、被害状況は?」
 図書館への侵入者の目的は、十中八九が蔵書狙いである。小悪魔は赤毛の紅白が物色していた書架を見て回り、
どこからともなく引っ張り出した分厚い管理台帳と内容を突合しはじめる。
「まず私の貞操の危機が――え、それはどうでもいい? ぐっすん。 えーっと、『貴方にもできる初歩の魔導』
が見あたりません。あとはぁ……『魔法と宗教による非統一世界理論 著者:岡崎夢美』? なーんか見慣れな
い書籍が数冊増えてますよぉ?」
 侵入されて奪われるだけならともかく、逆に増やされるなんて事は前代未聞である。
「……ホント、なんだったのかしら?」
 パチュリーの表情が今度は困惑の色に染まった。







『某月20日 図書館日誌追記 館長記録』


 奪われた書物が既読の物であったことは不幸中の幸いと言える。
 既に私の知識となった物に用などないのだ。
 むしろ未知の書籍を入手できた事が大きいと言える。
 負け惜しみなんかじゃないわよ? 本当だってば!
 兎に角、何らかの手を打たなければ。

 ……コンチクショウ。












・次回予告?


 謎の侵入者の手段にあたりをつけた館長パチュリーは、
 紅魔館の秘密兵器『銀の猫イラズ』の投入を申請した。
 しかし、侵入者を追いつめるはずの猫イラズが見たものは、
 にわかには信じられない敵の存在だった。


 次回、図書館大作戦 CASE2『時を駈ける少女達』



 
 ――幻想郷の歴史にまた1ページ(違

単純に、
パチェ「総員退館! 私は館と運命を共にするわ……」
こぁ 「館長ォォォォォォッ!!」
って、やらせたかっただけなのだが……はて?
ぎゃあ
コメント



1.「天界道」光太郎削除
夢幻伝説キタコレ
夢幻伝説の意味がわかるならきっと親友になれますよ?
2.TNK.DS削除
これは・・・ス○ートレッ○!?
冒頭部分で吹いた。
3.名無し妖怪削除
銀英伝に不覚にも吹いたw
4.名無し妖怪削除
最後の
>――幻想郷の歴史がまた1ページ(違
が某番長かと思ったのは私だけか(ぉ